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三題噺もどき5

夏祭り

作者: 狐彪
掲載日:2026/08/25

三題噺もどき―きゅうひゃくにじゅうご。

 




 風がごうごうと吹いている。

 今日は一段と強く吹いている印象がある。

 これだけ強いと、スカートなんて意味も持たない。

「……」

 ただでさえ自転車を漕いで風を受けるような形なのに。

 その上で風がこれだけ吹いているのだ。

 いくら抑えようと限界というものは何にでもある。

 すれ違った猫は、風で毛が逆立っていた。

「……」

 今月に入って風が強くなかった日なんて、そうなかった気もするけれど。

 だからその対策には慣れつつあるが、この風の強さは少々難ありという印象だ。

 ……まぁ、家の中に居るので関係ないのだけど。

「……」

 窓の外から入り込む光は、あまりにも眩しすぎて直視できない。

 反射して天井でキラキラと揺れている。

 扇風機を回しているから、レースカーテンが動くんだろう。

「……」

 徐々に曇り始めたのか、その光は少しずつなくなっていく。

 夕方辺りから雨の予報が出ていたけど、降るんだろうか。

 最近は降っても一瞬小雨が降る程度だから、たいしたことはないんだろうけど。

「……」

 ソファに寝転がって、ぼうっとテレビを見ていた。

 頭だけをテレビに向けて、身体は仰向けだ。

 首が痛くなってくるけれど、その時は少し天井を見上げれば問題はない。

「……」

 昼間のこの中途半端な時間にしているテレビなんて。

 あまり面白みはないのだけど。

 これを見ているなら動画を眺めていた方がいくらかマシに思える。

「……」

 けれど、そんな気分にもなれないから。

 意味もなくこうしてゴロゴロしてテレビを流しているのだ。

 今は、全国のお祭り特集とやらをしている。いつかの再放送だろう。

 この8月の末にしたところで意味のない内容ばかりだから。

「……」

 どれもこれも、開催が終わっているものばかりだ。

 小さな祭りから全国的にも有名な祭りまで。

 この国はお祭り好きだよなぁと、この時期になると思う。

「……」

 かく言う私も、夏祭りには行くので何とも言えないのだけど。

 初めてあの子と行った今年の夏祭りはとても楽しかった。

 お互い、浴衣や甚平じゃないあたりらしいなと思ったが。

「……」

 人が混み出す前の、賑やかになりだす前の、ほんの少しの時間だったけど。

 真っ白なワンピースに、長い髪をポニーテールにまとめて。

 いつか見せてくれた向日葵のイヤリングもつけていた。

「……」

 歩き易さを重視して、高さのないサンダルを履いて。

 それでも私より身長は高い。……私はチビな方なので。

 ラフと言えばラフな格好なのに、綺麗で清楚で夏の青空に映えるのだから、不思議でならなかった。

「……」

 その恰好で、たこ焼きをアツアツと食べたり。

 かき氷の冷たさに頭を抱えたり。

 キャラクターのお面を頭につけたりするから。

「……」

 唇の端にソースがついて、それを舐めたり。

 シロップで青く染まった舌を、ちろりと見せたり。

 一口、と口を開けて待ったり。

「……」

 その後も学校で普通に会っているのに、なんか不思議な時間だった。

 それまであまり遊んだりはしなかったのもあるんだろうけど。

 間違いなく、夏の一番の思い出になった。

「……」

「……」

 暑さで頭が働いていないのか、ぼうっとしすぎた。

 さすがに耐えきれないので、部屋に戻って冷房を付けて勉強でもしよう。

 そろそろ妹たちも帰ってくる時間だし。

「……」

 テレビから、賑やかな掛け声が聞こえてくる。











 お題:雨・猫・お祭り

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