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プロローグ

初めての投稿です。よろしくお願いします。


_______プロローグ


 「おつかれさまでしたー」

今日の労働も終わりか…と更衣室で一息つく。時給980円の24時間牛丼チェーン店でフリーターとして働いて早6年。

 周りは就職や進学を理由にやめていってしまった。真はいつの間にか古株と呼ばれるほどの勤務年数になっていた。やめようと思ったらいつでもやめられる。これが彼の口癖だった

 就職なんかして社会の歯車になるのは嫌だなー。と後輩にヘラヘラと言っているが、「あんなおっさんに就職が出来るわけない」・・・と 陰で馬鹿にされているのは彼も自覚している。


 「井上くーーん これ今日の廃棄だけど持ってく?」

 井上の1周り以上上であろう男が牛丼の入った袋を渡してくる

 「店長いつもありがとうございます。いただきます」

 軽くお辞儀をして受け取ると、店長がニヤニヤしてこちらの顔を見てくる。あぁいつものやつか、、


 「みんなさぁーもう牛丼は食べ飽きましたぁーなんていうからさぁーー。井上君なんて6年も食べてるんだぞーってみんなに言ったら、毎回笑ってくれるんだよねーー。あ、これ鉄板ネタねーははは」


 渡した牛丼をチラチラ見ながら言ってくる。毎度毎度のことなのでもう苛立ちも何もない


 そもそも自分だって牛丼を食べ飽きているし、別に食事を買えないほどお金がないわけでもない。

ただ言われたら断れない性格なので、6年ももらい続けているのだ


 「あはは。いつもすいません。ありがとうございます」

へらへらしながら店を出ていく・・・・ここまでが俺の勤務内容だ。



 消えたいなぁと心の中でいつも考えているが、死ぬ勇気もなく・・・ただ何となく毎日を過ごしている。



 光るネオン街の一角にある牛丼屋に努めているため、俺の帰路はいつも足早になる


 「絶対また来てくださいねーー♡♡」まるでお姫様のようなドレスを着た可愛い子が俺より10歳・・・

いや・・20以上は上のサラリーマンの腕を組みながら猫なで声を出している

  

 「あ」

 目が合ってしまった・・。すぐに目線をそらし急ぎ足で歩く


 「す、すいません」

 「きぃつけろよーーにぃちゃん、俺はつえーんだぞー」酔っ払いにぶつかってしまい転びそうになる


 何度も頭を下げその場を離れるが、予想外のアクシデントに俺の心臓は早くなっている

こわいこわいこわいこわい。酔っ払い怖い。俺普通に歩いてたのに、急に目の前にくるとか避けれないって!!


 「はあぁ・・・やめたいなぁ」

人がいない路地に入りポツリとつぶやいてしまう


 何もかもやめたい。バイトも、生きる事も何もかもだ。周りの人みたいに友達もいないし、家族もいない、恋人もいない。あと何年この生活を続けていくのかわからない絶望の中に毎日いるが

今の生活を変える気もない。


 何がしたいんだろうな。おれ



 歩いている足がガクンと下に下がる。「うわぅぁ」

情けない声を出しながら後ろに尻もちをついてしまった。恥ずかしい・・辺りに人がいないのを確認し安堵する。


 「よかったぁ・・・  ん?」


 なんか今いたような


 にゃあぁ



 「ねこ?」


 足元には、真っ黒い毛に緑色の目をしている"黒猫"


 おれの地元じゃ黒猫は不吉の象徴だから煙たがられてたんだよなぁ。撫でてもいいかな…

 

 周りに誰もいないことを再度確認し

「こっちおいで。よぉしよし。かわいいなぁーーお前も一人なのか?」

裏声で話しかけている為、今の僕を誰かが見たら好奇な目で見られるに違いない。

でもそんなのはどうでもいい。人肌恋しい…ではないが、俺だって癒されたい。ぬくもりを感じたい


 俺の手に頭をすりすりしながら時折「にゃぁ」と鳴く猫に骨抜きにされていた。


 さっき目が合った女の子に触るか、この黒猫に触るのどっちがいいですか? と聞かれたら即答で俺はこの"黒猫″と答えるね。うんうん



 にゃ と黒猫が俺の持っている袋を触る


 「ん?これ?お腹が減ってるのか…ほら 食べていいよ。おれは食べ飽きてるから」

   ・・・ってこんなこと言っても伝わらないか


 袋から牛丼を取り出しプラスチックの蓋を取ると、"黒猫"の前に置く

 にゃにゃと言いながら牛丼を食べ始める。尻尾が左右に揺れている


 次第に食べるスピードが速くなる


 ≪ムシャムシャ…ガツガツ≫


 すごい食いっぷりだな。よっぽどお腹が空いてたんだな


 ≪ムシャムシャ

  ガツガツムシャムシャ≫


 あんまり食べている最中に頭をなでるのはよくないって聞くけど…


 そっと"黒猫"の頭に手を伸ばす。食事に夢中で俺の手には気づいていない


 俺の手があと1mm で頭に触れそうなとき。


 いや・・・・・・もう触れていたかもしれない



ドン?いやグシャ?のほうが正しいのかもしれない。鈍い音が聞こえると黒猫が頭を上げていた。




"黒猫"??   

      いや     顔が真っ赤だ



((((え))))


声も出なかった。いろんな言葉が頭を駆け回る


あれ"黒猫"に触ろうとして・・・ 

なんだっけ。そうだ・・右手を頭に近づけて…いやそんなことより熱い。

俺の右手が熱い。ピリピリしてきた。痛い熱い痛い熱い。感情が交互にくる




痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

右手が痛い


いや______俺の右手が____ない。


そうだ。食べられたんだ。なんで。



どうして・・・・・




≪ムシャムシャ≫

租借音が頭の裏側まで聞こえそうなくらい大きく聞こえる。


たった5秒まえまでは自分の体の一部だったものをムシャムシャと貪る黒猫の姿をしっかりと確認し


井上真の意識はぼやけ、地面に倒れこんだ。





黒猫は毛繕いをしている。食事後の習慣なのだ。

ペロペロと2・3度前足を舐め、顔の血も拭き取ると

目の前で倒れている真に近寄り


『軟弱だな』と言い放った



黒猫が喋っている。とんでもない光景なのは意識が遠のいていく中でも理解できた。

夢なんかなこれ・・・やばいなぁ。てか右腕喰われて倒れたら軟弱って・・


夢だよなこれ…



明日もバイトだ

目覚ましかけないとな・・・



          と目を閉じた。






こうして井上真は完全に意識を失った。いや死んでしまった。





それも違うか…





___________井上真は転生した_____




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