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「いつまで寝てるんですの?このすけこましは」
そう言って茶器を片付けるのはミーチェだ。彼女はシェンに対しても辛辣で、いつもスケベだの変態だのとのたまっている。
「今大事な事をお願いしているところなの。もう少し寝かせてあげて」
「お嬢様。別に膝枕しなくても寝る場所はいくらでもありますのよ?お嬢様はもう少し嫌がってもいいくらいです」
「でも、これが私とシェンの関係だし」
はぁとミーチェはため息をこぼすと同時に、眠っていたシェンがもぞもぞと動き始める。
「うるさいなぁ。またミーチェ?」
「また私で悪かったですわね」
いーっと舌を出すミーチェとシェンは相性が悪いのか顔を合わせる度に言い合いをしている。喧嘩するほど仲がいいというが、この2人に関しては普通に犬猿の仲だ。
「シェンどうだった?」
「んー。よくわかんないけど確かに一定数灰色のオーラを持った人が居たよ」
「一定数?」
「うん。前リーガル探す時に見た時はこんなこと無かったんだけどな。ここ数ヶ月で何か起こってるね」
「何か起こってるって?」
イリーナはシェンの言い回しに不安を覚えた。良くないことが起きているという風にきこえたからだ。
「多分灰色のオーラを持つ人たちって外部から干渉されてああなってると思うんだよね」
「それって、誰かが灰色のオーラを人為的に作り出してるってこと?」
シェンは多分ねと頷いた。
「灰色のオーラってよくよく解いてみると複数のオーラの混ざりあいで発生してるみたいなんだよね〜」
「それって良くない事なんじゃないの?」
「良くないよ。体に合わなければ普通に死んじゃうからね〜」
だからクリスは苦しんでいたのかと納得する。
ということは今王都で流行っているという不審死もオーラ絡みなのではないかと容易に想像が着いた。
「誰かがやばい実験でもしてるって事なんじゃないかなぁ〜なんて。まぁ普通の人にオーラは見えないし、ただの事故って場合もあるけど。ボクがわかるのはこれくらいかな」
「そう。ありがとうシェン」
「なんか不穏そうだし、ボクもしばらくイリーナのそばにいていい?」
「お願いするわ」
王都を中心にオーラとオーラが混ぜ合わせられる危険な現象が発生している。
それはオーラが見えるイリーナにとって放っておける事件ではなかった。