第24話/二つ名こそ冒険者!
魔物狩人世界が一段落して落ち着いた時間が取れたせいか、わりと早めに投稿できました!
ちなみにゲームキャラは太刀を背負ってフードをかぶり口元を隠したアサシンスタイルです!!
「とりあえず講義はこれくらいにしておきましょうか。
次いでアビゲイルさんに関してですが、ファンナから冒険者としての登録途中だったと聞きました。
それでアビゲイルさんは冒険者に登録されるということでよろしいですか?」
まあそのつもりだったしな。冒険者になることは楽しみだったし。
俺が頷くと、エルモはどこかほっとした表情で笑みを浮かべた。なんか心配事でもあったんだろうか。
《先輩、助かります。ここのギルド、慢性的に人手不足だしランクの高い冒険者はいないしで色々困ってたんですよ》
《別にいいけど。協力はするのは構わないけど、利用したりするのは勘弁ね?》
《わかってますよ。先輩とは長年の付き合いですし、わざわざ嫌われるようなことしませんって》
うむ。それなら全然オッケー。
個人的な事だが俺はお互いに話し合って協力するのはやぶさかじゃないが、なんの話もないまま自分勝手な都合で利用されるのは嫌いなのだ。
以前ゲームで野良パーティーを組んだ時に、一番強いからという理由で何の話も聞かされずに一人敵の足止めに使われたことがあった。
その間にちゃっかりお宝をゲットしていた他のメンバーに、やんわりと抗議したものの「別にそれくらい、いいじゃん」と軽くあしらわれたのが悲しくなり、別れ際に近くでみつけた、まずそいつらでは倒せないであろうトロールの群れをこっそりけしかけたのは懐かしい思い出である。
まあそれくらい嫌なことなわけだ。俺にとっては。
「それではファンナ。この話が終わり次第、ギルドカードの発行手続きをお願いします。ランクは、Cでかまいません」
おお。いきなり二段階アップのCランクとはラッキー。
「い、いきなりCですか!? 大丈夫なんでしょうか?」
突然驚くファンナさんだが、あれ、なんか問題あったりするんだろうか?
しかしエルモはさして気にする風でもなく、
「大丈夫ですよ。Cランクの魔物を倒した実力に、緊急の救援に駆けつける行動力、依頼主や助けた冒険者への配慮等から伺える人格、それらを総合的に見て妥当なランクですから」
「ギルド長がそうおっしゃるなら。わかりました準備いたします」
ファンナさんがやや不安気な表情をしているのが気になるが、エルモが大丈夫というなら大丈夫なんだろう。
「ねえねえ、あのギルド長に認められるなんて、アビゲイルってすごいのね」
「ほんとです。私もまさか”巨人殺し”からお墨付きをもらうなんて驚きです」
「はっはっはっ。そんな褒めてもなにでないぞー?」
それにしても可愛い二人から褒められるなんて、なにこれ気持ちいい。
まあそれはさて置き。
《ねえねえモーちゃん。巨人殺しってなにかな? 俺、すごーく気になるよ!》
《…………聞かないで下さい》
なぜか目を逸らすエルモ。
んー、聞かないでと言われたら仕方ない。
「ねえメルナリーゼ。その巨人殺しってなにかな?」
《ちょっとおおおおおっ! 聞かないで下さいって言ったじゃないですかあああああっ!!》
ははは。だからエルモには聞いてないじゃないか。
エルモの心の訴えは聞こえる筈もなく、無情にもメルナリーゼはその由来を教えてくれる。
「知らないのですか? 巨人殺しというのは、今から数年前に巨人族が封印されている氷山で、数体の巨人の封印が突如解けて暴れ出したことからはじまります。
近隣の村や町が襲われ王都から騎士団が派遣されましたが、まったく歯が立たなくて敗走を余儀なくされたそうですよ」
「そうそう! それをギルド長のエルモ様が冒険者や精霊都市のエルフ達を連れて見事討伐したのよ!
その中でもエルモ様が多くの巨人を倒されたことから敬意を持って”巨人殺し”と呼ばれるようになったんだから!!」
まるで自分の大好きな選手を語るように、胸の前で両手をぎゅっと握ったマルガリーゼが途中から熱弁してくれた。
爛々と輝くその瞳からは尊敬の念が伺える。
「へー。エルモギルド長ってそんなにすごいんだー」
「そうなの! 私の憧れの人なんだから!!」
「すみません。姉さまは昔から物語に出てくるような強い女性が大好きなんです」
わかるわかる。英雄とかて憧れるしね。かっこいいしね。
それにしても巨人殺しエルモか。まさに厨二っぽい響きが……あ、なんかじわっとくるな。
《……なんですか、その意味ありげな笑みは》
《いやしっかり冒険者してるんだなと思って……ふふっ》
《笑いたければ笑えばいいじゃないですか……》
《そんなことしないって…………ぶふっ》
《そ、そういう中途半端なのが一番傷つくんですよ!》
なんかエルモが怒なのでここはフォローしておかねばなるまい。
「巨人殺しなんて、くくっ、ギルド長はとーってもお強いんですね。うくく」
「い、いーえー。それほどでもありませんよ(怒)」
「な、なんでこの二人はさっきから笑いながら睨みあってるのよ……」
うんまあ、じゃれてるだけだよ?
どうも最近、春眠暁を覚えず、な作者です。
7時間寝たのに起きても眠いのはなぜでしょうか。
12時半、15時、18時になると眠気が襲ってきて油断できません。
…………というか、この話数にしてまだ物語の中での一日が終わらぬ。いい加減どうにかせねば。