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ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。  作者: 隣の斎藤さん。
第一章 ネカマの吸血鬼が異世界転生しました。 
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第9話/ゆっくりしようとすると、なにかしらトラブルが発生する確率は低くないと思います。

 うっひょー! 前回の投稿で一日のアクセス数が新記録の700PVを越えました!

 仕事場で確認したんですが思わず「マジですか!?」と声が出そうになりました危ない危ない。

 

 皆様ありがとうございます!!





 突然ギルドに現れた少女は十歳くらいで、ほつれた前髪が涙を浮かべたまま目にかかるのも気にせず、激しく肩で息をしながらオレ様の隣のカウンターへと走り込んできた。

 

 転んだのだろうか肘や膝に擦り傷があり出血している。どう控えめに見ても尋常じゃない。


 事実その目に必死な感情を宿した少女は、目の前で驚いている20代前半くらいの青髪の受付嬢さんに叫ぶように訴えた。


「果樹園に! 果樹園に魔物が出たんです! 早くしないとお父さんもお母さんも殺されちゃう!! どうか、助けて下さい!!」 


 カウンターにかじりつくように話す少女に、青髪の受付嬢さんが慌てた様子で声をかける。


「え、えっと落ち着いてアリシャちゃん。今日は果樹園の護衛の依頼で冒険者が行ってるはずだけど、その人たちはどうしたの?」 


「マルガお姉ちゃんに頼まれたんです。魔物を食い止めるから、その間に助けてを呼んできてって…………」 


「あの二人が助けを求める程って……。わかりました。緊急の救援依頼を出します。アリシャちゃん、その魔物の事を教えてくれますか?」


 思わず冒険者登録の事も忘れてアリシャちゃんという少女の話を聞いていたが、事態はかなり逼迫しているようだ。 


 同じく話を聞いていたファンナさんと目が合うと、さっきまでと違う緊迫した面持ちのまま頭を下げられた。


「申し訳ありませんアビゲイル様。ただいま緊急の依頼が発生いたしましたので、少々お時間を頂けますでしょうか」


 もちろんです。こんな状況で、しかも幼気な少女が涙ながらに頼んでいるのだ。ここで断ったら男が廃る。オレ様は即座に返事を返す。


「はい構いません。どうやら非常事態のようですから」    


「ありがとうございます。しばらくかかりますので、あちらの席でお待ちください」


 ファンナさんから促されて後ろの三人掛けほどのソファに移動して座ると、さっき酒場でオレ様の事を値踏みしていた冒険者達が真面目な表情でそれぞれの武器を手に取るのが見えた。


 どうやらこの救援依頼に参加するつもりらしい。


 その男気に素直に感動してしまう。さすがは冒険者。


 すると、アリシャちゃんの話を聞いていた青髪の受付嬢さんが急に大きな声をあげた。

 

「えええっ!? その魔物って、キマイラじゃないですか!!」


 キマイラという単語が出た瞬間、席を立ち上がろうとしていた冒険者達の動きが止まった。


 その表情は硬くなぜか汗までかきはじめ、ひそひそとなにやら話し合ったと思うとそのまま席に座り込み、


「くっ! 急に腹の具合が……!!」


「くっ! 急に古傷が疼きやがった……!!」  


「くっ! 急に膝に水が……!!」


 たまるかあああああっ!!


 腹や腕や膝を押さえながら急に言い訳をはじめた冒険者達に、思わず声をあげそうになったのは仕方ないと思う。


 つか膝に水って。じじいかお前等。


 こいつら……もしかしてキマイラとかいう魔物に怖気づいたのか。さっきの感動を返せバカ野郎。


「せ、先輩どうしましょう! キマイラなんて魔物、討伐できるCランクの冒険者さん達は出払ってますし、ここにいるランクの人達じゃ手に負えませんよ!?」


「…………エリン、ここは城塞都市の騎士団に要請をしましょう。時間はかかりますが、確実です」


 エリンと呼ばれた青髪の受付嬢さんに話すファンナさんだが、その顔はどこか苦いものを噛み締めるような表情を浮かべている。


「でもそれじゃ、三日以上かかっちゃうんじゃ…………」  


「え、じゃあお姉ちゃん達は? お母さんやお父さんはどうなるんですか……?」


 二人の冒険者じゃ手に負えない魔物が現れ、応援を要請するがギルドにはその魔物を討伐できる実力者がいなく、騎士団を呼ぶには三日以上かかる…………。


 その先の答えは重い沈黙と、誰もが暗い顔をしていることで語られていた。 


 誰もが沈痛な面持ちの中、ファンナさんがカウンターを出てアリシャちゃんに歩み寄る。


 俯いて声にならない悲しみを堪えるように、きつく手を握るアリシャちゃんを、ファンナさんが優しく抱きしめてゆっくりと話し出した。


「よく聞いてアリシャちゃん。正直に言うけど、今から救援は間に合わないわ。でもアリシャちゃんのことは、ギルドが責任もって守ります。だから後は私たちに任せて欲しいの。いい?」


「……は、はい。おねがい、じまずぅ…………。う、うああああ!」


 ファンナさんの言葉に今まで堪えたいた堰が切れたのか、アリシャちゃんがファンナさんの腕の中で大きな声で泣き崩れた。


……………………重い。重すぎるんですけどこの空気!


 異世界転生して忙しいだけの充実しないブラック企業から開放されたと思ったら、一日も経たずしてこの展開!


 性別や世界も変わったからこそ、心機一転して送ろうと思ったオレ様のスローライフはどこいった!


 くっ、こうなったのも全部魔物のせいに違いない!


 ……よし、ぶっとばそう。


ということで、やることが決まったら即行動あるのみ。


 オレ様はソファから立ち上がり、アリシャちゃんを慰めるファンナさんの前を通り抜け、カウンターで忙しく作業するエリンさんへ声をかけた。


「その魔物、オレ様が倒してもいいよね?」




 男って女性にいいとこ見せようと見栄を張ると、低くない確率で失敗しません?

 いや、作者も男ですが実体験的にそんな感じがします。


 作者が中学の頃にグラウンドで行われた男子だけの3000m走。

 待機する女子の目の前を通過する時だけ、いいとこ見せようと全力疾走していた作者。

 今考えると仲間内での会話に夢中で特になにも関心を示していなかった女子達。

 それを知らずに毎回目の前を全力疾走していた作者。


……………………ほんとなにやってんでしょうね?



※家にて足の裏に痛みを感じてみてみたら、かりんとうのカケラが刺さっていた夜。



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