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東方奔走録  作者: むーあ
夢時空
27/32

Dim. Dream

今回は少しマジに書きました

シリアスパートですので・・・・・・

 


『魔法の森』は、魔法学と密接にかかわる植物等の素材が生息する森林もりだ。

この地に人間が近づかないのは、魔女などの妖魔を忌避していることとは別に、もう一つ要因が存在している。

――それは環境の過酷さだ。この森は幻想郷全土の中で一番に湿度が高く、その湿度を温床に、『物茸ものだけ』という凶悪な魔法植物がいたるところに生えている。この茸は人間の呼吸器に弊害を成す胞子を撒き散らし、身体をむしばむ瘴気が溢れ出す。それ故に人間だけではなく、並みの妖怪すらも、死の粉雪舞うこの地を避ける傾向にあるのだ。

 


しかし、この死地めいた場所に似合わぬ美しい三人の少女が、目的の場所に向かい歩を進めていた。

先頭を切る少女はこげ茶色のローブを纏い、ローブに付いた防護のフードを頭までかぶっている。

ショートの白い髪が押さえつけられ、少しこそばゆいと感じたが、使命感と二人を付き合わせた申し訳なさが勝ち、然程さほど気にはならなかった。


そしてその少女に案内される様に後ろに付くのは、金髪を纏う日本人の顔立ちをした少女。

黒いワンピースに白いエプロンを付け、箒を持つという魔女然とした姿である。しかし、その箒をまるで大剣の様に肩に担ぎ上げて闊歩する態度はまさしく豪胆。そして散歩でもするかのように気軽に感じられた。



劣悪な環境下とは思えぬほどに、この二人の少女達の足取りは軽く、悠々と進んでいく。

そして、二人の少女よりも少し後ろに下がり、探る様な足取りで歩む一人の白髪の女性が、口を開いた。


「・・・・・・やはり空気が悪いな・・・それに蒸し暑い。こんな過酷なところでよく暮らしているなあ、二人とも」


先頭の少女はその女性に振り返り、真ん中の少女を避けるように見ながら返答する。


「そうですか?私は生まれた時からなので・・・・・・」


そしてその少女に続くように、少し上を見上げながら金髪の少女、霧雨魔理沙が振り返りもせぬまま、呆れるようにぶっきらぼうにすぐ後ろの女性、上白沢慧音に返す。


「わたしん出たばっかだろー? 文句言うんなら帰ってくれよ慧音」


「なっ・・・!断る!・・・・・・私もこの子が心配なんだ。 付いて行くぐらい良いだろう?」


「大体これは私の依頼なんだ。コイツのおばあちゃんの容態を診察るだけだぜ?」


―――何とか出来るかどうかは判らないけどな・・・とは魔理沙は絶対に言わなかった。

可能性を自分で捨て去ることは一番に愚かなことだということを知っていたから。何より少女の希望を奪ってしまうわけにはいかなかった。


「あの・・・上白沢先生は魔理沙さんとどういう関係なんですか?」


慧音は手を腰元で下に翳すような身振ジェスチャーをとりながら言う。


「ああ、魔理沙は昔の・・・・・・コイツがこんなにちっさい時の教え子なんだ」


「・・・・・・いいだろう、そんな話は」


「ええ!? そうなんですか? じゃあ寺子屋の先輩だったんですね!」

 

「いや、そういう訳じゃない。私はそのころ家庭教師だからな。私が、魔理沙の家に教えに行ってたんだ」


「!・・・慧「着きました!!」


触れられたくない事情に触られるかと思った瞬間、魔理沙の口から荒い声が意図せず出かけたが、少女の宣言にかき消される。内心で魔理沙は安堵していた。

 



魔法の森 魔女媼まじょおう宅前


「て、近ッ!・・・・・・だいぶ前ばあちゃんから近いとは聞いてたけど、こんなに!?」


魔理沙の家から二百メートルも(魔理沙の目算だが)進まぬうち、その少女の祖母が居るという住処に到着した。


その住まいは、魔理沙の住んでいる家屋と遜色ないほどの規模だが、日本式の建築に近く、瓦仕様の三角屋根に木を用いて建てられた美しい平屋の住まいだった。


――ひのきの香り・・・・・・懐かしいな・・・。

抜けるような優しい香りを感じ、幼少期を懐かしむ魔理沙には、悲哀の念は無い。


低い玄関の格子を引き少女が中に入ろうとすると・・・


「おばあちゃん!!」


「「!!?」」


途端に悲痛な叫びを放ちながら走り出す少女を何事かと二人は視線で追う。

玄関からは右側に玄関扉、そして左側は少し窪んだ居間と思わしき空間が、透明な玻璃ガラス窓により隔てられていた。その奥・・・布団に横たわり痛々しく咳込んでいる女性の姿があった。少女はその女性に駆け寄っていく。


「魔理沙!!」


「!・・・ああ!!」


慧音、次いで魔理沙が走り出し、二人の元にたどり着く。女性の咳はゴホゴホと痛々しく、しかし身体が跳ねることは無かった。慧音はその女性に声を掛ける。


「大丈夫ですか!」


「ゴホっっ・・・・え゛え、大丈夫です、すみません、慧音先生・・・それに霧雨先生・・・いつも、この子がお世話になっております・・・・・・」


「いえ!こちらこそ急にお邪魔して申し訳ない・・・ず、ずいぶんと、その・・・・・・お若いのですね・・・・・・」


「ふふっ・・・見た目だけです。今はもうガタ・・が来てますよ・・・・・・」


その女性は少女の祖母とは思えぬほどに若く、少なく見積もっても40代前半ばといったところだが、放たれた声の弱弱しさ、その惨たらしさたるは、想像だに出来ないほど衰弱していることが窺える。


風邪じゃあない・・・あの咳の仕方・・・・・・・・・・・・

「悪いばあちゃん、ちょっと触れるぜ」


魔理沙は『力』の波動を探ろうと、自身の細胞に神経を集中し、ゆっくりと魔女媼の身体からだ診察ていく。


ああ・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・ガンか」


魔理沙は蒼白となる。しかしその病名に微笑みを湛えた魔女媼が緩やかに返答かえした。


「ええ、ええ、そうです。流石ですねえ。ふふ・・・霧雨先生に診察てもらってもよかったですかね・・・・・・ここは比較的人里からも近いので、娘夫婦が人里のお医者さんに頼み込んだようですが、もう長くないみたいで・・・・・・ほったらかしすぎましたかねえ」



いや・・・・・・これは人里に住む診察医の手に負える病気じゃない・・・・・・。肺に出来た癌が圧迫して、咳が出てたのか・・・・・・それに、肺だけじゃない・・・・・・原発(病気の発生源)がどこかも分からないほどに全身に転移している・・・・・・。



ズクッッ・・・っと魔理沙の胸を短刀ナイフで突き刺されたかのような痛みが走る。

少なくともそれほどの悔恨と罪悪感が胸を抉り散らかしていた。



・・・・・・・・・・・・助けらない


行き詰まったかのような、苦悶の表情を浮かべたその態度に少女が察したか・・・瞼を痙攣させながら、号泣を呈しそうな少女が魔理沙に懇願する。


「魔理沙さん・・・・・・わたし・・・・・・いやですっっ・・・わたし!!」


「泣かないで・・・」


そっと少女の顔に魔女媼の手が触れる。


「あ・・・おばあ・・・ちゃん」


「私はね、正直不安だったの・・・・・・だってアナタ、全然魔女らしくないのだものねえ・・・・・・二人の間に生まれた子が・・・ちゃんと成長できるのかどうか・・・」


「おばあちゃん・・・・・・ごめん、わたし」


「・・・・・・でも、なにも心配いらなかった・・・貴方はちゃんと・・・友達を作って、遊んで・・・勉強して、健やかに成長している・・・・・・知ってるのよ?たまに霧の湖で妖精や妖怪たちと遊んでいるのも・・・・・・お母さんから聞いているの・・・この間算術のテストで、満点だったんですってね・・・・・・」


「・・・・・・」

慧音は涙を堪えるように眉間に皺を寄せ、頷いている。


「ごほっ・・・・・・そして今、あなたの為にこんな素敵な先生方が集まってくれた・・・・・・。私はもう、満足したわ・・・・・・」



満足・・・・・・か、凄えな・・・・・・昔、捨虫の術を施して魔女に「成った」と聞いたが、それをあっさりと切り捨てる・・・捨てられる・・・・・・それ程の「愛」か・・・



「・・・・・・嫌だ!!!」



「「「!?」」」


「おばあちゃんっ!関係ないよ!・・・・・・私はまだ、全然!全然見せてない!! 一人前になったところも!何もかも全部!!私はまだっ・・・・・・諦められないよ!!

魔理沙さんが無理だっていうんなら!・・・・・・私が何とか・・・・・・なんとかしてやる!!」


泣きながら絶叫するように告げるその痛ましさに、誰もが顔を背けようとしただろう、その時


「・・・・・・・・・・・・ぷ・・・」


ククッと、顔を逸らして笑いを堪えるその魔法使いの姿に、白髪の教師は怒りが爆発した。


「!?魔理沙、お前っ・・・何が可笑しい!!」


「いや・・・・・・ごめん、場面が悪かったな・・・・・・そうじゃないんだ慧音、笑ったりして本当に悪かったよ。ただ・・・ただただすげえと思っただけだよ・・・。」


「・・・・・・何がだ」


「感動したんだ・・・・・・アイツの言葉を借りれば、《素敵もなく・・・・・素敵だわっ》ってな・・・・・・」


「魔理沙さん?」




『お母さんを・・・・・・助けて・・・・・・』



私はあの時、コイツの様に叫ぶことが出来ただろうか・・・・・・


私はあの時、縋る事しかしていなかったのではないか・・・・・・



きっとそうだ。

コイツは、こいつの方が余程・・・・・・よっぽど「魔女」なんだろうな・・・・・・



―――さて・・・・・・霊夢を頼るか!癪だなあ、でもそんなこといってる場合じゃないか。でもあいつに医術に関するものを呼ぶための祈祷とか出来るのか?神なんて卸せるのか?いやなめすぎか。でもあいつはそんなピンポイントで特定のことが出来るようなやつでもないしなあ、保留。あいつは、パチュリーはきっと回復魔法を使える、それも身体の自然治癒をうながす魔法が、美鈴も言ってたし、現にチルノと会った時には腕の回復はしていたしかし回復の活性化と癌細胞の死滅は全くの別問題の気がするいったん保留。じゃチルノはあいつは病気の凍結を概念を凍結できるかむりかでも細胞なら無理か身体が駄目だ咲夜はどうだあいつならプライベートスクエアで癌細胞をきり放せダメだ何時までやらせそれに有限の時間である以じょ無理紫はどうあいつはスペルカードルールをつくったほど術をくめほホドらこのていどの病気ならなんとかデキるはないかしかしばしょもわか霊夢が知っているかシラないかわからナいなでもきいてみるかちはあるかほ留神綺はアイツなら体ごと作りカえられダメかリンリ的にだからそんなバ合でも協力は魔カイに行くまでの時かとロウりょゲートは閉じてかアリスアイツならダメかアイツ究極の魔導書グリモワール捨てウソかいや駄目だあいつはうソをつイテ可能セならチカラヅクいやだダチだロなら夢美アイツカエっ


「!!?・・・ま・・・・・・魔理沙どうした!!???」


「お、お気を確かにっ・・・」


何処でもない畳の藁の隙間でも見詰るかのように、下を凝視し、異様な程、狂人キチガイめいた早口で呟くその姿に、戦くように心配していた慧音と魔女媼だったが、一人の幼い魔女はその姿を輝くような瞳で見つめていた。


「かっこいい・・・・・・」


魔理沙が何を考えているか、少女はそれを読みとれた訳では、断じてない。ただ、何がその少女の琴線に触れたか、嘆息するようにそう漏らした。



ゆっくりと、普遍的だった考察が徐々に加速をはじめ、言葉の意味を、脈絡を、順序を排除し、過去へ帰る様に巡らせる。脳髄で考えていた情報が、徐々に身体全体で考えるように、細胞が思考を始める。

希望を見出すために、関わってきた様々な者達の性格を、行動を、関係性を、特性を、思いを、取り零すまいと模索する。

そこに昔に対しての後悔など、後ろめたさなど微塵もない。あるのはただ、一つの目的のみ・・・・・・



コイツに私と同じ思いをさせるわけにはいかない・・・・・・

縋るしかシナカッタ甘ったれた私なんかと・・・・・・



魔理沙は思考をワザと横に飛ばす。

関連性のない風景でインスピレーションが沸くように、関係性のない運動に共通項を見出すように、そのときに出てくる異様な発想が存在ることを、魔理沙は知っている為だ。そして・・・・・・



「・・・・・・・・・・・・ごめん母さん」



「え?」

途端に謝罪の言葉を発した魔理沙に慧音は意図せず疑問の声を漏らした。しかしその疑問符には応える事なく、魔理沙は言葉を続ける。


「ばあちゃん・・・・・・アンタは満足したって言ってたけど、こいつの気持ちは考えたことがあるのか」


不意に少女の頭頂部に手を乗せて、魔理沙は魔女媼に問う。


「魔理沙さん?」


「この子の・・・気持ち?」


「残された奴の、心の痛みを、アンタはちゃんと考えていたか?」


「・・・・・・・・・・・・」


「私にはどちらかはわからない・・・・・・人の心が読めるなんてそれこそ妖怪だ、人間の所業わざじゃない。それにそんな身体なんだ、諦めるのは・・・わかる。意思を託し、成長を見届ける・・・その美しさも、でもなばあちゃん・・・・・・」

 

その優しい瞳は、鋭い眼光に変わり、





――――――運が良かったと・・・・・・・、諦めるんだな





人間ひととは思えぬほど、凄惨な笑みを浮かべた。







魔法の森 魔女媼まじょおう宅前


「魔理沙・・・・・・心当たりは有るのか?」


「ん・・・・・・まあ一番可能性のある所に行こうってだけの話なんだけどなー」



うつろな瞳で魔理沙は呟くように返す。呆けたようなその顔は何も考えていないように見えた。



「そうか、私も一つ・・・・・・心当たりがあるんだ」


「え、ホントか!!?」


「ああ、でも協力してくれるとは限らない。いや、多分断られる可能性の方が高いだろうな・・・・・・」


「そっか・・・・・・」


「そうだ」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


なぜ二人とも黙ったかは分からない。しかしその沈黙が生まれるほどに、神経をすり減らす場面だったのは二人には理解できていた。


「・・・・・・すごいな」


「え?」

 

不意に口を開いた慧音に、魔理沙はキョトンとした。


「いや、何、まさかおまえが・・・・・・ふふっ」


「んん??・・・・・・なんだよ?慧音・・・」


「ふふっ、ふふっ・・・・・・なんでもないさ」


嬉しそうな、嬉しくて堪らないような笑いを零す慧音に魔理沙はちょっとイライラしていた。



「魔理沙さーん!先生!」


後ろを振り返ると、走ってきたであろう少女が玄関の格子を開き、二人の後ろに現れた。

「お・・・・・・なんだ、見送りに来てくれたのか。」


「・・・・・・違います」


「?・・・・・・え、違うの?」


「霧雨先生!私も連れて行ってください!!」


「「ええ!?」」


「おばあちゃんが言っていました・・・・・・あの人は必ず貴方の参考になる。それほどの素晴らしい魔法使いだって、あ、心配しないでください!許可もおぱあちゃんからもらってます!!」


「おまっ私の意思は!?」


「あはははっ・・・魔理沙、連れて行ってあげなさい。 友達のところに頼みに行くだけだろう?」


「それはまあ、そうだけど・・・」


「お願いします!!」


「はあ・・・・・・いいよ、分かった。でも一つ約束してくれ」


「えっと・・・はい!」


「聞いてから返事しろよ・・・・・・。 いいか・・・・・・霧雨先生ってもう呼ぶな!私はそんな歳でもそんな大層なやつでもないから!」


「わかりました!」


「はあ・・・まあいいか、あそこならお前の友達がいる可能性もあるもんな、頼み込んだらなんか上手い事行くかもしれんし・・・・・・じゃあな慧音」


「ああ!じゃあまた!・・・・・・霧雨先生!」


「!!・・・・・・おい!チみたいに先生って呼ぶな!!」


捨て台詞の様にそう言い残し、慧音は森の深くへと去っていく。


西あっちは迷いの竹林か、家に一旦帰るのか・・・?


「魔理沙さん・・・・・・何処に行くんですか?」


「・・・・・・へへっ、お前にもいい刺激になるかもな、お前にもちらっと話しただろ?そこは最近外界から越してきた、紅い館でね・・・紅霧異変の首謀者たる吸血鬼の住む館さ・・・」


「ええ!!?? そ、そんな怖そうなところに・・・・・・今から?」


「へへっ・・・そこには外界で名を馳せた数々の妖怪が住んでるんだ。 しかもそこには、『歴史に名を刻むほどの魔女』までいるんだぜ?」


「・・・・・・歴史の・・・・・・魔女」


「どうする?やめるなら今の内・・・・・・てそんな顔じゃないか」


輝くような瞳で見つめ返す少女の言葉を待つため、魔理沙は紡いでいた言葉を絶った。


「行きたい!!・・・・・・会ってみたいです!そんな魔女さんに!!」


「よし!!じゃあ慧音おにもつも居ないし走るか。 

とっとと森を抜けて東に向かうぜ。紅魔館は霧の湖の先だからな・・・・・・さあ行こうか『魔女どうほう』よ」


「!!・・・・・・はい!!!」



二人は東にある霧の湖に向かう為、鬱蒼とした魔法の森を駆け抜ける。



一番可能性があるのはパチュリーか・・・・・・アイツなら治せるかもしれないしそれに・・・・・・


走りながら魔理沙は紅魔館に付いた時のことを考えていた。



それにあそこにはアイツが・・・アイツが来てるかもしれない!

・・・・・・なぜあいつらがルーマニアからこんな東の島国の幻想郷エルドラドに来ようと思ったか、なぜあいつらが日本語をペラペラしゃべることが出来たのか・・・なぜパチュリー達が私なんかを知っていたのか・・・博麗の巫女を知っていたにも拘らず、スペルカードルールを聞いていなかったか・・・そして霊夢が言った『十字』の魔法陣なんて全体的に非対称な図形はありえない。そんな魔法陣もどき(・・・)を作れるのは、私はただ一人しか知らない・・・・・・



霊夢・・・お前はとっくに気づいていたんだろうな・・・・・・あの時、紅魔館あそこに夢美が居たことに・・・・・・






紅魔館 北館二階 外部テラス



「え、なに・・・夢美アンタ異世界もとに帰ったんじゃないの?てかあの時いたのか・・・・・・全っ然気づかなかったわ・・・」


霊夢の目線の先・・・そこには奇抜な衣装を纏った少女の姿があった。

塗られたような赤毛を三つ編みにしているその少女は、その色に合わせる為と言わんばかりに、白いシャツの上から羽織る『トレンチコート』、『リボンネクタイ』、『革靴ローファー』、その細部に至るまで総てを赤く染め上げている。


その少女は赤い十字の魔法陣の上に立つように空宙に顕現あらわれ、顔を下げ霊夢へと真っすぐに視線を向けた。


「久しぶりね靈夢・・・会いたかったわ・・・・・・」


「あんたは私と恋仲こいびとか!!」


――――相ッ変わらず自由なやつねコイツは・・・・・・幻想郷ここにはこんな奴らしか来ないの・・・・・・?



「なんで・・・・・・なんでここに『岡崎夢美ユメミ・オカザキ』が!!・・・ていうか霊夢知り合いなの!!??」

霊夢が呆れていると、フランが堪らなくなったようにガタッと席を立ち疑問を零しだす。

しかし霊夢はそれ以上の疑問を感じていた。


「・・・・・・ちょっと待ち、あんたコイツに会ったことないんじゃないの?何でさっきからコイツのこと知ってる感じなのよ・・・ていうかなんだユメミ・オカザキて」


「そんなの知ってるに決まってるじゃん!世界中の人間が知ってるよ!!」


「はあ!!???」


疑問がさらに膨れ上がり、霊夢は狼狽していた。今まで幽閉されていたであろうフラン曰く「世界中の人間が知っている」らしいその人物を睨みつける。


―――なんだそれ、訳が本当に分からない・・・・・・。



幻想郷は八雲紫(主に藍)と博麗霊夢が管理している博麗大結界みえざるかべで外界と切り離された桃源郷であり、機械や人口物が蔓延る現代とは一線を画す。だからこそめったなことでは外界そとにその情報が漏れることは無ければ、外界そとの情報が幻想郷こちらに流れることも少ない(例外はあるが)・・・メディアが天狗の発行つくる新聞しか存在しえない特殊な環境だからこそ起きる疑問なのだ。しかし、霊夢はそんな幻想郷の中でも少し特殊な知識を持っているのだが・・・・・・



「フランちゃん私の事知っててくれたの!?素敵ね!」


「はい!!大ファンです!!!」


「おい!!!ちょっと夢美説明しなさい!!」


会話を遮る様に霊夢が席を離れ苛立ちをぶつける。しかし霊夢は肩を不意に後ろから掴まれて後ろを振り返った


「私が説明するわ」

「咲夜も久しぶりねー!カラメルの茶葉(中国原産の紅茶の葉)は気に入ってくれたー!?」


「夢美あなた久しぶりって・・・一週間ぶりぐらいでしょうに。

それに異変が終わってその翌日にクリスマスプレゼントみたく枕元に置くなんてサンタ染みた真似は・・・正直引いたわよ・・・・・・まあ良いわ、霊夢の疑問を晴らすのはともかく、妹様に説明はしないといけないものね・・・・・・構わないわよね」


ギロッと、有無を言わさぬというような顔で、咲夜は夢美に宣言する


「そーんな怖い顔しなくても止めないっての、現に出てきたでしょ私も・・・というか正体隠したかったのは面白そうだと思ったからってだけだしねー」


「そう、なら話させてもらうわ・・・・・・私たちが、幻想郷(ここ)に至るまでの経緯(こと)を」






慧音「魔理沙に案内してもらえばよかった」

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