第22話/二人のスイカとメロン。
え、ようやく投稿できました隣の斎藤さん。です。
魔物狩人世界も一段落したので、これから書き溜めが出来る……勢いでがんばりたいと思います!
「ねえ、さっきからなんでギルド長に睨まれてるのよ」
隣のマルガリーゼが俺の太ももを指でツンツンしながら小さな声で聞いてきた。
なんかやったの? とでも言いたげな表情だ。
どうやらギルド長、もといエルモと無言のまま《念話》をしていた事で不安にさせてしまったようだ。
「ああ、なんでもないなんでもない」
安心するよう気持ちを込めてマルガリーゼの頭をなでなでしたら、「なでるなぁ……」と顔を赤くして俯いてしまった。
相変わらずの照れ可愛さである。
しかしそういうことなら不安を取り除かなければなるまい。
《ちょっとモーちゃん。なんかうちのマルガリーゼが不安がってるので、睨むのやめてくれません?》
《だ、誰のせいですか!》
怒られてしまった。解せぬ。
「ギルド長、紅茶の替えをお持ちしました」
そこへファンナさんが紅茶をエルモへと差し出す。
「ありがとうファンナ。……まったくもう」
受け取った紅茶を飲んで落ち着いたのか、ようやく睨むのをやめてくれる。
「さて気を取り直しまして。それでは討伐した魔物の魔核を見せていただけますか?」
「あーはいはい。これね」
魔核というのは、ゲームでもあった強い魔物が持つ力の源であり、魔力の結晶体でもある。
弱い魔物が落とす魔力の欠片のような魔石とは違って、抱擁する魔力量は桁が違う。
マルメル姉妹の救援に向かい遭遇したキマイラを倒した際に落ちたのだが、ゲームでは主に換金アイテムとしか見ていなかったので特に興味もなく放置していたら、気づいたマルガリーゼが慌てて拾って持ってきてくれたのだった。
なんかこの世界ではかなりの貴重品らしい。
俺はアイテムボックスから魔獣の魔核を取り出してエルモへと手渡した。
なんかファンナさんがぎょっとしたような表情をしたが、うんまあ、なにもないところから急に出てきたら驚くよな。
ちなみにマルメル姉妹の前で魔核をアイテムボックスにしまったら同じ反応してました。
「お預かりします。ファンナ、測定器と記録盤を持ってきてください。………ファンナ?」
「あ、はい! ただいまお持ちいたします!!」
驚きに固まっていたファンナさんだったが、エルモに声をかけられて我に返ると慌てて部屋の外へと出ていく。
それを見送ったエルモが軽くため息をつき、
「アビゲイルさん、知らないと思うので教えておきますが、この世界ではアイテムボックスの使い手は非常に数が少なく貴重です。
それゆえにみだりに人前で使用するとよからぬことを考える輩が出てくることもありますので、なるべく信用できる人間以外には見せないことをお勧めいたします」
「ああ、やっぱりそういう感じなんだ」
ついでに言うと、マルメル姉妹の二人からも同じことを言われていた。
特にマルガリーゼからは「あんた何気にお人好しで無防備っぽい感があるから、気を付けないとダメよ?」と念押しまでされていたりする。
それを聞いた時にゲームと異世界との違いを改めて実感し、感謝の気持ちを込めてマルガリーゼの手を握ってお礼を言ったら「そ、それほどでもないわよ……」と、頬を染めつつそっぽを向いたのが可愛かったです。
「失礼します」
部屋のドアが開き、ファンナさんが定規のようなものとA4サイズくらいのガラス板のようなものを両手に抱えて入って来た。
「お待たせしました。ギルド長、測定器と記録盤になります」
急いで取ってきてくれたのか、若干頬が赤いファンナさんちょっと色っぽく見えるのが素敵。
「ご苦労様。ファンナは私の隣で記録盤への記録をお願いします」
「は、はい。失礼します」
エルモが少し横にずれてファンナさんが遠慮がちに隣へ腰を下ろす。
うむ。目の前に並ぶ二人の双丘は壮観で素晴らしいものがある。
《ちょっとアビちゃん先輩。人のどこを見てにやけてるんですか》
エルモがジト目で《念話》してきたので、ここは男としてはっきり言ってやろう。
《胸、おっぱい、巨乳》
《言った! この男恥じらいもなく言い切りましたよ!?》
はっはっはっ、いいじゃないか。今の俺は見た目が美少女な我が子なわけだし。外観上はセーフセーフ。
《とりあえずほら。やることやらないと進まないよ?》
《ぐっ、ほんと誰のせいだと……》
《念話》を切ったエルモが、定規のようなものをテーブルに置いた魔核にかざし、
「魔力解析スタート」
すると定規のような、もう定規でいいや、定規が青く発光して、幾筋の光が魔核を探るように伸びては表面を滑っていく。
わずかな時間を置いて発光と光の線がやみ、定規にはメモリの部分に青い線が残るのみとなった。
「……これは、意外と大物だったようですね」
そう言ってエルモがこちらにメモリの部分を向けて見せてくる。
それを見るために三人一緒に身を乗り出すような姿勢になったおかげで、両側からぎゅっとされて姉妹の温もりと柔らかさが幸せです。
「こ、これは……姉さま、私たちよく生きて帰ってこれましたね」
「ほ、ほんとね。アビゲイルが来てくれなかったら確実に死んでたわ」
若干青ざめた顔の姉妹が見つめるメモリは、青い線が三十四の数値で止まっていた。
え? なに? どういうこと?
訳が分からない俺を置いてけぼりのまま、場の空気が深刻になっていくのを感じる。
いやほんと、誰か教えてぷりーず。
くっ、今回も進まない物語。
というか、なんだか”動き”がない感じに思えている作者です。
書くにあたってどうにも細かく書いてしまうのはテンポの悪さに繋がっているのは自覚してはいるんですが。。。
しかしテンポが早すぎるのも、書きたいイベントとかかけずに”動き”だけが悪目立ちしてしまいそうだなぁと思ったり。
まあそこんとこの帳尻を合わせるのがいいと思うのですが、なにぶん精進が足らず……orz
一歩一歩がんばっていきたいと思います!!