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 売れない商品増えました

 おはようございます。

 新しい朝が来ました。

 希望の朝になるかは分かりませんが、今日も張り切って生きたいと思います。


 何せ俺は0歳なので、世界を見るのが楽しくて仕方ありません。

 好奇心が疼いて、『オラ、わくわくするぞ』状態です。

 そんな俺だけど、今日も抱き枕になって動けない。

 バーバンさんは既に仕事に来ているのか、釘打つ響きと鋸の音が聞こえている。

 職人さんは仕事始める時間が早いんですな。


 時にメリッサさん? 君は早起きしなくていいんですか?

 一応、ここは道具屋ですよね?

 魔法薬専門のお店ですよね?

 稼がなくていいんでしょうか? 

 けど起こせない僕、チキンです。

 しょーがねーだろ? めっちゃ可愛い寝顔で抱き着いて寝てんだから。

 俺はこの眠りを覚ます勇気はねぇよ、はははははは!


「・・・・・・・・んぅ・・・」


 如何やら目が覚めたようだ。

 恐らく、いや、絶対に低血圧と見た。

 何故なら目の焦点が合ってないからだ。じっと、俺を見ております。


「・・・・・・おは・・・よ・・」

「おう、おはよ…!?」


 ようやく起きたようですな、寝ぼけ眼がかわゆっス。


「・・・・・・・・ん・・・・」


 少し長めに俺を見つめた後―――ガバッ!


「お、おいっ?!」

  

 いきなりマミーに抱き着かれたよっ!? なに、何事っ?!

 そんで……


「~~~~~~~~~~~~~~~~~!??!」


 いきなり唇奪われたッ!?

 更に舌を絡めてきてますうぅっ?!


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ!? 放心してた。


 お母ちゃん、何事も無く目の前で着替えています。凄いマイペース……

 俺はショックが抜けねぇ―よ……今生のファースト・キスは母親ですか……

 全く嫌じゃない自分が、嫌過ぎる……ハハハ……あれ? 何か違和感が…?


「・・・・レン君・・・・・起きてる?・・・・」

「…起きてるけどさ………何でキスしたの……?」

「・・・・・・ん・・・・・・嫌?・・・」

「好き嫌いの問題じゃなくてね? 何故いきなりキスしたのさ、普通に驚くよな?」

「・・・・・・・・ん~・・・・」


 何か考えているような仕草が一々可愛い。

 そんなに俺を萌え殺したんでしょうか?


「・・・・家族・・・・スキン・・・シップ・・・・?」

「何故に疑問形なんですか……?」


 何でしょう。天然なのでしょうかね、メリッサ……子供っぽいというか。

 誰に教えられたんだか、こんな事。


「・・・・・ん~・・・・ジニーさん・・・・・」


 口に出してたか。そしてあの人ですか、おのれ~~……おもろい事をしよる。

 嬉しいような、ちょっぴり悲しいような……嫌じゃない自分に自己嫌悪……あれ? してない。

 普通、母親にキスなんかされて喜んだらマザコンですよね? 黒歴史ですよね?

 けど、何故かそういった感情が湧いてこないのですよ。

 人間じゃないからでしょうかね?


 魔物だから母親でもOKてことですか? 何かそんな気がします……本能的に……。

 これは元がゴブリンである事による生態なのかは知らないが、多分本来のゴブリンは親と云う感覚が無いじゃないかな、だって他の種族からでも子供を作れるんですよ? そう思わないとおかしいじゃん。

 専門家じゃ無いから判らないけど、多分当たってる気がする。

 感覚と云うか、意識以外の何処からかそんな答えが湧き出てんだよなぁ~……ヤバくね?

 その内、襲っちゃうかもしれませんよ……理性が限界になったら……。


 ヤバい……只でさえ心の底に深い傷を負っている幼気な子に、俺が獣にビーストチェンジなんかしら、それこそ取り返しのつかない事になっちまう。

 ここは注意をして置くべきなのか?


「な、なぁ……メリッサ?」

「……ん…」


 そんな穢れの無い純真な目で俺を見ないで、俺は今から可成り酷い事言っちゃうかも知れんのよ?

 そんな無邪気な目で見つめられたら、変な事口走っちまいそうに……


「な、なぁ……そう言えばこの店、メリッサしかいないんだろ? 将来は婿養子を取る事になるのか?」


 ほら、言っちゃったぁ~……卑怯だよ、ソレ……。


「…? レン君と一緒だから要らない……」

「へ? 俺?」


 親子で切り盛りして行くって事ですかね?


「……ん…レン君と結婚して………あ……赤ちゃん作って・・・・・・ぽっ////////」

「Ohー……具体的なプランまで出来ていましたか……マジで?」


 なんてこったい! 既に禁断の領域に突入する覚悟しまくりでしたっ!

 つーか、世間的にヤバくね? OUTだよね? 

 だってこの間、お母さんだって言ってましたよね?


「……レン君……ごぶりんだし・・・・・・魔物の本能で……家族とか云う概念があまり無いよね?」

「少し流暢に喋れたのね? しかも専門的知識まで?! 侮っていました、済みません!!」


 メリッサと話で聞いた結果、矢張りゴブリンには家族とか親とか云う概念が存在してないと言うより、寧ろあっても薄いようです。


 ゴブリンが生殖活動が出来るようになるには、最低でも『ホブ・ゴブリン』にまで成長しなければできない様だ。それ以前は性別が無く、また生物とは異なり精子が存在せず、代わりに魔石の粒子を母体に放出する。

 これが子宮で魔力を吸収してゴブリンへと変化する。その為、例え母親相手でも生殖可能なゴブリンは子づくりに励む事が可能という事になる。

 魔物なので遺伝子劣化は存在せず、ゴブリン同士の繁殖も可能だが、矢張り一般的には人間を襲う傾向が強いらしい。

 掻い摘んで言うと、血縁関係が全くないと言って良いだろう。わーい(*´▽`*)……て、喜んでいいのか?


 まぁ、生まれて直ぐに過酷な生存競争の中で生きなければならないのだから、一般的なゴブリンがこの様な生物なのは分かるだろう。

 けど、俺は進化した上に変な変質を遂げているから、正直該当するかは分からん。

 だが、何方にしてもメリッサとはそう云う行為が可能だという事だ。

 どうしましょ?

  今はまだそんな感情は湧き起っていないが、今後どうなるかは不明だし……今は考えるのをやめておこう。


「ところで、何でそんなに魔物の事に詳しいんだ? 錬金術師が覚える事なのか?」

「・・・ん・・・おばあちゃんに教えて貰った」

「スゲェ詳しいな、ただもんじゃねぇ・・・・・・」


 魔物に関しても専門で調べてたのかね?

 もの凄い研究者としか思えんのだが、錬金術師らしいし……既に故人の様だから知り様も無いな。

 俺、急速進化した弊害出ませんよね?

 何か怖いです。


「・・・・・それより・・・・ご飯・・・」

「……そうだね。朝食にしますか……少し遅い気もするけど」

「・・・・ん♡ ・・・ご飯は大事・・・」


 そんな訳で、いろいろと問題がありそうな気がするのだが、取り敢えず朝食となりました。

 今日の朝食は、パンと残り物の即席ブイヤベースです。

 さて、張り切って参りますか!





 思うに、見習い錬金術師しか居ない道具屋に、いきなり高品質のポーションが売りに出されたらどうなるのだろうか?

 特に上級ポーションは手に入らないほど高価な代物らしいし、俺のゴッド・ポーションに至っては伝説の存在らしい。

 ヤバい人達が押し寄せて来るに違いいねぇ……。


 それ以前に神レベルのスキル保持者なんて滅多にいる訳でも無いだろうし、国が本格的に動き出す様な騒動が巻き起こんじゃね? 

 ここは大人しくしているのが良いと思うのだが、その前に問題がある。


「……メリッサ……」

「・・・ん・・・?」

「このポーション、売らない方が良いじゃねぇか?」

「・・・ん・・・・凄く騒がれちゃう気がする・・・・」


 うん、自覚してくれていて嬉しいよ。

 馬鹿みたいに強力な回復薬なんて買うにしても金が掛かるだろうし、客が殺到しても対応なんてできる筈もねぇよな。

 メリッサのランク6ポーションはまだ良い方だろう。だが、俺の奴はどうすんの? 薄めた所で精々最上級のランク8ポーションて事になるよな?

 それが現在、二百本近くありますのよ。詳しく鑑定したところ、値段が法外過ぎて国の財政が傾きかねない勢いなんですわ。


「水で薄めるか? 中級のランク4にまで落とせば売れるだろ?」

「・・・・・レン君の・・・・・無理・・・効能が・・・高過ぎるから・・」

「人差し指一本分の小瓶だぞ? 薄めたら、かなりの数に出来んじゃねぇの?」

「・・・・・変質し過ぎ・・・・・薄めても・・・ランク8ぐらいにしか・・ならない」

「濃度の問題じゃねぇの?」

「・・・・違う・・・・・・込められた・・・魔力の質・・・」


 俺の作ったポーションは、予測ではランク8までしか落とせないらしい。

 それ以上薄めると、どうなるか分からないそうだ。

 普通のポーションなら濃度が薄くなるにつれてランクも下がるらしいのだが、俺の場合は込めた魔力による性質変化が激しすぎて結果が判別できない。

 これは一度試してみるべきではないのか?


「一度薄めて様子を見てみよう。結果が分からなければ、試して知ればいいんだし」

「・・・・・ん・・・挑戦・・・大事・・・」


 てなわけで、試してみた。


 ====================


【神水】 ランクMax

 不浄のモノ全てを浄化する神の水。

 アンデット系統の魔物を一瞬で浄化する効果を持つ。

 賢者の石やエリクサーの素材としても使える。

 病気などを含めた瀕死の人間が一口飲めば、たちどころ癒される

 健康な人間が一口飲めば寿命が十年延び若返る。

 飲む量を増やす事で効果が更にUP。

 

 有効期限 百年。それ以降は効果が薄くなっていく。


 ====================


 ・・・・・・うん、間違いなく戦争が起こるね。

 百倍に薄めてコレだよ。聖水なんて目じゃないね、宗教関係者に喧嘩吹っかけてるよ。

 小瓶一本でコレだよ? 効果が落ちてるのか上がっているのか分からん。

 アンデッドが真っ先に消滅するレベルって……追加効果は無くなったけど。

 つーか、エリクサー作る意味あるの?


「……俺、何を作っちまったんだ?」

「・・・・・凄い・・・・・でも・・・・戦争が起きちゃう・・・」


 ですよねぇー、俺もそう思ったよ。 

 不老不死は権力者の夢だからなぁ~……神水の量も相当にあるぞ? 何せ百倍に希釈したし。

 不味いでしょ、コレ……。


「ヤバい物が出来てしまった……暫くはアイテムボックスの肥やしだな……」

「・・・・・ん・・・・凄く危険・・・・・」


 こんなもの使うような事態なんて起きるのか?

 それよりも、この大量の在庫をどうしたらいいんだよ。

 売れねぇし、使い道がねぇし……どうすべ?


「・・・・・・今日は・・・・マナ・・・ポーション・・・作る」

「ぶれないな? まぁ、魔力を回復させる薬はあった方が良いが……嫌な予感しかしねぇ」


 そして始まる回復薬製作。

 今回はマナ・ポーションです。

 材料は御存じパラサイト・ミストルティン(長いんでPMに略)、ヤバイ方法で生産されている劇物だ。

 この葉は磨り潰す時間で凶悪な刺激臭を発生増大させる、国一つ潰せる大量殺戮兵器である。

 これ、このまま擂り潰しても良いのか? 危険でしょ……。


「・・・・・ん・・・んあ・・・」


 考え込んでる俺の横で、メリッサが一生懸命なにかを奥から引きずって来る。

 台座にキャスターが付いているようで、一見持ち運びは楽そうに見えるのだが、気のせいだった様だ。

 仕方が無いので俺も手伝います。意外に重い。


 それは円柱状の機材で、大きさは大体一メートルくらい。

 上部にハンドルが付いていて、恐らく回転させてこのPMの葉を磨り潰すのだと思う。

 更に横には細いパイプとロートが付いており、ここに何らかの薬品(エーテル液だっけ?)を入れ、コックを捻る事で薬品を混ぜる事が出来るようになるのだと思う。

 なるほど、専用の機材があるんだなぁ~。


「・・・・・蓋、あけて・・・・・薬草・・入れる・・」

「上のハンドルを回して擂り潰す訳ね。有毒ガスが外に漏れないように……」

「・・・ん・・・その間に・・・・エテーテル液・・・作る・・・」

「・・・・・・だから、何でそんなに大量に作るんだ?」


 メリッサが手にした容器は、一昨日俺が大量に粉末化した魔石粉だ。

 まだ大量にあるが……この容器だけでも浴槽一杯分は作れるはず。

 何故にそんなに作る必要が?


「・・・・前に作ったの・・・・盗まれちゃったから・・・」

「OK、早速作ろう!」


 ゴブリンに襲われて不在中に盗まれた様だ。

 嫌な事を思い出させる訳にはいかないので、早速製作!

 火事場泥棒ているよなぁ~……治安が悪いのだろうし。

 売る物が無ければ作るしかないよな。

 それにしても、余計な真似をしでかす輩は何処にでもいるんだぁ~。


 よし、では早速始めるか。


「まずは、この危険物をこの容器に放り込むんだよな?」

「・・・・・ん・・・たくさん必要・・・・」

「・・・・・・・何故にそんなに大量に入れるんですか?」


 ザルに大量にあるPMの葉を、豪快にぶち込んでおります。

 以外にアバウトだね、どう見てもこの国が亡びるほどの量だと思う。

 数枚の葉でかなり刺激臭が発生したんだぞ? ザル山盛り一杯分だとどれほどの破壊力か、計り知れん。

 その上から擦り石の取り付けられた蓋を閉めるのだが、これは俺がやった。

 メリッサじゃ重過ぎて、持ち上げるのに時間が掛かるからだ。

 金具で固定してから、ふと少し疑問が湧いたので、メリッサに聞いてみる事にする。


「刺激臭が強いほど効能が高くなるんだよな? どうやって知るんだ? 蓋は空けられんだろ?」

「・・・・・ん・・・コレ・・・使う・・」

「何、その紙?」

「・・・刺激臭で・・・色が変わる・・・・・濃いほど濃厚・・」

「なるほど」


 要はリトマス試験紙の臭いバージョンだな。

 これを蓋の上にあるカバーを開いてセットし、カバーを閉じて留め金で固定する。

 刺激臭が少しでも外の洩れたら、ヤバい事になるだろう。

 惨劇ものだ……やべ…見てぇ。


「んじゃ、磨り潰すのは俺がやるから、メリッサはエーテル液の方を頼む」

「・・・・・ん・・・・任せて・・・・」


 ふと見ると、メリッサの傍には大量の手桶が……どんたけ作る気なんですかね?


「・・・濃度を・・・・希釈するのに・・・必要」

「多過ぎね? まぁ、何事も試は必要だけどな」

「・・・ん・・・」


 てなわけで再びゴリゴリなんですが、今回は楽でございました。

 いやぁ~、道具って本当に便利ですね。

 あれから一時間ほど回しておりますが、ヘンショク草ほど手間が掛からなくて実に良い。

 最初はハンドルが中々回らなかったけど、今では驚くほどにスムーズに回せている。

 刺激臭の濃度も紫から黒に変わり始め……黒っ?! 


 まて、これって濃度が高い程濃い色に変色するんだよな?

 黒って事は……致死率はどんくらいだよ! 

 ヤッベー、調子に乗り過ぎたか?


「……メリッサ……色が黒に変色したんだが……これ以上は擂り潰さなくていいよな?」

「えっ?!」


 珍しくメリッサが声を上げて驚いた。


「・・・・・凄い・・・これ・・上質のポーションが・・・できる・・」

「……なんでだろ。スゲェーやっちまった感がハンパねぇんだけど……」


 恐らくとんでもない物が出来る。

 これは確定事項だ。俺にはどうしようもない。

 なんだろ、生後五日目で人生の悟りを開いちゃってるよ。

 人生には諦めも肝心なんだね。


「で、この手桶のエーテル液を中に入れるんだな?」

「ん・・・少しずつロートから・・・」

「了解」


 手桶一杯のエーテル液を、接続されたロートから少しずつ入れて行く。

 コックを捻り、中に流れ出すところを確認して、内部の刺激臭が出て来ないように調節しながら流し込む。

 正直イライラして来る工程だが、刺激臭が外に漏れだすと大変な事態になってしまう。

 この街でアウト・ブレイクを引き起こすのは拙いのだ。

 何でこんな素材を使う、錬金術師……。


「……この素材でないとマナ・ポーション作れないのか?」

「・・・・・ん・・・・作るの・・樂・・・」

「他にも違う素材で作る方法があるんだな?」

「・・・ん・・・・でも・・・面倒・・・・・・」


 意外にズボラなのね……。


 さて、この後の作業なのだが、エーテル液と混ぜた原液を一度沪過し、余分な搾り粕を分離した後に、搾り取った澄んだ液体を他の素材と混ぜ合わせて加熱して、おまけに魔力を注入するらしいのだが……。


「これに何の素材を混ぜるんだ?」

「・・・・これ・・・・」


 ・・・・・・・・・・。


 ====================


【マッド・マッシュの粉末】

 植物型魔物マッド・マッシュルームを乾燥させて擂り潰した素材。

 魔力含有量が非常に高いが、同時に致死量も高い。

 一舐めで良い具合にトリップした後、脳内神経が崩壊して死に至る。

 PM原液から抽出した薬液と混ぜる事で、効力を無効化できる。

 麻薬の素材としても有名。


 ====================


「だから、ヤベェ―――――――――――ッて!!」


 麻薬の素材って、何でそんなもんが一般に出回ってんだよ!

 規制はどうなってんだよ、おいっ! おかしいだろ!?

 そうした素材が必要なのはわかるよ? 成分次第では必要になるだろうし。

 けどね、街のお薬屋さんに出回っている時点でOUTだろ!!

 盗まれたら危険すぎるっ!!


「安全な素材はねぇ―のかよ……」

「・・・・ある・・・・でも・・・面倒・・・・」

「効率優先なのね……でも、安全性は度外視・・・・・」

「・・・・・素材も安いし・・・・・」

「安価で手に入る時点で既にヤバイでしょ……」


 規制が緩すぎる。

 ここはもっと厳重にするべきじゃねぇ―の?

 大丈夫なのかよ、アウト・ブレイクしても知らねぇ―ぞ?

 おかしいのは俺か? 俺なのか?


「・・・・作業・・・続ける・・・」

「本当にブレないね……」


 なでだろ、何かが間違っている筈なのに、それを世界が否定している。

 これ、その内にデカい事件が起きんじゃね?

 とんでもない悲劇的な事件が……。


「・・・・手・・・動かす・・・お仕事は大事・・・・」

「・・・・・・・ハイ・・・」


 怒られてしまった。

 その後、黙々と作業は続く……無言で。

  

 で、出来たのがコレ。


 ====================


【マナ・ポーション】 ランク6

 上級の魔力回復薬。

 魔力を大幅に回復させる効果が有る。

 効果は高いが生産できる錬金術師は少なく、

 価格が非常に高い。

 効果が魔力注入する時に変動するため、

 同じ制作方法でも製作する者次第で、効果に天地の差が出来る。

 一般の錬金術師では製作しない危険な製造法により作られた一品。


 ====================

 

 ……やらねーのかよっ!?


 まさか、メリッサの方がおかしいとは思わなかった!

 そうだよね、どう考えても危険な素材で精製する技術を国が放置するわけがないもんね。

 少し安心したよ、国は真面だった。


 いや、待て、て事は……メリッサのしている事って違法なんじゃね?

 衛兵さん来ちゃわね? どこかの鉱山で強制労働じゃね?


 ……何とかしないといけないのか?


「・・・・レン君の方は・・どう・・・?」

「俺?」


 ====================


【神薬・ゴッドブレス・ポーション】 ランクMax

 体力・魔力・状態異常、完全回復。

 更に【攻防60パーセントUP】【状態異常完全無効】【属性攻撃80パーセントUP】

【属性防御率80パーセントUP】【斬打撃追加攻撃付加】【幸運値90パーセントUP】

【アンデット攻撃率95パーセントUP】【アンデット防御率100パーセントUP】

【聖属性攻撃率100パーセントUP】【聖属性防御率100パーセントUP】

【部位破損完全再生】【死者完全蘇生(三日以内)】【単為鬼神の加護付加】

【50年若返り効果】【薬品使用期限永久持続】

 エリクサーを作る意味が全くない、完全チートアイテム。

 使用者に馬鹿げた効果を発揮する夢の一品。


 ====================


 ・・・・・・エリクサーのありがたみを真っ向から完全否定しやがったよ。

 

 確かに……エリクサーを作る意味ないよな。

 死者蘇生まで出来んだから……しかも大量に作っちまったし……。

 どーすんの、コレ。

 アンデット系統にはもう無敵じゃん。

 属性攻撃も殆ど遮断しちまうし、聖属性相手には完全に無双状態だろ。

 宗教国家には驚異的だな……アハハハハ・・・・。


「・・・・・レン君・・・これって・・・・」

「言わないでくれ。自分でも解ってるから……やべぇーてモンじゃねぇよ…」

「ん・・・メルセディア聖国・・・・危険視・・・する・・」

「神の秘薬だからなぁ~……これも俺の力の影響か?」

「・・・・ん・・・・」


 聖属性は完全にシャットアウト……アンデットは闇属性になるから俺は聖属性という事になる。

 いや、闇属性もあるって事なのか? このポーションを見る限り、効果が異常に高いし……。

 他の属性にしてもほぼ完全に無敵状態だし、どんたけ?

 ステータスゲージを見た所、完全に真っ白だし……数字で分かりやすく出ませんかね?

 今時ゲージ式ステータスは無いでしょ。

 属性ゲージが見当たらない所を見ると、隠しパラメーターて事になんのか? 

 何で、こんな事になってんの?

 

 そもそも、物を作って経験値が入る事態がおかしい。

 普通は敵を倒してレベルアップだよな? 

 まて、何か忘れてる気が……。


『レベルアップしたぜ。さぁ、お待ちかねの進化の時間だ。へへへ……待ってたぜぇ~この時をよぉ~』

「!?」

『安心しな、たっぷりとかわいがてやんぜぇ~……喰らいなっ!!』


 忘れてた……ま、待って……。


『待たねぇ~よ、行くぜっ!!』

「おにょぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

『もういっちょ、行くぜ!! フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!』

「いぎにゃあぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 酷い……俺が何をした……。


『今日の所はこれで勘弁してやらぁ、ケッ!』


 何で、そんなに恨まれてんですか? 理由を教えてください……。

 これは流石に酷過ぎる……納得がいかないんですが……。

 そこまで恨まれる事をしたんですか?

 それ以前に、俺にはどうしようもないんですけど?

 脳内アナウンスさん、教えて下さい……。


 で、ステータスなのですが……


 ====================


 種族 ごぶりん・鬼神 名称 レン・オーガ  


 レベル99 ランク8 職業 萌え萌え武闘神


 スキル


 『何も言わんよ、もう解ってんだろ? つーか、スキル必要か?』


 特殊スキル


【成長促進・神】Max 【経験値倍加・神】Max 【真・神眼】Max

【超絶倫】Max 【次元超越】Max 【森羅万象】Max 【神薬生成】Max

【戦神舞闘】Max 【神の加護付加】Max 【眷属化】Max 

【仙神領域】Max 【神具錬成】Max 【鬼神化】Max 【武神化】Max

【天衣無縫】Max 【戦神闘気】Max 【天下無双】Max 【唯我独尊】Max

【神の盟約】Max 【神鋼錬成】Max 【聖域化】Max 【神の祝福付加】Max

【超回復】Max 【神の慈悲】Max 【状態異常完全無効】Max

【身体超再生】Max 【神威】Max 【神気踏圧】Max【事象介入】Max 

【全属性完全無効】Max 【称号付加】Max


『・・・・・・最早、魔物じゃないわね? どうすんの、コレ?』


 進化 0/80


『限界値だ。極限突破イベントをクリアしないと、レベルアップと進化は出来ねぇぜ……命拾いしやがって、ケッ!』


 称号


【相思相愛】


 ====================


 俺が聞きてぇーよ、萌え萌え武闘神て何っ?!

 既に魔物から神に進化って、早すぎるでしょ?!

 一応鬼神だよね? 既にモンスターじゃないけど、萌え萌え武闘神て職業なの?!

 特殊スキルが増えてるけど、職業の所為で増えてんの?

 ここまで来ると普通のスキルはいらないよね?

 特殊スキルだけでどうにでもなるんじゃね?


 特殊スキルの効果? 見たくありません。

 だって、どう考えても攻撃や防御力を極限UPさせるモノばかりじゃん。

 生産職の方も殆ど見なくても何となく理解できんじゃね?

 どう考えたって破格過ぎる効果なのは目に見えてるし、これ以上見たら俺のメンタルは死ぬ。


【神の慈悲】は回復魔法みたいで、あらゆる状態を完全回復させるモノみたいだな。

 もう聖属性魔法はいらないね、触るだけで神力で傷を癒しちゃうんだもん。


【次元超越】は時空間を捻じ曲げる魔法効果みたいだけど、何となく使えてしまうのが怖い。

 攻撃にも使えるし呪文詠唱も必要無し、しかも防御を完全に無視。

 他にも色々使えるみたいだけど、魔法としての名称が無い。

 思い通りに使えちゃうみたいだ……。


【森羅万象】は全属性魔法を無詠唱で使えるだけでなく、一定の領域を自分の都合のいい状況へ変える能力みたいだ……この時点ですでにヤバイ……。


 こんなのばかり、アハハ……もう何もかもが嫌になるね。

 せめてもの救いは進化とレベルアップが停止したことか……もう、お腹一杯……。

 魔王? なにそれ、おいしいの?

 勇者? あはは……俺の敵じゃねぇし……。


 どうしてこうなった……ちくしょう……。 


 

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