□038■手がかり
家の中に入ると、真っ暗で何も見えなかい。
靴のまま上がりこむ。
「やけに静かだな…」
何かを踏んだと思った瞬間、アラーム音が鳴り響く。
2階からドタバタと駆け音がすると、敵が降りてきた。
中年の男で、頭がはげかけている。
そいつは俺に向かって石を投げてきた。
まだ玄関にいたため、周りが狭く、避けられず、みごとに腹部に命中した。
多少の痛みはあったが、後は何もない。
男は尚も石ころを投げてきた。
俺は勢いで、その男にのしかかる。
「痛くねぇーんだよ!」
その間にまた何発か石ころをくらう。
男は少しずつ笑みをこぼして言った。
「君は初心者だね…」
男はそういうと足で俺を吹き飛ばし、素早く、画面を見ずに携帯のボタンを押すと、赤白い箱を出現させた。
「君のライフも、もぉない…見たところ、一切武器を使おうとしない…つまり、君の負けだ」
男は箱から、ライフルのような銃を取り出す。
現実にある銃には見えない、よくゲームとかに出てきそうなデザイン。
俺はすかさず、小型ナイフを男に向かって投げた。
男はライフルを小型ナイフに向かって1発だけ撃ち込む。
ナイフに弾が当たると、まるでナイフに弾が吸い込まれたようになり、静止した。
「どうなってんだ!」
残りの9本のうち7本を連続で男に向かって投げた。
しかしさっきと同じようなことが起こるのみ。
「諦めが肝心だよ、わざわざ自分から痛い目に合おうとしない方がよかったのにね…」
男はカウントダウンを始めた。
俺は残りの2本を両手に持ち、男に向かって飛び込む。
戸惑いはあったが、胸部に突き刺した実感はあった。
しかし、いざナイフを抜くと傷口が無い。
「何で…」
カウントダウンが終わった瞬間、静止していたナイフが粉々に吹き飛んだ。
そのせいで、背中にたくさんのナイフの破片が突き刺さった。
血が、少しずつ流れていく。
どこかで、似たようなものを見たことがある…
「さぁ、これを君の体に撃ち込んだらどうなるかな?」
「…!まさかお前……お前がユカリを殺ったんだな!!お前がユカリをやったんだろ!!」
ナイフを顔に突き刺すと見せかけて、銃を奪った。
「なんのことだ?死に際にそんなことしても無駄だよ…?」
「今月の23日、ある女子高校生を殺したろ」
男は余裕の笑みを止めない。
「あぁ?私はまだそんな女なんて殺していないさ。それに、何の根拠があって言ってるんだ?」
「その銃の効果、後から破裂すんだよな?ユカリは…それと同じ武器でやられたんだ!!」
「馬鹿馬鹿しい、この武器ならいくらでもある。似たような効果のもたくさんある。
それに誰でも手に入る、このゲームに参加してればね。それに私はその日のゲームに参加はしていない」
「証拠は?」
「この携帯を見てみろ!私のゲームの履歴だ」
そこには、今月の23日に確かにやっていないという証拠はあった。
「じゃあお前には用はない…」
「何をする気だ!?」
俺はライフルの様な銃の弾丸を、男の頭に打ち込んだ。
終わった…そう思ったが尚も男は立ち上がる。
「だから君は初心者なんだよ」
男が再び携帯の操作を始める。
悩む暇なく男に飛び掛る。
まだ手に持っていたナイフで何回も何回も切り裂いていく。
すると、突然男の体から血が溢れてきた。
あまりにも突然だったが、罪悪感はなかった。
これで手がかりが出来た。
ユカリを殺した犯人はこのゲームのプレーヤー。
そして、これと同型の特性を持つ武器の持ち主の誰かということ。
「絶対に…絶対に殺してやる」