結婚離婚
「これ、コピー1000部ね!大至急!」
またか
そのコピー用紙、無駄になんでしょ、また
そう思いながら、コピー室に向かう
コピー係のようになったのは、いつからだろう
確か、もうかれこれ3カ月にはなるだろうか
その前は、ある会社の広報を担当していた
プロジェクトを立ち上げ、それを形にしていく仕事は、案外楽しかった
大学を卒業してから入社した会社は、堅い仕事をする会社で、その中では、広報は比較的堅すぎない部署だった
かと言って…
それが生き甲斐かと言えるような気持ちで仕事をしていたわけではない
仕事が嫌いなわけでもなかったけれど
仕事を初めてから3年ぐらいの頃、大学時代に働いていたバイト先で知り合い、5年ぐらい付き合ったあとに結婚した
彼は、私より5歳年上で、30歳になる前ぐらいから頻りに結婚話を持ちかけられた
毎日のように、
どこで結婚式挙げる?
海外に、親族だけで行こうか?
それとも、日本で、ホテルで挙げる?
婚約指輪は、何がいい?僕に任せてくれる?
それとも、一緒に見に行こうか?
それらを繰り返された
もう、辟易していた
でも、じゃあ、この人とすぐに別れたいのか?
と、自問自答してみると、そうでもなくて
結婚したいのか?
と、問いただしても、答えはなく
だから、消去法で、今すぐ別れたくないのなら、この先もきっとそうなのだろう
そんな、安易な消去法を選択したのだ
5年も一緒に居られたのだから、多分、きっと
と
結婚式は、結局、ある神社で挙げ、披露宴は親族や相手側の知人向けは、私の親族、親戚を交え、ホテルで行うことにし、友人、会社関係はレストランで行った
私は、そのどれもしたくはなかった
結婚式すら、挙げたくなかった
なんとなく、意味を為さないような気がしたから
指輪も、どうでも良かった
そんなもので、どうにかなるとは思えなかったから
それに
一緒に行く?
と言ったけれど、どうせ彼が全部決めることを知っていたから
「ね、これがいいでしょ?婚約指輪はこれにしよう。結婚指輪は、これがいいでしょ?ね、ね!」
私に訊いているようで、最初から全て決め、そうするのだ
私は、そこに拘りはないから、「うん」と言うだけ
なんにも、希望などなかった
結婚してからも、仕事は続けた
結婚してからの方が、仕事が少し楽しくなった
多分
結婚が、楽しくなかったのだろう
「赤ちゃんは、まだ?」
「仕事は辞めないの?」
「ちょっと、おうちが片づいていないんじゃない?」
休日度に、姑が来ては、言う
ああ、こういうのがエスカレートすると、嫁姑問題になって行くわけだ
などと思ったりしたものだ
でも、私はそんなことはどうでも良かった
言いたい人の口に、戸は立てられない
それよりも、何も感じない自分が、とてつもなく気味が悪かった
この人と、どうしているのだろう?
嫌なわけではないけれど
好きでいるわけでもない
そんな自分に気づいてからは、薄気味悪くて、毎日吐き気がしたのだ
そんな自分に
そして、離婚した
理由を何度も何度も言っても、彼は理解することはできず、探偵を使ってまで、私の身辺を調べたりもしたようだった
それでも、なんの証拠も出ずに
いや、出るはずかない
何もないのだから
それに…
私はそれを知ったときに、やはり離婚を決断したことは間違いではなかった、と、知った
私は
例えば、確実に夫やパートナーが、他に好きな人ができて、関係を持ったとしても、多分そういうことはしない
そんなことをしなければいけないなら、そもそも関係は終わっていて
もし、夫であれパートナーであれ、私以外の誰かといることが幸せならば
それを妨げたくない
そう思うからだ
心がここにない人が無理していても
私はきっと、わかってしまうし、寒いだけだ、お互いに
そうして彼は、自ら証拠がない証拠を手にし、離婚に応じざるを得なくなったのだ
それから、私には何故の日々が訪れた
何故この人と出会い、結婚したのだろうか
何故この人と離婚したのだろうか
何故仕事でこうなったのだろうか
誰かにおしえて欲しいって
毎日毎日思った
誰にも訊けず
きっと誰も答えることなどできないような
そんなことを




