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屋敷に戻ったイリーナは早速先程のことをシェンに相談しようとシェンを呼び出す。
シェンとイリーナは契約で繋がっているため、心の中で呼びかけるだけで意志を伝えることが出来る。
(シェン、聞きたいことがあるの。私のところに来れる?)
すると、イリーナの周囲がキラキラと輝きはじめ光の粒が1点に集まる。輝きが増し、人の形をとってきたと思うとパンっと弾け、灰色髪の少年――シェンが姿を現した。
「やほやほー。どうしたのイリーナ。また新しい子でも見つけた?」
「違うのよ。少し聞きたいことができて」
シェンがぽすんとイリーナの隣に座るとミーチェが用意してくれていたお茶に手を伸ばす。今この場に彼らはいない。シェンに話があるからと外して貰ったのだ。
イリーナが特別なオーラを見ることが出来るということは彼らに伝えているのだが、やはり見えないものの話をされてもつまらないだろう。
「シェンは灰色のオーラって見た事ある?」
「灰色?黒とかの見間違いじゃなくて?」
「ええ。ちょうどあなたの髪色のような灰色よ」
シェンは少し考えてから、覚えが無いと首を振った。
「灰色のオーラを見たの?精霊が新しく祝福を施したならボクが分かるはずなんだけど」
「そうなの。しかもね、普通のオーラと違って、パチパチって弾けてたの」
「弾けるってどういうこと?オーラがそんな風になるなんて見た事ないよ」
「そう。シェンなら何か知ってるかもって思ったんだけど……」
当てが外れてしまった。イリーナはシェンに今日見たことを話してみたが、不思議な現象のオーラはシェンも見た事ないような代物だったらしい。
「ボクも知らない現象だなんて興味あるな。ねねっ。その人に会うことは出来る?」
「ごめんなさい、名前は聞いたんだけど何処で何してる人かは分からなくって」
「そっかー残念」
シェンはそう言うとごろんとイリーナの膝に頭をのせる。膝枕だ。
昔からシェンはこれが好きでよく膝枕をしてあげていた。
何故膝枕が好きなのかについてきいたことがあったが、本来の姿の本能だと返された。
「この辺のオーラをいっぺんに探ってみるよ。何か分かるかもしれないし」
そう言うとシェンは、イリーナの膝の上でうとうとと眠り始めた。
シェンにオーラを探ってもらう時はいつもこの状態になる。
さらさらのシェンの髪をいじりながらイリーナはシェンが目覚めるのを待った。