リサイクルを発展させるには
ジャンル 間違えて「リプレイ」に設定したら、二度と直せないようになってしまいました。
本当は「エッセイ」です。
さて。いきなりですが、問題です。
これを書いているのは、2011年の2月なのですが、その時点の中国と日本で、リサイクルが発展しているのは一体どちらでしょうか?
多分、多くの日本人が日本の方が発展していると答えるのじゃないかと思います。環境問題が深刻な事態に陥っている中国で、リサイクルが発展しているはずはないと。しかし意外な事に、実は日本よりも中国の方がリサイクルは発展しているのです。
理由は簡単。人件費が安いからです。リサイクルには何よりも人件費がかかる。だから、人件費の高い日本ではあまり発展していないのですね。そして逆に、人件費の安い中国では盛んに行われていて、その中国ではゴミは宝の山になる訳です。廃棄物は重要な資源の供給源なのですね。
日本で廃棄物のリサイクルが進まないというのは、実はとても“もったいない話”でもあります。何しろ、日本の廃棄物… 都市鉱山と呼ばれていますが、都市鉱山の埋蔵量は有数の天然鉱山並と言われているからです。このまま発展途上国が発展をし続け、世界中で資源不足になれば資源価格が高騰し、資源リサイクルは充分、高い人件費に見合う産業になるかもしれませんが、そうなるのをただ黙って待っている、というのもあまり良い策とは思えません。
何故なら、資源の枯渇、高騰はそのまま紛争の発生を意味するからです。更に言うのなら、それは生活を苦しくもします。たくさんの人がその犠牲になるでしょう(その所為で、紛争が起きる、という要因ももちろんあります)。だからむしろ、積極的にリサイクルを発展させ、資源需要を賄い、紛争を防いでいくべきなのじゃないかと、少なくとも僕は考えます。
ただ、これを読んでいる人は、「じゃ、人件費問題はどうするんだよ?」と、そう疑問に思うかもしれません。さっき僕自身が人件費の高さが、リサイクル発展の足枷になっているという話を書いたばかりですしね。何か画期的なリサイクル技術躍進でも起きない限り、リサイクルには高い人件費がかかる。なら、産業としては成り立たないのではないか。もっともな疑問です。
しかし、実は解決策はあるのです。しかもリサイクル技術の革新以外の。或いはそれは、“経済技術の革新”とでも呼ぶべきものかもしれません。
と言っても、それほど難しい話ではありません。今まで様々な場所で、僕が訴えてきた“通貨循環モデル”の応用方法の一つなのですがね。
環境税でも、或いは国から切り離して公共料金のような位置付け…… リサイクル料金(とでも呼びましょうか)でもなんでも良いのですが、生活者から通貨を徴収します。「おいおい、生活負担が増えるじゃないか」と、思った方はご心配なく。通貨は使えば、その分収入が増えるのです。早い話が、支出が増えた分、収入も増えるのですね。お金は天下の回りもの。循環しているのだから、それは当たり前。これは、通貨循環が増えたって事でもあります。この通貨循環を増やす事こそが経済発展でもある訳ですが(経済発展と共にこれが起こってきた歴史が、そのままその証拠になります)。
因みに、この新たな通貨循環増加分ならば、新たに通貨を発行する事が可能です。通貨供給によるインフレは心配ありません。通貨需要増加分だけ、通貨を供給するからです。だから、初めの1回だけは通貨を発行してそれを公共料金に当てる事が可能です(萎縮していた分が復活する、健康なインフレなら起こりますが)。もし、間違えて発行しすぎても、日銀が回収すれば調整は可能でしょう。
社会に車という製品が生まれれば、車に関しての通貨循環が発生します。生活者がそれを買えば、通貨は労働者の手に渡り、その労働者が何かを買って、またそれが誰かの手に渡り… という経緯であなたの元へ返ってくる。
ありとあらゆる商品について、これは言えます。歯ブラシだろうが、パソコンだろうが、お米だろうが、それぞれに通貨の循環がある。そして、もちろんリサイクルにだって、それはあるのです。だから、リサイクル料金を取られても、いずれ、それはあなたの元へと返ってくるのですね。
もちろん、所得格差というものが世の中にはあります。あまり収入の増えない人達もいるって話ですが。だから、免除等の低所得層への配慮は必要でしょう。
また、もしも、このリサイクル料金を役人や政治家に奪われてしまったら、通貨循環が成立せず、上手くいかない可能性があります。もしも、そんな気配が見えたら、「足を引っ張るなー」と、文句を言ってやりましょう。ただでさえ日本は、国が民間の足を引っ張っている、と言われていますから。
このリサイクル料金によって、都市鉱山から資源を回収したら、それを市場価格並(或いはそれより低価格)で企業に売ります。人件費はリサイクル料金で賄う。すると、企業負担にはならないので、国際競争力を落とさない(場合によっては、むしろ上がる)でリサイクルを実現した事になります。もちろん、前述した通りに、資源価格を抑える効果や、資源節約が期待でき、生活を楽にしたり、紛争を少なくしたりといった事が可能です。また、日本国内で資源を供給していますから、海外からの資源輸入が減ります。その減った分は日本社会全体の収入になります。
もちろん、イレギュラーなケースの資源枯渇対策にもなります。政治リスクや、投資による不安定さが解消されるのですね。
このリサイクル料金によって、発生するリサイクル全ての経緯を、一つの商品として認めるのなら、実質国内総生産がそれだけ増えた事になります。含めないのなら、得られる資源分以外は名目国内総生産になります(具体的には、もっとややこしい計算が必要になりそうですが)。ま、こんなのはどう解釈するのかって問題なので、それほど重要ではありません。
もちろん、これは“リサイクル”という仕事が増える事を意味するのだから、それだけ雇用が生まれます。つまりは、雇用創出の手段でもある訳ですね。失業率が高い今の社会では望まれる試みでもあるのです。
この発想、共産主義的なものと勘違いされそうなので断っておきますが、資本主義でも共産主義でもありません。リサイクル業者を定めず、市場で自由競争させるのなら、それは資本主義的になり、国がリサイクル業者を定めてしまうのなら共産主義的になるからです。僕は資本主義的な方法を執る事を薦めます。国の関与が強くなれば、不正が生まれる可能性が高くなりますし、技術発展も資本主義的な方法の方が望めるからですが。
最後に、農業でのリサイクルの話を。
日本の下水道にはリンが膨大に存在しています。このリンは、「窒素・リン酸・カリ」といって、肥料の三大要素の一つですが、資源枯渇によって、やがては大量には輸入できなくなると言われています(実は、既に大きな問題になっています)。
この下水道に埋もれるリンも、都市鉱山の一つに含めるべきでしょう。
そして、ここで述べてきた方法によって、そのリサイクルは可能なのです。更に今まで説明してきた通り、人件費をほぼ全てリサイクル料金で賄うのなら、かなりの低価格で農家や農業法人に肥料を供給する事が可能になります。
これは、農業を助ける、という意味でも是非とも実施すべきではないでしょうか? 或いは真っ先に取り組むべきかもしれません。
僕は日本に限らず、様々な国と地域の農業は優先的に保護するべきだと考えています(もちろん、ただの保護ではなく、産業として強く成長させるという意味を込めていますが)。何故なら、これから先、地球規模の気候変動が起こっていくと予想されていて、そしてもし各地域の農業を滅ぼし、一部に固めてしまったなら、気候変動による気候災害によって、世界中が飢える事態に陥りかねないからです。リスクを回避する為には、できるだけ農業は各地域に分散させておくのがベストのはずです。日本の農業を滅ぼしてしまったら、気候災害が起きた地域に、日本が食料援助する、なんて事も行えなくなります。
土地の狭さ以外では、日本は非常に農業に適した環境にあります。海に護られているお陰で、気温が比較的安定し(水は保温効果に優れているからです)、水分が豊富に供給されます。また灌漑設備も十分に整っている。つまり、日本は他の国ほど、気候災害の影響を受けない可能性が高いのです。その為、小さいながらも緊急時の食糧供給の役割を担える可能性が大きい。これは世界の他の国々にとっても、重要な役割の一つになります。
もし、自由貿易に踏み切るのなら、この点も踏まえて各国に理解を求め、農業を強くする期間をもらうべきでしょう。もちろんその手段の一つに、今回のリンのリサイクルも使えます。
最後に、少し話が逸れてしまいましたが、以上で今回は終わりにしたいと思います。
農業を復興させる話を書いてみたいと思っています。
他にもアイデアあるしで。