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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
19/32

悪魔の妹



━━━凍えるように冷たい雨が、身を刺した




プラチナブロンドの髪を纏うその幼い少女の姿は泥にまみれ、美しく装飾の施された深紅のドレスは褪せるように茶に染まっていた。


経たりこむように座るその少女の腕の中で、同じくプラチナブロンドの長髪を纏う女性が、眠る様にして体を預け・・・死に絶えている。



『主よ・・・・・何故貴方は私達を見捨てるのですか・・・・・』



その瞳はどこも見てはいなかった。いや、目をそらしたかったのだ・・・・・・。

自らの母が死に絶える喪失の絶望から。

ほほを伝う滴は更なる雨に同化し、流される。それはまるで、哀しみを含むすべての情を書き消さんとする天の意向とも思えた。


その少女の言葉は誰に向けた言葉でも無かったのかもしれない・・・。何故なら、その信じていた(しゅ)は、単なる偶像でしか無いものだと、嫌というほどに思い知らされたのだから。

総てを濯ぐような雨の中、しかし黒い感情が浸食するようにじわりじわりと少女を埋め尽くしていく・・・・・・。


少女は怨み、呪った・・・・・・。

それは、存在の不確かな《神》をではない。

己の身に降りかかる不条理な状況でもない。

己の弱さを・・・・・・不条理を受け入れざるをえない・・・己を呪ったのだ。



『・・・あ・・・・・・あ゛あ゛・・・・・・あ゛あ゛あ゛ああああアアァァ!!!!』



その悲哀の叫び、否、咆哮とでも言うべき声と共に《彼女の血》が駆け巡り、紅黒(あかぐろ)い妖気が身体から立ち上る。

そう・・・・・・少女は妖怪としての産声を上げたのだ。









紅魔館 最下層


「ワラキア公国という国を・・・・・・知っているかしら」


「?・・・なによそれ」


昔日せきじつの国さ。かの有名なドナウ川の北部・・・・・・てかルーマニアってんだろ今は・・・」


「意地悪で問うたのに当てるなんて・・・・・・魔理沙貴方どんな脳みそしてるのかしら・・・まあいいわ、ともかく私たちはそこの出身なのよ。」


「失礼を承知で聞くぜ?・・・アンタは一体幾つなんだ」


「百かそこらよ・・・話を進めるわね」


「な!!!!百歳だって!!???」


「だから人を化け物みたいに言わない!魔法使いだったらこれぐらい普通なのよ!!」



なんっ・・・あんな練度の・・・・・・あれほどの純粋な、それも研鑽された魔法を使う魔術師が・・・たった百歳だって!!?

一体・・・・・・どれほどの努力を重ねればそうなるッッ・・・・・・


魔理沙の驚愕は無理のないことだった。

一つの属性魔法を極めるのにも二十年以上はかかる属性魔法を七種・・・それも、すべての属性を複合させる果てしないほどの技巧を見せた目の前の魔術師は、途方もない年月を生きた『大妖』だと思っていたのだ・・・。


しかし今、体から流れ出る波動をよくよく見ると、確かに若々しい生命力が駆け巡っているのが感じられた。


「い、いや・・・なんでもないんだ、悪かった。そういえばルーマニア出身とか言ってたなあ。

・・・でもなんでワラキアを出してきたんだ?だってワラキア含む諸国がルーマニアに名を変えたのはもうちょい前のはずだ。歴史じゃあアンタが生まれる時ぐらいにはもうルーマニアだったんじゃないのか?」


「ッッ!!!・・・ホントによく知ってるのね・・・。歴史学は魔法使いには関係ないでしょう?」


「あー知り合いに口うるさい歴史の先生がいるんだよ。今度紹介してやるか。・・・だめだなー、口挟むと話逸れるぜ。まあとにかく紅魔館の面子はそこの出身なんだよなー」


「そうね・・・・・・私達は、彼女たちと身も心も共にある。

少なくとも私はそう思っているわ・・・・・・」


「彼女たち?」


「ええ、この方、紅魔館当主の妹君であるフランドール・スカーレット様と、その姉であるレミリア・スカーレットの二人よ」


「姉の方は呼び捨てなんだな・・・」


「まあレミィは親友ともだちでもあるからね、まあ咲夜と美鈴にとっては仕えるべき《お嬢様》なんでしょうけど・・・・・・」


「ふーん案外複雑なのね。・・・ねえ、話長くなりそうなら私が当てようか?」


「「?」」


普段と変わらぬ声量と口調だったが、逆にそれが霊夢から紡ぎだされた言葉の不明さを際立たせる。

パチュリーと魔理沙は不意にそんなことを言った霊夢に意識を向けた。


「あたしと戦ったそこの≪自称≫吸血鬼はとんでもないほど邪悪な妖気と狂気を纏ってた。

あんたらも相当手を焼いてたんでしょうね・・・おそらくだけど、それこそ命を削るぐらいには。」


「・・・・・・」


「・・・霊夢?」


「?」


「そんでこの異変を考案したのがレミリアってやつか・・・あんたらは妹をおとなしくできる巫女あたしをここに呼び寄せるために紅霧あーゆー異変を起こしたってことでしょ!」


「え・・・・・・ええ」


「やっぱりね!」



さっきのパチュリーの話そのままじゃないか、なんだそのどや顔・・・。

嫌、それぐらい誰だってわかるぜ・・・・・・どうしたんだいきなり。

少なくともパチュリーの話を止めてまですることじゃない。



「まあ・・・一つだけ答えなさいパチュリー・ノーレッジ。

アンタは・・・・・・あんたらは吸血鬼コイツを、紅魔館ここの住人を救う為に異変を起こした。これに偽りは無いだろうね?」


「「!!」」


「?」



魔理沙とパチュリーは「ハッ」っとしたような表情で霊夢の言葉をかみしめるように理解した・・・。

そしてパチュリーは真摯に、霊夢の瞳に自らの意思を伝えるように正面から、嘘偽りない本心を告げる。



「そうよ・・・それだけは・・・・・・家族のために、この異変を起こしたの

・・・巻き込んでしまって本当にごめんなさい」


「ゆるす!!!」


霊夢は腕を組んで仁王立ちし、目を細めながら厳格そうな態度で口にしていた。


「あははっっ偉そうだなーコイツ!気にすんなパチュリーどんどん使ってやれ!!巫女なんてめちゃくちゃ暇なんだからな」


「アンタにだけは言われたくないわよ!!」



そうか・・・そういうことか霊夢。お前も言いづらいことを無理に言う必要は無いって思ったんだな・・・。計画通りとはいえ、パチュリーには霊夢に対する負い目があったんだろう。巻き込んでしまったことへの負い目が・・・

だからこそパチュリーは霊夢に対して、異変の目的を話すだけに留まらず、果ては自分達の出自(ルーツ)すら話そうとしたんだ。

でも、それは違うぜパチュリー・・・・・・

ここは秘境、幻想郷━━。

もうお前達はここの住民なんだ。何も気負うことはない。

好き勝手に生きればいいんだからな!



「大体・・・・・・そんな事情があんなら直接 神社うちに来なさいよ。さすがにあたしもそこまで困ってるやつ無下にするほど鬼じゃないわ」


「引っ越してきたばかりで、貴方の所在なんて知らないし・・・それに異変を起こすのがちょうど良いと思ってたのよ」


「は?」


「異変を起こすのは幻想郷に移住してきた者の通過儀礼なのでしょう?」


「・・・・・・おい、待て・・・・・・だれがそんなこと言ったんだぜ」


「それは・・・・・・ごめんなさい言えないわ。言わないように言われてるの

そうね、紅魔館うち相談役パイプとでも言っておくわ。それぐらいしか言えないけれど・・・。」


パイプ・・・・・・どういう意味だ?


「魔理沙、パチュリー。なんかいっぱい来たわよ」


「!?」


「!!・・・・・・あれは!みんな!?」


霊夢の声とともに遥か上空に5つの気配が神聖な妖気を纏わせて突如現れた。

そしてすこしの時間を置き、一つの影が尋常でないスピードでこちらに向かってくる。


ダアアァァァァァァァン


轟音とともに着地したその影は、舞い踊る粉塵を片手で無造作に払いのけ、こちらを見渡す。

大妖としてのある種傲慢ともいうべき『力』を感じたが、しかしその妖気は覚えのあるものだった


「ゴホゴホッッ!ちょっとレミィ!・・・・・・喘息が悪化するでしょ!!」


「おお!あんたが『お嬢様』か!!」



やっぱり吸血鬼か!!・・・・なんてでかい妖気だ。

でもやっぱり本場ルーマニア出身は違うなー。くるみとは大違いだぜ!



以前闘った吸血鬼の事を思い出しながら、その銀髪の吸血鬼を見ていた魔理沙は違和感を感じていた。



「・・・遅かったわね、アンタのお姉ちゃん」


「お姉さま!!」



今までおとなしくしていたフランドールが不意にそう口にしたことで、いかにその少女が姉であるこの銀髪の吸血鬼を愛しているかが伝わってくる。



「フラン・・・お待たせ」



なんだ・・・この感じ・・・・・・。なんで悲しそうなんだ。



「レミィ、紹介するわ魔法使いの霧雨魔理沙と博麗の巫女である・・・・・・」


「博麗霊夢よ・・・妹は封印させてもらったわ。つまり、これにて異変解決ってことね」


「そうか・・・・・・お前たちがフランを・・・封印・・・してくれたんだな」



粉塵が完全に消え去ると、美しくも幼い容姿をした吸血鬼が頭を下げている。


「ありがとう。・・・・・・本当にありがとう。

これはどれだけ感謝してもし足りないことかもしれない。」


「ちょっと・・・・・・アンタ」


「お・・・・・・おい」



ホントに・・・妖怪なのかこいつは



妖怪・・・それも大妖としての力をありありと感じるほどの目の前の吸血鬼が、パチュリーの様に突如として感謝の言葉を放ち頭を下げたことで、霊夢と魔理沙はひるむように狼狽した。

妖怪は恐れを感じ、また、恐れを集めることで力となす存在なのだ。そのような存在が、単なる人間に感謝こそすれ、ここまで殊勝な態度を取ることなどあるのだろうかと感じずにはいられなかったのだ。

ましてこの吸血鬼は八雲紫に匹敵するといっても過言ではないほどの妖気と力を纏っている。

しかし魔理沙はそこまで考えて、一人納得していた。



そうか・・・・・・紫はたぶんこいつに会ったから、私たちをサラッと送り出したんだな



大妖とは思えぬほどの物腰の柔らかさと優しさを持つこの吸血鬼に、魔理沙はある種の尊敬の念を抱いていた。そう、妹のために異変を起こし、多くのものから、咲夜にんげんからも慕われているであろうこの吸血鬼に・・・。



「ちょっと!顔上げなさい!あたしなんも大したことしてないから!!!」


「ぶッッ・・・・・・そうだぜ!えーと、レミリア?あんたがこの地に来たから・・・この異変を起こしたからこそ私たちはここに来た・・・だからこれはあんたの行動の賜物だろ?」


普段お礼などの言われなれていない霊夢は、本日二度目の多大な感謝の立礼に目に見えるほど狼狽え、その様子に思わず噴き出した魔理沙は肯定するようにレミリアに告げる。

しかしレミリアは顔をゆっくりと上げると悲しげな・・・それでいて強く優しい眼光を宿し、言葉を返す。


「行動の賜物・・・いや、私こそ何もしてはいない・・・。今までも・・・ひょっとしたら私は運命に囚われているのかもしれないな。幻想郷に来たのだってそうだ・・・。博麗の巫女、霊夢といったな。おまえがフランを救うことを、知っていたからこそ私はここに来た。それだけの話だったのだ・・・。」


「運命・・・何の話だ?」


「レミィ?」


「救うことを・・・知っていた?」



レミリアの独白に三人は疑問を感じていた・・・。目的を、妹の封印を達成したにも関わらず、レミリアはまるで重い荷物を抱えるように苦悩の表情を浮かべているのだ。そして言葉は続いていく。



「でもな、そんな・・・・・・そんな私でも、あきらめたく無かったんだ。最善は尽くしたつもりだった。みんなに極力負担を掛けまいと努めてきたつもりだった。ひょっとしたら自分をごまかしていたのかもしれない。結果みんなを騙していたのかもしれない・・・・・・。

でも取り返さなきゃいけなかったんだ・・・・・・チルノの様に」


「チルノ?・・・・・・なんでチルノが出てくるんだぜ?」


「言ってることが支離滅裂で訳が分からないわ・・・・・・ちゃんと話しなさい」


「レミィ!何を言っているの!?」


「お姉さま?」


三人の疑問が膨れ、半ばいらだちを募らせていた時、上から多くの者たちが下りてきた


「お嬢様ぁ!!!」


「て咲夜!ていうかチルノも大妖精もいるの・・・・・・っておい全員いるのか!!?」


真っ先にレミリアを追いかけた咲夜が一番に降り立ち、次いでチルノ、大妖精、美鈴がレミリアを取り囲むように降り立っていく。


「霊夢!!魔理沙ー!!ここにいたんだね!!!」


「どういう状況なのよこれは・・・。」


「ごめん霊夢、魔理沙・・・あたいレミリアに勝てなかったや。でもみんなと友達になったよ!」


「あーチルノはうちにレミリアお嬢様が雇い入れたみたいですよ?パチュリー様すみません、後で新人チルノの腕治してあげてください」


「え?・・・ええ」


美鈴の突然の言葉にキョトンとした顔でパチュリーは返したが、ついで咲夜がレミリアに疑問を投げる



「お嬢様・・・・・・なぜ結界を張っていたのですか!」


「あ、そうですよー結構つくのにも時間かかっちゃいましたからね!

ていうかフランドール様やっぱり妖気が小さくなってる!!ひょっとしてもう封印したんですか!?」



レミリアはこの最下層に着くまでの降下の最中、空気の膜のような結界を幾重にも張っていた。

その為ここに着くまで咲夜たちは結構な時間を要したのだ。

満面の笑みで口元を抑えて驚く美鈴や、周りにいる者たちの暖かい気配とは裏腹に、レミリアの気配だけが重々しく、対するかのような形で沈んでいくようだった。


「見せたくなかったんだ・・・私がしようとしていることを・・・・・・。でもそんなわけにはいかないんだって思った・・・思えたよ。私がこれからしようとしているのは単なる我儘だ・・・。全部壊してしまうかもしれない。」



「妹を封印しちゃったの!?」



!!!??


レミリアのつぶやくような言葉を無視するかの如く、突如声を荒げた者に対し、何事かと皆の視線が驚きに満ちて集まっていく。



「なんで・・・なんでそんなことしたんだ!!レミリアがどれだけ妹の事を考えてたのかも知らなかったのか!?霊夢!!!」


「チルノ!?あんたコイツの事知ってるの!?」


「落ち着けチルノ!これには事情が・・・・・・」



ギリッ


怒りを露にするチルノとは裏腹に、下を見てうつむく様に、レミリアはチルノの言葉を聞き苦悶の表情を浮かべ耐えるように歯で下唇を噛む。




『あきらめたく無いよ・・・取り返さなきゃ・・・』




レミリアは決意を固めていた・・・・・・。恐らくこれから起こるであろう、否、自らが起こす大事わがままに皆を巻き込む決意を・・・。



「お嬢様!!?」


レミリアはゆっくりと歩を進め、フランドールに向き合う形で瞳を覗く。


「お姉さま・・・きれいな瞳」


「フラン・・・・・許せ!!!!」


レミリアは無造作にフランのサイドテールを強引に引きちぎった。



え・・・・・・・・・



その場にいた全員は突如として行動を起こしたレミリアを呆然と見つめてしまう。それ程にその行動は訳が分からないものだった。



「あ・・・ああ・・・・・・・あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああ」




そして直後壊れたように叫び声を放つフランドールは、異様な程のまがまがしく、紅い妖気を纏っていく。


「レミィ!!!何をしているの!??」


レミリアはパチュリーの声に反応すると、すぐさま振り返る。その吸血鬼の瞳には欠片の迷いも写っていなかった。



「ごめん!!さっきチルノが言ったとおりだよ・・・コイツは・・・フランは大切な妹だ!!」


「だからその為に封印したんでしょう!!」


「犠牲にぃ!!!」



!?



「フランを犠牲にはしたくないんだ!私は和解すらできてなかったのに・・・・・・なのにこんな方法ふういんで押さえつけるのはやはりダメだ!!私も・・・・・・絶対に取り返して見せる!!!」


「さっきから何言ってるの!!何を取り返す気!!?」





「決まってるだろ・・・・・・私の・・・家族プライドだよ」





言葉とともにレミリアからも赤い妖気が立ち込める。強く禍々しく赤黒い妖気。しかし、何故かその放つ力には危険など微塵も感じることのない、異質の優しさと安心を見るものに与えていた。



「あーもー何してんのよ!!『夢想「『パーフェクトフリーズ』!!!」


「チルノ!アンタまでおかしくなったか!!!」



霊夢の最大の封印術は、チルノの凍結により防がれた。霊夢の持つ札が霊力もろとも凍り付いているのである・・・。


「霊夢・・・ダメだよ。姉妹のけんかに水差すっていうんなら・・・・・・あたいが凍らしてやる!!」


「ちょっと待ちなさい!!そんなことしている場合ではないでしょう!美鈴行くわよ!!お嬢様をお守りする!!!」


「はい!!!」


「おっとお・・・ちょっと待て二人とも」


「魔理沙!?」



これからレミリアとフランの前に割って入ろうと行動を開始した直後、二人の前に魔理沙は両手を広げて立ち塞がった。



「正直事情は全然分かんないぜ?分かんないけど・・・レミリアは妹と話がしたいんじゃないのか?

まだ見守ってやれよ。従者だろー?」


「ふざけてる場合じゃないんです!!フランドール様の能力は本当に危険で・・・」


━━━━ゴオオォオオォォォォォ


「なんだぜ!?」



後ろからただならぬ『力』が集まっていくのが感じられた魔理沙は勢いよく振り変える。見るとレミリアと対峙していたフランドールがこちらを覗き見ていた。



「えい!!」


ドガアアァアアーンンン


「キャアア!!」


突如としてこの場にそぐわない可愛らしい掛け声が聞こえると共に、大妖精の前の床がつぶれるように半月状にくり貫かれていた。


《新人さん、こっちに!》


「え!?は・・・はい!」



何処からともなく響く聞き覚えのある声と共に、紅い円状の魔方陣が大妖精のすぐ横の空間に出現する。

大妖精は勢いよくその魔方陣に飛び込むと、瞬時に姿を消した。



「あー外しちゃったァ・・・でもこんなに人形(あそびあいて)が居るなんて、楽しクなりそう」



狂気に満ちた笑みを浮かべ、不吉を告げるその姿は紛れもない悪魔そのもののようだった。



「フラン、お前の相手は私だろ!!」


「・・・・・・お姉ちゃんが相手になると思ってるのー?」



間延びした喋りとは裏腹に、目の前に立つ障害をどう壊してやろうかと思いを馳せるフランドールの目はまるで獲物を狩り取る様な禍々しい光に満ちる。



「なるさ・・・・・・妹の遊び相手をするのは、姉の役目だ!」



レミリアは高らかにいい放つ。それが当然の責務だと言わんばかりに。

その眼光は紅く、黒く、妖しく・・・しかし信念を宿す、強く耀(かがや)く様な光に満ちていた。




勝負・・・開始!







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