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異次元世界征服〜ユグドラシルと五つの世界〜  作者: 鶴山こなん
第一章 『全ての始まり』
13/28

〜第12〜 保険

グロテスクなシーンがあるので、苦手な方は注意です。

 〜ジャック視点〜


 たった今過去最高の難敵、ユランとの戦いにようやく決着が付いたところだ。


 ちなみに彼女との戦いで何が難しかったかと言うと、彼女の動きは水中のクラゲを掴みたくても掴めないような、そんな感覚だった。僕の水弾を当てようと一つ投げればスルリと躱され、次どのような動きをするのか予測し先回りしても、独自の複雑な飛び方をしているため当たらず動きも読みづらい。早い水弾を上手く避けられていた所を見れば、僕以上に動体視力に優れていたのが伺える。


 今まで会った中で一番ランクが高かった事もあり、僕の純力を込めた海水弾を当てるのにとても苦戦した。そして怖かった。自分の両手に視線を下げると、細かく震えているのが見える。


 怖かったよ。

 だって僕に必殺技を使わせたのなんてあの子が初めてだったし。ちなみにユラン以外の三人には、『深海雨(デープシー・レイン)』の簡易版で事足りたので必殺技として本気で使ったのは彼女が初だ。


 僕の必殺技『深海雨(デープシー・レイン)』は、僕が会得したスキル『瞬間移動(テレポート)』と相性が良く、ふと海を眺めていた時に閃いて作った技だ。この技は、遠く離れた深海から召喚している海水を、僕の純力が続く限り無限に水弾を撃ち続け、を当てた対象は無条件で深海に転移させる、というものである。


 転移させるだけの技だが、深海という場所に意味がある。深海は暗くとても寒い。深くなればなるほど凄まじい水圧によって五感を含めた全ての身体の自由は効かなくなり、何の予告も無しに突然その様な状況下に置かれる事になるので、ほぼ確実にパニックに陥るのだ。


 今まで葬って来た彼らは、対峙した際自慢の腕や足なんかを使って僕に立ち向かって来ていたが、深海に送ってしまえば何の役にも立たない。純力ではなく自然の力で殺す、コレはそういう技だ。‥‥だが欠点もある。


 遠く離れた深海の水をここまで召喚するのには膨大な量の純力が必要になる。だからこのまま彼女が僕の攻撃を躱し続け、戦いが長引いていたら危なかった。それに加えて僕はこれまでこの方法でしか戦って来なかったため、これ以外に何か起きれば直ぐに対応する事が出来ない。


 まぁ対応も何も、僕自身も深海に飛んでしまったらほかの魔人達と同様、水圧に耐え切れず潰されてしまうからね。


「他の魔人達から奪った技で何とか出来るのでは?」と思う人もいるだろう。僕も何とか出来ると思っていた時期はあった。


 彼らを倒すたびにその人の過去の記憶と能力をそのまま受け継いで来てはいるが、よくよく考えたら他人の過去などどうでも良いし、いきなり獲得した力なんて使いどころに困るし、まだ殆ど使い方の分からない物しかない。ランクは上がって強くなったとしても、使うかどうかは別の話なのだ。




 それにしても、やはり彼女は何とも言えない不思議な子だった。初めて一つ星以上の相手と戦ったという事もあって、彼女と目が合った時から他の魔人達とは何か違うものを感じた。


 僕は四つ星でユランは二つ星。ランクだけ見れば圧倒的に僕の方が強く、一目散に逃げるか命乞いをするかのどちらかだと思っていたのだが、どちらにもならなかった。それどころか僕の方が背筋の凍る感覚に襲われた。いつもなら殺す前にもう少し話をしてから戦闘に移るが、今回は嫌な予感がしたので早めに深海に送ってしまおうと思った。


 なのに彼女、僕の攻撃避けるの上手過ぎてなかなか当たってくれない。このままではマズイと思うと共に恐怖心も感じ始めた。一刻も早く戦いを終わらせるべきと判断した僕は「お遊びは終わりだ!」と、カッコつけて怖いと思っているのを誤魔化して、最終的には必殺技を使わざる負えなくなった。


 しかし何はともあれ、こうして無事に深海に飛ばす事には成功した。結局皆、深海に送ったら最後地上に戻って来た者は居ない。だから、頼むからこのまま大人しく殺られてくれよ‥‥。


 そうあれこれ考えている間に荒くなっていた呼吸も整ってきたので、ふと腕時計に目をやる。彼女を深海に送る事ができて少し安心したからか、少し気が抜けてボーッとしてしまっていたらしい。


「送ってから二十分か」


 戦った相手の心操石(コア)が壊れた場合、死亡したという証拠として相手の力が僕に流れ込んでくるので体がダルくなる。しかし二十分経った今もその倦怠感は感じられず、現に僕が深海に仕掛けたポイントにまだ彼女の生命反応と純力を感じる。その場から動いていない事は間違いないが、やはりランクが高いという事もあって今も必死に水圧に耐えているのだろう。


 流石にランク二つ星ともなると一筋縄ではいかないか?これは少し心配だ。最悪の事態に備えて僕も何かしておくべきだろうか?いや、何かするとは言っても深海に居るんじゃ僕も手が出せない。いや待て、そもそも彼女だって不死身じゃない。このまま放置していれば近いうちに純力も体力も尽きるはずだ。このまま死ぬのを待っていた方が安全かもしれない。何かするにしてもこれ以上出来る事もないし余計な事をするのは得策では無い。


 眉間に皺を寄せてあれこれ考えていたその時、僕のスマホに電話が掛かってきた。


 このタイミングで電話を掛けてくる馬鹿は一体何処のどいつだ、とスマホの画面を見ると、今回彼女の捜索に協力してくれたハッカー集団の事務所からだった。対象は無事見つかり、協力してくれた分の報酬はきちんと払ったはずだが今更何の用があるのか。その場で電話に出た。


「ジャックだ。今忙しい、手短に頼むよ」

「あ‥‥ま‥‥い‥‥つ‥‥せ‥‥‥‥だっ!」

「え、何?聞こえないよ。もっと大きな声で言ってくれないか?」


 そう言えば、ここは上空だった。

 風が強くて話が全然聞こえない。


「だから!‥‥た‥‥‥‥ては‥‥も‥‥だと言って‥‥んだ!」

「すまない、何て?ここじゃ聞こえないから場所を移すよ」


 このままじゃ(らち)が明かない。もう少し風が弱くなる高度まで降りる。降りている最中にも電話の向こうでは、ずっと必死で何か伝えようとしてくれている。少し高度が下がった所で、ようやく話の内容を聞き取る事が出来た。


 さて、君は一体何を伝えようとしているのかな。


「アンタの戦っている相手は偽物だ!早く逃げろっ!」


 ‥‥‥‥え?


 そう聞こえて言葉の意味を理解する前に、僕の背後からありえないくらいの威圧感を感じる。僕は咄嗟に威圧の出所を確認しようと後ろを振り返ろうとした。‥‥‥‥しかし、その時にはもう全てが遅過ぎた。


「うがぁっ!」


 声にならない悲鳴上げた次の瞬間、飛んで来た何かに体を貫かれ、左脇腹に灼熱感が走りそれと同時にバキンッと体の中で嫌な音が響く。心操石(コア)が割れた途端、一瞬で全身から力が抜け広げていた翼を維持出来なくなり、貫かれた勢いのまま進行方向直線上にある畑や公園などを薙ぎ倒し、地面を深く抉りながら身体も容赦無く削られていく。最後は轟音と共にマンションに勢いよく激突して止まった。


 建物の一部が派手に砕けて粉塵が舞い、ケホケホと咳き込むと血の味がする。視界も頭から出血した血が流れてきてよく見えない。いきなりの事で咄嗟に体を強化出来なかった。そのため何も出来ないまま体は地面に削られ、地面に削られた左半身はほぼ跡形も無くなっている。身体が傷付くだけなら純力の力で再生回復出来るが、僕の心操石(コア)は壊されてしまった。よって再生する事は無い。


 死が確定してしまったが、それでもせめて自分を死へと追いやる物が何なのか知りたい。そう思い、なけなしの力を振り絞って貫かれた場所が見える様に首を動かす。すると自分の左脇腹から右脇腹にかけて、赤く透明なガラス棒の様な物が体を貫通しているのが見えた。


 これは‥‥‥矢だ。


 矢は僕の心操石(コア)を正確に打ち抜き破壊している。そして役目を果たしたと言わんばかりに淡く赤く光ると、小さくガラスの破片が擦れるような音と共に消えてしまった。自分の体から空気が抜けるようにスルスルと力が抜けていく。


 あぁ‥‥‥。

 こんな事ならガールフレンドにプロポーズしておけば良かった。チクショウ。彼女、僕が死んだらきっと泣いてくれるんだろうな。


 死に際にみんなの顔が思い浮かんで来る。

 これが走馬灯ってやつか‥‥‥。


 死ぬならせめて最後に空を見ながら死にたい。

 そう思い、何とか仰向けに体勢を変える。すると視界の端に黒猫がいることに気が付いた。黒猫は大きめの瓦礫の上に静かに座り、真っ直ぐ僕を見つめている。目は大きく左右で色が違う。右は銀色左は金色でとても美しい。しかしどこか少しだけユランと同じ雰囲気がある。僕と目が合うと猫は穏やかに目を細めた。


 はは、僕の最期を看取ってくれるのは黒猫ちゃんか。


 僕は最後の力を使って黒猫に手を伸ばした。

 しかし、僕の手が黒猫に触れる事は無かった。



 〜優蘭視点〜

 


 ジャックが死ぬ少し前、超威圧脳内アナウンスが響いたその翌日の夜中。いつもの河原で人目の付かない橋の下。今回はいつもの飛行や純力遊びをしに来たのではなく、いつ襲撃されても大丈夫な様に例の保険の準備をしに来た。


 今回の作戦、名付けて「デコイ作戦」!


 相手は魔人三人を瞬殺できるほどの実力を持った強者だ。十中八九私よりもランクの高い魔人であるに違いない。そうと分かれば、私とその強者が正面から戦ったとして殆ど戦闘経験の無い私が勝てる見込みはほぼゼロに等しい。


 だったらどうする?

 ‥‥‥欺くしかないでしょ。


 これは文字通りの意味で私の身代わりの分身体を生成し、その分身体にヘイトが向く様に仕向けるのだ。しかし、普段深夜遊びする時に用いる寝床に寝かせておくだけのただの人形とは別物だ。分身体には本体である私の代わりに日常生活を送ってもらい敵が現れたら戦ってもらう。ただ、そんな器用な事は今までの分身体では出来ない。そこで、今回これらの事が出来る高スペックな分身体を作りに来た。


 これまで生成してきた分身体の作り方は、造形法で作ったいつもの透明な玉に自分の血を二滴程とそれに爪や髪の毛などを加える。すると透明だった玉は赤黒い色に変わり、更にその玉に少しの純力と自分の顔などのイメージを流し込むと、自分そっくりな分身の出来上がりだ。触れてみると本物の生き物の様に温かく、胸に耳を当てると鼓動も聞こえる。低コストで私と瓜二つな分身体を作れるだけでも十分すごいが、これだけではただ寝ているだけで何もしない。


 これを踏まえた上で、高スペックな分身体の作り方に関してスピリットさんに話を聞いた結果、それだけの強さを持つ分身体を生成するにはそれ相応の()()が必要なんだとか。特別な事は特に無く今までと作り方も変わらないが、純粋に素材が足りない。今生き残っている猛者相手にはもっと強く丈夫な最低限本体(わたし)が逃げるための時間稼ぎが出来るくらいには強い分身を作る必要がある。


 だから今回必要な素材の量は、片脚、片腕、目玉一つ分だそうだ。自分のほぼ半身となれば、素材の取り方なんて一つしか無い。‥‥‥自分で手足を切り落とす。


 こんなことエンコ詰めてそうなヤクザくらいだが、そのヤクザでさえ指の数本だけなのに自分の腕と脚丸々だなんて、スピリットさんの話を聞いた時は正気の沙汰では無いと思った。しかしよく考えてみれば、今の私は心操石(コア)さえ壊れなければ死ぬことはない。だから腕を切ったとしても短時間で元通り治るのだ。


 他にも方法はあるかも知れないが、今から他の方法を探すのでは遅いし時間が掛かる。スピリットさんでさえ、これ以外の方法は知らないと言ったのだ。なら私が考えたところで無駄。そう結論に至って、今に至る。


 次に場所だ。

 何故私が家ではなく人目に付かないこの河川敷を選んだのかという問題だが、当たり前だが切断した際の出血は多いし絶対痛い。飛び散った血を片付けるのは面倒だし、あまりの痛みに悲鳴をあげてしまうかも知れない。なるべく声を出さない様に頑張るつもりだが、もしもお母さんにバレたら大変なことになってしまう。自分の娘に自殺願望でもあるのかとパニックになるのは容易に想像できるので、家ではこんな事出来ない。


 今から自分の手で手足を切ると考えると物凄く憂鬱で最悪な気分になる。先程から深呼吸にも思える溜息を何度も繰り返しているが、今私にできる事を最大限やっておかなければ本当の意味で死んでしまう。生き残るために、手段なんて選んでいる暇はない。


 ‥‥‥ガチで殺されるよりマシ。


 ノコギリの様にギコギコと時間の掛かるやり方はしない。日本刀の様に切れ味の良い刃物でスパッと切り落とす、それが一番辛くない。


 やる時は一息に一撃で‥‥‥!


 覚悟を決めた私は柔らかい芝生の上に楽な姿勢で座り、大きく深呼吸。そして今着ているパーカーを脱ぐと、左肩までTシャツを捲る。肌が(あらわ)になった左腕は予め上から掛けておいたロープに手首を縛り、なるべく腕と地面が平行になる様に高さを調整。


 そして最後に、純力で作った切れ味の良い大きめの刃物を左腕が切りやすい位置に浮かせて準備は完了である。後は刃物に純力を多めに流し勢いよく振り下ろすだけだ。ちなみに、この刃物は時間差で動く様にしてあるので刃物に込めた純力が溜まり次第勢い良く振り下ろされる。そして純力が最大まで貯まると透明から黒に色が変わるので、タイミングが分からないように目は瞑る。


 一応少しでも痛みが和らげられる事を期待して、神経を麻痺させるためにわざと腕の付け根をキツく紐を巻き付けて血の流れを止めてみたり、キンキンに冷えた氷水に一時間程腕を沈めて冷やしてみたりしたが、回復能力の高い魔人に効果があるかは分からない。


 こうして大人しくしている間にも、私の純力は穏やかに少しずつ自作の刃物の方に注がれていく。時間差で動くとは言っても、どのくらい力が貯まると振り下ろされるのか、私の視界に刃物が写っていないので分からない。


 なんか小さい頃にやった初めての予防接種で、注射怖くて目を瞑っていたのを思い出し‥‥っ!!


 自分が思ったよりも早く振り下ろされ、突然左二の腕辺りから全身に灼熱感が広がった。それと共に左上半身がいきなり軽くなり、身体を支えていたロープとの繋がりが切れた反動で体は右に倒れる。灼熱感はほんの一瞬ですぐさま激痛に変わる。


 これ程の激痛は今までで感じた事は一なく、目頭が熱くなり視界は涙で歪んで見える。私は咄嗟に血が流れる左肩の付け根の切断面を右手で押さえた。痛過ぎて呼吸も荒くなり悶絶寸前である。しばらくして痛みが少し和らいだのを感じて、左腕の状態を確認すべく左腕があった場所に目線を移す。


 ロープの先には私の左腕が括り付けられており、その重みでロープは振り子の様に左右に揺れている。切断面からはポタポタと血が滴っていた。


 うわぁ‥‥‥。


 そこにあるのは間違いなく自分の腕。

 こんな風に自分の体を見る日が来るなんて思っても見なかった。まだ切断部は結構ヒリヒリしているが、切断してすぐの時に比べたらだいぶ落ち着いてきた。フウと息を整えていると左の切断部を押さえている右手に違和感を感じた。すぐ右手で押さえている左肩に視線を移すと、ダラダラと流れていた血は既に止まっていた様で回復が始まっていた。


 出血は止まっているので右手は離し、左肩がどう治るのか気になってまじまじと観る。この時既に痛みは派手に転んで膝を擦りむいた程度に和らいでおり、ある程度は落ち着きを取り戻しつつある。切断面から体外に流れた血は透明になり氷のように固まるとパラパラと消えていった。次に切断面はガラスの破片が擦れる様なパチパチと小さな音と共に、これ以上出血させまいと即座に傷口全体に無色透明の氷の様なものに覆われる。透明な瘡蓋と言ったところか。


 完全に覆われると次に無色透明なものはパチパチと音を鳴らしながらゆっくりと伸びていく。透明部分が伸び始め、それからすぐ後を追う様に透明部に包まれた切断面から血管新生していくのが見える。血管が新生されていき、またそれを追う様に、骨、筋肉、皮膚の順番で生成されていく。あっという間に爪の先まで生え揃い、左腕に残っているキラキラとした透明な細かいカケラは役目を果たし、静かにパラパラと風に吹かれ散った。こうして私の左腕は痕も残さず完璧に元通りになった。


 完全に生え変わるまで二分も掛かっていない。私はあまりの回復の速さに驚き、愕然としながらも新しくなった左腕を曲げたり伸ばしたり手をグーパーさせて動かしてみる。痛くも何ともない。うわぁ‥‥と思いながら新品の左腕を呆然として眺めていると、スピリットさんの声が響く。


(ふむ、ちゃんと生成されましたね。では次に左足に取り掛かりましょう)

「ちょっと待て。スピリットさんは精神体だから分からないのかも知れないけど、めちゃくちゃ痛いんだよコレ」


 眉間に皺を寄せながら文句を言うと、スピリットさんは軽くため息を吐いた。


(ダメです。そんなにモタモタしていたらあっという間に日が登ってしまいます。ここで続けてやらねば苦しくなるのは優蘭様ですよ)

「何で?」

(身体を切り落とす際、耐え難い激痛と精神的にも辛い思いをするのは十分理解しているつもりです。だからこそ、ここで休憩を挟んでしまったら休憩しているその間に痛みに対する恐怖と、自ら身体を自傷するという行為のトラウマで、動けなくなってしまうのです)

「言いたい事は分かった、でもせめて麻酔とかあっても良かったんじゃない?」

(この世界で優蘭様に効く薬品などありません。体内に入ったところで解毒という形で一瞬で分解されてしまいますし、そもそもあの注射針が刺さりません。それに、そのような薬品を何処で入手されるおつもりですか?)

「どっかの病院に忍び込んで‥‥」

(バレたらそれこそお母様が悲しみます。認識阻害があるとはいえ、少しでもその様なリスクは犯すべきではありません)

「うっ‥‥‥」


 返す言葉も無くなってしまった。諦めてこのまま続行するしかない様だ。またあの激痛を味合わなければいけないのかと思うとガックリと大きく溜息をつく。


 ‥‥‥まぁでも、予想以上に痛みは早く引いて回復出来るのだけが救いか。


 私はまた左脚を切り落とす準備に取り掛かった。

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