私とあの子は今日もラブラブだ。
前回の短編『僕とあの人は今日も元気です。』の
攻め様視点で出会い編です。
×月〇日 雨
より仕事の手を広めるためにとある会社の社長と
食事をした帰り、私は天使に出会った。
雨の中、傘もささず悲し気に空を見上げる彼は
この世の者ではないくらいに美しかった・・・。
あまりの美しさに声をかけることもできず呆然と
していると、彼は慌てて傘を持ってきた女性と
歩いて行ってしまった。
あの女性は彼女か?だとしたら…今すぐ
この世から消してやる!!
私の可愛い天使を私のものにするために
今すぐ彼のことを調べなければならない。
あぁ、私の天使、また会いたい・・・。
×月△日 曇り
なんと、彼に傘を差し出していたのはお姉さんだったようだ。
とりあえず一安心。
しかし新たな問題が出てきた。
彼はアレほどまでに美しいのに、どうやらそこそこ
有名な不良チームに属しているらしい。
まぁ、自分の身を守れるに越したことはないが
あの美しい顔に傷でもついたらと思うと
落ち着いて仕事もできない。
今頃どこで何をしているのだろうか?
×月□日 晴れ
心配すぎて仕事が手につかなかったから彼を
尾行することにした。
彼は現在中学生。成長途中な体が可愛らしい・・・、
と、そんな話をしてる場合ではない。
尾行してる最中に美しい彼が、野蛮な野郎共に
絡まれてしまった。助けようと電柱の影から
飛び出そうとした瞬間、彼はほんの数秒で野郎共を
倒してしまった。
美しくも無駄のない動きに惚れ惚れしていると
彼と目が合ってしまった。
すると彼は私の方を少し見つめた後
優しく微笑んだ。
それはまるで天界の花ように麗しく華やかな笑みだった。
彼の笑顔が忘れられない・・・。
×月×日 晴れ
少々仕事が立て込み彼の尾行をできそうになかったので
泣く泣く探偵を雇った。
本当なら私自身で彼の動向を見守りたいが、
さすがに仕事を放棄することはできない。
しかし雇った探偵からとんでもない話を入手した。
どうやら3日後に彼の入ってるチームとライバルのチームが
抗争をするらしい。彼は幹部なので抗争にはもちろん参加。
そんな危険なことはさせたくない・・・が、
残念ながら止めることは不可能だろう。
ライバルチームを消すこともできないこともないが
後始末が面倒だ・・・。
当日、必ず彼を見守るべく仕事を一気に片付ける。
部下が不審げな目で見ていたが気にしない。
×月※日 曇り
今日は抗争の日だ。
場所は廃工場で時間は夜。
まるで不良漫画の様だな。
先に工場の中に忍び込み陰に隠れて彼が来るのを待つ。
数分後に彼が彼のチームのメンバーらしき奴らと一緒に
工場へとやってきた。
そのすぐ後にライバルたちも到着。
どうやら正々堂々とした決闘のようで少し話した後に
楽しそうに喧嘩を始めていた。
彼に向かって数人の不届き者が群がるが、
彼はひどく楽しそうに回し蹴りを喰らわせていた。
とても優雅に踊るかのような動きに
見惚れつつ、彼の一挙一動を見逃さないように
見つめる。
すると少したってから、さすがに多勢に無勢は
辛いのか、彼の美しい頬に傷ができてしまった。
彼の傷が目に入った瞬間私は飛び出し、
彼の周りにいる野蛮な輩を投げ飛ばし
素早く彼の傷を手当てした。
彼は唖然とした顔で私を見ていた。
そんな顔もとても可愛かったが、これ以上喧嘩を
邪魔してはいけないと思いそそくさと工場を出てきた。
不審に思われていないだろうか・・・
彼の尾行は少し控えたほうがいいかもしれないな・・・。
×月◎日 晴れ
彼に気持ち悪がられたかもしれないとショックを受けつつ
淡々と仕事をしていた日、奇跡が起きた。
彼が私の仕事場に来てくれたのだ。
どうやらあの工場に私は名刺を落としてきてしまったらしく
それを頼りに訪ねてきてくれたのだ。
感無量とはまさにこのこと・・・。
『絆創膏ありがとうございました』と言いながら
微笑んだ彼は眩しいくらい輝いていた。
話してみると、性格はとてもキュートだった。
見た目は白百合のように可憐なのに対して、
性格はたんぽぽの綿毛のように柔らかく可愛らしい・・・。
余計彼に夢中になってしまった。
×月◇日 晴れ
彼が訪ねてきてくれた日以来、一週間に一回は
必ず会って食事をしてる。
会うたびに彼の可愛らしさに惚れていくのがわかる。
まさに天使だ・・・。
そんな彼から進路の相談をされた。
そろそろチームを抜けて真面目に進学の勉強をしようと
思っているらしい。
まさに好機と言わんばかりの相談に私はすぐに
自分で経営してる学校を勧めた。
全寮制の男子校だから不安もあるが、
私がしっかり守ればいいだけのこと!!
全寮制ということで少し不安がってはいたが
私の作った高校に興味があると了承してくれた。
ズルは嫌だからしっかり試験も受けますと言いながら
微笑んだ彼の可愛さは殺人級だ・・・。
△月×日 曇り
今日はとうとう合格発表の日だ。
一応私は理事長という身なので彼が合格したのは既に
知っているが、自分の目で見ますといった彼が
ドキドキしながら合格通知を待っているのを見て
あまりの可愛さにニヤニヤが収まらない。
彼のお姉さんが届いた通知を持ってきてくれた。
ゆっくりと開けて中を確認した彼が
とても可愛らしい笑顔を私に向ける。
まるで彼の周りにだけ春が来たかのようだ。
安心して微笑む彼をみて私も本題を切り出す。
ずっと心に決めていた。
彼の受験が終わったら、私の思いを告げようと・・・。
私が言った言葉を聞いた彼はポカンとした後に
顔をほんのり赤く染めながら抱き着いてきた。
返事はyesだった。
ようやく私と彼は恋人同士になれたのだ。
こんなに幸せなことがあるのかと感動した。
お姉さんは何となく気づいていたらしく
受け入れてくれた。
なんて心の広いやさしいお姉さんだ!!
私は幸せ者だ・・・。
□月〇日 晴れ
明日が彼の入寮日だ。
学校に入る前にということで今日はデートの日。
二人で出かけて食事をして、そして勝負の夜。
些か早すぎかとも思ったが、彼は笑って受け入れてくれた。
可愛かった・・・、とにかく言葉にできないくらい
可愛かった。キスした後の顔も、真っ赤に染めた顔も
気持ちよさそうに喘ぐ姿ももの凄く可愛かった・・・。
可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて・・・
さすがの私もアソコが爆発し――
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「………理事長、これは一体なんですか…?」
「何?お前がこの前言ったんだろう、私と
彼の運命的な出会いを是非聞きたい、と・・・」
「いえ、私はどうやってあのような
純粋な子を誑かしたのか、と聞いただけです。
理事長の痛々しい日記が読みたいなどとは一言も申しておりません。」
「痛々しいとは酷い言いようだな・・・。」
「それ以外に表し方がございません。」
「だいたいこれ、最後のこのページに関しては、
もはや日記でも何でもなく理事長の下ネタを書き連ねてる
だけじゃないですか・・・。」
「私と彼の愛を綴っただけだ。」
「・・・はぁ。」
「おっと、彼から電話だ・・・。後は任せた。」
「はい、どうぞごゆっくり・・・。」
パタン
「何が愛を綴っただけ、ですか。ただの
エロ親父の日記ですよこんなの・・・。」
なぜあの日言った言葉でわざわざこんなものを出してきたのか
甚だ理解できない。
あの人の部下として働いてる自分が
嫌になってきました・・・。
もっとまともな上司はいないものですかね・・・。
今回の日記の犠牲者は部下の人ですね。
(たぶん秘書かなんかですw)
雨の日に悲しげな顔で~っていうのは
多分、『雨凄いな~』とか『今日のご飯オムライスがいいな~』
とか考えてるだけなんで、ただの攻め様フィルターです(笑)