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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
18/32

ヴワル魔法図書館



レミリアたちが異形の大図書館に訪れ、最下層で妹に出会う三十分ほど前・・・・・・

魔理沙とパチュリーの討論たたかいは終焉を迎えようとしていた。




「『マァスタァースパアァアァァーク』!!!!」



構えた八卦炉から放たれるは、魔理沙の眼前総てを、大図書館全域を飲み込むかの如く覆いつくす光の奔流。


その奔流は魔理沙の練り上げた魔力を総て注ぎ込んだ高密度のエネルギー体であり、その周りのグローと呼ばれる淡い光は、放たれた閃光スパークのあまりのエネルギーの出力に、閃光核コアに纏わりつく様に虹のような七色の光を発している。


正真正銘の100パーセント、全身全霊を込めた全開の『マスタースパーク』である。


総てを覆いつくすかのかのような《脅威の虹》は大気を震わせながら、小さな魔女を一瞬で飲み込み、かき消す為と言わんばかりに、迫る。



「『ロイヤルダイヤモンドリング』!!」



否、飲み込まれはしない、掻き消えもしない。


その為に、魔理沙に合わせるように、魔力を絞り出すように練り上げていたのだ。・・・・・・そう、目の前の得体の知れぬ・・・しかし今は誰よりも愛おしい《普通の魔法使い》を名乗る好敵手ともの全力にこたえる為に。


パチュリーは宣言とともに両手を仰々しく何かを受け取る様に突き出すと、手の平に開かれた魔導書が出現した。同時に高く上空に放り投げると、魔導書が黄金色の輝きを放ち、本を中心とした縦方向に車輪のごとく光の渦が巻き起こり、魔理沙の魔法マスタースパークに激突する。しかし・・・。



それが切り札か!?

そんなにパワーがある様には見えないぜ!!

このまま!!押しきる!!!



魔理沙はマスタースパークを放っている最中でも、目に魔力を通し、あらゆる『力』の波動を見通すことのできるすべを修行により会得していた。

パチュリーは魔力を高密度の光に変換していたのだが、その俗に言う電磁波が働くときに発せられた光が、自らが発している(レーザー)と比べてもあまりにも弱いのだ。


そしてパチュリーもまた、この状況でも目に魔力を宿し、魔理沙の勝ち誇ったような顔を覗き見たことで、この勝負(ちからくらべ)の勝利を確信する。


勝ったとでも思ったの?・・・底が見えたわね!!


「ふっ!!」



短く、また、聞こえぬ程に小さく息を着いたパチュリーは魔導書に更なる魔力を注ぎ込む



!!!!!



すると今までに発せられていたパチュリーの光輪(リング)が前方に光を放ちながら、太く、強いものに変わっていったのだ。

例えるならそれは、4WDの大型車が水路から出でる為にアクセルを踏み込んだ際、車輪から撒き散らす泥土(ういじ)のように激しく、高圧的な光景であった。

連続性のある数多の光の車輪が、一つの大車輪となり固まっていたのである。


波長ちからが増大した!!?・・・いや、小さい魔法ひかりをいっぱい出して重ねてるのか!!!

・・・・・やっぱり簡単には勝たせてもらえないな・・・でも!


「負けてらんないぜ!!私も出し切ってみせる!!!」


練り上げた魔力をマスタースパークの発射時に総てつぎ込んでいたために、更なる魔力を注ぎ込むことはできない・・・しかし、注ぎ込んだ魔力をどのように変化させるのかは、まだ余地がある。


魔理沙は言い終えると、神経を集中させ、八卦炉の中に込めていた『力』を変化させた。

すると放たれているマスタースパークが徐々に小さくなり、代わりに大車輪リングを少しずつ押し返していたのだ。




な!!魔力は全部つぎ込んだはずでしょう!!?なぜ強さが変化するの!?


「くう・・・・・・ああああ!!!」


へへッ驚いてる驚いてる!・・・しかし更に光を増やす気だな!どんな地力まりょくだおい!!



なんて魔術師(やつ)なの!!!

なんて魔女やつだよ!!!



二人の魔法使いは互いに尊敬の念を禁じ得なかった。

パチュリーは《赤い学者》から聞いたとはいえ、よもやこの辺境の地に自分と同等の、ないしは凌ぐほどの魔法学を持つものがいるとは思えなかったし、魔理沙もまた、紅魔館ここの魔女が自らとパワー勝負をしてくれるような、酔狂な魔法使いとは露ほども思っていなかったのだ。

そして互いの全力に応えるために、二人は全力を、否、限界を超えようと、吶喊とともに眼前を見据える。



「オオオオおおおぉぉォォぉ!!!」


「ガハッ・・・ぁァぁアアアあああ゛!!」


「ちょっと二人とも!!周りも気にして~!!!」



更にレーザーの質と大きさを強固にした二人は気づいていなかったが、魔理沙のマスタースパークは強力になり、規模が小さくなったとは言っても、「気持ち」小さくなった程度のものであり、普通に周りにある本棚を吹き飛ばし、防壁結界の少ない机は消し飛んでいた。パチュリーの大車輪ダイヤモンドリングも大きくなった時にはもう天井近くまで迫っていき、小悪魔の魔術も悲鳴を上げている・・・いかにこの二人が規格外の魔法を放っているのかが窺える状況であった・・・。


そして二人の咆哮が重なり、瞬間的に超絶的な力がぶつかり合うことで、それは起こる。



━━━カッ



突如二人の魔法が一瞬収束したかと思うと、ぶつかり合っていた中心部から、突如辺りを飲み込むような白い光が拡散した


それは、高密度のエネルギーがぶつかり合い、混ざり合うことで発生する更なる強力な『力場』であり、二人の魔法が解ける様に、一瞬で辺りに拡散したのだ。


「づう・・・!!!」


「しまっ・・・!!小悪魔!!!」


「キャアアアア!!!」



いくら魔法のプロテクトをかけていたとはいえこのままでは崩落する・・・そして小悪魔に掛けさせていた防壁結界を更に強めて貰おうと呼び掛けたその刹那、

嫌な予感と轟音が同時に迫り、パチュリーの血の気を更に引かせる事となる。



━━ガアアァァアアァアアァァアアァァァアン



!!!!????



地面・・・・・・そういえば・・・・・・



「・・・結界かけてなかったあああ!!!!」


「ばかやろー!!!!」


掛け合わされ発生した高密度エネルギーは、拡散し、容赦なく外壁、天井、本棚等、あらゆる隔たりを抉り取るように圧迫していく・・・・・・そしてそれは皆が立つその地面も同じ事であり、防壁結界をかけ損ねた脆い隔たりは容赦なくめくれあがり、崩れさった。



「ゴホゴホッッ!小悪魔ぁぁ!!」


「ああもう!ここまで私・・・想像してましたからね!!」


悪態をつきながら主の思考に全霊をかけて沿う様に、小悪魔は作業を開始する。


「パチュリー様!お許しを!!」


言いながら小悪魔は魔力経路のリンク先である(パチュリー)がこれまで放ち続けていた『霧の魔術』を解く。

紅霧は術式が完了した後は、微弱な魔力しか使わなくても維持できていたのだが、これから防壁結界を補強するために魔力を費やす小悪魔には、不必要なものでしかなかった。



家族(みんな)の命のほうが大事に決まってます!

これでよしんば巫女が撤退してしまったとしても、次考えりゃいいんだから!!



瞬時に最善を見極める段取りと、それを実行する手際・・・

言うは易いが、絶対絶命、死と隣り合わせの状況でこの判断が出来るものがどれ程いるのか・・・現に咲夜は魔理沙との闘いでファイナルマスタースパークを受けた時、思考が止まってしまったのだ。

それは、あるいは心の高ぶりすら制御できる、悪魔(しゅぞく)としての力と言っても過言では無いだろう・・・。

絶対的な力の差があり、本能で恐れを成す魔理沙にも、臆することなくそこそこ非道(ひど)い返しが出来る程度には、小悪魔の胆力は軍を抜いているのだ。


そして小悪魔はさらに行動に移る。


地面の補強は間に合わない!!・・・ここは掛けてる魔法陣ぼうへきの補強を最優先!!!


魔理沙とパチュリーは図書館の中心部で闘っていたため、魔法の強力な力場がある地面を駆け回り防壁結界を施そうとするほど、小悪魔は命知らずではない。なので小悪魔は予め戦いの前に張っていた主に上空部分と、本棚等の魔法陣にさらに魔力を注ぎ込み、補強を試みたのだ。



「はあああああああああ!!!」


瞳を静かに閉じ、裂帛の気合を込めて魔力を放つ小悪魔の姿は赤黒く、それでいて邪な気配を感じさせぬ優しき妖気を身に纏っていた。

その妖気と魔力に呼応するかの如く、掛けられていた魔法陣が静かに、しかし強く小悪魔と同色の光を放ちだす。



なあ・・・おい


そうね・・・



その光景を横目で見ていた魔理沙とパチュリーは舞台は整ったといわんばかりに、互いの力を潰しあうかの如く研鑽していく。


「いやめなさいよ!!!」



「「あれ!?」」




これからの熱い戦いへの終止符に、鋭い突っ込みを入れられてしまった二人は、掛けていた魔法を思わず解いてしまった。小悪魔は赤黒い妖気をまとい、瞳も更に赤黒く変化している。

このツッコミは小悪魔の魅了チャームの魔術を内包させたものであり、二人の意識が逸れ、体力が限界まで削れていたからこそ掛ったものだったのだ



「これは・・・魔導書で見た魅了の魔術か!?初めて見たぜ!!」


「言ってる場合かぁ!!ホント二人とも周り見てくださいマジで!!!!」



小悪魔の発言とともに二人は周りを見渡していく・・・いや、残念なことと言うべきか・・・周りの状況は二人ともに気が付いていたのだ。ただ、勝負に夢中になり過ぎていたため、見ないふりをしていた。


周りはえぐり取られたかのような無数の傷が存在し、学習に使えただろう長い机や数多の椅子などは跡形もなく消えている。

本棚は当初均等に配置されていたが、今は雑多に、上下もまばらに浮かんでいるのだ。そして・・・・・・


二人は最初地面に立っていたはずだが、パチュリーは飛んでおり、魔理沙は箒に跨り浮かんでいる。

立っていた地面は存在せず、天井との距離ほどに開く数十メートル程の空間が下に広がっていた。



「「・・・・・・・・・ごめん」」


死ぬほどバツが悪い・・・・・・そんな表情を浮かべながら下を向いて謝る二人の姿など意に介さず小悪魔は下の空間を見下ろす。


「ていうかフランドール様は!!?大丈夫ですかこれ!!!」


「そうよ!!!妹様は無事!!?」


「妹様・・・・・・?」



二人が狼狽とともに下方を気にしている光景を見て、魔理沙は疑問を感じたが、同じく下方に視線を向けると、図書館から崩れ去ったであろう瓦礫のなかに埋もれるように、《見覚えのある符》がドームの如く配置された、球体状の塊があったのだ。


「な!!霊夢!!???」


魔理沙が言葉を発した直後。その球体から符の束がこちらに向かい一直線に飛び出てきた。


「なっ!!?・・・はあ!!」


「ちょっ・・・アブね!あたしあたし!魔理沙だぜおい!!」


パチュリーは余っていた魔力で円状の魔法陣を作りはじき返し、魔理沙は箒で旋回して回避したが、小悪魔の姿はどこにもなかった。

そして符のドームから強烈な怒りを混じらせる声が響く。


「何なの・・・あたしあたし詐欺?

こんだけよくもまあ派手な攻撃かましてくれておいて、そんなセリフよう吐けたもんやのうワレ!」


「おい!口調どうなってんだ!!!」


「て、アレ!?ホントに魔理沙じゃない!!??」


「だ・か・ら・・・そう言ってんだろ!!」


ドームの中から見覚えのある眼と視線がかち合うと、即座に符を収束させるようにばらけさせ、一瞬ですべてが少女の懐に仕舞われた。


中にいたのは二人の少女。腐れ縁の様に魔理沙と常に馬鹿をする紅白の巫女装束を着た少女はいうまでもないが、隣にいる妖怪しょうじょは異彩を放っていた・・・。


赤を基調としたミニワンピースを纏い、金の髪を見知った『符』のリボンでサイドテールにした少女である。背中には羽が、いや、羽ではなく黒い尺骨に羽の様な色とりどりの宝石が垂れ下がる様に付いているのだ。その宝石はパチュリーの『賢者の石』に拮抗するほどの魔力が込められていたのを魔理沙は感じていた。

よく見ると二人ともところどころ衣服は破れ、傷を隠すように包帯がまかれていたのだ。


「霊夢おまえ・・・」


「ていうか魔理沙アンタどんだけ激しい戦いしたらそうなんのよ!!いやな予感したから結界張ったけど、私じゃなかったらつぶれてたわよ!!」


「ごめんごめん!!・・・行こうパチュリー」


「え?・・・ええ」



あれが・・・巫女?妹様を守ってくれたの?というかなぜ最下層の妹様の部屋に・・・・・・それに・・・



《私は少し休みます・・・。ていうかパチュリー様も魔理沙さんもちょッとは反省してください!!》


魔理沙が周りをみると防壁結界である魔方陣は薄くなっていた・・・恐らく小悪魔は建物の補強に最低限の魔力を持続的に使うために、出現を控えたのだろう。


「ほ、ホントにごめん」


「小悪魔・・・・・・本当にありがとう。無茶に付き合わせたわね」


《そんな殊勝な態度でも誤魔化されませんからね!!身に余る光栄です!!》


ちょろいなー・・・・・・さて


魔理沙は悪態の後に光栄の言葉を同じ様なテンションで放つ小悪魔の御しやすさに、ちょっと可哀想に思いながら、パチュリーと共にゆっくりと、霊夢と金髪の少女のもとに降り立つ。


「よお霊夢、なんか久しぶりな気がするなー」


「全然そんな事も無いけどね、その人誰?」


「ああ、紹介するぜ・・・こいつはパチュリー・ノーレッジ。紅霧の魔術を使った大魔術師だ!まあでもその魔法も解いちゃったけどなー」


「どうも・・・・・・」


「ふーん・・・あんたがあの異変(きり)を「ていうかおい霊夢」


「ちょっとぉ!私今喋ってるでしょうがあ!!」


「そんな事よりお前・・・私とパチュリーが熱い闘いを繰り広げてる時に・・・・・・お前は一体何してたのかな~~?」


魔理沙はひょいっと地面からカードを拾い上げ、顔の前でひらひらと動かしながら霊夢に見せている。

パチュリーは何事かと思い地面を覗くと、トランプのカードがマークごとに縦四列に並べられ、そこから7のカードを基点として、左右に、数字が順に配置されていたのだ。


「七並べね・・・」


「アンタ・・・まさか私がさぼって七並べで遊んでたんだと思ったんじゃないでしょうね」


「・・・じゃないのか?」


「おい!こっちも大変だったのよ!!チルノと別れてから妖精たちのいる廊下を突破して!

やっと元凶のいそうな扉を開けたと思ったらいきなりなんか『真っ赤な十字の魔方陣』が目の前に出てきてワケわかんないとこに飛ばされて!!」


「・・・・・・」


「なんか探検家みたいだなー」


「やかましいわぁ!・・・・・・で、飛ばされた先がここよ。

こいつ『封印』するのにもホントにしんどかったんだから。

四人に分身するわ、めちゃくちゃな魔法使うわで・・・まあ、これで異変解決ね!紅霧も消えたし、吸血鬼も封印したし!」


「吸血鬼なのか!?」


魔理沙が霊夢の隣にいる少女を見遣ると、その少女はキョトンとした顔立ちで目を丸くする。そしてすぐ魔理沙にニッコリと微笑んで、自己紹介をした。


「えっと・・・フランドール・スカーレットです!」


「おう!私は霧雨魔理沙だ!

なあ・・・・・・なんだってこんな異変を起こしたんだ?」


「?・・・・・・異変?」


金髪の少女は再びキョトンとした無垢な顔立ちに戻ってしまう。


・・・・・・記憶を失うほど強力な封印を施したのか?確かに強力そうな符だけど・・・・・・


「博霊の巫女」


「「?」」


魔理沙が考えを巡らせようとした最中、突如パチュリーが口を開いたことで、二人は意識をそちらに向ける。

するとパチュリーは霊夢に向かい、大きく頭をさげ、言葉を放つ。


「本当に・・・本当に感謝するわ・・・・・・妹様を救ってくれたこと、ひいてはこの紅魔館の住人すべてを救ってくれたことに」


「どういうことだ?」


「・・・聞かせて」


「魔理沙も知りたがっていたわね。

この『紅い霧の魔術』を出した理由を・・・・・・それは他でもない、貴方を・・・『博霊の巫女』をここに呼び寄せる為よ。」


「「!!??」」

いよいよ異変の核心に迫ります!


信じられるか・・・これまだ一章の紅霧異変なんだぜ( ;∀;)

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