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黒猫の俺

 ぺちん

「ッ・・・!つめた」

 俺が着地したのは石畳の場所だった

(小窓から見たときは森だったはずなんだけどな)

周りは緑なんて一切ない。建物が隙間なく並ぶ場所だった。森というより・・街?


 俺がいた家は・・・


 え


 振り返るとそこには、大きい噴水が建っていた


 俺が今までいた家はどこに行ったんだ・・・?


 ぶんぶん首を振る。冷静だ。大丈夫

少し歩くか...


 お、お?おー!!!

エルフ!?ドワーフ!!きょじん!??

なんだこれ、異世界のアニメに出てくる種族全部いますみたいな街


 ここってやっぱり異世界なんだな…じゃあ俺って…転生者…なのか?

なんでよりによって猫に転生なんだ....チート持ち勇者とかに普通転生するんじゃないのかよ


 でもでもでも

ここで可愛いお姉さんに拾われて、まったりのんびりスロー猫ライフなんてことも夢じゃないな…

ああああ夢が広がる

 前世の人間の時は容姿のコンプレックスから女の人が苦手だったけど、今の俺は猫!!

猫が嫌いな女の人はいないはずだし、、、


 頑張れ井上真!もう俺は過去の井上真じゃないんだ


 (ねぇあれ)

 (え やば)


 ひそひそ声が聞こえる。俺のことか?エルフの男と人間の女の子みたいだ

俺の方見てるし、周りを見渡しても後ろにあるのは建物。俺しかいないか

 俺がアニメとかで見ていた異世界とはやっぱり違うよな、、エルフと人間が一緒にいるし

ドワーフとエルフって普通仲悪いイメージだけど、この世界は仲良く歩いてるもんな


 てか巨人が普通に街中に居るのに皆驚いてないってことは、この世界だと当たり前のことなのかな


 (ねぇ離れた方が良いよ)

 (俺初めて見たわ)

 (ままぁーみてーあの猫さん (だめ!早くいくわよっ!!)


 猫さんって俺だよな。なんでみんな俺のことをそんな目で見るんだ?

まるで初めて猫を見るみたいな目。こんなに色んな種族がいるのに、猫が珍しい生き物なのか?


 困る困る。珍しいからって煙たがられたら、俺のスロー猫ライフが出来ないじゃないか…

ここはとりあえずさっき練習した最大級の可愛い猫ポーズして、イメージ払拭するか・・・


 トットットッ

軽い足取りで、一番最初に俺のことを見ていたエルフと人間の女の子の2人組に近づく

なーーんか大分顔が引きつってるな・・・まぁこの顔見たら笑顔になるか・・


 にゃぁん


 キマッタ。めちゃくちゃ可愛い声出た。

2人の反応は・・・っと


 「「・・・・」」


 そこはキャー可愛いって頭なでなでコースだろ。なんで真顔沈黙なんだよ。


 「「ぎゃぁああああああああああああああ」」

 「「きゃあああああああ うわああああああああああああああああ」」


 歓声?いや違う。これは悲鳴の方か。

しかも2人組だけじゃない。周りで様子をうかがっていた街の住人がみんな揃って悲鳴を上げて走り去って行ってしまった。


 あんなにいろんな種族が歩いていた道には誰もいなくなっていた


 (なんでだよ。猫は可愛い生き物だろ・・・)


 俺の見た目ってこの世界だと化け物かなんかなのか・・・

足元の石畳の割れ目をじっと見つめる。これからどうしよう。どう生きていこう。まず猫って何食べて生きていくんだ。

 頭が不安でいっぱいになる。ジワァと涙が出る。


 (第二の人生でも俺は独りぼっちなのかよ)



 「1・2」「「「「1・2」」」」

 「1・2」「「「「1・2」」」」


(地響きと…人の掛け声??)


 ズンズン音が近づくたびに、地面から近いおれの体は小刻みに揺れた。次第に声が大きくなると歩道の奥から銀色の兵士のような鎧を着た集団がやってきた。

 20人くらいか?この街の兵士だろうか。


 (この化け物が!!今すぐ街から出ていけ!)

 とか言われるんだろか‥‥あぁ心が痛い。


 「1・2」「「「「1・2」」」」


 円を作り俺を囲った。


 「とまれーーーーーーー!」

1人他の兵士とは見た目が違う人がいる。胴体に赤い線が一本入っている。この部隊の隊長のようなものだろうか。

 隊長さんが止まれと掛け声をすると全員が直立姿勢で止まった。


 (すげぇ。これ練習してるんかな)


 「構えーーーー!」


 (え?構え?)


 掛け声と同時に四方八方俺を囲んでいた兵士が、俺に剣を向けた。

剣なんて人生で初めて見る。剣の先端が俺の目の前にある。俺が少し顔を前にやったら入るんじゃないかってほど。

 先端恐怖症の人ならきっとこれでイチコロだ



 スーーーーーーー

隊長らしき人が大きく息を吸う。


 「我らスノードロップ王国の平和を守る兵士。貴様のような悪魔をここで排除する!」


 (悪魔?はいじょ? 排除ってなんだ?追い出すじゃなくてか?ここで殺しますよーって宣言してるのか?)


 どうしよどうしよ

おれなんかしましたか?

初めまして。前世は32歳の人間やってました井上真というものです。

今は猫に転生して右も左もわからない生まれたてほやほやなんです。俺は誓って人を襲ったりしたことないし、これからもしないし


まずは対話をーーー!!


って俺猫やないかい!



 「やれー!」



(あ これ死んだわ。俺の第二の人生終了。こんにちは第2の人生。そしてさよなら猫ライフ。)




 井上真(黒猫)は目を閉じ二度目の人生の死を受け入れたのだった




今週続き投稿します

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