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おしえて  作者: イチニヤデアケ
5/11

不毛

離婚をしたことがある人は、きっと理解できるだろう


その理由が、どちらにあろうと、かなり心と体の力を弱め、精神を疲れさせることを



私もまた、例外ではなく、かなり全てを消耗した



心も、擦りきれたようになり


体も、まだ28歳だというのに、起きるのがやっとのような日々



そして


何故か慰謝料を請求されたので、金銭的にも消耗した



人と出会い、別れるだけで


金銭の授受が発生するとは


しばらくは、それも理解できずにいたけれど


仕方がない


そう言うならば、それでこの気持ち悪さが解消するならば


そう思って、払った



入社してから、6年、欲しいものもしたいこともなかったから、働いているだけで貯まっていったお金、半分通帳から消えた



彼の家は、多分今の日本の中でもお金がない方ではない


寧ろ、ある方ではないだろうか


私には何の関係もないから、考えたこともないけれど



小金持ちは、ケチなのかもしれない


心が



ちょっと気の毒にも思った



そんな日々の中、職場では上司が、どんどん新しいプロジェクトを私に与えてくれて、なんとか自分を奮い立たせることができていた



ある日、上司から、食事をしながら打ち合わせをしようと言われ、ある都内のホテルに誘われた


そのホテルには、中華もフレンチも料亭もあるので、そのどれかでの食事だろう


そう思っていたら、先にロビーにいた上司はエレベーターに向かい、そのボタンの上階を押した



何かおかしい


私の中でざわついたけれど、まさか、と打ち消す方が強かった



着いた階は、レストランなどない、客室だけがある階だった


それでも、打ち合わせならば


自分に言い聞かせ、上司のあとに続いた



そして


オートロックの、『ガチャッ』という音が鳴り響いた



上司が私に近づき


私を抱き寄せた



なんだ、これは



瞬間、わかっていたことのような、まさかこんなことになろうとは?という気持ちとが、ぐちゃぐちゃに混ざりあって



私は、思い切り上司を突飛ばし、ガチャガチャと、わけのわからない鍵を弄り、なんとか開けたあと


飛び出した



ふざけるな


ふざけるな



何故か、普段使わないような言葉が頭を往復した




そして、すぐに私は、コピー室での仕事に変わった



「これ、1000部コピー」


上司は、毎日言う



それをし終わり、上司の元へ持って行くと、


「あ、シュレッダーかけて」


その繰り返しだ



こんなことをしながら、時間を費やしていることの不毛さ  


こんなことをしている自分が、もらっている給料の無駄



なんだか


結婚に似ていた




そして


会社を辞めた

 







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