□034■一筋のツナガリ
横田純一編-ファイル01
突如として彼女のユカリの死に直面した純一。
耐え切れない絶望に彼の心は精気を失いつつあった。
世界がその時止まって、何が起こっているかがわからなかった。
こんな俺でも涙が…こういうことで出るっていうのは驚きだった。
こういうことで泣かないと思っていた。
ユカリの上半身を抱えながら、子供のように泣きじゃくっていた。
最後のユカリの言葉が頭の中でぐるぐると回り。
どうでもいい数字の羅列を忘れようと思っても忘れられない。
今はユカリから最後に渡された携帯をしっかりと握り締め、今までのことを思い出していた――
***
翌日――
通夜が行われた。
あの後、もちろん警察に連絡した。
まず最初に疑われたのは俺だった。
けど、証拠がないため開放された。
***
その翌日――
葬式がひっそりと行われた。
クラスの全員はきていた。
あとはユカリの親戚と思われる人たちだけだった。
俺は、居づらかった…
それからはただただ、なんとなく生きているだけだった。
生きる目的も失った。
目的があるとすれば唯一つ、犯人を見つけ出し、ユカリが味わった痛みを…味あわせてやりたい…
学校へは毎日しっかりと行った。
学校では生徒指導の岩本からの嫌がらせに幾度となくあった。
「お前が殺したんだろうが!」
とか言われて…無実なのにな…
どこまであいつの頭の中は腐ってるのか…
他の皆も俺に近づこうとはしなかった。
犯人だと思われているのか、同情しているのかはわからないけど。
けど、高橋は俺を励まそうとしていた。
でも高橋を避けた。
この気持ちは誰にもわからない。
慰めてもらっても逆効果だ。
逆に高橋を恨みそうで、憎みそうで、嫌なんだ。
ユカリの携帯はまだ誰にも言ってない。
言ってたら、俺が犯人にされそうだったから。
それに、これは唯一の形見。
だからユカリの携帯は家の冷蔵庫の中に置いてある。
その方が気が楽だから…
捨てたら、ユカリとのつながりが消えてしまうようだから…
学校でのいじめは完璧になくなった。
水月は…学校に来ていない…
何があったかは知らない…
でも、あの事件以来からいなくなった。
もしかしたらあいつが…
俺は一体どうしたらいいんだよ…ユカリ…