葬重棺
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか!??」「すみません!お客様の中に…」「お客様の中に…」「お客様の中に…」「お客様の中に…」
あちこちで聞こえるCAさんの声。
僕は飛行機に乗っています。
ひゅー… ひゅー…
息ができないほど胸が苦しくて痛い。
両親は僕の汗をぬぐい心配そうにしています。
医者と看護師が1人ずつ僕のもとに来て、
「気胸だ!」「ドレーンが要る!」とか難しいことを言っている。
ひゅー… ひゅー…
息が吸えない…、、苦しい…
そこで僕の意識は途切れました。
長い時間が経ったようなあっという間だったような、、
目を覚ますと病院で寝ていました。
僕の周りにいた5~6人の見知らぬ大人達が物凄く驚いた表情をしています。
僕が乗っていた飛行機は事故で墜落したようで僕以外の190人は全員亡くなったと聞きました。
お父さんとお母さんも亡くなっちゃったのか。
最後の顔はどんな表情だったのかを思い出せません。
何であんまり悲しくないんだろう?
色々な大人から飛行機の上で何があったかを聞かれたけど僕には何も分かりませんでした。
両親を失った僕は祖父母に引き取られました。
祖父母は最初は両親を亡くした僕にとても優しくしてくれたけど、、
姿かたちは孫である僕なのに
利き腕も違う、
性格も違う、
視力も違う、
名前だけが一緒の僕に恐怖するようになりました。
そういえば、、、
僕も大好きだったお爺ちゃんとお婆ちゃんの記憶が曖昧だなぁ。
夢の中で会った事がある人…みたいな感覚。
190人の中で僕の体の中に避難できたのは
何人いるんだろうね?
ひゅー… ひゅー…
はー… はー…
ふー… ふー…
すー… すー…
ぜー… ぜー…
ふっ… ふっ…
…
…
…
…




