第14話 『 仲間 』
翌日、半蔵は桃太たちといた。
「あれからどうしたんですか?」
「十分と痛めつけた後、舟といっしょに流してやったぜ」
「そ、そうなんですか」
「これで奴らも懲りただろう」
「ところで、今日は朝から町が騒がしいでござるな」
「天間屋の主人が成敗されたことを知って、天間屋を良く思わなかった人
たちが立ち上がったんだよ」
「立ち上がった?」
「ああ。奴隷商人をこの町から追い出そうとしているんだ。なんでも自衛団
もできるらしいぜ」
「この町も変わろうとしているんでござるな」
「これもおまえたちのおかげだぜ」
「そんなことはないでござる」
「そうですよ。半蔵さんが今まで、がんばったからですよ」
三人から笑みがこぼれる。
「で、これからおまえたちはどうするんだ?」
「当分はここに留まろうかと」
「そうか、オレはみんなの手伝いがあるんでな。またな」
そう言うと、半蔵は人だかりの方へと走っていった。
「いいひとですね」
「そうでござるな」
数日後。町を去ろうとする桃太たち。
「では、行こうか。」
桃太たちが町の外に出ようと門へ向かうと、門のところに半蔵が立っている。
「別れも言わずにいくのか」
「すまないでござる。湿っぽいのは苦手でな。おぬしは、こんなところに
いて平気なのでござるか?」
「ああ。町もだいぶ落ち着いてきたからな、もうオレがいなくても大丈夫
だろ。だからなんだ……おまえたちと一緒に旅に出るのもいいかなと」
「いいでござるよ。ね、桃太殿」
「もちろん」
桃太と新之助は顔を見合わせて微笑んだ。
「よろしく」
「お、おう。よろしくな」
半蔵が仲間になって、出発しようとしたとき。
「待ってください」
町の人たちが急いでやって来た。
「ちょっと待ってください。橘さんにお願いがあるんです」
そのうちの一人が言った。
「なんだ?」
「橘さんにこの町の町長になってもらいたいんです。お願いします。
町に残ってください」
「お願いします」
他の人たちも一生懸命頼み込んでいる。
「オレはそんなガラじゃないし、この町もオレなしでもやっていけるよ」
「そんなこと言わないで、お願いします」
「オレはこいつらと旅することに決めたんだ。じゃあ、そういうことで」
半蔵はそう言うと逃げるように走っていった。
「ああ〜。待ってください」
町の人たちも走って追いかけた。
「桃太殿、拙者たちも行くでござる」
「はい」
桃太たちは半蔵の後を追いかけ、半蔵と共に町の人から逃げた。