鍛冶師に挑戦してみた
朝です。
新しい一日が始まります。
今日は鍛冶をして遊びたいと思うのですが、少し困った事があるのです。
それは……
「素材が無い」
そう、武器や防具を作るには金属が必要なのだよ。
だけどね、それが見当たらないのだ。
買いに行かなければなりませんかね?
「メリッサ、鍛冶場に素材が見当たらないけど、全部売っちゃったの?」
「・・・・ん・・・お爺ちゃん・・死んでから・・・そのまま・・・」
「そうなの? て事は、どこかに素材を保管している筈……あ!」
昨日馬鹿がこじ開けようとした金庫、あの中にあるかもしれないな。
人ひとり分の扉だから、多分あの中にあるはず。
開けてみますか。
あ、あの馬鹿に既に売られていたらどうすべ?
ま、そん時はそん時で……。
「隣の部屋に金庫があるんだけど、開けても良いか?」
「・・・・金庫? ・・・・・知らない・・・・開けても良い・・・」
「メリッサが知らなかった? じゃあ、お爺さんがここを買う以前からあったのか?」
兎に角、見てみない事にはわからん。
メリッサが知らない事が気になるし、解呪して中を確かめてみましょう。
善は急げと金庫の元へ向かいます。
開かずの金庫、何故ワクワクするんでしょうね?
ロマンがあるからでしょうか。
金庫は見た目は木製の扉だが、中に重金属が仕込まれている。
これって、かなり厳重な金庫だぞ?
一般人で買える代物じゃない気がするんだが……。
基本的に魔導具の部類に入るし、大きさから見るに…相当高いんじゃないでしょうか?
「・・・わくわく・・・わくわく・・・・」
あぁ~メリッサってば、あんなに興味津々で目を輝かせちゃって……萌えてまうやろ。
「解呪するぞ? 【ディス・スペル】」
―――パキィ―――――――ン!
な、何か、割れるような音がしたね?
これはアレですか? パリーンと割れるバリアみたいな感じ?
しかもあっさりと、拍子抜けですな。
「……開けるぞ?」
「・・・ん・・・楽しみ・・・」
金庫を開けると、そこに階段がありました。
「地下倉庫の入り口? 何が出てくるやら」
「・・・・お宝・・・・山分け?」
「どこでそんな言葉覚えたの?」
「・・・・・・ダーメス・・・・・」
「奴か・・・・・・今頃は護送されている事だろう。始末すればよかった……」
あのカス野郎……余計な言葉仕込んでんじゃねぇよ!
俺もフルボッコに参加すればよかった。クソッ!
止めを刺せなかった事を後悔つつ、俺達は地下へと降りて行った。
と言っても然程長い階段じゃないけどね。
階段までは明かりが入るからいいが、地下の部屋までは差し込まず暗いので、仕方なく明かりを燈す魔法を使う。
驚いた事に、そこは無数の剣が保管されていた。
どれも鞘に納められ、布で丁寧にまかれた物が大量に見受けられる。
普通の剣だけでなく、僅かにだが魔剣の類も発見した。
「……おいおい…マジかよ。よく盗まれなかったな」
「凄い・・・・・・たくさん・・・・」
奥には頑丈な革の袋に収められた鉱石や、宝石を思わせる結晶体も無造作に保管されていた。
ここに住んでいた鍛冶師は相当な腕の職人だった様だ。
「鉄鉱石、ミスリル、ダマスカス……黒色鉄鋼……属性魔晶石か、スゲェな。一財産だ」
棚には様々な製品が置かれ、そこに一冊の本が残されていた。
開いてみると、それは今まで作り上げた武具の詳細な情報や、使う金属の配合などが事細かに記載され、俺の制作欲を充分に刺激して来る。
かなり研究していたみたいだね、ドワーフかな? 相当腕のいい職人の様に思える。
そんな時、ふと、目に留まる黒色の岩……。
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【オリハルコン】 ランク6 20キログラム
比較的純度の高いオリハルコン。
金属に混ぜるだけで硬度を強化する事が出来る。
魔法に高い親和性があり、魔法を掛けて威力を上げる事も可能。
ほんの数グラムでも高値で取引されるが、ここまで純度が高いと国が抑えるために希少である。
単体では強度は無いが、他の金属と混ぜる事により性質変化を引き起こす謎の物質。
この量で国一つ買うほどの値打ちがある。
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「ブフォアッ?!」
な、いきなりオリハルコンを手に入れたよ?!
何でこんなに簡単に手に入るんだっ?! おかしいだろ?!
つーか、こんな場所にあるとは思わなかった。
きっと、メリッサのお爺さんも知らなかったんだろうね。
自分が買った作業場にオリハルコンがあるなんて……。
魔法金庫には気づいていたけど、開ける事が出来なかったに違いねぇ!
ばれたら泥棒が押しかけてくんぞ? どうすべ?
「・・・・・・・・・・・」
とりあえず全部回収しておきましょう。
ミスリルの方がまだマシだよ。心臓に悪い・・・・・・。
俺はオリハルコンを含め、その場にあった鉱物や剣の完成品を残らずアイテムボックスに収納した。
泥棒に良い思いをさせる必要なんて無いしな。
「金属は見つかったし、あとは何を作るか……手始めにナイフかなぁ~」
「・・・・レン君・・・・武器・・・作れるの?」
「うぅ~ん……一応【神具錬成】があるから大丈夫なんじゃね?」
【神具錬成】は武器や防具を創る時に、極端なまでに高い補正が掛かるスキルだ。
成功率は99パーセント……殆ど失敗する事は無い。
更に特殊能力が付加され、どうしても高い性能の武具が出来る事になる。
まぁ、俺に鍛冶師のスキルが無いからさほど面倒な事にはなるまい。
問題は俺のゲージ・ステータスなんだが……あれ? 全部銀一色になってる……。
見ても良く解らないからシカトしてたんだよなぁ~、せめて数字で出せよ。
「メリッサは、何か武器は必要ある? 試しに作ってみるけど?」
「・・・・・杖・・・魔法使いだから・・・」
「剣は? 剣技スキル持ってたよね?」
「・・・ナイフ・・・・剣は重くて持てない・・・・」
今なら軽々と扱いそうですけど?
まぁ、メリッサのゲージ・ステータスを見る限り、魔力と器用値が高いからけど、体力や力もそれなりにあるから大丈夫じゃね?
ただ、ゲージの色が青と紫二色なんですが……どんなモンなのさ?
ゲージ表記を分割して解り易く見せると……
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種族 ハイ・ヒューマン 名称 メリーセリア・ツエイザ
レベル34 ランク4 職業 高位錬金術師
HP □□□□□□□□□□■■■■■
魔力 □□□□□□□□□□□□□□□■■
力 □□■■■■■
防御 □□□■■■■■■■■■
速さ □□□□□■■■■
器用 □□□□□□□■■■■■■■
運 □□□■■■■
(□が青、■が緑)
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こんな感じ……あれぇ~? 種族がハイ・ヒューマンに変わってる?!
ランクも一つ上がってるし、職業が上位錬金術師に?
ま、まぁ、俺みたいな馬鹿げた進化はしていない様なので安心しました。
(因みに赤が最低で、黄・黄緑・緑・青・紫・白・銀・金へと色が変わり、その分だけステータス値は高い)
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【ハイ・ヒューマン(成長段階)】
人間が進化して上位の生命体に変化した種族。
体力や魔力に秀で、寿命もエルフ並みに高い。
平均寿命が200~300年で、成人した後は老化はしない。
神の加護を受けているのでさらなる進化の可能性あり
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マジ? この間の錬金術でレベルアップした上に、更に進化までしたんだね。
ハイ・ヒューマンは寿命も魔力も人間の三倍だってさ、進化の基準が分かんねぇよ。
因みにに俺なんですが、全ゲージが□が50個続いて全部が銀色。
つまり、ゲージが凄く長いんです。頼むから数字にしてくれっ!
つーか、このままじゃメリッサも人外の仲間入りにっ?!
「・・・・メリッサさん? 何か、とんでもない事態になってますよ?」
「・・・・ん・・・レン君と一緒・・・・嬉しい♡」
何ですとっ?!
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【ごぶりん・鬼神(成長段階)】
荒ぶる神の幼体。
常軌を逸した圧倒的なポテンシャルを秘めている。
平均寿命は1000~5000年弱。
世界の守護を担う破壊の化身。
浄化も司り、森羅万象を操る謎の生き物。
暴れるのが大好きな、傍迷惑で出鱈目な無責任の自己中主義者。
存在するだけで騒ぎを引き起こす天然の愉快犯。
究極のチート。
『……お前、他人に迷惑はかけるなよ? 父さん、最後には泣くぞ……』
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つーか、お前は誰ッ?!
出鱈目なのは自分で自覚してんだよっ!!
それより途中から最後の方に掛けては、どう見ても悪口だよねっ?!
しかもUMA扱いだし、謎の生き物って○チャピンと同列?!
俺はそんなに無責任じゃないっ!!
…………多分。
「冗談じゃないよな……? 魔王よりも危険人物じゃないか……やべぇ、泣きてぇ…」
「・・・・・・私の胸で・・・泣く?」
「耐えるよ……男ですから……」
「・・・・・違う・・・男の娘!」
「うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああん!」
その一言には耐えられないぃ~~っ!
気にしてるのにぃ~、断言しましたよ。酷いや、母さん!
見た目が美少女なのは結構きついんですよ?
変態さんが寄って来るから……。
鞄にしまわれてお持ち帰りされちゃうんですよ?
変な人達が『ハァハァ(*´Д`)』て言うんですよ?
街を歩くだけで、すれ違う人達をマップ兵器の如く萌えさせちゃうんですよ?!
『熱血』『必中』若しくは『魂』『必中』か、『愛』の精神コマンド並なのよ?
自分ではどうする事も出来ないんですよ?
萌えさせる『ゼ○フさん』ですか、僕はっ!?
誰か『ひらめき』使ってください!!
国を作って魔法使いのギルドと戦えと仰るのですか?
変態サンたちが毎日の様にうろつく国を作れとおっしゃるのですか?
神よ、こんな仕打ちはあんまりじゃ無いですかっ!!
それが貴方の御意思なのですか? これが世界の選択なのですか?!
『否……それが汝の下した選択じゃからだ。儂の所為じゃないぞ?』
「俺の所為?! マジですか?! て、誰? 今の声、誰っ?!」
「・・・誰も・・・いないよ? 声・・・・聞こえたの?」
「変なチャンネルを開いちゃった?! 俺はもうだめだぁあああああああっ!!」
俺の選択でこうなった? 嘘でしょ? ほんとにッ?!
俺は萌え萌えを目指したい訳じゃないぞ?
勘弁してくれ……。
「・・・・ん・・・可愛いは・・正義」
あの、メリッサさん? 何故に良い笑顔でサムズアップを?
地味に傷つくんですけど……。
お願いしますから、やめてください。
三時間ほど立ち直れませんでした……。
* * * * *
さて、若干精神面で致命傷を受けましたが、気を取り直しまして鍛冶師です!
スキルがある所為か、作業場にある道具の使い方が何故かわかる。
不思議ですね?
因みに、作るのは当然、KATANAです。お約束だね!
何故刀? 獄煉刀は大き過ぎて、木々の密集している場所じゃ使えない。
小太刀が欲しいんです。
二刀流なんか良いですね、回転剣舞なんかやってみたいです。
そんな訳でして、現在熱せられた溶鉱炉の中では砂鉄が溶け出してございます。
火力不足を補うために、俺は魔力で生み出した炎を混ぜてみたのですが……
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【神炎(小火力)】
神の力で生み出す煉獄の炎。
超高熱の上に浄化作用もあり。
ありとあらゆる不浄の者(物)を物理的に焼き尽くす劫火。
ただの水では簡単に消せないので、取り扱いには充分に注意。
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危険物取扱免許が必要?
何か、やらかしそうな気配がムンムン臭いますね。
でも、良いんです!
今回ばかりは黙認しますよ?
だって、メリッサの杖も作らなければ為らないんだから。
男には、引く訳には行かない仕事があるんです!
ついでに防具でも作りますかね。
必要無い様に思えるのだが、何事も用意周到に越した事はありません。
この神炎、実に便利ですね。鉄が良く溶けます。
炉で溶かした鉄が流れ出し、炉の最後の砂地に垂れ落ちてくるのが見える。
赤熱の鉄が実に綺麗ですよ。
……今度は花火でも作るかね?
後は冷めるのを待ってと・・・・・・・・・。
「そろそろ冷えた頃合か?」
確か、玉鋼とかいう鉄が出来る筈だと思うんだが……
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【神鉄の玉鋼】 ランク7
別名ヒヒイロガネ。
神力により変質し金属。
極めて高い硬度と魔力伝導率を誇る物質である。
属性のある素材を混ぜる事により、あらゆる神器を作り出せる。
また、鍛冶師の精神に影響されやすく、疑似的な意思を持つ事が稀にある。
僅かに発見される事があるが、オリハルコンより希少。
『さぁ、俺に体を与えてくれ!』
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……うん、何となくこうなる気はしたよ。
だが、上等だっ! こうなりゃ、とことんやってやる!!
チート? 経済破壊? 知った事かっ!!
神鉄さんもやる気だし、スゲェーの鍛えてやんぜぇ!!
鍛冶師は男の仕事よ!!
因みにメリッサは、店番しているよ?
働かずもの食うべからずだ。
見習え、ヒッキーニート共!!
さぁ、仕事の始まりだぁ!!
先ずはメリッサの杖を作る事にした。
別に派手な装飾は必要ないですし、杖は基本的に周囲の魔力を集めるのが役割だ。
刀を鍛える要領で何度も折り返し、ハンマーでぶっ叩き、取り敢えず手に持つ程度の小型な物にする。
凄く楽に作れるのは何故だ? これもスキルの影響か?
別に良いか、面白ければそれでOK。
「うはははははははは!!」
ノッて来たぜぇ~!!
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【神鉄の杖(小)】 ランク6
神鉄で鍛えられた小型の杖。
魔力集積能力が高い。
魔法攻撃増加効果付随。
全属性能力値が大幅に上がる。
鈍器としても使え、攻撃力とクリティカル値が上昇する。
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まぁ、大人しい方だね。
見た目もただの鉄の杖だし、大した騒ぎにはならんでしょ。
次だ、次!! ガンガン行くぜぇ~、ぶははははははははっ!!
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【神鉄のコンバットナイフ】×5 ランク6
グリップガードの付いた格闘主体のナイフ。
肉厚のある刀身に、鋭い切れ味を誇る。
素早さと攻撃力に大幅補正が掛かる効果が有り。
魔力集積力もあり、魔法攻撃力も上がるので魔法使いも装備可。
クリティカル値も上昇する。
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oh……作り過ぎたか?
まぁ、鉄はまだまだ有るし、問題は無いか!
アレ? これって杖、要らなくね?
適当に作ってコレなんだから、少し真剣に鍛えてみようかね?
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【鬼哭剣】×2 ランク7
全ステータス大幅上昇。
魔法攻撃力、並びに集積能力効果上昇。
魔術を付加させる事により様々な効果を上げる事が可能。
状況に応じて能力を変えられるので、戦況に応じては頼もしい味方である。
スキル【剣身一体】が追加される。
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中々の壊れ装備ですな。
めっちゃ、チートだ。
ここからが本番だ。どこまで壊れた武器が出来るかねぇ~!
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【鬼神の大剣】×2 ランク8
全ステータス極限上昇。
魔力集積能力並びに攻撃力、極限突破。
全属性極限上昇。
スキル【明鏡止水・神】【疑似武神化】【自己回復・大】追加。
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やっちまったね。
これはヤバいぜぇ~! あはははははははは!!
鬼神なのに武神とは、これ如何に?
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【鬼神の神刀・鬼哭鳴山小烏丸(小太刀)】×3 ランク9
全ステータス、スキル効果を三倍にする。
対闇属性極限上昇。 対光属性極限上昇。
属性値3倍化。
『魔力関係は全部同じだ。別に教えなくてもいいよな? 今更だし』
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・・・・・・・・あれ? これは拙くね?
俺が使ったらオーバー・キルじゃね?
つーか、オラは何をしていただ?
槌打つ響きに酔って、トンデモない装備を作っちゃった?
うわぁ~……調子に乗って凄まじいモン作っちまったよ……。
全ステータスを3倍て、俺が使ったら完全にOUTだよね?
単純に見えて相当危険だぞ。
「・・・・・・・売れない物をまた増やしてしまった」
仮に売り捌いたらどんたけだよ。
聖剣か魔剣の類だよな? 呪いが無いだけマシだが。
「実際に使ってみないとなんとも言えんか……冒険者でもやってみますか」
では早速メリッサに渡してみよう。
どんな反応をするか楽しみだね。
* * * * *
「・・・・・凄い・・・これ・・・いいの?」
想像以上の物を手にしてメリッサが驚いてますよ。
今回は身を守る武器の製作なんで遠慮はしなかったんですが、やり過ぎですかね?
「こっちがナイフな。危ないから無闇に抜くなよ?」
「おー・・・・・・・きれい・・・・」
すんごい目をキラキラさせてますね。喜んでくれて何より。
コンバットナイフは厳ついような気もするが、どうやら気に入ってくれたようだ。
後はブレスプレートでも作るか? ショルダーガードと手甲、革のブーツに神鉄でも仕込みましょうか?
適当に作ればそれほどランクは上がらないだろうし、2~3日したら冒険者登録するのも良いな。
まぁ、俺が勝手に決めるのも不味いし、聞いてみましょう。
「メリッサは薬草とかの採取には行かないのか? 店で買うにしても、相場の変動から高くなる事もあるんだろ? 庭で群生している薬草にも限りがあるし」
「冒険者の資格・・・・必要・・・お婆ちゃんがやってた・・・」
「随分とパワフルな婆さんだったんだな……。なら俺と冒険者の資格でも取るか?」
「・・・ん・・・素材買うにも・・・・・・お金・・・無い・・」
「それ、生活がヤバくね? 店に客は来ねぇの?」
「お婆ちゃん・・・死んでから・・・・・お客さん・・・減った・・」
不味い……このままじゃ生活できねぇ―じゃん。
少しでも稼がないとヤバいんじゃね?
メリッサも、スキルレベルが上がってからは錬金術の腕が馬鹿みたいに跳ね上がってるし、客が減っているのは先代が信頼が厚かっただからだろうし、実績が無いメリッサに客が付く訳が無いんだ。
ギルドで販売して客を増やすかね?
しかし……ガラの悪い客は遠慮してぇ…。知り合いを作る方が良いか?
うん、信用できる常連さんを作ろう。
「2日後に冒険者登録に行こう。このままだと生活がヤバイ、収入が無いと飢え死にだ」
「・・・・・ん・・・頑張る・・」
「上手く行けば常連さんが出来るかもしれんし、暫くは冒険者として生活した方が良い」
「・・・・お婆ちゃんが言っていた・・・・・お金は魔物・・・・」
「そうだけどね、生活するのに必要なお金は無いと拙いよ?」
「・・・ん・・・了解・・食料は戦場では大事・・・・」
「あれ? 何か、おかしな言葉が出たような気が・・・・・?」
メリッサって、もしかして金に執着しないタイプ?
ある意味健全とも言えるけど、金銭感覚は人並みに無いといかんでしょ。
どう生活して行く積もりだったんだ?
基本的にマイペースだから、気にもして無かったのだろうか?
わからん……。
「んじゃ、明日は俺が装備を作るから、登録にに行くぞ?」
「・・・・・・ん・・・」
「まぁ、俺がいるから大抵の危険は問題ないだろうし、いざとなったら魔王でもぶっ殺して稼ぐ事にするよ」
「・・・・危ない事・・・ダメ・・・魔王・・強いよ?」
「……俺、魔王よりも強いかもしんねぇ。楽勝で勝てる」
「油断禁物・・・・・傲りは戦場では命とり・・・直ぐに死んじゃう・・・・」
「それもお婆ちゃんが言ってたの?」
「・・・ん・・・」
だから、何もんだよ婆さん……。
どう考えてもただの錬金術師じゃねぇ―でしょ。
ある意味正しい教育だけど、戦場を知っている気がするのは何故?
歴戦の強者を連想すんだけど……本当に錬金術師なのか?
「まぁ、暫く生活するだけの貯金が欲しいだけだから、稼いだら店を開けてのんびりしよう。金があっても変な連中が寄って来るだけだしな」
「・・・・薬草の採取・・・・素材の確保・・・やる事いっぱい・・・」
「どんな薬草が必要かリストアップしておいた方が良いな。それを基に採取に行くべ」
「・・・・ん・・・」
方針が決まったので明日から準備を始める事になりました。
因みに、翌日装備を作ったのですが……神鉄装備かなり破格でした。
まぁ、この家にある革製品や、以前倒した魔物のドロップアイテムを流用したんだけどね。
素人でも雑魚モンスター程度じゃ勝てない様な、冗談みたいな性能になっちゃいましたよ。
そう言えば、バーバンさん今日は来ませんでしたね?
あの薬……使ったんだな。
多分、数日は来れない事でしょう。
近い内におめでたい話が聞けそうです。
では、次は冒険してみますかね。
冒険者ギルドでテンプレだ!
期待しています。