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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 

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第7話/もっとぎゅっと抱きしめてくれてもいいのよ……?

すんません! 思った以上に執筆に時間がかかってしまいました!!


「はいこれ。取り戻せたリリベルちゃんのお金」


「あ、ありがとう」


 露店のおっちゃんから受け取ったお金を渡すと、リリベルちゃんはどこか呆けたような表情で俺とお金を交互に見比べていた。


「すごいわねあんた。もしかしてどっかのやり手の商人だったりするの?」


「いやいや。前にも似たようなことがあったからなんとかなっただけで、大したことないって」


 まあゲーム内で似たようなことがあって、そのたびに相手からお金や物品を巻き上げ、もとい取り戻したことが何度かあるだけで。


 それよりも本番はここからだ。


「ねえ、それにしても鉱石の原石なんて貰ってどうするの? 原石って鍛冶屋か錬金術士に頼まないと、中の鉱石を取り出したりできねーわよ?」


 リリベルちゃんが不思議そうに尋ねるが、まあそれもそうだろう。


 確かにオレ様の手にある原石から中身を取り出すには、ゲーム内でも鍛冶屋か錬金術士に頼めなければならなかったが、サブスキルで<鍛冶>か<錬成>を取ってしまえば本職でなくとも中級レベルまでならそれが可能になるのだ。


「それは見てからのお楽しみってことで。リリベルちゃんにはいいものを見せてあげようじゃないか」 


「どういうこと?」


 顎に人差し指をあて小首を傾げながら、分からないという顔をするリリベルちゃんはやべえ可愛い……。 

 これがゲームだったらスクリーンショットが撮れて保存してあとで愛でることが出来たというに。残念でならない。


 まあ出来ないのは仕方ないので、ここは気を取り直して。


 オレ様は原石を両手に乗せ、少しドキドキしながら錬成スキルを頭の中で紡いだ。


魔石精製マテリエイト> 


 オレ様の手のひらに現れた小さな魔方陣が原石を淡い光で包み、ほんの一瞬で石屑と紫色のビー玉のようなものに分けられた。


 おっし。無事に成功。


「は? え! 錬成!? ていうか鉱石の原石なのに、なんで魔石が出てきて、いや色が青じゃなくて紫だから…………魔晶石!?」


 気持ちいいくらいにリリベルちゃんが驚きの顔をしてくれる。


 確かに露店のおっちゃんは「鉄鉱石の原石」と言っていたが、オレ様が密かに無属性スキルの<鑑定>を発動させた結果、見た目が鉱石の原石と同じでそのまま混じって置いてあった<魔晶石の原石>を見つけたのだ。


 ちなみに無属性スキルは特に難しい条件もなく取得できるもので、他にもいくつか便利そうなのは持っている。


 実は鑑定を発動できたのは偶然の賜物であって、もしかしたらラノベのように調べることができるんじゃないか? と思っていたところ、スキルの使い方が思い出したように頭に浮かび、それで知ることができたのだった。


 あとは露店のおっちゃんが気づいていないかカマをかけ、どうやら知らないようだったのでそのまま<鉄鉱石の原石>として受け取ったという寸法である。


「いやー、あの露店のおっちゃんがくれた”鉄鉱石の原石”の中に、”偶然”魔晶石があったみたいでラッキーなことがあるもんだ!」


 ここで周りの人に聞こえるようにわざと声を大きめにして感動してみる。


 ”露店の店主が渡した鉄鉱石の原石から魔晶石が出てきた”という感動の出来事が広がり、もしかしたら露店のおっちゃんの耳に入ったりして悔しがればいいなと思ったり思わなかったり。


「あ、あんたそんな可愛い見た目して意外と黒いのね……」


 おっと、気づかないうちに声に出ていたらしい。いやまあ、ズルしたり人を騙すような輩には天罰が下ればいいと思うのが人情だし?


 それはそうと、石屑は捨てて錬成した魔晶石をリリベルちゃんへ「はいこれ」と手渡しプレゼントフォーユー。


「え! なんで!? これあんたが貰った物じゃない! う、受け取れねーわよ!!」 


「いいからいいから。もともとリリベルちゃんにあげるつもりであの原石を取り引きしたわけだし、遠慮せずにどうぞどうぞ」


「え、ほんとに……いいの?」


 小さな魔晶石を大事そうに両手に抱え、上目遣いでこちらを見てくるリリベルちゃんがマジで萌える。


 それだけでもう、女の子なお兄さんは大満足よ。


「リリベルちゃんの役に立てるなら、俺はそれで嬉しいし。気にせず受け取ってくれ」         

「ア、アビゲイル…………ほんとにありがとう!!」


「うひょうっ!?」


 感極まったのかリリベルちゃんが急に力強く抱擁してきた。


 リリベルちゃんの胸に押し付けられるようにぎゅうっと抱き付かれ、オレ様の顔はいま女の子の匂いと柔らかな弾力とぬくもりで存分に幸せなことになっています。


 オレ様がもし男のままだったら、多分握手くらいで終わってここまで大胆な事にならなかったろう。そうに違いない。転生と転性に感謝。


 そんな幸せな時間はリリベルちゃんがオレ様から離れたことで終わりを告げてしまう。


「あたしはこれから店に戻って色々やんなくちゃらなくなったけど、このお礼は必ずするから! もしなにかあったら住民区にある<雑貨屋ベリー>を尋ねてきてね! アビゲイルならいつでも歓迎するわ!!」


「わかった。その時はよろしく」


「もちろんよ!」


 オレ様が右手を差し出すと、リリベルちゃんは魔晶石を胸元にしまいこみ笑顔で握手を返してくれた。


 「またね!」と挨拶をして広場から走り去って行ってしまうリリベルちゃんを見ながら、オレ様の心になんだか名残惜しい気持ちが浮かんでくる。


 元の世界では仕事以外でリアルな人間関係は少なかったせいか、こんな気持ちになることはほとんどなかったくらいだ。


 転生してから一日も経っていないのに、ミールちゃんとリリベルちゃんという二人の可愛い女の子に出会えたことは嬉しく思う。


 前世(?)ではあまり人との関わりを特に大事にしようとは思っていなかったが、異世界へ転生し性別は変わったといえど新しい人生が始まるのだ。


 これからは人との関わりや繋がりを大事にしていこうと思う。特に可愛い女の子とは。       


 そう思いながらふと落ちた串焼きやサンドイッチのことを思い出し、まだ無事なものもあるかもしれないとベンチの方を振り帰ると、


「わふわふわふ」


 どっかのわんこにおいしそうに食べられていました……。




 あるぇー? プロットではこの段階で次のイベントが発生して、とある姉妹が出て来たはずなんですが……。

 このところ、あまり進展のない話で申し訳ないです。なんか思ったことが書いているうちに膨らんだりして、思うように進まないデス。

 でも見捨てないで暇つぶし程度に読んでもらえたら嬉しいデス。


※仕事中、子猫と目があった瞬間に超ダッシュで逃げられた午後。



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