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東方奔走録  作者: むーあ
夢時空
26/32

夢は時空を越えて

パチュリーの話書いて無かったのに一回投稿してしまいました!

失礼いたしました・・・・・・。




「It's my pleasure.I will follow you wherever you go. 」


あ・・・・・・しまっ!勢い余って、ついっ・・・・・・!!いや・・・大丈夫なはず・・・・・・大丈夫よね・・・・・・?


フランドールの感謝に最高の返しをした咲夜は、ちらりと目線だけで霊夢の方を見やる。

少し・・・ほんの少し、目を細めた霊夢が自分を少し怪訝な顔で見つめている。


―――!! まずい!白目(にら)まれてる!!?

しかしどう《日本語》として翻訳(なお)されたの・・・!?





━━━━━━━私としたことがっ・・・・・。






「・・・・・・う゛」


「ク・・・・・・ぶふっ・・・・・・咲夜・・・アンタ、その、顔っ!・・・あははははっもうだめ!お腹痛い!」


霊夢の高い笑い声は、テラスの土瀝青(アスファルト)に反響して鳴り響く。


「笑いすぎでしょう!!」


「え?え?・・・二人とも何の話?それに日本語って?え?咲夜は分かるけど・・・・・・話せるのみんな・・・・・・?」


霊夢がいきなり高らかに大笑いしだしたこと、そしてその発言を受け、奇妙な反応をした咲夜に唖然としていると、咲夜はしまったというような、どうしようもない顔で、今にも吸い込まれそうなほどに見事な蒼穹を見上げた。


「あー笑った笑った・・・。ねえ、後、フランにも聞くわね?

いい?咲夜・・・・・・」


「何で私に聞くのよ・・・・・・フラン様に聞きなさい」


「はいはい、ねえフラン、質問していい?」


「え?あ・・・うん、どうしたの?」


「フランはどうして私に《学がある》なんて思ったの?」


「えっ・・・・・・だってここ日本なんでしょ?なのに・・・ちゃんと英語で(・・・・・・・)話できるなんて(・・・・・・・)教養あるんだなー・・・・・・・・って思って」


「へえ・・・そんなこと出来んのね」


何かを確信したように、霊夢は咲夜に向かい嫌らしい笑みを浮かべた。 


「・・・・・・ッッ」


「何言ってるの?できんのねって・・・霊夢の事じゃない・・・・・・」



まあそうよね・・・・・・咲夜と美鈴は全然違和感なかったけど、フランは会った時から明らかに奇妙(おか)しかった。

狂気と魔力に冒されていることを抜きにしても、幾重にも結界が張られたフランの部屋での、異様な程の《奇妙な片言カタコトの発音》。私が命名決闘法(スペルカードルール)という聞きなれない造語(にほんご)を発した時の《あの反応》、そしてレミリアと闘っているときの《スペルの発音》。まあレミリアは合わせているだけだったんでしょうけど、それにしても見事に様になってた。さあてと・・・


「フラン・・・本当の事を言うわ。嘘じゃないわよ?

私はね、全っっ然教養なんてない。魔理沙に感化されてちょっと宗教学かじったりもしたけど、すぐ勉強なんてやめちゃったわ。

だから英語なんて・・・・・・・・これっぽっっっっちも・・・・・・・・・・話せないわよ・・・・・・。魔理沙は話せるかもしれないけど・・・・・・今話してるのも(・・・・・・・)日本語だしね(・・・・・・)


「え?・・・・・・え??なんで・・・だって・・・・・・」


「さあ?分かんないわよ。こればっかりは本当に、流石に私も。

『一体何をしたのか』なんで『こんな面白い事出来るのか』

というか『そもそもどういう状況なのか』すらね・・・。そこの従者メイドは何か知ってそうだけど・・・・・・」


「・・・・・・意図は無いのでは無かったの?」


「いきなりアンタの口が振揺()れたと思ったら、ちらちらこっちのこと見だすんだもん・・・・・・私は面白そうだと思ったから『勘』で思ってることちょっと聞きたかっただけよ。ホントに。・・・まあフランはどうか知らないけど」


「咲夜、どういうこと!?なんで日本語の霊夢の言葉が分かるの!!?」


「それは・・・・・・」


「答えてあげたら? いや、違うわね・・・・・・(こた)えてあげたら?」


「・・・・・・そうね・・・私が真に義を尽くすべきは彼女じゃない。」


―――お嬢様と、その妹君だけ・・・・・・。


「彼女・・・って誰なの!?」


「・・・・・・私は聞かないことにしようか?」


「フフッ・・・いえ、構わないわ」


どうしようもないような、しかしそれでいてどこか吹っ切れたようなすがすがしい笑みを浮かべた咲夜が続いて口を開こうとしたその瞬間とき・・・




『すごいじゃない靈夢(れいむ)!!』





・・・・・・・・・は?





霊夢は耳に付く甲高い、しかし妙に聞き覚えのある馴染んだ声がした方角を見遣ると、直後、虚空に赤い十字の魔法陣が顕れた。

そしてその魔法陣から棚引く何らかの赤い編み毛が、いや、誰かの赤い頭髪かみが、次いでひたい、顔、身体からだと、ゆっくりと生まれ出でるように出現した。


「なっっ・・・・・・何時幻想郷こっちに来たの!?」


「おい・・・・・・アンタ・・・・・・そうか、アンタだったのなら・・・得心いくわ」




「へ?・・・・・・ええ!!?? は? ええええええ!? 何で!?貴女はっ・・・岡崎夢美(ユメミ・オカザキ)!!???」


巫女と従者メイドは見知ったその姿に呆れていたが、その姿を初めて間近で・・・・・・目にしたフランドールは、驚天動地の異変が起こったといわん張りに叫んでいた。






正面玄関扉前 庭園 


幻想郷の霧の湖にある紅魔館。そこには職人の粋と言えるほどに立派な庭園がある。ごめん、嘘だ。そこまで自惚(うぬぼ)れてはいない。


「美鈴さん!こっちは水やり終えました!」


ぼ~と一人で考えてたら可愛らしい新入りが飛んできて、声を掛けてきた。

ふふっ『花を後方バックに微笑む大妖精』・・・絵になるなー


「おっとお!すまない!ありがとう大妖精・・・よーしちょっと休憩しましょう!!」


「はい!!」


此処は私が管理している正門と玄関扉の狭間にある庭園だ。先ほどまで二人で手分けして水やりをしていたわけだけど、この暑さのせいで、土がすぐに乾いてしまう。あー難儀難儀。

ともあれ結構な広さの庭園だ。配置も凝った幾何学式庭園にしてるから、水やりだけで結構時間かかっちゃうけどそれはそれで楽しい。様は自己満足だ。いや違う違う!!レミリアお嬢様も喜んでくれてるんだから、決してただの自己満足(ひとりよがり)じゃない!皆を幸せにする自己満足だ!!言っててむなしくなってきた・・・・・・。


「ふふっ美鈴さんって」


「へ!?何々??・・・どうしたの!?」


「面白いですね、さっきからいろんな顔してますよ?」


うわっ!・・・・・・は、恥ずかしいっ・・・きっと間抜けな顔してたんだろうなあ。門番なんて実質ただの一人での警備だからなんかしょうもないこと考える癖みたいなものが出来てる。ダメダメ!今は二人で仕事してんだから!


「私・・・・・・美鈴さんってもっと怖い人なのかと思ってました。あんな感じに皆連れてかれちゃってましたから・・・でも誤解だったみたいです。すみません・・・・・・。」


「え!?いやいや!! 謝るのはどう考えてもこっちの方でしょ! それに怖いのは誤解じゃないですよー何せ妖怪なんだから!」


「あはは!そうですね!!・・・・・・あの、一つ聞いていいですか?」


「おっなんだね大妖精君、話してみたまえ」


「はい! あの、美鈴さんたちはここに来る前はどんなところにいたんですか?」


「うーんそうですねえ、私たちはとある国の、広大な森の中に住んでいました。今でこそこんなにのほほんと暮らすことができてますけど、私たちの主は吸血鬼。それこそほかの国やらから噂を聞きつけた妖怪や人間が、滅するためにと足を運んできてくれたりもしましたよ・・・いい迷惑です!

でもそんな風に世間で名が知れていると、いいこともあるものですねー」


「良い事・・・・・・ですか?」


別にいいですよね、話しても。

何せここにいるのは最早他人じゃない・・・・・・大妖精はもう、私たちの同朋(なかま)なんですから・・・。


「やってきたのは何も悪い人たちだけじゃ無かったってことです。あのまま外界ルーマニアでも暮らしていくことは可能でしたけど、こんな現状の私たちを助けに、わざわざ東の島国から、この地に移住させてくれるよう準備してくれた方がいるんです!」


「え!そんな人がいたんですか!?・・・それって・・・・・・紫さん?」


「いいえ、管理人さんじゃありませんよ。私たちに手を差し伸べる様に道を示してくれた。妹様の希望を見いだしてくれた。そして幻想郷(このち)を紹介してくれたその人は、すべからく『赤』を着飾った。紛れもない私たちの同朋(なかま)です」


果てしない蒼穹を見遣る美鈴は強く言い放ち、そして、ある種確信めいた気持ちを抱いた。


あの赤い物理学者へと思いを馳せる者は、私だけではない・・・・・・と。







地下 大図書館兼フランドール寝室


ポツン、と、その空間にはシングルベッドが設置されている。

そのベッドを取り囲むように、小型受像機テレビやゲーム機、パソコン、縫いぐるみ、人形など、夥しい数の玩具が雑多に揃えられている。

その空間から上空を見上げると、異様な程に高い天井、否、もう一つの空間を見ることができる。

広大なその空間は本棚が上下もまばらに浮いているという、現代でいうアトラクションとも、前衛的芸術とも言える大図書館が広がっているのだ。


―――――ヴワル魔法図書館。


レミリア・スカーレットが名付けたその異形の大図書館に、二人の少女が属性魔法の研究に勤しんでいた。



「づう・・・まだできないのというの!?」


「うーん・・・パチュリー様なら『土』と『木』の組み合わせぐらい余裕だと思うんですけど・・・・・・」


「むう・・・なんなのかしらその上から目線は」


「ええ!!?誤解です!そんなつもりで言った訳では無いんです!!」


「そう、まあ良いわ。ちょっと休憩しましょう。」


「は、はーい」


魔力の放出を解き、静かにフランドールの私室へと二人は降り立つ。


「ふう、しかし流石に魔力を酷使し過ぎたわ」


「そうですねー魔理沙さんみたいに出来れば良いんですけどねえ・・・あの観察眼は凄すぎですけど・・・・・・」


不発に終わる魔法は珍しい訳では無い、『体調が悪かった時』あるいは『詠唱、魔力の出し方を誤ってしまった時』そして今の様な『魔法の開発に置いて慣れないことをした時』などである。

が、

しかし魔理沙は即座に様々な魔法や能力を見極め、自分のものに出来るほどの洞察力と、魔法の技量を持っていることが、決闘をはじめとしたこの数日間で分かってきたのだ。


「そうね・・・・・・魔理沙かのじょの根幹をなすもの・・が何なのか・・・・・・。それを理解することが出来れば、私も、更に魔女として上に行くことが出来るような気がするわ。

今度は・・・必ず呼びましょう・・・・・・」


「そうですね~・・・ああ、そういえば観察と言えば、あのお方・・・・もすごいんでしょうねー・・・・・・多分」


「・・・・・・あくまで推測でしょう?」


「あーだれのこと言ってるか分かるんですね・・・・・・これはもう確定ですよ」


日本の京都府に、未だ嘗て誰も成し得なかった偉業を打ち立てた物理学者が居る。

その物理学者は眉唾の、突拍子もない空論とも言える学説を、確かな理論として、証拠付きで世間に公表はっぴょうした。

外界の世論せろん曰くその者は、『数世紀先を捉える程の先見の明』を持ち、そして、『類稀たぐいまれなる発想と行動力』を併せ持つ稀代(きだい)の、否、《前人未到の研究者》である、と評されている。

しかもその女性は二十歳にも満たぬ年だという・・・。この者は世界中のメディアに取り上げられ、しかしこれほどの公表をされようと、出身、学歴、素性などの明確な情報は、まるで見えぬ壁に阻まれたかのように、煙に巻かれたかの如く覆い隠され、多くの報道機関マスコミを唸らせてきたのだ。




『というか天体物理学知ってるのに電磁気力知らないのはおかしいだろ!!』



パチュリーは決闘の際に魔理沙の放った言葉を噛みしめるように思い出していた。

今まで自分自身、甘えを捨て、魔法の研究に勤しんできたという自負があった。否、実際にそうだったのだ。しかし自分自身が不必要いらぬと切り捨ててきたものに価値を見出し、自分よりも遥かに若いにもかかわらず、遥か高みへ昇ろうとする一人の『普通の魔法使い』の姿を思い出し、パチュリーは静かに決意する。




――――『統一原理』・・・・・・か


「もう一度勉強し直す必要がありそうね・・・・・・。」


「え?・・・・・・パチュリー様?」


「小悪魔、休憩が終わったら魔導書を紐解くわよ。あそこの・・・Eの棚の分片っ端からね・・・・・・」


「はい!!」


ようやく教授が出てきた・・・・・・。

さあ紅魔郷ラストスパート行きましょうか!

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