第30話/涙目美少女に乾杯。
ブクマ200件越え! そして前回の投稿が初の1600越えのアクセスを頂きました!!
じわじわと色々増えてきて嬉しい限りです!!
ほんとうにありがとうございます!!
引き続きブクマや感想、評価などをそわそわしながら楽しみにしてます!!!
「いいですか? アビゲイルさんはもっと女性としての恥じらいをもった方がいいと思います」
「ハイ。スミマセンデシタ」
ただいまオレ様、ベッドの上で正座してファンナさんからのお説教タイムなう。
ファンナさんに誘拐、もとい二階へと運ばれそのまま元いた部屋へと戻され後、そっとベッドに降ろされたと思ったのもつかの間、「なんて恰好してるんですか」と軽く怒られたのを皮切りに十分程お説教を頂いております。
昔小学校低学年だった頃、たまたま一緒にお風呂に入ることになった高校生の従姉の胸とブラを見比べて「お姉ちゃん、なんでこれつけてるの? お母さんみたいに大きくないからいらなくない?」と純粋な疑問を述べたところ、鬼のような笑顔で三十分程お説教されたことを思い出してしまう。
そんなこともあって、ファンナさんの雰囲気もなんか従姉と似たような感じだったので、思わず正座しちゃった次第である。
「それで一体どうしたんですかアビゲイルさん? さっきは気が動転してお話を聞き逃しちゃいましたけど」
「え、いや、あの、ブラがしっくりこなくて。つけ方を教えてもらおうかなぁ、と……」
ようやくお説教も終わりなようで、話が振り出しに戻った。よかった。
オレ様から話を聞いたファンナさんに後ろを向いて両手を上げる様に言われ、その通りにすると「失礼しますね」とブラを持ったファンナさんの細く白い手が後ろから伸びて来た。
ブラの肩ひもを上げた両手から通され、セット位置を調節される。
おうふ。ファンナさんと背中で密着する感じになってて、巨峰がむにっというかむにょっというか、ありがとうございます。
「いいですか? アビゲイルさんのサイズだと、こうして胸を少し寄せてからつけた方がいいと思いま…………なんですかこの吸い付く様なきめ細かい肌質は…………これが若さというやつですか…………」
いや、ファンナさん? なにゆえぶつぶつ呟きながら人の胸を揉んだりつついたりしてますか。というか、なんかすごいむずがゆい……!!
「フ、ファンナさん? ファンナさーん? おーい!?」
「私だって肌のケアはちゃんとしてるのに……この差はあまりにも…………はっ! やだ、私ったら一体なにを……。すみませんアビゲイルさん、すぐ直しますね」
よかった。帰ってきてくれて。後半、徐々に手に力が込められてきたのがちょっと怖かった。
正気に戻ったファンナさんからブラをつけてもらうと、自分でつけた時のような違和感はなくいい感じで収まることができた。
ファンナさんに向き直りお礼を言うと、「どういたしまして」とにこりと微笑んでくれる。うん、美人の笑顔は最高。
「それじゃ私は一階に戻りますので、アビゲイルさんは”ちゃんと”着替えてから降りてきて下さいね?
あ、着ていたパジャマは布団の上にでも置いてくれればいいですから。それでは失礼します」
「あ、はい。どうもでした」
オレ様がぺこりと頭を下げると、ファンナさんは「いえいえ」とにこやかに部屋を出て行った。
「ふぅ、ファンナさんの前じゃ迂闊な格好はしない方がいいな」
そう心の片隅に記憶して、オレ様はパジャマシャツを脱ぎ、残りの服を着たのだった。
余談として、鏡台に映る我が子の姿に見惚れて、八時の鐘が鳴って慌てたのはご愛敬。
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あれからちゃんと着替えて一階へ降りると、酒場の一席にマルメル姉妹が座って待っていた。
こちらに気づくとマルガリーゼが手を振ってくれる。
「や、お待たせ」
空いてる席に着くと、マルガリーゼが髪をいじりながらこちらをチラチラ見て、
「わ、私達も今来たところだから気にしなくていいわ」
「そうですね。姉さまがいつもより早く起きて、待ち合わせの一時間前からそわそわして、三十分も念入りに髪を整えて、ここに着いたのはさっきですから気にしなくても大丈夫ですよ」
「メル!?そ、そんなことは言わなくていいの!」
メルナリーゼの暴露にわたわたと慌てながら顔を赤くした。かわゆす。
そんなに早くからなら朝ごはんはまだじゃないかと聞いてみると、案の定食べていないらしい。
近くを通ったおばちゃんを呼び止め、人数分のサンドイッチとリンゴジュースを頼んでおく。
メルナリーゼが二人分のお金を渡そうとしたので、今日のとこはオレ様のおごりと言って引っ込めさせた。
ほどなくして頼んだ料理が来て、それをつまみながら話始める。
「これからの予定なんだけど、私達は午前にちょっと武器屋に行く用事があるわ。
アビゲイルはどうするの?よかったら、い、一緒に行く?」
アップルジュースに口をつけたまま上目使いするマルガリーゼから、一緒に来ないかなぁ、という空気が滲みでている。
素直に言えないのがまた可愛いらしい。
「行く行く。あ、ついでに夜営や日用品に使える道具が欲しいんだけど、そういうお店知ってる?」
昨日の夕食の時、隠れダンジョンを探索で夜営も視野に置いた方がいいとエルモに言われたのでその準備だ。
あと持ってる道具に一切日用品がないので、それも買い足そうと思っている。
「それならお任せください。私達もそちらの店に所用がありますので、ご案内できます」
「じゃあ、よろしくね」
こうして予定も決まり、姉妹と一緒に買い物しに行くことになった。
「それでは姉さまの食事が終わったら行きましょうか」
「ふえ?……あ」
オレ様とメルナリーゼの皿にはサンドイッチがないことに気づいたようで、マルガリーゼが声を漏らす。
三人とも一緒に食べていたのだが、マルガリーゼは一口が小さいためまだ三分の一ほど残っていた。
「ご、ごめん!すぐ食べ終わるから!」
「いや別に焦って食べなくても――――」
気を利かせてくれたマルガリーゼがリスのように黙々と食べていくんだが、見てて癒されるほど可愛いなコレ。
あ、でもそこ、マスタードの塊が見えるんだけど――。
「…………」
教える前にちょうどマスタードの塊のある場所を食べたマルガリーゼが、ピタリと動きを止める。
サンドイッチをパクついた姿勢のまま、目を潤ませたマルガリーゼがゆっくりこちらを向き、
「か、からいの……」
涙目で助けを求められた。
あーもー、どこまで可愛いのこの子は!
ほら!それを見たメルナリーゼなんてテーブルに突っ伏してにやけながら悶えてるし!
可愛さのあまりオレ様もにやけそうになるのを堪えながら、マルガリーゼにリンゴジュースをサーブしてあげたのだった。
皆様は辛味に対していかがでしょうか?
わさびがツーンと鼻を抜けるのが好きな作者です。
だが玉ねぎ。お前は駄目だ。
初めて玉ねぎを生で食べた時は辛いというか痛かった記憶があります。
そんなこんなで30話! そろそろ閑話を挟もうかと思ってるこの頃。




