06、本当の旅立ち前はやっぱり不幸?
すいません!投稿するの遅くなってしまいました!
村の外から走ってきたある男はその光景に驚いていた。まだ小さな子供なのに「救世主」と崇められている3人がいることに。金髪で髪は短く揃えられ体つきはがっしりとしている男、キーンは村の住民の何があったのかを聞いた。
「あ?あんた見てなかったのかい!?この子達が大量の悪魔から俺たちを、村を守ってくれたんだ!悪魔共は全滅よ!」
「ん?あんた見たことねえやつだな〜。こんな田舎に旅行でもしに来てたのかい?まぁいい、そんなことより今は救世主のロイツ達だ!」
村は小さく子供たちも少ないので大体の人達は名前を知っていた。なのでキーンがよそ者であることもわかったしロイツ達が村を救ったことも分かっていた。
(...本当にこの子達が?)
キーンは誰かがスキルらしきものを発動し自身のスキル:未来視にて魔王の脅威がなくなることがわかったがまさかそれを成すのが子供たちとは思ってもみなかった。魔王とは運だけで勝てる相手ではない強敵でありVDOの特殊部隊の中でもタイマンを張れるのは多くないのだ。そんな相手を自分よりもだいぶ小さな子供が倒したのだ。無傷で。そんなの疑わない方がおかしいだろう。
キーンは知力が乏しい頭でさんざん考えたがよく理解できず、全ては目の前の光景が物語っているということを信じたのだった。
そして人の間を掻い潜りロイツたちの元へたどり着いた。
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俺達は今村を救ったことで救世主と崇められていた。質問は何一つこない。なぜ魔法が使えるかとか、炎神のこととか絶対に聞かれると思っていたのに。おそらくだが自分たちの命が助かったことに満足して質問などどうでもいいのだろう。
そんなことを考えていると後ろから声を掛けられた。
「君達がこの村の英雄達か。後で少し話したいことがあるんだ。1通りのことが終わったら俺に声をかけてくれ。あ、俺の名前は...」
そこまで言うと村の兵士達が騒ぎ出した。
「お、おい。あれキーン様じゃないか...?」
「そうだよな?絶対そうだよな!?」
「ああ、あのオーラ絶対にそうだ。」
「キーンさん?」
俺は首を傾げて本人の聞いた。マイクは負傷者はいないと言われているのに親のことを心配して走って家に行った。チークは俺の半歩後ろで俺と同じく首を傾げていた。
「ああ。俺の名前はキーン=ライグンだ。アルゲディン王国にてVDO本部に勤めている。俺はあそこの宿で少し休憩する。なんせ走ってここまで来たんだ。眠気が...」
(見た目は頼りがいありそうなのにどこかぱっとしない人だなぁ)
そんな俺の感想とは別に村の兵士達は大興奮だった。「サインもらって来ようかな?!」とか「あの憧れの人に会えるなんて」とかすごい尊敬の眼差しを向けていた。VDOはいわばエリートの集団なのだ。その中でもキーンは特殊部隊の第一席。エリートの中のエリートなのだ。なので憧れを持つのはしょうがないことであった。たとえ村を救った救世主を崇めるのをやめてもね... 別に寂しいわけじゃないんだけどね... ほんとだよ?
「わかりました、キーンさん。でも俺達は今日中に馬車に乗ってアルゲディンに行かないと行けませんので時間は少ししか取れませんが構いませんか?」
チークがそう言うと俺も頷いた。
「お前達はアルゲディンに行くのか。ということは今年度の中学の新入生か!そうか、なら馬車で行くというのであれば是非俺も一緒に行かせて欲しい。俺もすぐにアルゲディンに帰らなければならない。それに馬車内だと色々と話し合いができるしな。」
キーンは提案したきた。馬車は4人乗りだったのであと一人分の余裕があったし俺に否定する理由が特になかったのでそれを了承した。
「そうですね。俺も王国のことを詳しくは知らないのでこちらとしても教えていただける方がいると思うとあちらでの生活の不安も多少は和らぎそうですし。 では運転手にいつ出るか話して来ますのでごゆっくりなさってください。」
キーンは頷き、宿に向かって歩いて行った。
そして村のみんなが落ち着きを取り戻してきた頃、俺とチークとマイクは村長に呼び出された。村長、ソルデ=フォーンの家の扉の前に立ち俺はドアをノックする。
「入って良いぞ。」
そう聞こえてきたので俺達は扉を開けた。そこには白髪と髭を垂れ流していてまさに賢者ともいう感じのソルデと俺、マイク、チークの両親がいた。チークの父親は俺達のの姿を見ると突然迫ってきて俺達を抱いてきた。
「お前達、大丈夫だったか?お前達に村が守れていたなんて... 俺達はなんてことを...! すまない、すまなかった!」
彼は涙を流していた。チークの父親は貴族なのでそこまで会う機会がなかったのだが俺達のことを見るとまるで自分の子供のようにとても親切に接してくれた。彼は貴族の中でもとても優しいそうだ。チークの母親が誰にでも親切にされちゃうと女がよってきて困ると言っていた。なかなか笑えない話だった彼女は嬉しそうに言っていたので夫の親切さが好きな所でもあるのだろう。
そうして抱かれたまま次はソルデが話を始めた。
「まずはロイツ、マイク、チーク、ぬしらに礼が言いたい。
この度は儂等を、この村を守ってくれてありがとう。
被害は最初の爆発だけだった。それにも人は巻き込まれることはなかったでな。本当におぬしらはこの村の救世主じゃ。あれほどの魔法が使えたのは知らなんだがそのことは別にいいんじゃ。
わしからはただ礼が言いたかった。この村から中学に行くのはおぬしらだけじゃからな。これからの活躍も期待しておるぞ。何かしてほしいことがあればなんでも言って欲しい、力になれるなら何でも受け入れよう。」
ソルデは土下座までしようとしていたので流石にそれは止めた。俺達だって故郷を壊されるのは嫌だったので村を救ったことに対しては当たり前ということにしておいた。
そして俺達はそれぞれの両親との会話を終えた。みんな俺達について言及することはなく成長を褒めたり、俺の誇りだ、などそういうことばかりだった。みんな俺達が朝早くから夕方まで外にいることは誰もが知っていた。だいたいの予想はついていたのだろう。
そして俺達が村長の家を出た時には既に太陽が傾きかけていた。
「そろそろ行かなくちゃな。キーンさんを呼びに行くか。」
「そうだね。そろそろ行かないと中学生になれないからね。」
「ああ、でも今夜は宴だと言っていたな。少し行きたい気持ちがあったんが… まぁ宴なんていつでもできるしいつでも帰って来れるからな!」
俺の問に2人は答えた。そして宿につきキーンがいる部屋の前に立つと中から声が聞こえてきた。誰かと喋っているような感じで。
「ああ、魔王は既に消滅した。俺が来た意味はなかったがな。それと俺は魔王を倒した者達と王国へ戻る。迎えの馬車は不要だ。
え?名前?確かロイツ=シングラーデだ。後はチーク=セイビオ、マイク=ダイリッドだ。ロイツもすごいが村人に聞いたところ周りの雑魚をやっていたのはこの二人だそうだ。
ああ、今年からだ。俺も信じられないさ。まぁ実力はすぐに証明されるさ。ああ、ではまた。」
俺達はドアに耳をつけていた。彼は俺達の知らない技術で1人で会話していたのだ。そんなことをするやつは友達が1人もいないやつか電話ぐらいしか思いつかない。だが機械という感じのものは本で調べたところこの世界にはなかったはずだ。それに流石に彼に友達と思わしい者がいないはずだ。たぶん。
だから俺はスキルまたは魔法の類だと予想した。チークもその考えだったがマイクは話を聞きたかっただけだそうだ。
『ガチャッ』
音を立て扉が開く。
(((あれ、これってこけちゃうやつじゃね(ない)?)))
予想通り俺達はキーンの部屋に転げ込んだ。
「...お前達、何してる。」
俺はキーンの言葉にビクリと体を震わせた。
「い、いえ。特に何も... そ、それよりも迎えに来ました!そろそろ行こうと思いまして!」
「そうか、分かった。馬車へ先導してくれ。ちなみにさっき俺が1人で話していたのは仲間のスキルだ。決して友達がいない訳では無い。ホントだ。」
キーンはロイツ達の考えていることを見透かしたかのように言った。
実はキーンは何度かこういうシチュエーションを経験しているから気まずく聞かれる前に言っただけなのだが...
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「馬車はあそこにありますので先に乗っておいてください。私達は一言親に別れを行ってきますので。」
チークがそう言うとキーンは頷いて馬車へ向かった。
ーーー10分後
既に空がオレンジ色に染まってきている。そんな頃ロイツが馬車へ乗った。中にはキーンしかいなかった。チークとマイクはまだ来ていないらしい。
沈黙が二人の間を流れる。
(や、やばい。なんか喋らないと... 今日初めて会ったし、かなり年上だしすごい話しかけにくい!!!)
そんなことを考えているとキーンが喋りかけてきた。
「ロイツ、君はいくつスキルを持っている。ちなみに俺は2つだ。」
ロイツは内心焦りながら答える。
「3つです!」
キーンは驚きに目を見開いている。しかしすぐに冷静になる。
「3つなのか。なるほどなそれならば魔王を倒したことも頷ける。炎神の能力は先ほど走っている時に見たな。よければもう2つも教えてくれないか?」
「は、はい!今から見せますので見てください!」
俺は緊張のせいかスキル:創造神を発動させてしまった。見せるつもりなど一切なかったのに… 緊張って恐ろしい...
『ドン』
そんな音を立てて宙に石が出現して馬車の中の木のタイルに落ちた。
キーンは驚いた様子でまじまじとその石を観察していた。
俺はその後スキル:超強化の能力も説明しておいた。時間制限があるという欠点を隠して。まだ完全に信用仕切っている訳では無いのだ。移動中の馬車での態度で判断しようと思っていたのだ。しかし、創造神は緊張のせいでハッキリと見せてしまった...
そんなやり取りをしているとチークとその父親が現れた。
「お待たせ!ごめんねロイツ、お父さんがここまで付いてくるってしつこくて...」
「すまんなロイツ!わっはっはっは!まぁ来たのはお前達に確認したいことがあるからだ。お前達...」
『ゴクリ』
演出のために一様唾を飲む。
「...ロイツとマイク、いったいどっちが俺の娘の彼女だ?」
少しだけど心配して損した。チークは俺と付き合っていることを親に言っていないのである。ちなみに俺もチークの思いを汲んで親には言っていない。
「と、父さん!何言ってるの!ただの幼馴染みだよ!」
チークは顔を真っ赤にして否定する。なんか胸が痛いや...
(まぁ俺も乗ってやるか。)
そう思って俺もチークに乗っかった。
「そうですよ!僕達はただ特訓を共にしただけの幼馴染みですよ!」
「そうなのか... まぁいい。ロイツ、チークのことを頼んだぞ。マイクにも言っておいてくれ。お前達の力になれることがあったら何でも言ってくれ。それじゃあな。王国を楽しんでくるんだぞ、気をつけてな。」
そう言ってチークの父親は去っていった。チークは悲しそうだった。それもそうだろうまだ子供なのだから別れは辛いものだ!俺はそう解釈した。
しかし
(俺の彼女だって言って欲しかったのに...)
チークはロイツが思っているとは違うこと思って悲しんでいたのだった。
マイクが来た。彼は泣いていた。
((あれ?この光景... デジャヴ?))
朝と同じことになりそうだったので気にしないであげた。
「よし!みんな揃ったな!今日はドタバタしたけどなんの問題もない!少し着くのが遅れただけだ!やっと俺達は王国へ向かうんだ!楽しもうぜ!」
「うん!やっとだね!」
「ああ!楽しみだぜ!」
俺が言うとチークとマイクが合わせてくれた。
キーンはその光景をにこやかに見ていた。
「「「「おーーーーーーーい!」」」」
声が聞こえた。村の方からだ。窓から村を見るとそこには村の住人が全員集まっていた。そして弾幕を広げて手を降っていた。
【タイト村の救世主は俺達の誇りだ!】
(あぁ、昼間にみんながいそいそしていたのはこの刺繍を作っていたからだったのか… )
俺は既に涙目になっていた。それはチークも先ほどまで泣いていたマイクも一緒だった。
(俺は幸せ者だな… 今になって少し寂しくなって来たな… いや、いつでも帰ってこれるんだ。それより早く大魔王とやらを倒して幸せに暮らしてやる!)
(俺は魔王が見えないが絶対に何とかしてやる!そしてロイツにも絶対に追いついてやる!)
(ロイツの彼女として、ロイツの隣にいる者にふさわしくならなくちゃ!)
俺達はそれぞれの心構えを胸にアルゲディン王国へ向かうのであった。
申し訳ない!中学校の内容まで書くと文字数がハンパなくなりそうだったので次回に持ち越しです!
後、キャラクター紹介も若干更新します!チークの両親やマイクの両親について書き加えておきました!
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