第56話/冗談は時と場合を選びましょう。
今回から話数をカウントしていこうかと思います!
とりあえずこれ以前のは時間をみて話数を振っていきますΣd
隠蔽の魔法をかけ、巨木のうろを隠すように垂れ下がる蔦を払いのけて隠れダンジョンの中へと入っていく。
中は手を広げれば天井や壁に届くくらいの広さで土や木の根がむき出しの洞窟が続き、ひんやりとした空気と濃い土の匂いがまとわりついてくるようでちょっと鬱陶しい。
あ、ちなみにアーリンは洞窟は魔力がこもっていて探索は難しいとのことで、ご苦労さんと労い送還して今は四人だけでの探索だったりする。
陽の光が届かない屋内ではあるけど、洞窟内の壁や地面にある苔かなんかがうっすら光っていて見通しは悪くない。
まあ吸血鬼の真祖であるオレ様の目には、くっきりはっきり見えているわけだけど。
しばらく進んでいくと周りの壁や天井が土から石状に変わっていき、広さも大型トラックが並んで通れるくらいにまで広いものになっていった。
ただ広くなった先から水溜まりがあったり、湿った空気のせいか地面が濡れていたりしていて気を付けないとたまに足を滑らせる時がある。
「うぅ、お尻が痛いっつーのよ……」
そしてついさっき、見事にスッ転んで涙目なリリベルちゃんが痛むお尻を撫でながら歩いていたり。
ダンジョンにしか生えないキノコがこんなにー! なんてはしゃいで走ったりするから……。
ただ、助け起こした際に見えたスカートのチラリズムにありがとうと言いたい。
「それにしても、まるで魔物の気配がありませんね」
「ほんと。スライム一匹でないなんて、ほんとにここダンジョンになってるのかしら?」
不思議そうに辺りを見回しているマルメリ姉妹の言う通り、ここにくるまで一匹のに魔物に出会ってすらいない。
その理由はなんとなくわかるんだけど。
「多分、ダンジョンイーターが貪り尽くしたんだろうなぁ。
ほらそこ、リリベルちゃんの足元にうん◯が落ちてたりするし」
「うっそ!?」
すると素早い動きでリリベルちゃんが両手と片足を上げて退避した。
その姿がなんだかグリ◯のようなおもしろポージングで、オレ様は笑いをこらえつつグッと片手をサムズアップさせながら、
「くふふっ、なーんちゃって」
なんてちょっとお茶目をかましてみたら、無言になったリリベルちゃんがゆっくり両手と足を下ろし、にっこり笑顔になって静かにつめよってくるではありませんか。
え、いやあの、その笑顔になんか恐怖を感じるんですけど? というかなにゆえ両手を伸ばして、ってどこ触ってんのリリベルちゃ、あいたたたたーっ!?
いきなり両手で胸を鷲掴んだと思ったら、そのままアイアンクローならぬバストクローとか!?
や、やめてー! そんなに指を食い込ませたら胸が! 胸がもげるー!?
「ぎにゃあああっ! 痛い痛い地味に痛ぁー! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
予想外の痛さに必死に謝らざるを得ない!
「……今度また同じことしたら、次は捻ってやるっつーのよ?」
「はい……すみませんでした」
謝ったらジト目をしつつ解放してくれた。
それにしても胸って掴まれるとあんな痛いのな……。
うう、今度はもっとライトなジョークにしておこう。
反省しつつ自分の胸を揉みほぐしていたらちょっぴり痛みが引いてきてよかった。
「も、もう二人共、そんなに騒いでたら魔物に見つかるし、遅くなると日が暮れちゃうよ?」
はい、忠告ごもっともですマルガリーゼさん。
まあでも、いまのとこはオレ様の探知スキルに引っかかってないし大丈夫なはずだけど。
「日が暮れて野宿になったら困りますからね。
暗がりが苦手で誰かとくっついてないと寝られない姉さまが」
「メ、メルは変なこと言わないでいいからね!?」
ほほう。マルガリーゼにそんな習性が。今度機会があったらさりげなく隣で寝てみよう。
そんなこんなで姦しくなりつつ、歩き進んでいるとことしばらく。
ほのかに異臭が漂ってきたのはその時だった。
「な、なにこの臭い……」
マルガリーゼが鼻に手を当ててその臭いにわずかに顔をしかめる。
なんだかお肉が傷みかけてるような感じの匂いだ。
「……洞窟の様子が変わってきましたね」
「なんかあっちこっちに骨が落ちてて不気味だっつーのよ……」
メルナリーゼとリリベルちゃんも異変に気づき、警戒したのか声を潜めて言う。
その原因は地面。
さっきまでの洞窟内とは変わり、地面に動物っぽい骨がまばらに散らばりはじめてきていた。
三人娘の口数が少なくなり、骨を踏まないように進みながら臭いと落ちている骨の密度が徐々に濃くなりはじめたころ、オレ様の探知スキルになにかが引っかかった。
この先をずっと行ったところに、ちょっと尋常じゃない数の反応がする。
感覚的に距離にして五百メートルくらいか。
オレ様は足を止め遮るように片腕を横に伸ばして、三人娘に制止の合図を送った。
「皆ちょい待ち。この先にかなりの数の反応がある。多分、魔物だと思うけど」
『!?』
後ろで足を止めた三人娘の息を飲む様子が伝わってくる。
まあ元の世界で言えば人を襲うような野犬の群れに遭遇するようなもんだし、そう考えると緊張するのも仕方ないと言えるだろう。
「こっから先はちょっと警戒して行こっか」
なのでちょっと注意を促しつつちらりと視線を後ろへ向けると、無言のまま強張った顔で三人娘がこくりと頷くのが見えた。
「なるべく骨を踏まないようなルートを選ぶから、オレ様の尻を追っかけてくるようにしといて」
「な、なに言ってるのよアビゲイル!?」
「ちょ、変な言い方してんじゃねーわよ!」
「え、オレ様のお尻ってそんなに魅力ない?」
冗談めかして言ったらマルガリーゼとリリベルちゃんが反応したので、ついこう、悪戯心が沸いて見せつけるようにお尻を左右にふりふりと振ってみせた。
「こんな時にあんたはなにやってんのよ!」
「だ、大丈夫よ! アビゲイルのお尻は丸くて可愛いから!!」
「マリーも真面目に答えてんじゃねーわよ!!」
「ふふふ、二人ともからかわれてますよ?」
メルナリーゼってば、ネタばらししちゃいやん。
「…………」
「い、いやほら! あんまり緊張し過ぎるとよくないと思って! ね!?」
リリベルちゃんがスッと両手を鷲掴みするように構えたので、胸を腕でカバーしつつ慌てて弁解する。
やめて。どうせなら優しくして欲しいの。
あとマルガリーゼはそんな純粋に感心したようにキラキラした目で見るのはやめて。
適当に言った事で心が痛むから。
「は、はい! ここからは真面目に行くんで、よろしく!」
「ほんとでしょーね……」
半目なリリベルちゃんをほんとほんとと宥めつつ、改めて出発。
さっきのやりとりで少しは緊張がほぐれたのか、三人とも表情から少し険が取れてるように見える。
それにしても酷く緊張していた三人娘とは変わって、オレ様といえば自分でも驚くほど落ち着いていたりするんだよなぁ。
アームベアや白い魔物達をみた時も「ああ、なんか小動物同士がじゃれてる」くらいの感覚でしかなかったし。
うーん、思うに最強仕様の我が子が関係してるのか?
ただまぁ、痛いのはヤだし間違っても死ぬようなことにもなるのも御免なので、油断はしないつもりではいるけど。
基本的にヤラレルマエニヤレの精神で行くつもりだしね。
そんなことを考えながら先を進んで行き、いよいよ足の踏み場もないほどに骨が散乱してきた頃。
オレ様たちの前にダンジョンではお決まりであろう、ボス部屋前に出てくるような大きな扉が姿を見せた。
その扉をみて不思議そうな顔で、こてんと首をかしげるリリベルちゃん。
「なにこのでっけぇ扉?」
「多分、ボス部屋の扉、だと思うけど……」
歯切れ悪く答えるマルガリーゼだけど仕方あるまい。
なにせその扉は、まるで食い破られたかのように中央部分がごっそりとなくなっているのだから。
執筆しつつも分かっていることだけど、文章力や表現力が拙いなぁと思うこのごろ。
他のなろう作家さんの小説を楽しんで読みながら勉強しているつもりなんだけど、成果が思うように出せないことにちょっともやもやなう。




