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仔猫トンネル  作者: シマリス
2/5

仔猫が喋った!

橋の土台となっている石壁が、ガラガラと音を発てて崩れた。


丁度、小さな子供が通れるぐらいの大きさ。


魔子は仔猫を、しっかりとダッコしてトンネルの中へ入った。


遠くの方に出口らしき明かりが見える。


魔子は小走りに駆け出す。


どれくらい走っただろうか……


出口の明かりは見えるのに距離が縮まらない?


入って来た入り口の方を振り向くと、かなり走ったことが分かる。


トンネルの中程まで来た魔子はペタンと、その場に座り込んでしまった。


仔猫に語り掛ける魔子。


『仔猫ちゃん、なかなか、出口に着かないね…まるで出口が逃げていくみたい~』


その時、どこからともなく声が聞こえた。


『ここは、仔猫トンネルだよ!』


魔子はビックリして辺りを見回し一言、叫んだ!


『だれ!』


すると声の主が答えた。


『あなたの、手の中にいる、わたしよ!』


『え!』魔子は驚き仔猫を見つめる。


『あなたなの、今、喋ったのは?』


仔猫は得意気に答えた。


『そうよ!わたしよ!』


魔子は不思議そうに仔猫を見っめて言った。

『あなた、話しができるのね~♪』


仔猫は首に下がっている鈴を3度鳴らすように魔子に言った。


魔子は言われた通りに鈴を3度鳴らした。


チリンチリンチリン♪


すると出口が、みるみる近づいて来た。


『仔猫ちゃん、あなた、もしかしたら、魔法猫なの?』


仔猫は魔子の方を向いて答えた。


『わたし、魔法猫じゃないわよ。あなたが魔法少女なのよ~*』


魔子は仔猫の答えに驚いたが


『そんなわけ、ないわよ~☆』と笑って打ち消した。


『仔猫ちゃん、出口は、もうそこよ!』


そう言うなり、魔子と仔猫は出口を過ぎた。


その時、魔子は自分の目を疑った。


きれいな茜空の夕焼け


遠くの方から聞こえる『トーフ、トーフ』屋台ラッパの音。


高いビルが、どこにも見当たらない。


見たこともない景色。


三つ網の小さな女の子や学生帽を被った小さな男の子。


縄跳びをしたり、お手玉をしたり、メンコをしたりビー玉をしたりして遊んでいる……










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