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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
17/32

ルーネイトエルフ



だだっ広い廊下を駆ける、二人の少女の姿があった。

一人は銀髪の髪を棚引かせるメイド服を着た少女であり、袖口や足首、胸元など、至る所に包帯が巻かれていて、痛々しい闘いの傷の在る身体をかけらでも癒すものだと一目でわかる。


その横を並んで駆けるもう一人は、赤く長い髪を棚引かせる華人服を着た少女であり、普段は身につけているベレー帽は外れている。そして銀髪の少女同様、包帯の見え隠れがあり、いかにこれまでの闘いが激しいものだったかを物語っている。


二人ははあはあと息をしながらも、決して肩で息をする様な・・・見ている者が息詰まるような苦しい光景ではなく、近い目標を見据えた二人の眼光は、勇者のように爽やかに、そして勇ましく輝いているようだった。


「美鈴!こんなペースで大丈夫!?」


「大丈夫です!!咲夜さんこそあんまり無茶しないで下さいね!」


紅魔館メイド長、十六夜(いざよい)咲夜(さくや)と門番の(ホン)美鈴(メイリン)。二人はこの館の当主であり、自分達が仕えている一人の吸血鬼のもとへ・・・・・・満身創痍である己に鞭打ち、一刻も早く馳せ参じようとしていたのだ。


「でも私は意識あったけれど・・・・・・よく貴方はこんなに早く目を冷ましたわね美鈴。」


「お・・・お嬢様のためを思えば当然です!いや、ほら・・・!パチュリー様やお嬢様を残して私だけ寝てる訳にはいかないじゃ無いですか!!」


い・・・・・・言えない!吹き飛ばされたこの機会に仮眠とっちゃおうなんて考えて、ぐーすか眠ってたなんて・・・・・・!


魔理沙の『ファイナルマスタースパーク』を受けたときにしでかした(よこしま)な行動を恥じる美鈴だったが、明眼めいがんといって差支えない双眸に、廊下の先にこちらへと駆ける三つの姿を見た時、美鈴の顔つきが一変する。


「レミリアお嬢様!!!」


それは、主に対し、誠実であろうとする精悍な従者の顔つきそのものであり、この疾走そのものが、いかにお嬢様レミリアのためを思い、真に内から湧き出た行動かを物語っている。



「おお!・・・咲夜!美鈴!無事だったか!!」


ぱぁ・・・っと心底うれしそうな顔で言葉を返す銀髪の幼き吸血鬼、レミリアは、普段と何も変わらぬ姿で二人の妖精の少女と並び、咲夜と美鈴に対する形で足を止めた。


「それにしても二人ともずいぶんアレだな・・・そんなに強者だったか博麗の巫女は・・・・・・。」


体中に包帯を巻いている凄惨な姿の二人を見て、今までどれほどの激闘をしてきたのかと・・・レミリアは静かに戦慄していた。

咲夜と美鈴の二人は決して弱くはない・・・それどころか、二人の主であるレミリアの贔屓目を除いても並みの妖怪では相手にすらならぬほどの日々の鍛錬と自力を併せ持つ、紛れもない強者なのだ。


「いえ・・・やられたのは・・・・・・」


咲夜は目を伏せ、バツが悪そうに口を開く。そしてその言葉に続けるように、レミリアの隣に浮かぶ一匹の青い妖精が問うように、しかし半ば確信を持つような口ぶりで話しかける。


「魔理沙だよね?」


「そうよ妖精・・・でもなぜ貴方がレミリア様と一緒にいるの・・・?」


「ほお・・・『魔法使い』の方か。チルノからおよそ話は聞いているぞ。

ちょうどいい咲夜、美鈴、紹介しよう。今日から臨時で紅魔館うちのメイドとして雇うことになったチルノだ」


「よろしく咲夜!美鈴(めーりん)!」


「なっ!・・・よ、宜しくお願いします・・・。メイド長の十六夜咲夜よ」


「よろしくお願いします!門番の紅美鈴です!・・・いやーまさかチルノがうちに入ってくるとはねー」


元気よく笑みを浮かべ挨拶をしてきたチルノに少し戸惑いながらも、レミリアの雇用の采配を受け入れた咲夜は戸惑いながら返す。

しかし美鈴は唐突であるはずのレミリアの言動に、少しの意外さぐらいの印象しか持ち合わせていないような態度で、チルノに負けぬ程の笑みを浮かべながら返した。


美鈴はチルノと、命名決闘法スペルカードルールではないにしても互いに勝負をした相手であり、絶対的な実力差を見せようと幾度となく立ち向かってきたチルノを高く評価していたのだ。だからこそ自らの主であるレミリアが気に入ったのは得心がいくことであり、そんなチルノが一時でも仲間として入ってくるのは、意外さこそあれど、美鈴としては決して歓迎できぬことではないのである。


「えへへ・・・まあでもしょうがないよ。負けちゃったんだから・・・。でもみんなスペルカードルールは覚えなきゃだめだよ!あぶないし!」


「そうね・・・悪かったわ・・・。」


「あぁ、なるほど・・・・・・決闘での賭けだったんですね」


咲夜と美鈴はチルノの右肩を見ながら重々しく口を開く。

肩口から下の腕の部分を失い、まるで氷付けのように傷口を塞ぐ痛々しい光景であったためだ。


「どーしたの二人とも・・・・・・あーこれ!?

えへへっ・・・一発でやられちゃったよ。自信あったんだけどさ。まあレミリアも、ここにいるみんなも決闘法(ルール)知らなかっただけなんだから気にしてないよ!

後で紅魔館(ここ)の魔法使いに治してもらうんだ!!」



「まあそういうことだ。なあ二人とも・・・博麗の巫女はそちらに来てはいなかったか?」


不意にレミリアが口にした件の巫女の言葉に、二人は顔を引き締める。


「いえ、こちらには来ておりません」


先に口を開いた美鈴の捕捉をするように、咲夜が続いて口を開く。


「玄関ロビーから美鈴と二人で行動を共にしておりましたので・・・少なくともこちらから一階までの間では見ておりませんが・・・・・・そちらには参らなかったのですか?」


「そうだなあ、来てないんだ。チルノの話では共に行動していたらしいんだが・・・・・・私の所まで来る直前で、(おとり)になって廊下で留まっていたらしい。」


「うん・・・私を扉まで妖精達(みんな)からかばってくれたんだ。なんか結界みたいなのも壊してくれて・・・だからレミリアのとこまで来れたんだけど・・・・・・。」


「しかし、来てはいない・・・そちらに引き返した形跡もない・・・どこかの扉から部屋に入っているのか・・・・・・?そういえば魔法使いも見ないな?」


「魔理沙はパチュリー様に会いに書斎に行ったようです・・・おそらく霧の魔法を出した者に興味があったのかと」


「そうか。なら通りすぎたな・・・いや、待て・・・・・・!!?」



レミリアは言葉を続けようとしたが突如として混ざり合うような尋常でない魔力が膨れ上がる感覚に総毛立った。

そして周りを見るとレミリアだけではなく、この場にいるもの達は何事かと問うような表情で顔を見合わせている。


しかし、その魔力は押し付けられるような不快なものではない。まるで感じる者総てに鼓舞を与えるかのような、力に満ち満ちたある種の清々しさを感じさせる、異質なものだったのだ。


レミリアはその魔力に、身に覚えのある、否、常に感じている程に近しい波動が在ることを感じ取った。そしてその直後にそれは起こる。



━━━ガアアァァアアァアアァァアアァァァアン



!!!!!???



例えるなら、《雷鳴》だろうか・・・・・・それも遠くに落ちる様な他人事のようなものではなく、自らの住まいに落ちたような即死の落雷━。

館中に(こだま)するように鳴り響く轟音は五人を戦慄させるには十分すぎた。


そして、更に巻き起こる現象に、皆が一斉に口を開く。


突如、視界に鮮明な《彩り》が顕れる。そう感じさせるほどに一瞬でその魔術は雲散霧消した。


そう、この異変の名であり、おそらく幻想郷(このち)総ての住人が認識していたであろう、紅い霧の魔術が消えたのだ。



「な・・・・・・パチュリー様の魔術が消えたわ!!」


「ちょっ!・・・紅霧が消えた・・・違う!!消されたんです!!!」


「きゃあ!!地震!?」


「魔理沙!!」



『狼狽えるな』


「「「「!!!!!」」」」


この場にいる誰よりも強い、厳かな妖気を纏わせ、静かにレミリアが諌めると、突如満ちていた混乱の空気が一変して落ち着いたものに収束した。

これはこの場にいるもの全員が妖気を感じ取れるものであることを知った上での一瞬の機転であり、その紅魔館の主たるにふさわしい行動に、四人共は固唾を飲んで沈黙する。


落ち着いた頃合いを見計らい、レミリアは更に言葉を放つ。


「よし・・・状況を整理しよう。まずは、感じた先程の魔力。パチュリーのものが含まれていたと感じたが・・・どうだ?」


「「はい」」


簡潔に問いかけるレミリアに合わすように、咲夜と美鈴は簡潔に応える。この経験と状況の適応力は、二人が一流たる所以(ゆえん)のひとつだ。


「依存ないな。よし、次だ・・・チルノ、お前はそちらの陣営の魔法使いの魔力を感じた。そういうことでいいか?」


「あ・・・・・・」


「チルノ!!」


「!!」


突如掛けられた声に、真っ白になった頭が一気に晴れる様に、チルノは正気を取り戻す。


「うん!!魔力はしょーじき何かわかんないけど、あの感じは魔理沙っぽかったから・・・」


「そうか・・・・・・ならこの二人が闘って、霧の魔術が維持できなくなった。もしくは消されたのだろうな・・・」


「ならすぐにでも書斎に!」


「待て美鈴、さっき聞こえた轟音も魔力も階下から・・・地下の大図書館から聞こえたのだ。恐らくだが、書斎から転送の魔法を使ったのだろうな。・・・・・まあ書斎に行くのには賛成だ。魔方陣が残ってたら使えるかもしれないしな。咲夜、空間を狭めてくれ。私達から書斎までの距離をな・・・」


「かしこまりました」


咲夜が恭しく一礼して応じると、突如廊下が奥の方から収縮していくように、離れていた距離にある扉やシャンデリア、廊下に飾られた調度品、そして妖精メイドが使っていた散乱していた掃除用具などあらゆるものが近付いていった。


「しかし妖精達(あいつら)散らかし過ぎだなー・・・よし、急ぐぞ!」


「「「「はいっ!!」」」」



移動をして数分も経たぬ内、先頭を往くレミリアが簡素な木の前で停まり、扉を開く。


「あれえ!?」


━━?


レミリアが面食らったような間抜けな声を上げたことに一同は何事かと首を傾げながら、書斎の中に入る。

そこは六畳程の書斎であり、中には小さな本棚と机、そして寝床(ベッド)が在るだけの簡素な作りの部屋だった。

しかしその部屋の中心部には紅い円状の魔方陣があり、若干の魔力が残っている。その光景はレミリアの推測を的中させる光景であったのだが・・・美鈴がその光景を見て口を開いた。


「これパチュリー様のじゃないですね・・・小悪魔の魔方陣(やつ)です」


「パチェだましたなー!!」


「お嬢様。パチュリー様は何もおっしゃっておりませんよ」


「いや咲夜、憐れむような目で見るのやめなさい!

じゃなくって・・・少なくとも騙されただろ。あいつら二人とも何処居るっていってた?」



『図書室の警備を小悪魔に任せて、私は少し休むわ』



「そうは言ってましたがパチュリー様も小悪魔も自由な方ですので・・・」


「うー!大体友達とはいえ(トップ)に嘘つくなんてどんな部下だ!拗ねたらどうする!!」


「まあまあ落ち着いて下さい。それに予想通り魔方陣も残ってたんですから、魔力を込めれば転送できますよ。」


ぷくーと頬を膨らませながら、すでにもう若干拗ねかけているレミリアをなだめるように美鈴が話しかける。


「まあそれもそうだな・・・・・・おい・・・おい。」


レミリアは地面にある魔方陣の中心に手を開いて触れると、魔力を流し込もうとする。

しかし一向に魔方陣には魔力が流れない。小悪魔が使ったのは一度きりしか使用出来ぬ即席(インスタント)魔方陣であり、レミリアの行為は、まるで鉄の壁に水を染み込ませようとする程に、むなしいほど意味の無い行為なのだ。


「転送できねー!こあくまー!!」


「小悪魔は恐らく追っ手がきたときの為に即席の魔方陣を使ったのだと存じます。余り責めないであげてください」


「うぅ・・・そうだなあ。

はあ~しゃーない、戻るか。しかし大分タイムロスだなー」


「あ、あの!!」


珍しく口を挟むように開く大妖精に、全員が視線を向ける


「どうした?大妖精・・・なにかあるのか?」


「もし正確に位置が分かるんなら・・・私が、皆さんを送れるかもしれません!」


!!!!!


「本当か!・・・いやー、もっと早く言ってくれよー」


「あうっ・・・す、すみません」


「「・・・・・・」」


レミリアはなんの気なしに大妖精の頭を撫でながら口にしているが、妖精が転送の術を使えるなどという話を聞いたこともない咲夜と美鈴はにわかには信じられないでいた。





「さあ・・・準備はいいか?」


「いつでもどうぞ。大妖精さん!」


「私も大丈夫よ。慌てなくて構わないわ。」


「うう・・・チルノちゃん」


「頑張れ大ちゃん!!」


声を掛けられたチルノはまるで分け与えるように元気な声と笑顔で声援を送る。しかし対象的に大妖精はチルノの耳に口を寄せ、ひそひそと聞こえるか否か程度の声で話しかける。



「チルノちゃんお願い・・・紫さんにはこんなことに使ったって言わないで・・・・・・」


「紫はたぶんおこんないと思うけど・・・・・・だってレミリアの為だよね?・・・・・・まあでも言わないから大丈夫だよ!」



「ありがとうチルノちゃん・・・じゃあ行きます!!!」




━━━━『道に迷うは妖精の所業(せい)なの』


凛と響く声と共に、自然そのものを身に纏う様な柔らかい妖気を放ちながら、更に呪文は続いていく。


時空(とき)の門をすり抜けて、往くべき道を辿りなさい。』



まったく・・・チルノといい、大妖精(このコ)といい、得体の知れないもの達ばかりね・・・。



妖気が自然と同化する!これは・・・道術!?

妖精が道術を使うなんて聞いたこともない!!




大妖精の普段から身に纏う、自然の妖気が、更に神聖さを帯びたことに、咲夜と美鈴は驚きを隠せないでいた。

そして呪文と共に、放つ『気』から、本来妖精が持たぬ術・・・否、不必要とも言える『道術』を放つことに、美鈴は更なる混乱をしていたのだ。


道術とは、方術・・・あるいは神仙術の総称であり、自然と一体となる特徴と、平たく言うと、最終的には《不老》の真髄を極める為に編み出された術である。


いかに強力な技とはいえ、存在が自然に依存している妖精には、不必要な術であり、世の中に花や木などの自然がある限り、ましてや九分九厘が自然を占める幻想郷では、必ずと言っていいほど滅びることなど無い。


故に美鈴は、大妖精の使う術に違和感しか感じ無かったのだが・・・。



まあいいかー!これでパチュリー様の所にみんなで迎えるんだし!

それにこんなすごい新人ならチルノ共々、問答無用で歓迎だしね!!



良くも悪くも、紅魔館の門番。紅美鈴はそんな事に頓着するような妖怪ではない。悩む様な妖怪でもない。

最終的に感じるのは単なる感動。感嘆の念。

物事をマイナスに捉えないおおらかで砕けた性格は、多くのもの達の心を落ち着かせ、また、掴む。


「すごいです!ホントに無茶苦茶『気』を感じますよ!!」


「そうね・・・フワッてしてるけど、分かるわ・・・」


「くくっ・・・いいなこれ・・・心地いい感覚だ」


淡く輝く光が徐々に強くなる・・・


「・・・・・・大ちゃんの(スペル)かっこいーなー」



呟く様なチルノの言葉を最後に、光に包まれた5人の姿が書斎から書き消えた。


そして刹那、5人が書き消えた直後に姿を現したのは、地下一階にある大図書館・・・・・・のはずだった。


「!!?みんな!飛べ!!」


!!!!!


瞬時に違和感を告げるレミリアに応えるように、四人は空に浮かぶ。

移動したのは空中であり、移動する座標(いち)を間違えたのかと思った大妖精は即座に謝罪する。


「ごめんなさい!!間違っ・・・」


大妖精は唇に不意に人差し指を当てられ、言葉を遮られた。目の前に居るレミリアは残った左手の親指を立て、自分(レミリア)の後ろ側を示す。大妖精達四人はそのレミリアの向こう側の景色を見て声を上げた。




「「うわーー!!!」」


「「っッ!!!!」」



大図書館を初めて目にするチルノと大妖精は、この空間のある種神秘的で複雑な現状に感嘆のこえをあげ、いつもの状態を知る咲夜、美鈴は驚きを隠せないでいる。いや、従者二人にいたっては声すらでないほどの驚愕の念を感じていた。


広い━━まずそう感じたのが全員だろう。

自分達が飛んでいる所から優に数十メートルはある天井、そして、本来そこにある地面が存在していない異様な状況に狼狽したのは咲夜と美鈴の二人だ。


そして普段、均等に地面に配置されている本棚は雑多に、そして上下もまばらに浮かんでいるのだ・・・そして薄く紅い、円状の魔方陣が本棚に、否、本棚だけではなく、抉られたような傷が多々ある天井にも、見える位置にある壁にも、(おびただ)しい程の数浮かんでいたのである。



━━異形の大図書館・・・・・・尋常でないその現状にレミリアは二人以上の戸惑いを抱いていたが、誇り高き吸血鬼としてのプライドと、紅魔館の主である自負が、かろうじて混乱を押さえていた。




落ち着け・・・ひっひっふー、あ違うこれラマーズ法だ。

いや!ふざけてる場合じゃない!!パチュリーは無事か!!?

それにこの分だとフランもやばい!!!


既に若干おかしくなっていたレミリアだったが、なんとか神経を研ぎ澄ませるように妖気を、音を、周りにいるであろう気配を全身全霊で感じようとしていた。


!!・・・下か!!!


そして感じるのは下方に存在する四つの気配。


慣れ親しんだ、同胞(なかま)の魔力


それと匹敵するほどの強く、しかし柔らかい魔力


初めて肌で感じるはずだが、異様な程に知っている《神秘の力》


そして、自分と似通った・・・・・・しかしまったく違う質の妖気を感じた。


レミリアは嫌な予感を感じて即座に四人のもとへと、一直線に急降下する。


「レミリアお嬢様!!」


レミリアに咲夜の声は聞こえない・・・感じている嫌な予感を払いのけるかの如く風を裂き、駆ける。



まさか・・・まさか!待ってくれ!!

違うっ・・・!せっかく運命を変えにきたんだ!!チルノのおかげで!!!だから・・・


しかしスピードとは裏腹に拭いされぬ考えは、走馬灯の様に頭を駆け巡り、心を掻き毟る。


「頼む!!!」


ダアアァァァァァァァン


轟音と共に瞬時に底についたレミリアは、着地時に舞う粉塵を払う為に右手を大きくバックハンドを振るかの如く横に薙ぐ。



「ゴホゴホッッ!ちょっとレミィ!・・・・・・喘息が悪化するでしょ!!」


粉塵(けむり)から覗く魔法使いは、怪我をしている様子こそあれど、いつもの姿と声を聞いたことで、若干の安心をレミリアに与えていた。


「おお!あんたが『お嬢様』か!!」


続いた声はどことなく好感の持てるハイトーンの、それでいて優しい声をしている。

覗く、ワンピースとエプロン、そして手に持つ箒は疑うべくもない魔法使いであることを示しているようだった。そして・・・



「・・・遅かったわね、アンタのお姉ちゃん」


声を掛けたもう一人の少女は、まるで町の中で知り合いにあったかのように自然な態度でそう告げる。

紅白の巫女装束を着た少女は、自らが待ち望んでいた少女には違いなかった。しかし、それは変わる前の運命(みらい)であり、自らの意思を貫こうとする前の最善だった。



ああ・・・





「お姉さま!!」


紅魔館当主の妹、吸血鬼。フランドール・スカーレット

レミリアに呼び掛けるその少女の表情は可愛らしい笑みであり、姉を愛する妹そのものである。


「フラン・・・お待たせ」


姉であるレミリアも同じく笑いかける。美しく、優しく。

しかしその表情は僅かな哀しみと・・・強い決意を帯びていた。












仕事っ!

忙しすぎて全く書けなかった!!


みんなこうやって失踪していくのかなぁ・・・・・・(´・ω・`)


まあしませんけど!


書き始めたからには・・・例え一人でも読んでくれる人がいてくれるなら書き続けて完走させたいと思っております。


ブックマーク、評価まで下さった方々、ありがとうございます。


引き続きお楽しみください!


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