そうだ、ピクニックに行こう。外で食べるフレンチトースト②
アリスが出勤する前に使う分だけイチゴをざるにあけ、残りは冷蔵庫に入れておく。
よく洗ってへたを取り、四つ切りにして耐熱ボウルに入れ、砂糖を大さじ1とレモン汁を少々入れて、レンジで温める。スプーンで混ぜたら粗熱を取り、ラップをかけて冷蔵庫に入れておく。
牛乳に溶き卵と砂糖、バニラエッセンスを混ぜて、食パンを浸す。これもまた冷蔵庫で保存しておく。
店を開けてからは蜻一がシーシャフレーバーを買いに来たり、新規のお客様に案内をしたり、忙しく過ごした。
「はー。今日は平日なのに、いつもよりお客様が多かったですね。どこかでイベントでもしていたのかな?」
「かもしれないわねえ。こんなにいい陽気なんだもの。今朝はどこかの幼稚園が遠足に出るのを見たわよ」
ショーウィンドウ越しに差し込む日差しも暖かで、絶好の行楽日和。
「じゃあアタシたちもピクニックしましょう」
「ええっ!?」
「そこの公園にある広場でお弁当を食べたら気持ちいいと思うのよね」
「それはそうですけど」
「下ごしらえはもう終わっているの。焼くだけだから簡単よ」
アリスの背中を押して、さっそく調理に取りかかる。
熱したフライパンにオリーブオイルをしいて、卵液に浸した食パンを両面じっくり焼き上げる。
切り分けたらクッキングシートを敷いたお弁当箱に入れて、イチゴソースとクリームチーズを添える。
冷蔵庫に入れておいたイチゴも、洗ってへたを取り、ミニピックを刺してデザート用小箱に入れる。
レジャーシートとバスケットを抱えて、いざピクニックだ。
「あたしこんなかわいいお弁当初めてかも」
「ふふふ。晴れた日に外でお弁当って気分アガるでしょ」
公園はまばらに人がいる程度で、シートを広げてお弁当を食べる余裕は十分あった。
桜は散ってしまっているけれど、木漏れ日は暖かで時折吹く風が心地いい。
アリスはフレンチトーストをひとくち食べて笑顔になった。
「おいしい。このイチゴ、フレンチトーストによく合うね」
「これは初斗からお裾分けでもらったの。ソースにしたけど、そのまま食べてもおいしいのよねえ」
「本当だ。すごく甘い!」
二人でお弁当を広げていたら、遠足の園児たちがよってきた。
「おねーちゃんたちもえんそくなの?」
「どこのくにからきたの?」
歩もアリスも本日はチャイナ服。見慣れないこどもたちには、知らない国から来た人に見えるようだ。
「不思議の国から来たんだよ」
歩が冗談半分で言うと、こどもたちは「いいなあ。ふしぎのくにいきたい」とはしゃぐ。
久しぶりのピクニックはとても楽しくて、これ以降たまに公園で食べるようになった。
フレンチトーストはお好きなフルーツソースで召し上がってください。( ・ิω・ิ)





