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復讐代行屋 零  作者: ヘリオブラウン
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第一話 葛藤のナポリタン

人間は憎悪と怨恨のミルフィーユでできている。

友人、いじめっ子、教師、同僚、上司、隣人、元カレ、元カノ、ストーカー、元旦那、元妻、間男、間女、家族、子供、姑、ママ友、事故の加害者....

貴方は人生で一度は誰かを憎しむだろう...

私は誰も憎しんだことがない?

いやいや、嘘はやめてもらいたい。

憎しみという感情は喜怒哀楽と共存している。

誰も憎しんだことがないなんて...そんなのただのサイボーグだ。

そしてそんな感情になった時、貴方はどうする?

忘れる?ストレスを発散する?

いやいや、憎しみの感情ってのはね、そんな簡単には消えないんだよね。

加害者にとっては人生という映画のほんのワンシーンでも、被害者には永遠に心に鋭く刺さっているんだよ。

だけどその傷を和らげることはできる。そう、「復讐」という手段でね。

ただ残念なことに大抵の人間には理性っていう物があるんだ。

復讐をしたくても、理性が行動を抑え込んでしまうんだ。

でも、それでも許せないと思ったとき、「復讐代行屋」に相談をしてみなさい。

お代はたんまりいただきますが、依頼人が味わったものと同様の苦しみ標的(ターゲット)に味わってもらいます。

東京のとあるとある小さな忘れ去られた町の喫茶店で、「珈琲を豆抜きで一つ」と注文してみなさい。

復讐代行屋があなたに救いの手を差し伸べます...


【登場人物】

湯山零・・・本作の主人公。復讐代行屋家業を営んでいる。人を拷問し殺害することが大好きでたまらないサイコパスである一方で、罪のない人間を傷つけてはいけないという道徳心も持ち合わせている。そのためこの仕事を始めた。上記のような歪んだ人間性になってしまったのには、幼少期に両親を失った「とある事件」が関わっていた。ソフィアのことが気になっている。

湯山戒・・・零の弟。東明大学理工学部の2年生。正義感が強い一方で、唯一の家族である零には人殺しをしてほしくない気持ちを持っている。復讐代行屋家業に関しては、拷問器具の用意等の雑用はするが実行には参加しない。

ソフィア風花・・・本作のヒロイン(?)零たちが復讐代行屋家業の本拠地としている喫茶店でバイトをする留学生。東明大学英文学部の1年生。日本人とベルギー人のハーフ。

日向伊吹・・・湯山兄弟とともに復讐代行屋家業に協力している男。熱血漢でガタイもいい。仕事では主に零の実行のサポートや運搬等をしている。

氷室透・・・湯山兄弟とともに復讐代行屋家業に協力している男。日向とは対照的にクールで細身の体型。仕事では主に標的(ターゲット)の情報収集やハッキング等をしている。

バウアー・・・裏社会の関係者。零たちに武器を売っている。バウアーと言うのは完全なコードネームであり、本名や正体等は完全に不明である。

能登花澄・・・キャバクラで働く風俗嬢。零にたびたび接触する。

烏丸一郎・・・喫茶店のマスター。零たちの復讐代行屋家業に理解を示している。

烏丸ひまり・・・一郎の孫娘。

赤川小次郎・・・ベテラン刑事。事件の被害者遺族などの復讐代行屋を紹介するなど零たちの活動には理解を示している。

白田常幸・・・赤川刑事の部下。都市伝説が大好き。復讐代行屋の存在こそ知らないが、噂の範疇として関心を抱いている。

大都市東京にも忘れ去られた町があった。

かつての高度経済成長期では様々なビルや商店が立ち並び、東京の台所とも言われていたこの街は蟻一匹すら立ち寄らなくなった。

廃れたというだけでなく、人が少ないことから犯罪組織の温床ともなっていた。

そんな街に佇む喫茶店があった。

レンガ作りの比較的レトロなそのお店だったが、客は取引場として使う高利貸と店でバイトしている留学生のソフィア風花を一目拝もうとする男たちがほとんどであった。

そんな佇むお店の前にまた佇む一人の女がいた。

女はひどくやせ細り、この世の全てを恨んだような目つきをしていた。

喫茶店のマスターである烏丸一郎は最初女が借金を返済するため高利貸と取引をするものだと思った。

しかし、烏丸は同時にもう一つの可能性を脳裏によぎらせた。

「ラッシャイマセー!おひとり様ですか?」

「はい...」

「こちらの席へゴアンナイしますね!」

留学生のソフィアは覚えたての日本語と持ち前の明るさで女を接客した。

廃れたこの街では彼女こそがオアシスと化していた。

「あのすみません...珈琲を豆抜きで一つください」

女は注文を聞かれる前に、徐に話しかけた。

ソフィアははっとした表情をしたのち、奥にいたマスターの烏丸の方を振り向いた。

烏丸は女を喫茶店の地下室の方へと案内した。

地下室への通路は綺麗であったが薄暗く、階段も急こう配であった。

黒い大きな扉を開けると、中には三人組の男がいた。

真ん中にいたサングラスに紺色のネクタイスーツ姿という某ハンターを連想させる身なりの男が、作り笑いをしながら来客の女の方へ歩み寄った。

右手を胸にあてる西洋紳士風のお辞儀をしたのち、握手を交わした。

スーツ姿の男は口を開いた。

「貴方が殺したいほど憎んでいる人間を思い浮かべてください。そしてそいつが一粒の珈琲豆になったとしてください。貴方はどうしますか?」


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