□033■生き残り
-2015年9月3日午後2時58分-
新たな問題が出される。
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全8問中題7問-
世界は終わりを告げ、人は始まりを告げる。
生きるしかばねは殻を破り、宇宙という名の空に羽ばたいた。
さて、あなたはどうした?
時間…05:25.03
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この問題の法則の欠片すらわからない。
あなたはどうした?
人は始まりを告げる。ッて書いてあるから、始まりを告げたでいいのか?
皆は考えることもなくせっせと答えを送信していく。
こういう場合、こうなったときのことを考えて、俺が何をするかを考えればいいのか?
…待てよ、簡単じゃないか!
世界は終わりを告げたって書いてある、そして、生きるしかばねは殻を破り、宇宙という名の空に羽ばたいた、と書いてある。
つまり、生きるしかばね=俺らで、殻を破り=地球から離れた。
そして宇宙という名の空に羽ばたいた=死んだということじゃないのか!?
結局俺がしたことは何もない、あるいは死んだ。
でもこの場合、死んだというのはしたということにはならないから、何もしてないが正解のはず!!
俺は急いで答えを送信した。
送信し終えた後、時間がきた。
トンネルから再び抜け、光に圧倒され、目を開けられずにいると、一番前の車両にたどり着いた。
「何もしないが正解だったんだ!」
一人で喜びはしたが、周りには誰もいない。
他の皆は――!全員間違ったのか!?
あっちの電車に全員乗っている。
無駄な抵抗をして最後まで生きようとしていた、けれども電車はスピードを更にあげ、みんなの最後を見届けさせてはくれなかった。
隣のレールにいる乗客たちは酸素がすくなさそうにもがいている。
「早く次の問題を…」
新しいメールが来た。
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最終問題
あなたはどちらを選びますか?
A.このまま、隣のゴミを見捨てて自分だけ生きる。
B.自分が犠牲になり、ゴミを助ける。
時間…02:02.39
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迷わずメールを送信した。
俺1人なんかより、たくさんの人を助けた方が良いに決まってんじゃん。
そんな考えがあった。
実際、自分の命が大切なのに、生きたいはずなのに、なんでだろうな。
時間は余っていたが、俺が答えた時点で電車が動きを変える。
隣のレールの人質達は更にスピードを上げて遠くに行ってしまった。
そしてこの車両は…スピードがみるみるうちに遅くなり、遠くにいた黄色い不気味な2つの光が近づくにつれ、ソレがなんだったのかが判明する。
見たこともない化け物。
ただ一言で言い表せれば、おぞましい。
走馬灯を見る前に、俺の目の前の光景は変わった……
***
-2015年9月3日午後3時03分-
同時刻、大都会東京のとある駅に、停車している新幹線があった。
もうすぐで出発しようとしている所に、ここにくるはずのない電車が目にもとまらぬ勢いでこちらに向かってきていることに客の一部が気づく。
しかし、それに気づいたときには遅かった。
新幹線に電車が衝突。
類にまれを見ることがないこの事件では、その後、新幹線も電車も大きな爆発を起こし、多大な被害を起こした。
同時刻、福岡のとある駅に1台の車両が出現する。
そこから出てきたのは、伊藤 泰輔。
「生きてる…」
あの後、化け物に食われそうなった瞬間、電車が…まるでレールを切り替えたようにカーブして、いつの間にかにここにいた。
そして、他の皆が死んだことがわかったのは、後になってからのことだった。
「……あぁ」
涙なんて出ない。
「………ッフ」
笑いがこみ上げてくる。
「ハッ…ハッハッ!!」
ホントにもう笑うしかない。
「楽勝!楽勝!」
無論こうなることはわかっていた。
あのゲームではコツがいる。
親切な人間になること、そして、初心者のようにゲームに望めば、あんなのは簡単。
まぁ、問題に正解しないといけないのは絶対なんだがな…
所々おかしい問題は答えが会ってなくてもコツを知ってればいい。
第1問のアレだって、鏡か影?
どっち道自分だったら簡単に殺せるっつーの!
「やっぱこのゲーム楽しいわ!皆には悪いけどな!!」