□030■2015
2015年、9月3日、多大なる被害を出した事件は起こった…
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-2015年9月3日午前11時38分-
車窓から外の風景を覗くと、緑だったり黒だったり、景色というものは何も見えない。
この電車は20車両せいで、たしか特別記念車として作られたらしい。
さらに、科学の進歩により前より少し早くなっているらしいが、そのおかげで景色もろくに楽しめない。
「電車の楽しみといえば、景色を見ることと、弁当に決まってんのにな?宏」
俺は伊藤 泰輔。
ッで、目の前にいるのが、松崎 宏。
俺たちは2人で夏休み最後の思い出作りにいってきた所で、今はその帰り。
明日からは、大学が始まる。
この大学は俺が知ってる限り、夏休みが他の大学より多くて有名なのだ。
だから入ったんだよな。
ガキだな、こんな理由。
ってか実際は、今住んでるところの近くにはその大学しかなくて、ただしょうがなく言ってるようなもん。
遠方の方だったら、もっと夏休みの多い所はある。
「それにしても、まだつかねぇのかよ…」
「泰輔…さっき発車したばかりじゃん。後何時間あると思ってんだよ?」
「この時、これから何が起こるか、俺たちには知る由もなかった…」
「何言ってんだよ泰輔!マジウケルんだけど!」
「暇だから言ってみただけだよ、ってか、そのお前の表現のほうが面白いんだけど、古くね?」
その時、一斉に車両中からケータイの着信音が聞こえてきた。
「スッゲー!!今の聞いたかよ!うわぁ〜、ムービーで撮りたかったな〜」
宏は、はしゃいでいる。
俺もはしゃいでみたかったけど、俺はこいつみたいにガキじゃないから。
その気持ちをぐっと抑え、ケータイの蓋を開ける。
するとそこには3件の新着メールが入っていた。
1件目は彼女からのメール。
適当にメールを打って、返信。
2件目には当選メールだった。
この前応募した懸賞にどうやら当選していたらしい。
自慢したいと思い、顔を上げ宏の方を見ると、何故か宏は体を震わせていた。
「どうしたんだよ?」
「泰輔の所にもきた……?」
まさか、こいつも当選したのか!?
「お前も、もしかして…当たったのか?」
「あぁ…ほら見てみろよ」
宏は目のケータイを掲げた。
画面には当選という言葉は一つもない。
そこには意味不明なことしか書いてなかった。
「何だよこれ?」
「知らないのか?これは都市伝説みたいなモンで、このメールが来たやつは死ぬんだよ…」
「そんなバカな…」
その時、もう1つメールが来ていることを思い出す。
急いでケータイの受信箱を覗いて見ると…そこには宏と同じメールが来ていた。