25(sideエンディオ)
「バンデラの花が国の指定する毒花になったそうですね」
「あぁ。そのようだな」
「イリーナ様の慧眼には助けられてしまいましたね。まさかあの不審死事件がただの飴で起きていたなんて」
「そうかもしれんな」
「エンディオ様。適当に返事をしないでください」
ナテラはイリーナの事がそうとう気に入っているのか事ある毎に彼女の話をしてくる。返事が適当になってしまうのも仕方がない事だ。
あれから魔術局と医務局が不審死の原因を突き止めた。
バンデラの花と呼ばれる花の効力で人によっては酷い中毒症状が出てしまうらしい。このことは大々的に新聞に取り上げられたため、今やバンデラの花の危険性を知らないものはいないだろう。
例の飴を販売していた店舗も悪意は無かったとして、厳重注意と販売中止で済んだらしい。
「不審死が流行病などではなく良かったというべきか」
「そうですね。ところでどうです?イリーナ様は閣下のご婚約者に相応しいご令嬢とお見受けしますが」
またそれかとエンディオは不快を通り越して呆れていた。ナテラのイリーナ推しは今に始まったことではない。
「またそれか。だからありえんと言っている」
そもそもエンディオには結婚したいと言う気持ちが全く無かった。
世継ぎは必要であるとは分かってはいるが、それこそリーガルのようなレイトン公爵家に縁のある子を養子に取ればそれで事足りると考えていた。
「やはりリーガルはうちに欲しいな」
「また。養子を取らずとも結婚すればいいではないですか」
ナテラは優秀なのだがこの件に関してだけは意見が合わない。
「女など煩わしいだけだ」
「そんなことを言っている割にはイリーナ様とはいつも楽しそうにお喋りしているではないですか」
「……」
確かに百歩譲ってあれと話すのはそこまで苦痛ではない。彼女の話は興味深く、エンディオを楽しませようとしているのがありありとわかるものだった。
だが、それだけであって恋愛感情が出てきたりということは断じてないといえる。
「エンディオ様。うかうかしているとせっかく相性の良さそうなご令嬢を他に取られてしまいますよ?」
「だから別に私は彼女に気持ちがあるわけではない!」
つい大声が出てしまった。ナテラはポカンとしている。エンディオはこほんと咳払いをすると話を無理矢理目の前の書類に持っていった。




