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桃太伝  作者: 南風原
 
12/106

第12話 『 用心棒 』


天間屋に着いた二人。


「ここでござるか」


「どうしますか? 新之助さん」


 すると、店から店の主人とみられる小太りの小柄な男が出てた。


「あの男をつけてみるでござる」


 二人は身を隠しながら、後をつける。


 男は、ひとのない町外れの方へと歩いていく。


「どこへ行くんでござろうか?」


「ちょっと怪しいですね」


「おい。おまえたち、そこで何してる」


 桃太たちが男の後を追っていると、桃太たちの後ろの方から声がした。

そこには、さっき飲み屋で酔っ払っていた大柄の男が立っていた。


「おぬしは、たしか飲み屋にいた……」


「新之助さん、見失っちゃいますよ」


「そうだったでござる」


「待てよ」


 男は二人を引き止める。


「今、おぬしにかまっている暇はないでござる」


「おまえたちをこのまま行かせるわけには、いかねえんだよ」


「なんだと。おぬしには関係ないでござろう」


「関係おおありだぜ。なんたって、オレは天間屋に雇われた用心棒なんだ

からな」


「えっ」


 桃太たちは驚いた。


「ますます怪しい。意地でも通してもらうでござる」


「やるってのか?」


 桃太たちは刀に手をかけ、構えた。


「どうした、かかって来いよ」


 男は桃太たちを挑発する。


 しかし、男は武器も持たず、ただ立っているので、桃太たちは攻撃を

ためらっている。


「かかってこないなら、こっちからいくぞ」


 男は桃太に突っ込んでいき、桃太を蹴り飛ばした。


「うわぁ〜」


 桃太は後ろに吹き飛ばされた。


「桃太殿! くっ」


 新之助は男に向かって、峰打ちを打ち込んだ。男はバク転でかわし、

石を拾い新之助に投げた。


 新之助は刀で石を弾く。


 その隙に男は、新之助の前まで移動し腹にパンチを与えた。


「うっ」


 新之助はうずくまってしまった。


「悪い事は言わん。首を突っ込むな」


 そう言うと男は去っていった。


「新之助さん、大丈夫ですか?」


「大丈夫でござる。しかし、あやつの目は悪人には見えなかったでござる」


「そうですね。ちょっと不思議な感じでしたね」


「なぜ、あんな男が悪人の用心棒なんかしているのでござろうか。探って

みるでござるか」


 二人は距離をとり、男の後をつけ始めた。


「桃太殿、気配を消していくでござるよ」


「はい」


 男は町の中を歩いていると、立ち止まり中年男性と話をしている。


「何を話してるんでしょうか」


 男は話を終えると、また歩きだした。


 桃太たちは気になり、中年男性のところに行った。


「おじさん。あの男に何か酷いことでもされませんでしたか?」


「いいえ、とんでもない。あの人には感謝してます。」


「どういうことですか?」


「お恥ずかしい話、借金が返せなくて子供を借金のかたに取られそうに

なったとき、あの人に助けてもらったんです」


「なんだ、おまえたち後をつけてきたのか」


 振り返ると、さっきの用心棒が立っていた。


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