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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
16/32

魔女達の舞踏会




『『討論(ディスカッション)』』


まるで示し合わせたかの様に、二人の魔法使いの声が重なった。

そして魔理沙とパチュリーは神経を集中し、次の互いの言葉を待ち、その声に合わせようとする。そう・・・これからおそらく無二の親友(とも)と、生涯の同朋(なかま)となるであろう、互いの言葉を・・・・・・


「「勝負・・・開始!!」」



更に重なり合う声で心が切り替わる。

二人は魔法使いであり、互いに互いの魔力が手に取る様に判るのだ。少なくとも二人はそれほどの実力を持ち、だからこそ先手ではなく後手・・・相手が何をしてくるかを読みあっていた。


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


(パチュリー様頑張れー!)


二人は動かない・・・・・・これまでの経緯で魔法使いとしての実力は本物だということは既に判っている。しかし、相手がどのような魔法を使うのかを知るには互いに情報が少なすぎるのだ。


「見かけによらず慎重なのね」


「ああ、自分でもびっくりしてるぐらいだ。そうだな、らしくないぜ・・・だから!!」


そういうと魔理沙はパチュリーへとまっすぐに(てのひら)をかざし、その指の隙間から鋭い眼光で覗き見る。そしてすぐに白く淡い光が掌に集中するように発光をくりかえす。


「行かせて貰うぜ!『イリュージョンレーザー』!!」


宣言と共に掌から白いレーザーが放たれた。

細く、鋭い、まさしくレーザーといったかたちの光の奔流であり、それは一直線にパチュリーのもとへ駆ける。


ぱんっと小気味良い音がしたかと思うと、パチュリーの前に赤い魔法陣が浮かび上がり、そして消える。レーザーは一瞬で陣に弾かれたのだ。


「甘いわ・・・小手調べのつもりなの・・・?」


「先手必勝だと思ったんだけどなあ・・・まあいい次は・・・!?」



ゾクッッと魔理沙のすぐに後方からパチュリーのものと思わしき濃密な魔力を感じた。身の危険を感じ、すぐに振り返り横に距離を取ったが、その場所には何もなく、先ほど感じた魔力も一瞬で消えていた。


「な・・・!?」


「あら、どうしたのかしら。・・・何処を気にしているの?それとも《何か感じた》?」


「今のは!?」


先ほど魔理沙はパチュリーが咲夜の様に瞬時に移動したのでは無いかと考えてしまったのだ。しかし一瞬で違うと判る。パチュリーはずっと動いてなどいなかったのだから。


「八雲紫にも通じた(デコイ)・・・どうやら貴方にも通じるようね・・・なるほど。」


「紫とやり合ったのか!?」


「まさか、ちょっと出し抜いただけ・・・。貴方も踊るのよ・・・私の掌の中でね」


「踊るのは嫌いじゃないぜ。でも一人じゃ寂しいだろ?・・・・・・魔砲!」


「!!!」


話をしながら八卦炉をポーチから取り出し、魔力を込める。するとすさまじい魔力を一瞬で一所に集中したため、『ブンッ』という機械音にも似た音が鳴り響いた。



魔道具・・・あの形は八卦炉!? でも小さ過ぎる・・・



魔力を込めている魔理沙の周りには尋常でないほどの星のような魔力の塊が生成され、瞬く間に周りをドームの様に埋め尽くした。魔理沙はパチュリーを見据えながら、不敵な笑みを浮かべ言葉を続ける。



「お前も一緒に踊ってもらうぜ!!『ファイナルマスタースパーク』!!!」



そして弾幕が発射された。その魔法はアーチ状に重なる様な美しい弾幕であり、濃密なまでの密度を誇る。



「疑似天体・・・・・・なるほどね、そういう魔法なの。でも・・・」



言葉とともにパチュリーはまるで盃でも持つかのようなしぐさで右の掌を上にして、魔力を練る。すると一瞬で魔導書であろう本が手の中に出現した。そして同時に魔理沙へと左手を伸ばし、翳す。



!?・・・・・・この波動、地の属性!?・・・いや、待て水も感じるぞ!



「踊るのは良いわ。喘息持ちだし、『ノエキアンデリージュ』」



そして手のひらから圧縮した水泡のような、土と水の属性を併せ持つ魔法が魔理沙に向かい発射された。しかし魔理沙の濃密な弾幕に比べればあまりにも少ない、とても相殺できるような密度でないことは明らかに見て取れる。しかし魔理沙は嫌な予感がしていた。そしてその予感は的中する。



「まずっ・・・!!」



魔理沙の近くで生成されていた少し大きめの弾幕がパチュリーの水泡にはじかれて消滅すると、瞬く間に総ての星が跡形もなく消滅したのだ。



「冗談だろ・・・一瞬で見破ったっていうのか・・・・・・どうして!!?」


「いや、私も本当におどろいているわ・・・その歳で、しかもこの辺境の住人でそれ程の学があるなんてね。でも天体物理学を学んでいる魔法使いが自分だけだと思わないことね。」


「ッッ!!」


「・・・・・・さっきの貴方の魔法、恐らくだけど、自分の魔力とその魔道具、そして作り出した《天体の発生及び運行》で出来た外的魔力マナを掛け合わせて出来る魔力を総て魔道具に集めて発射する魔法ね・・・違う?」


「・・・・・・見事だぜ。その通りだ。」


「そうやって掛け合わせる魔力は確かに脅威だけど、術式として組み込んだ魔法は、一つほころびが生まれればたちまち瓦解するわ。ゼロには何を掛けてもゼロになる・・・さっき私が主たる星を壊したみたいにね。」


「なるほどな、確かに『討論ディスカッション』だぜ」



魔理沙はパチュリーが『命名決闘法スペルカードルール』ではなく『討論ディスカッション』だと言った意味を改めて理解した。そう、これは自らが学んできた魔法学をぶつけ合う勝負なのだ。どちらの理論が上を行くのか・・・どちらが魔法使いとして上なのかを示しあう討論なのだということを・・・。



「さて、今度は私が課題を出す番ね・・・『フロギスティックピラー』!」


パチュリーは呪文を唱えると左手に高密度に固まった火種のような魔力を生成し、放つ。

すると地面と天井近くにまであがった火種が上下に爆発するように炎が発生し、魔理沙を追い込むように迫ってくる。


「アンタも見かけによらずなかなか派手だな!!」


魔理沙は火中の中をパチュリーに向かい、かいくぐる様に箒に跨り躱していく。そして魔理沙はパチュリーの属性魔法の熟練さに尊敬の念を抱いていた。



今度は火と水属性の掛け合わせか!?しかし、どれもなんて完成度の魔法なんだ!!



西洋魔術の属性概念は四大属性・・・つまり、地・火・水・風の4つに分けられる。

そしてパチュリーはこれまで地、火、水の3つの属性を感じさせる魔法をはなち、尚且つそれらを複合させる技術を見せていた。

一つの属性を極めるのにも、20年以上はかかるといわれる属性魔法を、応用という形にまで昇華させる・・・並大抵の練度では成しえない芸当なのだ。

しかし次の攻防で魔理沙は更に驚愕することとなる。


突破したぜ!!今度こそ私の火力パワーを見せてやる!・・・出力30パーセント!

「星符!『ドラゴンメテオォ』!!」


完全に火中の中を突破した魔理沙は跨ったまま箒を反転させると、逆さずりになるような体勢になる。

箒から左手を放し、直ぐ真下にいるパチュリーに八卦炉を向け魔法を発動させた。

八卦炉から獣の咆哮のごとく大出力のレーザーが発射される。それと同時、パチュリーも呪文を唱える。


「『ジュエリーフィッシュプリンセス』」


すると魔理沙のレーザーは壁に阻まれるかの如く散らばり、パチュリーのもとに届かないでいた。

見るとパチュリーの周りには球体のような水の防壁が施され、それにあたりはじき返されていたのだ。



水の属性魔法か!でも・・・このまま出力を上げれば!!


「させると思う?『エレメンタルハーベスター』」


彼女は呪文をさらに唱える。

パチュリーの周りに三つの巨大な歯車が浮かび上がり、回転しながら魔理沙に迫る。


二重詠唱!?・・・しまった!!


魔理沙は全力で回避しようと逆さのまま箒に両手を掛け、全力で退避しようと箒に魔力を集中させる。

しかし先に魔法を発動させたパチュリーの方が若干早く、人力車に撥ねられたかのような衝撃が魔理沙を襲う。


「がああッッッ」


吹き飛ばされる刹那、魔理沙はすんでのところで力に逆らわずに回避の魔法ブレイジングスターを発動させることにより、威力を緩和していた。

そうでなければ魔理沙は今頃物言わぬ肉塊と成っていただろう。

詰めた距離は再び元の位置に戻ってしまう。


「づう・・・『金』と『木』の属性!?四大属性じゃない・・・まさか・・・!!」


「気づいたわね・・・そう、私は《木火土金水もっかどごんすい》五行すべての魔法が使えるのよ。」


「!!!」


最初に放った魔法は『地』と水の属性魔法じゃなく、『土』と水の属性魔法だったってことか・・・確かに全部攻撃的で能動的な魔法体系だったぜ。

しかしなんてやつだ。一体どれほど生きればこれほどの魔法を扱える・・・!!



魔理沙はパチュリーの話を聞き、衝撃を受けた半面、確かにと納得もしていた。

西洋の四大属性と違い東洋の魔術形態は木・火・土・金・水の五つに分けられ、そのすべてに優劣があり相乗効果も存在する。それ故に能動的で激しい魔力の流れが生じるのだ。一概には言えないが、汎用性も高く、様々な魔法も生み出しやすい。



「アンタ・・・・・・東洋出身の魔術師なのか?」


「まさか・・・生まれも育ちも西洋ルーマニアよ。うちの門番がちょっと東洋かぶれだから・・・その関係でね。まあそんなことはどうでもいいわ。問題はあなたよ」


「何の問題があるっていうんだぜ?」


「問題しかないわ・・・・・・貴方舐めてるの!?『サイレントセレナ』!!」


!!???


「なんでそうなる!?」


突如激高したかのような反応で返したパチュリーは、今まで全く動かないでいた事がまるで嘘のようにザッッッと足に力を込めて魔理沙に向かい飛行すると、突如パチュリーを中心とした地面に魔法陣が浮かび上がった。

そして魔法陣から白い光の束があふれ出すように流れ、魔理沙を襲う


くッっ!!なんだこの属性・・・?!!

「聖属性か!?お前五行以外にも・・・」

魔理沙は箒にさらに魔力を集中させ、退避しようとした。だが・・・


「ゴホッ・・・それが舐めてるって言ってるのよ!

全力を出しなさい!!『ロイヤルフレア』!!」


パチュリーは本を畳むと瞬時に手のひらから消え失せる。そして両手を大きく広げるように上に翳すと、魔力が瞬く間に頭上に集中し、それは小さな太陽と見紛う程の輝きを放つ。


「私はいつだって全力だぜ!!魔空!『アステロイドベルトォ』!!」


魔理沙の掌から高密度の魔力が産み出され、その魔力は星を模した弾幕へと変わる。身体全体を包み込むような密度の弾幕は、パチュリーの作り出した太陽光(ロイヤルフレア)を遮り、相殺した。


太陽の魔法・・・吸血鬼と仲悪そうだなコイツ!


それは、魔理沙の思考が他所に飛び、意識が逸れた一瞬の出来事だった。


え・・・


いない・・・魔理沙の弾幕(アステロイドベルト)とパチュリーの太陽光(ロイヤルフレア)で遮られた視界が晴れると、パチュリーはその場から忽然と姿を消して居たのだ・・・


━━何処に・・・ていうか

紅魔館(ここ)の住人は隠れるの好きだな・・・」


言いながらも先ほどまで感じていた魔力が全く感じなくなっていることに魔理沙は感嘆していた。

そして、同時にパチュリーの気配を察知しようとする・・・


さて・・・魔力も妖気も消そうがどんなやつでも電磁気力は流れてる。まずはそれを・・・探る!


『ゴホッ』


「までもなかったな!そこだ!!」


離れた本棚の一画から不意に咳音が響き、パチュリーの位置が確定する。そこに向かい、魔理沙は箒で飛ぼうとする。


ゾクッ


何!??


魔理沙はまたも魔力を全く別の所から感じていた。否、魔力だけでは無い・・・気配、妖気、あらゆる力の波動が至る所から感じられるのだ。


なんだ!??なにが起こってる!!


《聞こえるかしら・・・》


「ずいぶん悪趣味だな、姿を見せたらどうなんだ」


「えっあたし!?」


不意に魔理沙は視界にいる小悪魔を見るが、普段と変わらぬとぼけた姿がそこに在るだけだった。


《魔女のあるべき姿でしょう・・・そんなことより、貴方は何故本気を出さないの?》


「聞こえなかったのか!?なら何度でも言ってやる・・・私は何時だって全力だぜ!!」


《・・・・・・私は、貴方の事が嫌いじゃないみたいなのよ》


「なんだよいきなり・・・」


《貴方が何に怯えているのかはわからない・・・でも、これだけは・・・この討論だけは全力で応えて欲しいのよ》


「!!!!」


『賢者の石』


突如至る所にある本棚の死角から六方晶系の水晶のような形をした物質が浮遊しながら出現した。少し離れた位置にあるカラフルな五つの水晶は、魔理沙を取り囲む様に均等に、上方から見ると五角形になる位置で留まった。それは一つ一つが伝説級の濃密たる魔力を宿したものだと云うことがわかる。


突如として前右方の水色の水晶から氷柱のような物質が放たれた。


魔理沙は上方に飛び回避するが、依然として五つの水晶は取り囲む様に付いてくる


!?水属性のっ・・・魔法!?五つっ・・・これはまさか!!


先ほど魔力を感じた時には濃密な魔力に圧倒されたが、見ると五つの水晶すべてが木・火・土・金・水、五行に分けた魔力を宿していることが分かる。

魔理沙はサーッと血の気が引くのを感じていた。


バババババババッッと突如として自らの体に電流が走る

「ぐああああああっっ!!」

右後方からの電撃。

嫌な予感を感じた瞬間に魔法による防壁を掛けたため致命傷ではない。

それでも確実に魔理沙の体力を奪う魔法である

そして前方、前左方、後右方。

金色こんじきと茶、そして緋色の水晶が輝く。

ッッっ!!!・・・しゃれにならない!!!!

そして三つの水晶から

鉄塊

岩槍

そして火炎の魔法が発射した。

づッ!ああ!!なん・・・くそ!!

箒ごと自分の体を回転させ、鉄塊と岩槍を何とかかわし切る。

しかしその後放射された炎は容赦なく身を焦がす

「あ゛あ゛ア゛ああアああ!!!『エスケープべロシティーッ』!!!!」

箒を真上に向けスペルを唱えると瞬間的に魔理沙の飛行速度は跳ね上がり、上方にロケットのごとく移動する。

《無駄よ!!ゴホッゴホッッ・・・賢者の石は・・・ガハッ・・・その程度で見失わない!!!》

岩槍。

続いて鉄塊と氷撃。

すぐさま火炎と雷の連撃が来る。

「ぐっッがっっあ゛あああああ゛あ゛あ゛ああァァぁぁああ゛ああ゛ァぁぁ」

《貴方が何を恐れているのかッ!ゴホッ貴方がどうして本気を出せないのか!!そんなのはどうだっていい!!ゴホッッゴホッう゛ッ・・・・・・ただ・・・私との討論を・・・勝負を・・・・・・ないがしろにするのだけは許さない!!!》

「・・・・・・・・」

脳内に響くパチュリーの怒号に呼応するかの如く、五つすべての水晶が燦々たる輝きを放つ。

最早虫の息・・・擦傷、打撲、火傷、凍傷・・・夥しい傷から血は流れ出し、脳内は霞み、箒に跨る事すらも危うい体力の中、朧げな意識だけが魔理沙をつなぎ留めている。 


死ぬのか・・・ここで・・・・・・

せっかく魔女に会えたのに・・・・・・

パチュリーにも・・・・・・応えられないまま・・・・・・




『魔理沙ー』


『なに夢美』


『どう?面白いでしょ私の論文』


『どこがよ・・・何この非統一魔法世界論ひとういつまほうせかいろんって・・・帰ったら絶対馬鹿にされるわよ?』


『貴方に会って確信したのよ!!魔法は実在する!!!』


『そ、そうですか・・・でもこっちの方が面白いんじゃないか?統一原理とういつげんり・・・だっけ?』


『ああ、そいつはダメね。魔法なんて1文字も出てこないし』


『いやそりゃそうでしょ!!物理学なんだから!』


『というか魔理沙比較物理学に興味があるの!?じゃあわたしといっしょにいきましょっ』


『い・・・いえ、けっこうですわ。』


『まあマジな話、いろんな《世界》をちゆりと廻ったけど・・・その理論が当てはまらない世界は今のところなかったわね・・・・・・』


『へー!!・・・てかやっぱ馬鹿にされるじゃないか!』


『何よ生意気に!』


『いっった!こら私はちゆりじゃないわよ!!』


『あらごめんなさい・・・・・・なんかちょっと似てるのかしらね』



・・・・・・・・・・・・いやこんな時に走馬燈で見るのがこれ!!!??


絶体絶命の状況であるにもかかわらず、『遺跡異変』という嘗てないほどしょうもない異変の首謀者との他愛ない会話を思い出した魔理沙は、思わず自分の脳内に突っ込んでしまう。


へへッ、しょうもなっ・・・でもそうだよな、ホントに私は何を怯えてたんだ。

小悪魔が結界だって張ってくれた。

パチュリーがスペルカードルールだって確約してくれた!

手加減なんてらしくない・・・何が『三十パーセント』だよおい!!

それに・・・・・・



魔理沙は分かっている・・・自分のこの脳内が、言い分けの様に本気を出す理由を探しているのを・・・

魔理沙は気づいている・・・自分のこの両手が、この異変が始まって以来の震えを見せているのを・・・

しかしそれでも魔理沙は思考を止めない。魔力を・・・己を総てかけて『力』を奮い立たせる



パチュリーを・・・失望させたくないしな!!!



それは・・・これから親友ともと、同朋なかまとなるであろういまだ姿を見せぬ好敵手ライバルのためだった。


ふぅーーーーー

深呼吸。大きく鼻から息を吸い、そして口から吐くだけの動作は麻痺した脳内に酸素を行き渡らせ、重くなった身体の姿勢を整える。

焼け石に水ともとれる行動かも知れないが、心を切り替えるには十分だった。


《諦めたの!?ならそれまでの人間だったということね!!》


響く声とともに五つの宝石はまるでこれから爆発でもするかの如く、輝きを増す。


その声は少なくとも、憎き敵にかける声ではない。それはまるで、仲間にかける葬送のごとく悲しく、魔理沙の冴えた脳内に響き渡る。


悪いなパチュリー・・・失望させたか?・・・・・・待ってろ!!!

なあ夢美・・・あらゆる行動は電磁気力、引き付ける総ての力は引力、分子の崩壊は弱い力、分子の均衡が強い力・・・そしてあらゆる未定義は・・・


魔理沙は八卦炉が入っている逆側のポーチから赤、青、黄、緑の四つの球体のような魔道具を、指に挟むような形で取り出すと、顔の前に掲げる。



天儀てんぎ



!!!?????

 

突如虫の息であった魔理沙の魔力が嘗てないほどに跳ね上がる。

今までパチュリーが目にしてきたどのような妖怪も寄せ付けぬほどの、ある種の『力』を放つ、『人間』の姿がそこにはあった。

何を・・・するの・・・?

属性魔法・・・!? 疑似天体!!?

違う・・・そうじゃない

これはそんな



『オーレリーズソーラーシステム』



魔理沙が宣言すると指で挟んだ球体は突如暴れだすかのごとく魔理沙の周りを高速で回転する。

水晶から放たれた岩槍、鉄塊、氷撃、雷撃、火炎のすべてをはじき返している。

そして数秒ののち、四つの球体は点滅を繰り返し、すぐさま白いレーザーが間断なく発射された。

発射されたレーザーは裁断機であるかの如く回転しながら水晶を、否、『賢者の石』を切断したのだ。

 

《なっっ!!?》


そして魔理沙はパチュリーがいるであろう位置に一つのビットを向かわせる。


「そこだあ!!!」


ザンッッと一角の本棚の隅を切り取ると、こちらを見据えたパチュリーの姿があった。


「へへっ、見つけたぜ」


「ゴホっ・・・・・・どうしてわかったの・・・?」


「あーまず最初から言わせてくれ・・・・・・まず五行以外のあの二つの魔法についてだ・・・・・・。いい?」


「・・・どうぞ」


「最初はあの魔法陣の魔法・・・光属性かもしくは聖属性かと思ったんだけど違ったみたいだな・・・次の太陽の魔法を見て確信した・・・あの二つの魔法は静と動に分かれてる。たしか陰陽にも五行思想はあったよな?さしずめ日と月・・・あんたは五行の魔法使いじゃなく、七曜の魔法使いだったってわけだ・・・・・・一週間少女」


「おい聞こえてるわよ」


「ごほん・・・そして次だ、さっきパチュリーが隠れてた時に感じてたあの妖気と魔力、あらゆる力が全体のいたるところに感じたのは五行の方の魔術、自然界の魔力マナを発生させてたんだろ?

五行は自然と密接な関係にあるもんな・・・・・・しかしあんだけ自然な気配を人工的に創造できるやつなんて見たことない・・・さすがだぜ」


「むう・・・ご名答」


むすっとした顔でパチュリーは応える


以前紫が紅魔館の住人(メンバー)に接触を図った際、紫は《隙間》を使い大図書館に移動した。しかし図書館は実際は地下にある。紫はその際紅魔館の上階に妖気と魔力を感じ、そしてそこに移動しようとしたはずなのだが、結果はこの通りである。パチュリーは外部に結界を張るだけでなく、自分の居場所をつかませぬためのデコイとして、五行の魔力を上階に配置していたのだ。そして、敵意のないものは魔法陣で図書館に通すようにしていた。・・・・・・そう、パチュリーは知っていたのだ。八雲紫という人物を。


『あと管理人さんに会った方がいいわ!!めんどいから私は関わらなかったけど・・・まあいい人なんでしょうけどね?まあパチュリーさんクラスなら上手いこと出し抜けるんじゃない?』


「まさかあなたのような人間に見破られるなんてね・・・」


「誰と比較してんのか知らないけど、あんまり紫は舐めないほうがいいぞ・・・」


「!?・・・肝に銘じとくわ・・・・・・。それと一番肝心なところが抜けてるわよ。私の居場所。『どうしてわかったの』」


「簡単さ、電磁気力だ」


「?」


「人体、物質・・・なんでもいい、とにかく動くときに作用するすべての力。それが電磁気力だろ?それを感じ取ったんだ。」


「そんな・・・ものが」


「というか天体物理学知ってるのに電磁気力知らないのはおかしいだろ!!」


「何よ・・・馬鹿にしてるの!?

魔術で使用するのは天体の運行ぐらいのものでしょ!!そんなの忘れちゃったわよ」


「そんなもんかね・・・・・・まあいいや今のところ互角だな!!」


「そうねもう小細工も効かなそうだし・・・これで最後よ。ゴホッ・・・流石に『賢者の石』はきつ過ぎたわ」


「おいおい大丈夫かよ。全力で行くぜ?・・・本当に、全力で・・・・・・崩れたらごめん!」


「大丈夫よ小悪魔が何とかしてくれるわ」


「ええ!!!私無理ですよーー!!」



さあて・・・


ええ・・・


キイイイイィィィィィンと二人の宣言と共に共鳴するように魔力が高まって行く。

耳をつんざく様なその音は互いにとって不快ではなく、むしろ闘いを祝福する喝采のようにも感じられた。

魔理沙は八卦炉を構えると、美しい紫の髪の少女を見据える。

魔理沙は気づいていなかったもう自らの迷いも震えも止まっていたことに・・・。



全身全霊で捧ぐぜ・・・だからこそこの『(カード)』なんだ。



恋符(こいふ)


日月じつげつ


「『マァスタァースパアァアァァーク』!!!!」


「『ロイヤルダイヤモンドリング』!!」




━━━━歴史に名を刻む程の魔法が重なったその日、大図書館は白い光に包まれた。

な、なげえ・・・。

一万文字越えるかと思った・・・。


うーん・・・書いてて思ったけどこれ面白いですかね?

いや、いかん!私がそんな事言っててどうするんだ!


しかし私の中で魔女イコール頭でっかちのイメージが強すぎるのかなあ。

もっと分かりやすく伝えたいんですけど・・・というか魔理沙とパチュリーの頭に私がついていけてねえ・・・


ともあれこんな駄文に付き合ってくれる皆様本当にありがとうございます。

次回も見て頂ければ幸いでございます。



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