当たり前という願い
背景描写や情報は少なめです。
分かりにくかったらすみません。
「当たり前って、何だろうね?」
目の前の君が、真剣な顔して俺に問う。
「はぁー、いきなりどうしたの?」
俺は、面倒だなという気持ちを隠さない表情で返す。
「だってさ、ゆうちゃんは考えた事はないの?当たり前って、何だろうってさ。当たり前って、それが正しいと言う意味だよね」
「考えた事はないな。俺は、そんな事に興味はない」
「僕は、毎日寝る時に思うんだよ。この両目を閉じて、寝てしまったら世界が終わるかもしれない、もう目を覚ます事はないかもしれないってさ」
「それは、考え過ぎじゃないか」
「だって、そうだろう。なんでそう言いきれるんだ!」
遥は、少し興奮したように言う。
「寝たら、明日が来るだろう?」
「だから、何でそう言いきれるんだよ。何で、根拠がない癖に皆そう言うんだよ…」
「それは、願いだよ」
「願い?」
「明日が来てほしいからさ。明日が来て、また大好きな人達と楽しい時間を過ごしたいんだよ」
「でも、明日が絶対に来るなんて保証はないよね?」
「それでも、願わずにはいられないんだ」
「そうなの?ゆうちゃんも、願っているの?」
「毎日願っているよ。遥とまた公園で沢山遊びたいからね」
「本当に?」
「本当だよ。だから、明日を信じておやすみ」
「うん、おやすみなさい」
穏やかな寝息を吐き出した遥の細い右腕に刺さった管を見つめながら、「また明日」と呟いた。
当たり前って、何だろう?毎日の様に考えていますが、答えはまだ出ていません。