第29話/ダボT女子は世界共通で可愛い。
最近、ちょっと執筆の速度が安定してかもしれません。
しかし物語の速度は相変わらずちょっと遅いです。
というわけで、うま○棒ゴーヤ味を食べながらご覧ください!
「夢じゃない夢だった……」
翌日の朝。オレ様は目覚めてもしっかり覚えている夢を思い出しながら呟いた。
寝てる時にみていた夢。
それはなんだか薄暗い空間で気がつき、目の前にふよふよと浮かぶバスケットボールくらいのぼんやりと発光する球体から話しかけられたのがはじまりだった。
「尚これは録音されたメッセージであり、質疑応答はできませんのであしからず」
留守番電話じゃあるまいし。
心でツッコミをいれつつ続きを聞いてみると、どうやらこの異世界へ転生したことの注意点や要望らしかった。
簡単にまとめると、まず注意点としては、
・虐殺や不当な支配、隷属等をするのはやめましょう。カルマ値がたまって割と洒落にならない天罰下ります。
・神様から神託という名の依頼がありますが、それを無視し続けるとやっぱりカルマ値がたまって天罰が下ります。
・人間以外の種族は様々な種族特性に影響されるので、いたずらに暴走したり理性を失わないように気をつけましょう。
うーん、三番目に関してはオレ様の吸血鬼という種族で言ったら吸血とかか?
まだ異世界生活二日目ってのもあるけど、そんな衝動はいまのところないし、まこれから気をつければ大丈夫だろう。
次に要望としては、
・神様からたまに神託という名の依頼があるので、解決及び達成をしてほしい。
・”邪神の欠片”を取り込んだ魔物の討伐及び浄化をしてほしい。
・転生初心者がいたらなるべく力になって欲しい。
※ただし悪ノリしている転生者がいたらシバいてよし。
とまあ、こんなような内容だったと思う。
ちなみに神様からの神託を受けてクリアすると、神ポイント(GP)が加算され、そのポイントに応じてアイテム等と交換できるのだとか。
それがカタログというやつで、
「カタログオープン」
布団に残る自分の温かみを感じながら寝返りをうち、夢で教えてもらった言葉を唱えると、目の前にホログラフのウインドウのようなものが現れた。
武器防具やアイテムにはじまり、料理にコスチューム、他にも建築物やペットなんてものもあり、さらにそれらはグレードに分類されているもんだから数が多い。
ちなみに現在のGPは9,000GPだったりする。
GP履歴というものがあり、それによると、
【交渉による手助け/500GP】
【救援要請の受諾/1000GP】
【救助成功/1500GP】
【はじめての魔物討伐/1000GP】
【キマイラ変種討伐/5000GP】
どうやらリリベルちゃんに会った時のことや、アリシャちゃんの救援要請を受けたこと、マルメル姉妹を助けたことに、さらにはキマイラの討伐がポイントとして加算されているようだった。
ついでにカタログなんだが、全ての項目にE~Sのグレードがあり、一定のGPを獲得すると新たに解放される仕組みらしい。
現在は9,000GPだが、最低のEグレードしか解放されていない。
Dグレードになるには30万GPが必要なようだけど、微妙に手が届きそうで遠い数字に思えた。
まあ気長にやっていけばそのうち解放できるだろう。
しかしカタログを見ているうちに、なんだか目が覚めてしまった。
いま何時だろうか。そう思って部屋を一通り見回すものの、時計はみつからない。
「……あー、この世界、時計って一般的じゃないのか」
どうしよう。地味に困る。
マルガリーゼは朝の鐘が二回鳴ったら来てくれるらしいが、今が何時かがわからない。
昨夜ファンナさんから時間の事を聞いたのだが、朝は六時に一度鳴ってから、二時間おきに鳴る鐘の回数が増えていくらしい。
正午で一度リセットされ、午後二時からまた鳴る回数が増えていくとか。
なもんで、朝の鐘が二回なるのは八時なわけだけど、六時の鐘が鳴ったかどうかがわからない。
「んむー。カタログで時計とかないもんかな」
呟きながらカタログからそれっぽい項目を検索してたら、あったよ時計。
砂時計に水中時計、それに腹時計……って、それは果たして時計なのか。
しかも何気にデザイン(有料)も選べるらしいけど、腹時計に関しては音色ってなんだそれ。
「まともなのは懐中時計か。……しかし500ポイントなのは、高いのか低いのかわかりかねるなコレ」
まあ必要なものにポイントケチっても仕方ないので、懐中時計をタップして購入。
すると手の平に収まるように、銀色の懐中時計が現れた。
デザインは特に気にせず、無料欄にあった葉が円を描くようなものにした。
早速蓋を開いて時間を確認すると、
「七時二十分。…支度して朝ごはん食べてればちょうどいいか?」
もしマルメル姉妹も朝ごはんがまだなら一緒に食べればいいしな。
ということで、まずはトイレ。
用を済ませて洗浄にて髪と歯を綺麗にし、女子の嗜みとして夜に外したブラを着けようとしたところ、問題が発生した。してしまった。
ブラはホックを後ろでとめるタイプなのだけど、着けたはいいもののなんかしっくりこない……。
何度か試してみるもやっぱりしっくりこない。どうしよう。
「ズボンの中でパンツがめくれあがったままみたいな感じで気持ち悪い……」
ううむ。ノーブラ……は、さすがにイカンよな。なにより我が身とはいえ、可愛い我が子に恥を晒すようなことはしたくない。
となれば同性に聞くしかないわけだが、中身が男の身としては聞くのがちょっと恥ずかしいけど致し方なし。
…………よし、覚悟は決まった。
「よし。ファンナさんに聞いてこよう」
時間もないし、パジャマシャツを着直して下はとりあえずスカートだけ履いとけばいいか。
もふもふスリッパから靴に履き替え、ファンナさんを求めて部屋を出る。
「確か階段近くの部屋って言ってような……」
階段まで行きそれらしい部屋を見つけたものの、ドアノブに「外出中」の看板。残念。
となると一階で夜勤の引き継ぎでもしているかもしれない。
コツコツと靴音を鳴らしながら一階へと降りると、受付カウンターで他の受付嬢さんと話している後ろ姿のファンナさんを発見できた。
ちなみに受付と反対側の酒場では数人の冒険者が、朝から飲んでいる後ろ姿が見える。仕事しろよ?
引き継ぎの途中で声をかけるのは迷惑かな、なんて思っていたらちょうど話が終わったようで、引き継ぎされた受付嬢さんがペコリと頭を下げて去っていった。
今がチャンス。
「おーい、ファンナさーん! ちょっとお願いがあるんだけどもー!!」
「はーい。なんで、しょ……う……!?」
見つけやすいようにと右手をあげ、ちょっと大きめの声を出したらファンナさんがこっちを振り向いて…………なぜか固まってしまった。
ついで飲んでいた冒険者達も、いつの間にかこちらをみて飲みかけの姿勢のまま固まっていた。なんだよおまえら?
なぜか静まり返るギルド内だったが、質問の覚悟を決めていたオレ様はファンナさんへ言った。
「ブラの付け方教えてくんない?」
『ぶふぉ……!!』
「な、なに言ってんですかあああっ!!」
冒険者達は飲み物を盛大に吹き出し、ファンナさんからは叫ばれてしまった。なぜだ。
「いやだから、ブラの付けか――――」
「向こうでお話ししましょう!ね!男どもはこっちみない!閃光!」
光のごとく一瞬にして近づいてきたファンナさんに肩をガッと掴まれ、力説されたと思ったら肩にグンッと担がれ、なすがままに二階へと連行されていく。
一階ではファンナさんがオレ様を拉致、もとい連れていく間際に放った強烈な魔法の光を浴びた冒険者の男達が「目が!目があああっ!」と悶えていた。
あっれ? オレ様なにか間違えた?
ええ、ダボT着てちょっと肩が露出してるくらいがグッと萌える作者です。
男がそれやると殺意の波動に目覚めそうですが。
あ、ちょっと無属性スキルとかの名前の仕様を変更するかもしれません。
具体的には日本語読みそのままにして、魔法とちょっと区別つけようかな、と。
引き続きブクマや感想等を楽しみにお待ちしております!!




