錬金術に挑戦した
戻ってきました我が家に、これから錬金術を行います。
と言っても、詐欺まがいで人を騙し、金を貪る様な外道な錬金術ではありませんよ?
ちゃんとした学問の方の錬金術です。
錬金術は主に、『薬学』『魔法付与学』『物質変性学』『魔法工学』『国防戦術学』に分かれているそうです。薬学から魔法工学までは一般の魔術師が学ぶ学問らしいんだが、国防戦術学に於いては戦争で有利になるための研究として、他の学問を総合しているらしいので省いても良いんじゃないかと思う。
そんで、メリッサの場合は薬学が専門の錬金術師らしいのですが、実は俺少々気がかりの事があんだよね。
メリッサの特殊スキル【鬼神聖母】、これは俺の特殊スキルを現在三つ使える事になる。
つまり、『成長促進・神』『経験値倍加・神』『神眼』の三つです。
考えても見てほしい。未熟児で生まれた俺はこのスキルで馬鹿みたいに成長を遂げてしまった訳で、同じ事がメリッサに起こらないと何故言えますか?
しかも進化するらしいですよ? 人間が進化したら一体何になるんでしょうか、考えるだけでも怖い話だと思いませんか? 俺は元はゴブリンだったから別にいいんですがね、超絶進化した人間が人外の仲間入りするのはどうも不味い気がします。
ただでさえ人間は異端を拒絶する傾向が強いのに、そこに国家やら宗教やらが望んでも居ないのに寄って来る訳ですよ。鬱陶しい事この上ない程にめんどくさい事になるとしか思えません。
厄介なんですよねぇ~、下手に出てきて取り込もうとして、失敗すれば異端として排斥する。
愚かとしか言いようが無いんですが、個人の意見なんて狂信的な集団思想の前では意味が無いのですよ。
所詮は自分達ご都合主義の集まりですからね、そんな愚かな人達から身を守るには同じ存在になるか、若しくは圧倒的な強さを得て孤独になるかの何方かだと思います。
ましてや宗教とか国家とは一枚岩ではありません。利用する事が最優先の身勝手な連中ですので、そんな連中が出てきたらデストロイする事も辞さない覚悟でございます。
今はなんもしませんが、売られた喧嘩は徹底的に買う積でありんす。
段々荒んで来たので、これ以上は考えない事にしよう。
今は楽しい錬金術教室のお時間です。
可愛いマミーと一緒に楽しいお仕事のお手伝い。
そう思っていたんだけどね……
ごりごりごりごりごりごりごり……
ただひたすら乳鉢で薬草を擂り潰しています。
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり………
地味です。
果てしなく地味です。
そして無言です。時間が長く感じられるほどに……
薬草を擂る音しか聞こえない。
何でしょう? この重苦しい空気。
「……なぁ、メリッサ?」
「・・・・ん・・・」
「これ、何時まで擂り潰せばいいの?」
「・・・・・・色・・変わるまで・・・・」
「そう…」
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり……
いや、まぁ、そんなモンですよね。
いきなり材料から作り出せる訳なんてないですし、下準備は重要だと思います。
けどね、凄い沈黙感が……落ち着かないと言いますか、妙に不安になると言いますか。
はじめてから二十分位は立っているんだが、その時間が五時間ぐらいに感じられるのですよ。
一体、何時迄こうしていれば良いんでしょうか?
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ……
少し音が変わってきた気がする。
沈黙に耐えきれなくなっているんだと思います。
胸の内にもやもやとする変な感じが気持ち悪い。
俺も流石に、魔方陣を書いて魔力を流せば簡単に出来るなんて思ってませんよ?
でもね? 遊び盛りのおいらとしては耐えられないのです。
だって、生後三日のベイビーなんですもん。
けど錬金術には興味あるんですよ? ただ落ち着かないだけ。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
何か粘りが出てきましたけど、色が変わるんじゃないの?
気のせいか、酸っぱい香りがしてきましたけど……若干嘔吐を感じる感じの……
「・・・・・あ・・・・・」
「なに? どうしたの?」
「・・・・薬草・・・・間違えた・・・・」
「マジっすか? 俺の今までの苦労は無駄ですか?!」
おいちゃん、SHOCK!!
無駄な努力を続けていたようです。ヘコむわぁー……
「・・・無駄・・・じゃない・・・別の薬・・使える・・・よ?・・・」
「それだけが救いだよぉ~、凄い時間擂り潰していたのに・・・・」
「・・・・・・・・・ふふふ・・・」
Ohー、マミーが笑ってくれましたよ。
笑うと、とってもチャーミングですね。ハグしたい所です。
「・・・・これ・・・・・使う、薬草・・・・」
「・・・・・・・・・擂るの?・・・・」
「・・・・・・ん・・・・」
NOー、また最初からやり直しッスかっ!?
またあの長い時間を体験するのですか?! 終わりなき時間の果てに旅立ちそうだよっ!?
これがメリッサじゃなければ暴れてる自信があるよ、俺っ!
遣りますよ、遣らせていただきますともっ!!
俺が親不孝なロクデナシじゃ無いって事を証明させてやる。
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり……
……あ、初めて三分くらいで緑から黄色に変わりましたよ?
あの長い時間はいったい何だったのでしょうか? やっぱり無駄な努力?
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【ヘンショク草】
回復ポーションや傷薬の素材として一般的な薬草。
時間をかけて磨り潰す事により色が変わり続ける。
三分 黄色 五分 青 十分 紫 三十分 赤
一時間 白 十時間 黒 二十四時間 七色
時間をかける事に効能UP
魔力を籠める事で効能が倍加し、素材として使えば、
回復薬のランクを上げる事が出来る(のは腕次第)。
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・・・・・・最初からスキル使えばよかったんじゃね?
つーか、最後の方、時間の幅が極端過ぎね? この変色時間の間に何が起きてんの?
「……メリッサ……神眼、使ってみて……」
「?・・・・・わかった・・・・・・・・・・・あ?」
「便利なんだが、事実を知るとヘコむわぁ――」
「・・・・・・・・・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
あの、お母さん? 何やら『オラオラオラ……』とか言いながら殴り飛ばす様な、どこぞの人達みたいな気配を放出しているんですけど?
まさか、遣りませんよね? 挑戦しませんよね、『二十四時間耐久ゴリゴリ』?
ハンパ無いですよ? もの凄く根気が要りますよ? 正気ですか?
ひょっとしたら余計な事を教えちゃったんでしょうか?
「・・・・・挑戦・・・」
「まさか、ほんとに? やめた方が良いぞ、体力的に……」
「・・・・・・・やる・・・・」
まるで魔王に挑む勇者のようです。
俺は未だかつて、ここまでやる気に満ちた母さんを見た事が無い。
いや、生後三日目ですけど、これは止めても無駄の様です。
何故なら残りのヘンショク草を大量に擂鉢にぶち込み、ゴリゴリと擂り潰し始めたからだ。
早かった。 通常の三倍は早かった。
ヤバい、うちのおかぁちゃん、マブだっ!!
目の色が明らかに違うぜよ、明日の昼過ぎまでノンストップぜよっ!!
ふと、傍にあった刺激物が目に入る。
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【パラサイト・ミストルティンの青葉】
この世界に広く分布する寄生植物。
他の植物のみならず、生物にすら寄生し養分にする。
種が生物の肌に付着すると、直ぐに発芽し根を体中に張り巡らす。
寄生された生物は他の生物を襲うほどの攻撃衝動に囚われ、
精神は本人が望む願望の夢を見たまま覚める事は無い。
主にマナポーションの原材料に使われている。
磨り潰す事で刺激臭が強くなり、刺激臭が強ければ強い程
その効果が高くなる。
一時期最上位ランクのマナポーションを制作しようとして、
国一つ滅んだほどの劇物なので注意が必要。
人間に寄生させた物が効果が高い事から、主に死刑囚を
苗床にして大量に生産させている。
ポーション作成に使うエーテル液で刺激臭を消す事が出来る。
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「いろんな意味でヤベェ―――――――――――――――――っ!!」
何コレっ、こんなものが普通に繁殖してんのっ!? しかも、栽培までしてるし!!
国一つ滅ぼす劇物って、○リンからVHガス並みに強力になるって事っ?!
錬金術師はん、なんちゅーもんを使ってはるんやっ!!
どう考えても国を挙げて規制させるレベルやろっ!!
何でこんなのが一般で使われてるんだよ、おかしいだろっ!!
しかも死刑囚を苗床って、人権剥奪されているとはいえ酷過ぎね?
もし、冤罪の人だったらどうすんの?
あ、ところでママンは?
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり……
はい、絶賛ゴリゴリ中……俺の叫びすら聞こえない程に集中してんな。
どうする、俺もゴリゴリ続けるか?
俺もゴリゴリ君になるんか?
明日の昼までゴリゴリ続けるんですか?
・・・・・・・・・・・・・・俺に選択肢は無かった。
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり・…………………………
……ハイ、こんにちわっぱー!! 生後四日目のゴリゴリレン君だよぉーっ♪
只今、二十四時間耐久ゴリゴリ絶賛ごりごり中っ!! ひぃーひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ♡
なんかねぇ~、ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり、もう、たぁ~のちぃ―――――――――――っ♪
ぼくちん、もう、擂鉢の中しか興味ないのぉ~~~うぇへへへへへへへへへ♡
ママン? ママンはおねむだよぉ~~ぅ、疲れちゃったんだねぇ~~♪
それからオイラがゴリゴリさっ☆ ひゃっほぉ~~~~~~~~~ぅ!!
ほぉ~らぁ~~、もぅこんなにィ~綺麗な虹色にぃ~♡
やばいお薬、要らないねっ! ゴリゴリだけで最高にキマッちまうよぉ~~ぅ♪
前を見てみぃ~三年前に死んだ信長さんが、五年後に生まれたギルガメッシュさんを手討にしようと、フライパンとミントンラケット持って、ローマのコロッセオで火の海の中を逆立ちしながらハイテンションでクロックアップしつつ、楽しく妲己さんと夜のお楽しみ権を賭けて激しく遊んでるよぉ~ぅ♡
何言ってるか分からない? 大丈夫、おじちゃんの脳内では十分理解してるからぁ~♪
イカロスさんが海の中でスカイダイビングをして、曹操さんがレッドクリフでバタフライですんごい速さで氷の河を泳ぎ、サタンさんがブッダさんとシャルゥ~イ・ダンス決め込んで、ガンジーさんが世紀末の荒野を拳で愛を語りながら無法者共をぶちのめして歩いていますよ?
すんごいね! 実に平和な光景でしょ? げひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!
「・・・・・・・・・・」
カオスっていいですよねぇ~♡ 平和、サイコ~~~~♪
「・・・・・君・・・・?」
誰ですか、私を呼ぶのは?
今、朕は項羽とルイ十六世がブラックパール号と云う名の兄弟舟で、灼熱の海をエロゲ―を求めて長距離弾道ミサイルをぶっ放すべく、前へ前へとバックしている所を悲しく見ているのですが?
「・・・レン・・・君・・・・」
ホントに誰ですか?・・・・・・・はて? ここは誰? 私は何処?
何か、すんごい物を見ていたような気がしたのですが・・・・・思い出せませんよ?
そもそも、俺は何をしていたんだっけ?
確か・・・・・ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり・・・・・はっ!!
何かヤバイっ! 気のせいか、踏み込んではいけないデンジャーワールドに飛び込みそうになった気がするんだが……そうそう、薬草を擦り潰してたんだっけ?
「・・・・レン・・・君?」
「あ……あれ? 俺はどうしてたんだ?」
そうでした。二十四時間耐久ゴリゴリをしていたんでしたっけ。
意識がどこかへ飛んでいたような気がするが、気のせいだよな? そう思いたい。
単調作業を超長時間していたんで、精神が耐えられなかったんですかね?
「・・・笑って・た・・・凄く・・・変・に・・」
「Ohー、マジで変な世界を垣間見ていたか。危うく戻れなくなる所だった」
「・・・ごめん・・・なさい・・ねちゃって・・・」
「途中から俺も意識が無かったから、気にしなくても良いぞ? それより、薬草はどうなった?」
「・・・・ん・・・・綺麗な・・・虹色・・・」
擂鉢の中には見事なまでに虹色の粘液が……色合いは綺麗なんですがね、少し不気味。
問題はここからなんだよな。
「・・・・魔石・・・・粉末・・・・」
もしもし、お母さん? 何でそんな申し訳なさそうな目を……あ、またごりごりすんのね。
薬草ほどじゃないから直ぐでしょ、楽勝っスよ☆
「その後は? 液状にしなきゃならないんだよな?」
「ん・・・・魔石紛・・・水・・・煮込む・・・」
「あのフラスコに水入れて加熱するのか。その後に薬草を入れるんだな?」
「・・・ん・・・魔力水・・・・色・・・透明・・・」
「透明になるまで煮込むと……その後に薬草か。魔力を籠めるにはどうすんだ?」
「薬草・・・・・煮込んでる・・・・」
「おっけー、んーじゃ早速やってみるか。あ、スキル使っておいた方が良いぞ?」
「・・・・・・ん・・・」
で、
がんがんがんがんがんがんがんがんがん……
魔石を粉末にするのって、メリッサじゃ無理だ。めっちゃ固い。
俺が粉末にしている所を目を輝かせて見てます。
俺、基本的に馬鹿力ららしく、軽く叩くだけで魔石が粉末になって行く。
この機に乗じて全て粉末にする事になり、現在容器の中には大量の魔石紛が詰まっている所であります。
口切一杯にまで詰めると、重くなりませんか?
「この辺で良いだろ。これ以上増やしても使い道がなさそうだし、必要になればまた粉末にすればいいさ」
「・・・・・ん・・・」
作るポーションの量に応じて魔力水も作る量を測る必要があるので、ビーカーに入れた水を秤で計測、そこに魔石紛を入れガラス棒で混ぜ込む。
白く濁った液体が出来たが、時間を於くと気泡を出し炭酸水の様に溢れて来るらしいので、その前にフラスコに入れてコルクで栓をした。十分倉井らで泡立つみたいなのでその間が時間との勝負、とメリッサが言っていたけど、それは単に普段がスローテンポだからじゃないかと思う。
アルコールランプに火をつけ加熱……フラスコにはガラス管がつけられており、そのガラス管はまた別の固定台のフラスコへと繋がっている。
サイフォン方式で魔力水を全て吸い上げ、溶けきれない魔石と分別を図る為なのだが、俺が粉末にしたので全部溶けきったようだ。
「愈々(いよいよ)薬草を入れるんだな?」
「・・・・・ん・・・・必要な量・・・測る・・」
「魔力はどうやって封入するんだ?」
「・・・薬草・・煮込んでる・・・手で・・・」
薬草を入れて火に掛けている時に手を翳して、魔力を流し込む様だ。
手間は掛かるけど面白いな。
因みに俺達は別々でポーションを制作している。
互いに経験値を獲得するには、この方法をとるしかない。
「それじゃ、魔力を流し込んでみるか……」
「・・・挑戦・・・・・してみる・・・」
手を握りしめ、意欲を見せるぷりちぃーな母さん。息子を萌えさせるとは、やるな……。
そんな訳で魔力を流してみた。
『神眼』を使い状態を常に見極め、最高の瞬間を待つ。
程なくして反応が出て来た。俺の方は妬けに金色に輝きだし、メリッサの方は白い光だ。
これは俺とメリッサの間に決定的な魔力の差があるからではないかと思う。
その光も徐々に収まり、光と同じ輝きを湛えた回復薬が出来上がった。
「・・・熱・・・冷めるまで・・・待つ・・」
「それじゃ休憩すっか」
「・・・・ん・・・」
『スキル獲得したぜ、レベルアップだ。チッ、進化は出来るみたいだが……これじゃ復讐に為んねぇ、持ち越しだ』
ちょっとぉ―――――――――――っ!?
何勝手に決めてんだっ!! つぅーか、マジで恨んでいるのね?!
酷い、何で俺の所為になってんの? 自分じゃどうしようも無い事ってあるじゃない!!
脳内アナウンス、アンタ、休暇中に何しようとしてたんだよっ!?
彼女とデートですか? 『今日こそ決めるぜっ!』な状況だったんですか!?
怖い、進化が怖いっ!!
「・・・・ん・・・れべる・・・上がった・・・」
「何ですとぉ―――――――――――っ?!」
====================
種族 人間 名称 メリーセリア・ツエイザ
Lv58 ランク3 職業 高位錬金術師
スキル
『錬金術(上級)』 Lv9 『四元魔法(上級)』Lv9
『家事』Max 『剣術』Lv1
特殊スキル
『鬼神聖母』Lv2
称号
『息子を萌した母』『息子に萌えた母』
進化 40/50
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やっちゃったぁ――――――――――――――っ?!
いくら何でも、これは酷い。
初期値が低いから、高位な物を作ると経験値のインフレが起きるんですね。
けど、それだけじゃ有り得ないから、多分ボーナス値も加算されているんだと思う。
しかもスキルの所為で倍加されるから、こんな無茶苦茶な状態になったんじゃね?!
まて、それじゃ俺はどうなってんだ?
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種族 ごぶりん・鬼神 名称 レン・オーガ
Lv36 ランク8 職業 萌え萌え執事(見習い)
スキル
『はっきり言うけどさ、めちゃくちゃ多いわよ? アンタ、それでも知りたいの?』
『YES/NO』
特殊スキル
『成長促進・神』Max 『経験値倍加・神』Max 『真・神眼』Max
『超絶倫』Max 『次元超越』Max 『森羅万象』Max 『神薬生成』Max
『戦神乱舞』Max 『称号付加』Max 『仙神領域』Max 『神具錬成』Max
『状態異常無効化・神』
『・・・・・・・・呆れて何も言えないよ、僕は・・・・・』
進化 40/60
称号
『母を萌やした者』『母に萌えた者』
====================
選択肢が出てるぅ―――――――――――――――っ!?
何それ、スキルそんなに多いの? 何でさ?
それよりも称号がヤバイ、これじゃ、マザコンじゃん?!
しかも相思相愛だよっ?! 恥ずかしぃ―――――――――――っ!!
あ、なんか……視線を感じます。
恐る恐る振り返ってみると……
「・・・・・れ、レン・・・君・・・///////////」
顔を真っ赤にしてるメリッサが居ました。
しかもスカートの裾を握ってモジモジと……かわゆっス♡
せめて家族愛になりませんかね? 称号……若しくは家族円満?
つーか、メリッサに萌えるなと云うのは無理だろ。
基本的に萌が歩いている様なもんだよ?
萌えの申し子の様な子だよ?
どないせぇーちゅーねん。
逆切れ? 上等です。仕方ないじゃん、事実だもん。
でも、反応がなんかおかしくね? 何でそんな潤んだ目で俺を見るの?
・・・・・・・・まさか
「……あの、メリッサ? つかぬ事お伺いしますけど?」
「・・・・・・ん・・・・・・・・」
「俺のステータス・・・・・・見た?」
「・・・・・・ん・・・・・・仲良し・・・・ぽ・・」
『ぽ』? それはどういう意味ですか? いろんな意味がありますが?
具体的に教えて下さい。めっちゃ気になるじゃない出すか、ねぇ?
「……な、仲良きことは美しきかなとも言うし、円満で良いんじゃね?」
「・・・・・・ん・・・・・お茶・・・・用意する・・・」
良い訳ねぇーだろっ!! 恥ずかしくてしょうがねぇーよっ!!
パターンで言うと、冒険者ギルドに登録する時に全部見られんじゃね?
やべーよ、最悪だよっ!
別に、メリッサが嫌いと云う訳じゃねぇよ? ただ、何と言いますか、称号変える事できんの?
今は見た目が子供だから良いけどさ、今後はどうなるか分かんねぇ―じゃん。
黒歴史をオープンにしてるだけだよな?
人としてどーなんでしょうねぇー……ハハハ…世間の冷たい目を感じるぜ。
けどね、百歩間違えてそんな関係になったとしてもね、『別にいーんじゃね?』と思ってる自分も確かにいんのよ。
背徳? いーじゃん、最近多いよ? 兄妹とか、姉弟とかでイチャラブすんの。
萌える展開じゃん。おかしい? 人の心は理屈じゃないんですよ?
どうしようもない事もあるんです。
て、何言い訳を考えてるんでしょうね? まだそんな関係じゃないんだから……
混乱して疲れてるんですね。
だって、昨日から、ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり………
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごろごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり………えへへへへへへへへ♡
じゅごいきもちぃ―――ぃ!! ごりごりパラダイスぅ~~~♡
おかしくなってる? ダイジョブぅ~僕は元から異常さ☆
見てみなよ、ジャンヌダルクがマリーアントワネットの弁護士をしているよぉ~。
検察側のリンカーンさんに、異議申し立てで見事に逆転してるし、孔明さんがゼウスさんに喧嘩吹っかけて核弾頭を持ち出し、イエスさんが薬中患者に人道を解いて螺旋状の槍だ貫かれてるし、ロンメル将軍がバラタックでフランス革命の民衆を蹴散らしてるし、孫悟空が雀卓でミカエルさんをカモにしてるし、ハンニバルがどこぞの谷に落下した生物兵器とファイナルフュージョンしてるし、ジョーさんが油が敷き詰められた円柱が立ち並ぶ闘技場で流星拳をぶっ放してるぅ~~っ♡
イッツ・ワンダーランド! アリスちゃんもびっくりだ。楽しいYоー☆
「・・・・・おい・・」
はっ……俺はまた何処かへ旅立っていたのか?
何か、とんでもない物を見た気がしたんだが……何だったか……?
寝た方が良いな、精神的にヤバくなってます。
「・・・おい・・レン、だったか? オメー、大丈夫か? 不気味な笑い方で、一人で何かぶつぶつ呟いてたぞ?」
「お? ……えと、確かバーボンさんでしたっけ?」
「バーバンだ。やけにカッコイイ名だな、出来ればそっちに改名したいが」
「確か今日から工事でしたね。て昼過ぎてんですけど、今から?」
「まぁな…ちょっとゴタゴタがあってな、遅れちまった。今日は取り敢えず、窓と扉の修理だけしておくわ」
「御苦労さまです」
バーバンさん、どこか疲れてんですかね?
昨日の職人気質が見る影もねぇーんだが……何かあった?
ゴタゴタが遭ったと言ってたけど、聞いて良いんですかね?
いいや、聞いちゃえ。
「バーバンさん、疲れてるみたいだけど、どうしたんスか? 言いたくない事なら聞きませんけど」
「いつもの事だ。ダーメスが酒場で喧嘩して衛兵に補導された。レンに、指先一つでダウンさせられたと知ったら、飛び出して行ってな……」
「あ~…確かに、見た目が子供の俺に、指一本で負けたら自棄になるよなぁ~」
「全く、いつまでガキでいる積もり何だか。所詮町から出られねぇ、小心者のくせによ……」
何処までも、お約束な奴だったか。
いるよね、前にも後ろにも進めず無駄に生きている奴。
親父さんも大変だなぁ~。
「いっそ、衛兵の訓練所にでも放り込んでみたら? 旨く行けば騎士になれるんじゃね、本人次第だけど」
「あいつは一日で戻って来た。根性がねぇんだよ」
「どこかの宗教家みたいに『既に極めた』なんて言ってたりして」
「良く解ったな。その時は五日間ほど家に入れなかった」
「マジ?」
何処までも自分に甘い奴。
手に職を持たねぇと世の中生きて行けねぇぞ。
世間をどんだけ甘く見てんだよ。
「メリッサに手を出そうとすんのも、ヒモになる気だからじゃね?」
「だろうな。働く気なんかまったくねぇんだ……いい歳して情けない」
「落ちぶれ街道まっしぐらかよ。一遍、地獄を見たら人生変わるんじゃないか?」
「真っ先に死ぬだろ」
その光景が脳裏に浮かびます。
どうしようもない程の雑魚臭が漂ってるから。
大変だな、父親って……
その後も、作業が終わるまでバーバンさんの悩みを聞いてあげました。
駄目な息子に相当苦労しておいでの様子で、泣けて来た事は言うまでもない。
さて、熱を冷まし終えたポーションの様子ですが……
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【上級ポーション】 ランク6
HPを大幅に回復する高い効力を持つ。
体に負った怪我や傷をたちどころに癒すが、
半面生産に手間が掛かるため一般には出回らない。
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これがメリッサの作ったポーション。
見習いからいきなりこれを作り上げたために、ボーナスと経験値が大量に入り、スキル効果で馬鹿みたいにレベルアップしちゃったんでしょうね。
しかも五十本も制作したもんだから半端じゃない事でしょう。
見習いが作れるもんじゃねぇ―よ。
で、俺が作った物はと言うと……
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【神薬 ゴッド・ポーション】 ランクMax
瀕死の状態から完全回復できるだけでなく、更に多くの追加効果が有り。
【身体強化・大】【魔法耐性・大】【四元耐性・大】【状態異常完全回復】
【魔法強化・大】【精神高揚・大】【自然回復効果・大】【体力完全回復】
あまりに効果が高過ぎるので伝説になるほどの秘薬。
遺跡やダンジョンからでしか発見されず、手に入れる確率も超低い。
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………とんでもない物を作ってしまった。しかも大量に……。
コレ、売りに出したら不味いんじゃねぇの?
静かに穏やかに暮らすつもりが、明らかに厄介事にしかならねぇよな?
万が一の為にも、逃げ場所を作っておいた方が良いような……
「レン君・・・・・」
「何?」
「・・・・この・・・スキル・・・狡い・・・ね」
うん、自分でも理解してんだよね。
改めて人に言われるとショックだわ……なんてこったい。