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異次元世界征服〜ユグドラシルと五つの世界〜  作者: 鶴山こなん
第一章  全ての始まり 『現代編』
25/29

〜第20〜 反撃

 あれから二日が経ち、お母さんは骨壺に姿を変えて私の元に帰ってきた。家ではまだ検視が終わっていないらしく、ホテルの一室を借りて時折敵が見つからないか無意識に『千里眼』を発動させたり、度々私の元を訪れる刑事さんからの質問に答えたりして虚無な時間を過ごした。


 そんな日々を過ごす事五日。

 ついに眷属達から一報が届く。

 

 〜念話〜

「主サマ、かの者ラを発見しマシタ」

「どこ、どこで見つけた?」


 眷属達は思っていた以上に優秀だったようで、数ヶ月かかると予測していたものをわずか一週間足らずで見つけてくれた。私は瞬時に念話を飛ばしてくれた烏君に『千里眼』を繋げる。すると視界には報告通りあの男が見える。何やら男は隣にいる女と会話をしている様で、二人並んで微笑み合っていた。


 ‥‥人の大事な家族を殺しておいて、よくもそんな風に笑えるな。


 しかし、今ここで感情を爆発させても何の意味もない。何とか二回深呼吸をする事で落ち着きを保ちつつ、しっかりと注意深く視界を覗く。


 あの男は以前、少し覗いただけで私の視線を察知した事がある。それに加えて、彼は他の魔人を涼しい顔で無傷のまま倒せるだけの力を持った強者だ。こうしてカラス君の視界を借りている以上、出来る限り短い時間で多くの情報を得なくてはならない。


 場所は日本。思いの外ここからさほど距離は離れていない場所にいるらしい。彼らは広い豪華な一室で寛いでいる。超高級ホテルと言ったところか。周りには何とも上品な建物が立ち並び、建物と建物の間にオシャレな広い並木道が通っているのが見えた。


 ‥‥‥ん?


 今までこの場所の風景と、魔人である男の方ばかりを注視していたが、よく見れば隣に座っている女に私は見覚えがある。


(優蘭様、彼女は中学生の頃貴方をいじめていた「銀城(ぎんじょう)杏奈(あんな)」ではありませんか?)


 そこまで言われて思い出した。そうだ、彼女は銀城杏奈という同級生で、過去私に毎日のようにまとわりついて来ていたいじめっ子だ。しかし、なぜ彼女があの男と親密にしているのだろう?私は不可解と言わんばかりに首を傾げる。そんな私とは反対にスピリットさんは謎が解けたと言わんばかりにポンと手を打った。


(優蘭様、彼らは兄妹なのではありませんか?ほら、顔と雰囲気がそっくりです)


 スピリットさんの言葉に促されるように私は男と女の顔を交互に見る。確かによく似ている。そういえば以前にもあの男を『千里眼』で除いた時、ふと誰かに似ている気がすると感じた。もしかしたら、その似ている誰かとは銀城杏奈、彼女の事だったのかもしれない。


 そう納得したところで、男が何かを察知し周囲を見回し始めた。私はカラス君が男に手を出されないうちに『千里眼』を閉じる。僅かな時間だったが得られた情報は多い。敵は国内にいて、私がいるこの場所からさほど遠くないホテルに滞在している事。これだけ分かればあとは『千里眼』を使わなくとも場所の特定は容易だ。あれだけ目立つ超高級ホテルはそうそう無い。


 その他で、私が気になった事はこれだ。


「‥‥彼女って、どっちなのかな?」

(どっちとは?)

「彼女は共犯?それとも、ただ男に利用されてる可哀想な子?」


 残る魔人はあの男ただ一人。それは間違いないが、彼女はどうなのだろうか?彼女に関しての情報はほとんど得られていないが、いくつか想定した中で一番嫌なのが共犯説。私のお母さんを殺すことに何の意味があったのかは聞きたくも無いが、男と同じ心情で今回の事件に一枚噛んでいるのであれば見逃すことは出来ない。手を下す愚か者が一人増えるだけである。


 反対に、後者のただ男に利用されているだけの場合は、殺しはしない。色々()()()に、話を聞かせてもらうにとどめておくつもりだ。


(そうですね、私は共犯の可能性が高いと予想しております。少ししか確認出来ませんでしたが、男の純力が彼女と繋がっていたように感じたのです。あの繋がり方は優蘭様が眷属達と接している時とよく似ています。何も知らないと言うのは考え難いかと)

「え、そうなの?」


 場所よりも何よりも重大な事を見逃していた事を知った私はショックを受けたが、スピリットさんが共有してくれて助かった。





 しばらくして、彼らが滞在しているホテルは何とか一箇所に絞る事が出来た。あのジャックだって少ない情報から私を見つけ出してきたのだ。頼もしい眷属達がいる私に出来ないはずがない。さて、彼らのいる場所と現状がわかったのなら、あとは実行あるのみ。


「いよいよだ」

(ついに最後ですね)


 向かうなら陽が落ちて暗くなってから。私にとって、夜間は一番落ち着いて力を発揮しやすい時間帯なのだ。もしかしたら、彼らが眠っている間の闇討ちも期待出来るかもしれない。確実に倒すため、念には念を‥‥一番大事なアレも、安全な所に預けてるしね。


 ‥‥‥‥私は、絶対に勝つ。





 深夜、私は高いビルの屋上で風を読んでいた。一応カラス君との『千里眼』を切ったその後も一定の距離を空けて敵を監視する様に頼んでおいた。今からそのカラス君と合流すべく、飛んで現地へ向かうところだ。私は一つ深呼吸をすると大きく翼を広げ飛び立った。


 現地までの移動時間はものすごく長く感じる。耳は風が通り過ぎて行く鋭い音しか聞こえないし、頭の中は現地に到着した時の妄想で忙しい。睡眠中に奇襲して一撃で終わるのが一番だが、少なくとも敵の格は私と同じかそれ以上。確実に一筋縄では行かず痛い思いをするのが分かっているから胃がキリキリする。そしてもう一つ、男の妹と思われる銀城杏奈の後始末だ。考えるだけで頭が痛い。


 そんなことを考えながら飛ぶ事数分、ようやく廃ビルの屋上にいるカラス君の元に到着した。


「‥‥カラス君、奴はどこ?」

「あそこデス」


 そうカラス君が(くちばし)で指し示した方角に私も視線を向ける。カラス君は私の指示通り、肉眼では微妙に見えない程度に距離を空けてくれていた。私は左目に純力を溜め、望遠鏡モードにして目を細める。後ろのベットでは妹が寝ているが、魔人の男は何やらPCを操作していた。


「まぁ、アイツが何してようが私のやる事は変わらないけどね」


 私は無言で純力を極限まで凝縮した弓と矢を作り出す。そして静かに引き絞ると、怒りを含んだ最大出力を打ち込んだ。


流星の(メテオール・)狩り蜂(ホルニッセ)


 この技は、以前ジャックに放った『 怒りの(イーラ・)制裁(サンシオン)』の進化版だ。技名はスピリットさんが付けてくれた。

 

 鋭い音と共に放った一本の矢は、瞬時に空中で分裂。敵の元に届く頃には千本以上の雨となって敵の頭に降り注いだ。手始めの攻撃を放ち終わった私は息継ぎついでにフゥと息を吐く。あの威力と数、いくら格の高い相手だとは言え、流石に怪我の一つや二つ負ってて欲しいものだが。


 そう思いながら私は再度左目を細める。粉塵が舞っていて見ずらいが、それでも飛んできた攻撃に対応しない訳にはいかないし、何かしらアクションは起こしているはずだ。敵が今どうなっているのか少しでも情報を得ようと前のめりになった。


 ‥‥‥‥次の瞬間。


「ようやく来たわね!この卑怯者っ!」

「なっ」


 いつの間にか私の左から銀城杏奈が突っ込んで来た。現れると共に繰り出された蹴りを私はサラリと躱わす。、彼女の動きは驚くほど俊敏だ、魔人の男に身体強化して貰っているらしい。そして身体の向きを変える過程で視界に映った彼女を見て、私は更に驚きに目を見開いた。なぜなら彼女の背中から魔人の翼が生えていたから。


「あーもぉお!何で避けるのよっ」


 彼女は私に攻撃が当たらず腹を立てている様だが、そんな事はどうでも良い。たった今非常事態が発生したのだ。


 子供の様に地団駄を踏む彼女は傷ひとつ無い無傷。あれだけの攻撃をこんな冷静さの欠片もない女が何とかできるとは思えない。そして何だ、あの翼は?色は白。彼女の右目も魔人特有の青色で不気味な光を帯びている。そして何より、いかにも一目でヤバいと分かるどす黒いオーラ。


 彼女の変わり果てた様子に混乱していると、頭上から重く冷たいものを感じた。私は咄嗟に大きくバックステップしてそれを回避。すると先ほどまで私が立っていた場所に轟音と共に大きな三本の爪痕が作られた。ここが廃ビルで良かった。


「うわっ」

「なるほど、これは確かに骨が折れそうだ」


 バックステップで飛び上がったついでに、ビルの前に伸びている広い並木道に着地する。位置がバレてしまったのならばコソコソする必要も無いだろう。私の後を追うように男と杏奈もその道に舞い降りて来た。


「まさかお兄ちゃんの攻撃も当たらないなんて。ちょっとアンタ!どんなトリックを使ったの!?」


 彼女は着地して早々、私に指を向けながらキーキーと喚き始めた。トリックも何も攻撃の当たる範囲外に出ただけだから仕掛けなんて無い。そんな彼女のことなどどうでも良くて、問題は妹を守るように前に立つ男の方だ。


「君か、僕の妹を怖がらせた不埒者は」

「ん?」


 初対面、開口一番に男はそう言った。しかし、私には全くもって身に覚えが無いので彼が何を言っているのか分からない。私が理解不能と言う代わりに無言でいると、男は苛立たしそうに右目を鮮血色に光らせ言葉を重ねた。


「中学の頃、僕の妹に魔人の力をチラつかせて酷く怯えさせたそうじゃないか」

「そうよ」

「あれ以来、杏奈はトラウマで体調を崩したり、それはもう可哀想な事になったんだぞ」

「そうよ!」


 随分と昔の話だ。あの時は少し威圧して「近付くな」と言っただけで、あの程度の威圧で体調が崩れる程人間はヤワじゃない。男の後ろでは妹がずっとキャンキャン吠え続けているが、そろそろ私の質問にも答えて欲しい。私は、彼女を無視して兄の方に視線を向ける。


「最後の魔人ってあなたですよね。なぜ彼女が魔人みたいになってるんですか」


 すると、彼はさも当然の事を聞かれたかの様に言った。


「君もやってる事じゃないか」

「‥‥は?」

「そこら辺にいる生き物を自分のモノにしているんだろう?」


 それを聞いてピンと来た。彼が言っているのは眷属のことだろう。ここまで頭で考えた所でスピリットさんの話が頭を過った。(男の純力が彼女と繋がっている。私が眷属達と接している時とよく似ている)‥‥まさか。


「自分の妹を眷属にしたのか‥‥?」

「何を驚く事がある?君がやっているのと変わらないだろ」


 そう言われると一見同じ様に聞こえるが、人間とその他の生き物とでは条件が違う。同じ様に考えてはいけない。人間と動物の最大の違いは「人格」があるかどうか。これらは人間以外の動物には無い。


 私の場合動物を眷属にする際、頭空っぽ状態の対象に「人格」の要素を入れる事で、人間に近い個性を与えて目覚めさせる。だから私の眷属達は皆、なんの問題もなく己が思うまま自由に生き、そして私を主、又は友として友好的に接してくれるのである。


 しかし、これは元から動物達には何もなかった「空っぽ」だったから出来たことで、目の前にいる彼女の場合は違う。動物とは違い人間であった以上、彼女には元から「人格」があった。既に何か入っている所に更に詰め込むとどうなるか?過剰になってしまう。しかも彼はこの世の全てを破壊出来そうな強力な力を持った魔人。


 彼本人は無理の無い程度にしか力を与えていないつもりかも知れないが、実際彼女は見ての通り荒れている。元々荒い性格をしていたが、彼が更に力を与えてしまった事でそれが悪化。そして最悪な事に彼女の纒うこのドス黒いオーラは悪魔特有のものだ。


「妹さん、悪魔になってますけど」

「何を言っているんだ、妹は可愛い天使になったんだ」


 その言い方だと死んだみたいに聞こえるが。


「妹さんが纒うそのどす黒いオーラを見て何も感じないんですか?」

「馬鹿を言うな。妹が纏うこれは強くなった証だろう?僕とは少し色が違うだけだ」


 ‥‥もういいや。

 ここまで来たらもう重症としか言いようがない。


「ちょっと!私を無視しないでくれるかしらっ!」

「ごめんよ杏奈」

「うわぁ‥‥」


 ダメだ。色んな意味で見てられん。

 さっさと殺そう。


 二人の気色の悪いやり取りに耐えかねた私は、一気に飛び上がり先程と同じ攻撃を繰り出した。


流星の(メテオール・)狩り蜂(ホルニッセ)


 先程とは違い、流石にこの至近距離からの攻撃は避けられまい。そう思い空中でホバリングして相手の出方を伺うが、残念な事に彼らの悲鳴も出血して漂って来るはずの血の匂いもしない。私は自分の想定と違う事が起こっている事を察して警戒する。


 すると突如私の攻撃によって舞った粉塵が一瞬で切り裂かれ、同時に先程も感じた重く冷たい何かが返って来た。私は咄嗟に身を翻して目に見えないその攻撃を躱す。皮一枚で攻撃を回避した後地面には降りず、すぐ近くにある電柱に降りる。そして再度二人を視界に入れ、無傷のままな二人を見て目を細めた。


 ‥‥おかしい。


 弓矢系の技は、基本対象をイメージして放てばどんなに向きが違っても自動で軌道を修正してくれる。だから今まで外す事など一度も無かったが、どう言う訳か今回は掠りもしない。攻撃の着地点をよく見ると、私の攻撃を彼らが避けたと言うより、攻撃自体が彼らを避けた様に見える。攻撃が当たっておらず表情を曇らせた私を見て、男は冷ややかな笑みを浮かべた。どうやら何かトリックがありそうだ。


 ‥‥何だ?何で当たらない?


 私の攻撃を無効化できていると言う事は、男が持っているであろう能力が邪魔しているのは分かる。しかしそれ以上は何も分からない。そう必死に考えていると男が私目掛けて手刀を大きく縦に振った。するとその手刀から放たれた刃が強風を伴って凄まじい速さで迫って来た。


 ‥‥見えない、何だこれ?


 私はまた見えない攻撃をサッと躱す。


「ほら、逃げてばかりじゃ私達は倒せないわよっ!」


 何やら遠くの方で杏奈がキャッキャと笑っているが、いちいち反応しない。反撃しても当たらないのだから、ここはひとまず躱し続けるしかないだろう。とはいえ私の体力も無限ではない。自分の頭で解決出来ないのであればどうするか?私が念話でスピリットさんに助けを求めると、彼女は声を響かせた。


(優蘭様、あの男どうやら貴方様同様、何か能力を解禁しているものと思われます)

「なんて言うやつ?」

(恐らく、解禁能力『〜「台風(オクルス)の目(・テュポーニス)」〜』の効果だと思われます)

「え、何それ強そう」


 『〜「台風(オクルス)の目(・テュポーニス)」〜』

 効果は現実にある台風と似ている。台風そのものは雨風共に極めて強力だが、台風の目と呼ばれる雲の渦の中心は晴れていて風も無い空間。能力を発動している間、敵の遠距離攻撃は中心に届かず弾き返される他、中から放たれた攻撃は強風が加わって強化される。


 ‥‥つまり私が放った矢は「台風(オクルス)の目(・テュポーニス)」とやらに、軒並み弾かれていたと。


(彼が今放って来ている波動の刃は、「台風(オクルス)の目(・テュポーニス)」の効果で強化されています。お気をつけ下さい)


 ‥‥しれっと言ったけど、あれ波動だったのか。


 攻撃が当たらない理由は判明した。しかし攻撃を繰り出すにしても今まで主に使って来た弓攻撃は使えないし、遠距離攻撃という得意分野が封じられてしまった以上、近距離攻撃に切り替える他あるまい。今まで持っていた弓は何に作り変えよう?見た事の無い物はイメージ出来ない。弓は弓道部の弓を見て作れたけど、近距離に使える武器というと?


 すると突然、私の脳裏にお母さんとの記憶が蘇った。二人で楽しく料理している所。そしてそのお母さんの手に握られていたのは‥‥。


「‥‥包丁」


 昔を懐かしく思いながら呟くと、弓を握っていた手に熱いものが流れる。それに気付いて一瞬だけ視線を手に向けると、その手には見覚えのある形をした出刃包丁が握られていた。私の純力で作られた物なので水晶のように透明だ。


「包丁になっちゃった」


 料理する時に使っていた包丁なのでとても手に馴染むが、包丁は料理する物であって武器では無い。「これで戦うの?」と少し困惑していると、苛立った声が下から響いた。


「ちょっと!いつまで避け続けるつもりなの!?いい加減降りてかかって来なさいよ!」

「杏奈、君のアレなら撃ち落とせるんじゃないか?」

「そうねっ!」


 ‥‥アレって何?


 避けてばかりの私に相当頭に来ているらしい。彼らは何か攻撃を仕掛けるつもりの様で、杏奈は兄の後ろから一歩出ると純力で何か作りだした。目を細めて望遠鏡モードに切り替える。すると、杏奈の手には楽器の様な物が。そしてもう片手には弓の様な棒を持っている。

 

 あれって‥‥ヴァイオリン?


 このような戦いの場で一体何をするつもりなのか?この先の展開が読めず思考が止まっていた私だが、そんな中、背筋がサーっと冷たくなるのを感じた。これはアレだ、私の勘がアレは危険だと言っている。危険察知センサーが反応したことで危機感を覚えた私は、咄嗟に全身に純力を巡らせ身体強化を試みる。万が一当たってもせめて撃沈だけは避けたい。


 見れば準備が完了したらしい杏奈がヴァイオリンを構え、力強く弦の音を響かせ、叫んだ。


狂乱(フレンジー)の大音(・トーン)


 次の瞬間ヴァイオリンのキィーンッ!という鼓膜を突き刺す甲高い音と共に、杏奈の前方の地面は凄まじい衝撃波により深く抉られ、私も避けようと翼をはためかせるも残念な事に衝撃波の圧倒的な攻撃範囲の広さにになすすべなく、衝撃波は無情にも私の体を飲み込んだ。


「うっぁあ!」


 ‥‥体が、壊れるっ!!


 ミキサーに入れられ刻まれるかの様な激痛が全身に広がっていく。外側だけでなく内蔵もろとも破裂しそうで血が喉の方まで逆流してくる激痛と不快感に気が狂いそうだ。頭は鈍器で殴られたかの様にガンガンと痛み痺れる。


 ‥‥あぁっ「痛覚無感」発動させるの忘れてた!


 不幸中の幸い。四肢がバラバラにならず体の形を保っていられたのは、直前にした身体強化のおかげだろう。しかし頭の中は大パニック。気付けば私の視界はどんどんと地面に近付いている。スローモーションの様に見える視界の端では、男が落下している私目掛けて再度波動を喰らわせようと腕を振り上げているのが見えた。


 ‥‥これは躱せない。

 せめて途中からでも痛覚無感を発動させよう。


 そして地面に叩き付けられる寸前、私の体は見えない波動の餌食となって弾き飛ばされた。

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