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桃太伝  作者: 南風原
 
11/106

第11話 『 天間屋 』

 鬼王城、謁見の間。そこには十一人の人影があった。


「集合がかかるなんて久しぶりだな」


「いったい何の話があるんだってんだ」


「じいさんが呼んだんだろ?」


「君たち、すこし静かにしてもらえないかい」


「キャハハハハ。注意されてる」


「うるせー」


 そこへ一人の男が現れた。


 しゃべっていた者は黙り、あたりは静まりかえった。


「鬼王様」


 その男は鬼王だった。


 鬼王は鎧とマントで身を包み、兜で顔を隠しているため正体は謎である。


「鬼王様、我が鬼王軍の虎隊の虎鉄が倒されました」


 一人の老人が言った。


「なんだと」


「……」


 それを聞いて驚くもの、平然としているもの、人それぞれである。


 鬼王は黙っている。


「報告によると、吉備桃太と山吹新之助とかいう若い二人組が我が軍を倒す

ためここに向かっているとのことです」


「何考えてんだ、そいつら」


 ある男が言う。


(吉備……桃太……)


 鬼王は、なにやら考えている。


「鬼王様、何か?」


「なんでもない。我が軍に歯向かうものは誰であろうと容赦なく叩き

潰せ。」


「はっ」


「よし、では持ち場に戻れ」


 そう言うと鬼王は席を立ち、その場を後にした。



 一方、桃太たちは、次の町に着いた。


「これが町ですか?」


 桃太の目の前には、今まで見た町とは違う、大都市があった。


「この町は商人の町と言われ、商いが盛んで、ここまで大きくなったで

ござるよ」


「へぇ〜。詳しいんですね」


「放浪の旅をして長いでござるからな」


 町の中に入る二人。


「まず、どこかで休もう」


「そうですね。じゃあ、あそこに入りましょう」


 桃太たちは飲み屋に入った。


 店は大きく、人もたくさんいる。


 二人は席につく。


「おい、もっと酒を持ってこい」


 店の中で大声を出している男がいる。


「だんな、飲みすぎですよ」


 店主がなだめている。


「いいから持ってこい」


 男は、かなり酔っているようだ。


「おい、頼んだのはまだか!」


 他の客が怒鳴る。


「はい。ただいま」


 少女が忙しそうに働いている。


「子供なのにお手伝いとは、エライでござるな。」


 新之助は関心した。


「ちがいますよ。あの子は奴隷商人から買ってきた子供ですよ」


 横に座っていた人が言った。


「えっ。そんな酷いことを」


「よそから来た人はわからないでしょうが、ここには人を売り買いする

店があるんだ」


「人を売り買いするなんて、許せんでござる」


 新之助は、いつものように怒った。


「その店はどこにあるでござるか?」


てんといって、この店を出て右に行くと見えてくる。町で一番大きい

建物だから、すぐわかるよ」


 それを聞くと、二人は天間屋に向かった。


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