表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/74

ご招待、初田さんちのまかないごはん。肉じゃがとおにぎり②

 昼になり、休憩の札を下げて初田家に向かった。

 住居部の玄関から訪問すると、ネルが出迎えてくれる。


「いらっしゃいアリスさん。もうすぐできるからあがって」

「おじゃまします」


 ダイニングキッチンに入ると、エプロン姿の初斗が会釈する。


「アリスさん座って。いま仕上げをするので」

「先生が作ったの? ていうか先生って料理できたの?」

「ああ、わたし、料理できないと思われていたんですね」


 アリスの父は料理をしない人だったので、アリスの中では料理をする男性の方が珍しい。歩が料理できるのはまあ意外ではないとしても、初斗の方は意外だった。


「にいさんの料理はおいしいんだよ。私、高校の時は全然料理できなくて、にいさんに作ってもらっていたから」

「意外」

「練習したから、今はちゃんと料理できるようになったよ」


 お弁当箱につめて、いつも歩と来ている公園の広場にシートを広げた。

 おにぎりと肉じゃが、紅茶という組み合わせはちょっと不思議。だけど初田さんちではこれが普通だ。




「わたしの料理が口に合うか分かりませんが、どうぞ、アリスさん。肉じゃがです」

「おにぎりもどうぞ」

「あ、ありがとう。いただきます」


 じゃがいもは形をきちんと保っているのに、箸で押せばほろりとくずれる。ほどよい味で、かみしめればあまじょっぱさが口の中に広がる。薄切りの牛肉にもしっかり味がしみていて、ごはんによく合う。

 例えるならお袋の味を体現したような、そんな優しい味だ。


「おあじのほどは?」


 向かいの席に座るネルに聞かれ、アリスは素直に答える。


「すごくおいしい。あたしもこんな風に作れるようになりたいな」

「それはよかった。これはおばあちゃんから母さんに受け継がれてきた、初田家代々の味つけなんですよ」


 初斗は顔をほころばせ、自分も肉じゃがを口にする。初斗の母もきっと、息子が味を受け継いでくれて嬉しいだろう。

 いつかは初田の子も、この味を受け継ぐんだろうと思える。



「そうなんだ。……うちにもそんな味があったのかな」


 実家にいた頃、アリスは長い間食事をとらなくなっていたので、母の料理をまともに味わった記憶が薄い。

 冷凍食品もいくらかあっただろうけれど、たぶん作ってくれていた。


 もう実家のご飯を食べる機会はこないけれど、これからは誰かが作ってくれるものの味を忘れずにいようと、アリスはひっそり思った。


肉じゃがは家庭によって入れるものが違って良いですよね(*´―`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 肉じゃが、家庭ごとに違う味。実家牛肉使ってました。もちろん、スーパーで安い時にまとめ買いして、冷凍したものとかを使ってました。 よく豚肉か牛肉かで論争してますが、私はどっちでもいいじゃんと…
[良い点] 家庭の味ってありますよねぇ 肉じゃがは意外に難しい。ほくほく加減が。。
2023/07/31 19:14 退会済み
管理
[一言] おふくろの味……ええですなぁ( ´∀` ) だけど、アリスさんは二度と味わえない……切ないぜ(´;ω;`)ウゥゥ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ