□021■カウントダウン開始!
世界はコンクリートジャングルと化し、人口を増やしつつ、徐々に地球を染色していく。
今日の天気はよく星空が見えるってとこかな?
俺の名前は、加藤 重秋。
サラリーマン暦はまだ1年も経っていない。
しかし生きる希望を持っている数少ない人間。
俺は選ばれた。
誰にかって?
そんなの知るかよ。
神のみぞ知るってやつだな。
まぁ、推測に過ぎないが…いや、ヤッパリ話はここまでにしよう。
そろそろ俺も始めなければならない。
生きがいをより濃く、より楽しくするために――
ここはいたって普通の住宅街。
こんなスーツを着たサラリーマンがうろちょろしていたら、帰宅していると思われがちなんだよな〜。
だが、実際は違う。
待っているんだ。
スーツのポケットが突然揺れだす。
ポケットの中からマナーモードの携帯を取り出すと、画面には新着メールと書いてあった。
黙々と読みだす。
「勘がいいよなぁ…俺って」
いつも俺は現地が分かる、いや呼ばれてるのかもな…
読み終えると、ケータイをパタンと閉め、再びポケットに戻す。
「後5分か…状況を把握するかな」
足をおもむろに動かすと、住宅街の闇に消えていった。
なんかかっこよくない!?
実際、住宅街に闇なんてのはない、まだ時間的には9時35分00秒。
こんな時間はまだみんな起きている。
だから闇なんて存在しない。
それに、あんなふうに光っている月があるのだから…
あれこれどうでもいいことを考えているうちに、大体の近辺の環境などを把握することができた。
「今日は一体どんな催しが開かれるのか、ワクワクするぜ…」
時計を見ると、既に9時39分30秒だった。
「残り30秒前か…ここで始めるのもなんだし、さっきの所に戻るか…」
最初の所に急いで戻ると、時計は9時39分50秒を切っていた。
「セーフ!!」
心臓の高まりはピークを迎えている。
「―5、4、3―」
カウントダウンをなんとなくやってみた。
興奮を抑えきれない。
「2…1!」
背筋に寒気が走り、体中に鳥肌が立つ。
「ゼロ〜〜!!!」
待っていたものは、ようやく来た。