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女尊男卑あべこべ世界の男女比7:3(3.9)の世界で生きる。アイドル業をアンドロイドと共に

作者: リーシャ

 特になにかやりたいこともなく、鬱々とした日常を過ごす。時間だけが無意味に経過するだけ。

 私のような人間も少ないない。自分に価値を見出せなくて、燻っている。替えの居る存在。それが、特にやる気という名のエネルギーを奪い取っているのだと思う。


 そんな鬱屈とした日々が変化したのは、なんの変哲もない朝。いや、朝と言ったのは目を覚ましたからであって、なんの空間かさっぱり変わらない場所で目が覚めたから。

 こういうの、ドラマとかでみたことある。天国ってやつ。


「こんにちは。人の子よ」


 なんというか、独特な言い回しをする人だ。何故か男が女かわからず、姿も分からないのに違和感なく相手を受け入れられる。


(なんで、こんなところに寝てたんだろう?寝落ちたのは分かるとして)


「ここは天国、の近くにある私の部屋みたいなところ」


  (天国!?の近く?それは天国とは違うのかな)


「初めまして、人の子。私は貴方の教えの中の存在でいう神の柱の一つ」


「つまり?」


「ふむ。神のカケラといった存在です」


「ご本人でなく?カケラなのですか?」


「ええ。カケラです。数多ある神の仕事は割り振られており、私は転生の仕事を請け負っております」


「外注なんですね」


「そうですね。異世界転生に興味はありませんか?」


「い、異世界?セオリーとはいえ、言われたら結構びっくりしますね」


「まだまだ説明は続きますので、まだ決まらなくて大丈夫ですよ」


 説明が始まった。異世界は異世界でも、この地球とは別ルートになった世界、パラレルワールド。おまけに男女比が偏り男7:3という。


「いや、その割合。滅んでますよね?」


「いやいや、大丈夫。緩やかに減って行くから、君の時代ではなにか大きなことは起こらないよ」


「滅ぶの確定ですか」


「でも、君には関係のないずっと未来の話です。気にしなくても良い。なにも出来ることはない」


(あるとしたら数百年後とかになるのかな)


「私をなぜその世界に?」


「君のいた世界に一番近い世界だからだ」


「納得!異世界ファンタジーを進められるよりも現実的です」


 その世界は女性が少なく、女性は大切にされる方の世界。倫理的にやばい世界は行きたくないから、安心した。


「好きなように過ごすと良い」


「あの、その世界のこと、分からなくて」


「ちゃんと相棒をつけておくよ。アンドロイドだ」


「そっちの世界って私の居た世界より科学が進んでますね」


「そうだよ。かなり進んでるね」


「人口減少の理由って、まさかアンドロイドのせいですか?」


「いや、昔に女性を死に至らしめる病が襲って減少してしまったせいだよ」


「こちらとは違う史実が出来てますね。その、行きたいと思います」


「ありがとう。他の人たちにも募ったりはしているのだが、やはり自分の生きていた方で生まれ直したいと望む人の子ばかりで」


「それはそうですよ。神のカケラさんも出来るならここにい続けたいって思いませんか?」


「うーん。考えたことなんてないから、分からないな」


 神のカケラは意外に人間っぽい。神のカケラが私に向けて、送り出す準備をする。


「聞きたいことがあるのならアンドロイドに聞いてね」


「ハイ」


 ふわりふわりと視界が薄くなって行く。神のカケラさんが手を振るから、私も手を振り返した。


 赤ん坊ゼロ歳児からスタートしました。アンドロイドはボディーガード型のアンドロイドで、神のカケラさんのこともちゃんと知っており、私が異世界に転生したこともちゃんと把握していた。

 女の子なので凄く凄く、大切にされていた。死なせないように万事世話係が居る。こんなふうにちやほやされて育ったら、世の中の女性たちがどう育つのか察してしまい背筋がゾッとする。

 もう少し普通に育ててはいけないのだろうか?


「お嬢様、アーンしてください」


 アンドロイドに足されてアーンする。


 このアンドロイドさんは私のアンドロイドではなく、この施設のアンドロイドだ。私の他に女の子は居ない。1人でこの大きい施設を使えるという破格の扱い。


 女の子は皆んなで育てようという方針らしい。5歳の私はスクスク育ち、10歳になって、むくむくとなにかをしたい衝動になる。というわけで配信者になることにしました。

 いやまあ、前に12歳の子と面会させられたんだけど、絵に描いたような我儘姫だった。


「わたし!それがほしい!」


 2歳年下のアンナから無慈悲におもちゃを強奪しようとする姫に、周りはダメですよと注意していたがわたしは許さずの精神で弾丸の如き反論で、お姫様をギャン泣きさせた。


「ぎゃおおおんんん」


 これは、アンナの隣から聞こえた鳴き声だ。害獣かと思った。耳が壊れるかと思ったので、お姫様の方を箱で隔離した。みんなが慰めるからこうなるんだよね。


 男女比が偏るのってこういう人が大人になった時に問題が起こるからでは?と思わざるおえないよ。人格に問題があるのは見ていてわかる。

 見ていなくても世の女性達が大問題なのは察した。アンナはさすがに育て方に問題があるからこうなるのだと思い、どうしようかと策に悩む。どうにかこうにかしたいが、女優先、女の権利が強い世界では難しい。


 ということは、自分から動かねば。女は少なく男は多い。アンナは女社長になり、幼いながらも男のアイドルを作ることにした。依存先をそちらに向けてもらえれば、この停滞した世界を少しでも動かしていきたい。


 選抜用にまず会社を作る。女という肩書きは子供だろうと協力だった。なんとか、アイドルを作るために面接を行うことをまず成し遂げないと。

 男たちへ広告も兼ねて動画を作り、一番の視聴率を取れる女という立場を使いアイドル募集をする。すると、アイドルとはなんだろうという層が送ってきた。あと、女を見たい層。


 アンドロイドのロイドが、色々用意してくれる。名前は安直かもしれないが、アンドロイドに名前なんて初めてつけたから勝手がわからない。仕方ないと諦めて欲しい。文句なら上に行って欲しい。


(一応集まったらいいけど、ここから……ふるいにかけなきゃいけないのか)


 自分にはかっこいい人や才能を見分ける目がないので、選定に苦心。誰か代わりにやって欲しい。アンドロイドを見ると、はっと気づく。彼にやってもらえば良いのでは?


 ナイスアイディアだ。そうと決まれば、己はロイドに命令する。命令と言っても、仕事である。ちゃんと休憩もお金も、アフターフォローもする。同じ待遇で任命するので、安心してほしい。


 人間と差なんてつけない。アイドルの卵たちは、嬉々として自分と対面しアピールしていたが、今日はそんな場ではない。


 幼女にアピールはしないでくれ。そういう価値観も乖離している。幼女に大人がモニモニしている顔を見られると苦笑するしかない。

 乗り切らないと、この世界では生きていけないのだろう。我慢我慢。アイドル計画のためには。


(ここまでで、かなりぐったりしたよ)


 精神面に疲れが出た。しかし、踏ん張らないと。女社長として。アイドルを絞っていき、活動をさせていけば男の世界なので男の人たちのファンばかりではあるが増えてきた。


 女の割合は息をしてないので放置。例え悪評を流されても、幼女の自分が涙ひとつ流して事実無根を訴えればあっという間にメディアはアンナの味方になる。

 真似をする人も出てきたが、アイドルというマーケティングにおいて今までなかった分野に勝てる秘策でもない限り、うまくいかないと思う。


 自分的には、アイドル業にだってライバルがいれば、それはそれで美味しいのだけど。他者のアイドルという比較がいれば、己の会社のアイドルの洗練された姿が映えるし。


「社長、お時間です」


 秘書もしているロイドが、声をかけてくる。


「うん」


 頷いて椅子から降りて、朝の牛乳をゴクゴク飲みぷはあー!と意気込む。


「よしっ。今日もやるぞぉ」

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