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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
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宵闇の妖怪

「霊夢ー」

「何ー」

「空はもう慣れたかー?」


紫に見送られ、霊夢と魔理沙は、博麗神社の麓にある人里の上で飛行しながら、雑談を交わしていた。


「そうね、だいぶ様になっているでしょ?」

「まだまだだぜ。この前まで げん爺なしじゃ飛べなかったのばればれなぐらいにはな!」

「・・・あいつにはホントに世話になったわね」


突然だが、この土地について今一度説明しておこうと思う。


ここは「幻想郷」人ならぬものが数多く存在する現代の桃源郷である。

もちろん人間も住んでいるが、現代人に存在を忘れ去られ、姿を維持しにくくなった妖精、妖怪、果てには神といった、その他にも数多くの、人々の信仰や、恐れを糧に生きているものが住みやすい土地となっているのだ。

江戸時代、末期・・・現在は幻想郷の管理者である、八雲紫が、時代が進むにつれ忘れ去られる妖怪たちの事を憂い、小さな県ほどではあるが、日本のある土地に結界をはり、人や様々な妖怪を募り、創造したこの土地に移住したのである。ここから平成の今の時代まで、(幻想郷の住人に年号の概念はないが)脈々と血を残してきたのだ。



さて、この小さな土地で、なぜ人と妖怪が共存できているかというと、(近寄りがたい危険な妖怪も多く存在するが)、代々博麗の巫女が見守ってきたことも要因ではあるが、最近は、紫により、 命名決闘法スペルカードルールという決闘法をとっているためである。


互いに数枚の自らの術名を書かれた札を持ち、その術を、所持している枚数分繰り出し、相手に当てるか、負けを認めさせることで、自らの勝利とする。相手を殺さぬことは最大の条件であり、人外の側は、一度でも負けてしまえば、己の過失を認め、自らの起こした異変等を収束せねばならない。


この決闘は周りの戦えぬ人間を巻き込むことも論外であり、空中で戦うことが条件となる。

だからこそ決闘ができるものはすべからく空を飛べる。しかし霊夢は最近まで空を飛べなかった。

否、一人で飛ぶことができなかったのである。


霊夢がこれまでの決闘をできてきたのは、玄爺という亀の妖怪のおかげだったのだ。代々博麗の巫女の相談役として仕えてきた妖怪であり、異変解決の際には、飛行のできる玄爺に乗り、戦ってきたのである。

しかし約半年ほど前、天寿により逝去した玄爺の顔を立てるため、一人前の巫女を名乗るため、霊夢は「空を飛ぶ程度の能力」を身に着け、これを克服したのである。


霊夢にとって玄爺はかけがえのない相棒のような存在だったのだ・・・。


「霊夢・・・ごめん、無神経だったな・・・」

「バーカいいわよ。気いつかうな。てかあんたも箒で空飛んでんじゃないのよー!」ウリウリ

「ちょ、ばかやめ、くすぐんな!それに私は箒なくても空飛べるんだぜ!」

「嘘つけ!じゃあ飛んでみなさいよコラー!」

「あーこら!箒に手を掛けるのはホントにやめなさい!魔法使いが箒で飛ぶのは王道なんだぜ!!」



ひとしきりじゃれあった後、霊夢が口を開いた。


「はあ・・・ちょっと・・・神社出る前にもこんなことしてたし、異変解決する前からこんなに疲れてどうすんのよ」


「ハア、ハア、こっちのセリフだぜ!くすぐり過ぎだろ!というかもうこんなとこまで飛んでるし・・・」


人里上空から飛んで暫く経ち、もうすっかり周りはうす暗くなっていて、いつの間にか広大な湖が広がっていた。


「あーなんか新鮮ね。あたし実はこんなに飛び回ったことなかったのよ、今までの異変だって神社の周りとか多かった気がするし・・・」

「なあ」

「わかってるわよ」


「「どうして暗くなってるんだ?」でしょ?」


「あ、ばれた」

「「!!?」」


突如として第三者の声を聴き、霊夢と魔理沙は直ぐに上空を見上げる。

すると、そこに両手を大きく左右に広げた少女が無邪気な顔で笑いながら話しかけてきた。


「妙に勘のいいやつらだなー。でもちょっとずつ闇を濃くしてたのは全然ばれなかったけど・・・え、何、天然?」

「おい!そんな変なかっこしてるやつにそんな事言われたくないぜ。」

「聖者は十字架に貼り付けられましたって言ってる様に見える?」

「・・・・・・あんた誰?」


「あたしは名も無き、<宵闇の妖怪>・・・なんてねー。そんなことより、あんたらさっきから見てたら異変解決しに行くんじゃないの。なのに何?この間の抜けた感じ。

周りの闇にも気づかない。声かけるまで存在すら気にしない。遊びに行くんじゃないのよ」


「なんだ、分かってるんじゃないか」

「は?」


半ば非難するように口出ししている 宵闇の妖怪ルーミアは、異変解決に来たであろう二人の少女に適わないまでも、命名決闘法スペルカードルールがあろうと妖怪を相手取るのは危険なことなのだということを伝えるために、友達の紫から頼まれたことを抜きにしても、伝えようとしていたのだ。しかし・・・・・


「別に気づいて無かったわけじゃあないんだぜ?でも声かけてくる気配もないし、気にしないほうがいいのかなーってな?でも・・・なるほどな、宵闇の妖怪か。周囲に闇を撒くなんて、ちょっとかっこいいぜ」

「まあ私は暗いからよく見えなかったのよ。で・・・」


邪魔なんですけど?


最後の霊夢の言葉で火蓋を切るように、今までじゃれあっていた雰囲気がまるで嘘のように、二人の「力」が爆発していく。魔理沙は魔力、霊夢は<霊力>が増大しているのだ。その力は明らかに15歳の人間の少女たちがもつ力でない。初めて異変解決に赴くような、頼りなき力では決してない。


『百戦錬磨』

・・・そう、魔理沙にはからかわれたが、

魔術を使う大いなる悪霊に命を潰されれかけ、

異世界の花妖怪と死闘を繰り広げ、

果ては、魑魅魍魎の総本山、魔界からの異変を止めに、魔界神に戦いを挑んだこともある。

命名決闘法スペルカードルールがまだない時期、その異変は起こり、しかし、そのすべての異変を解決して霊夢は今、幻想郷このちに立っているのだ。



「まあでもあんたの言う通りかもね。確かに異変なんて久々で気を抜いてた気もするわ。

魔理沙、あたしがやるわね。ここまで言われて黙ってなんかいられない・・・」


「気合い入れなおしたみたいだな、じゃあ見物させてもらうぜ。自力で空を飛びながらの霊夢の戦いも初めて見るしな!」


紫・・・ごめん


「準備運動にもならないかも・・・」


ルーミアは一人、こんなことなら無理を言って、大妖だった時に何代目かの巫女に付けられた 封印リボンを紫に外してもらうんだったと後悔したが、後の祭りである・・・


「あたしがホントに遊びに行くような気持ちで解決しに行ってるかどうか・・・肌で感じるといいわ!

私のスペルは霊符『夢想封印』ただひとつ!!」


「なっっ!?」 

「おい・・・」


驚愕するような妖怪の声と、呆れるような魔法使いの声を無視するかのように霊夢は決闘を促す


「さあ決闘よ宵闇の妖怪!あんたもカードをいくつ出すか、早く宣言しなさい!」


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