懺悔に似た
毎日1000部の、時には2000部ぐらいあるコピーをし、そのコピー用紙をシュレッダーにかける無駄
資源をなんだと思っているんだ!
頑張って、この会社の経営を担っている、作業者、営業担当の努力をなんだと思っているんだ!
広報は、広報に過ぎない
必要かもしれないけれど、何かを得るセクションではないはずだ
そのセクションの人間が、そんなに毎日コピー用紙を無駄にして良いはずがない
まずは、そこに憤りを感じていたことが、心の中の殆どを占めた
そして、その作業のために、無駄を生む作業をする私の無駄
私の時間もそうだし、この会社の利益をも損なっている
それだって、作業者と営業の努力の賜物を、一気に奪っているではないか
日々、申し訳ない気持ちで体中が溢れていた
体中の中には、勿論心も入っている
こんなことをしてまで、何を生むのだろう
私は、今この瞬間、毒でしかないではないか
貰っていた給料は、少なくなかった
企業と言うものは、どれだけの利幅を持たせているのだろうと思う
私のような、まだ役職も持たないような人間が、それでも都内で楽に独り暮らしが出来、貯金だって少なくない金額が通帳に記されてしまうのだ
一企業にいる、一社員としたならば
会社の利益を考える
そして、その自分の身の置き場所に苦しむ
その反面、世界では今日食べるものに困り、戦争は止まず、尊い命がどんどん消えていく
何処か、何かが狂っているような気がしてならなかった
私は、これで良いのだろうか?
このシュレッダーにかけられた、クズになったコピー用紙は、本当はクズになるべきものじゃない
コピー用紙だけではない
それを印刷するコピー機のインク
電気
自分のものだったら、同じようにするのだろうか?
例えば、そのコピー用紙分のお金を、インク分のお金を、電気代を、自分が自腹を切るとして
それができるのだろうか?
その力を、コピー用紙分、インク分、電気代、私という人材
困っている場所に差し出せたら
どれだけの人を救えるのだろうか
それを、この人はどう考えるのだろうか
単に、私をどうにかしようとして誘い、断られた
その事実だけで、こんな無駄なことにエネルギーも金品も、しかも自分のモノじゃないものを費やすその人を見ているだけで、虫唾が走った
こんな人間が、同じこの地球にいるのか
そう思うだけで
とても小さい
とても、とても
離婚後で、全てと言って良いぐらい疲弊していた私は、もうその状況に、そうして給料を貰っている自分に愛想が尽きたのかもしれない
せめて、これ以上できるだけ迷惑をかけたくない
誰に、何に、かもわからないけれど
そう思って、失業保険を貰う選択は、敢えてしなかった
何故かわからないけれど、貰いたくなかった
貰わない理由なんてなかったけれど、あるとすれば、それだ
しばらく食べるのに、苦労はしない
その月の給料と、退職金が出る
そして、放置したままの貯金がある
半分になってしまったけれど、それでも数年は生きられるだろう
私は、何も欲しいものがないし、食べ物だって粗末なものだ
ご飯とお味噌汁とお漬物ぐらいがあれば、それでいい
それを全部自分で作れば、それほどの食費はかからない
家賃は都内だから、1Rといえ、そこそこの金額にはなる
だから、その家賃分と日々の生活に必要な分ぐらいあればいい
そう思い、仕事を辞めてから1カ月だけ何もせずにいて、近くのコンビニでアルバイトを始めた
夜勤だと、時給が少し高いし、働きたがらない人が多いのか、求人枠が豊富だった
そして、夜勤ならば、日中自分次第で時間を自由に使うことができる
もう、睡眠もそれほど必要はなかった
4時間も眠れば、それでよかった
かと言って、自分が何をしたいのかはわからなかった
その、空いた時間は、いろんなジャンルの書籍を読み漁ることに費やした
誰かに、教えて欲しかった
何を教えて欲しいのかもわからないまま
ただ、何かを
ただ、答えを
そんなある日に、あの男性と出逢った
そうして、あんな突飛な質問を彼にしたのだった
もう、どれぐらいの時間が過ぎたのか
それでも、毎日毎日、あの男性のことが頭から離れたことが、ない
自分がどうなってしまったのか?
と、理解できないぐらいに
こんなに自分以外の誰かのことを思ったことがあっただろうか?
それを自問自答すると
答えは、こうだ
自分にもそれほど思ったことなどなかった
だから、不思議で仕方がない
その答えもまた、今この瞬間まで出ていない
また会って
その質問すらしてみたい
そんなバカげたことまで思っていた




