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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
14/32

非統一魔法世界論




━━━超大統一理論(ちょうだいとういつりろん)という学説がある。



この自然界(せかい)に存在している主たる4つに分類された『力』


重力

電磁気力

弱い力

強い力


これら総てを一つの力に統一しようとする考えだ。

『力』に関する論文は多くの学者が取り組んできた事柄だが、この平成の世においても、この学説はまだ明確に実証されてはおらず、話題が途絶えることは、まだ当分無いだろうとされていた。


しかし、しかしだ。


もしこの学説を理論として理解しているものがいるとするなら・・・・・・


完全に『力』の統一に理解を示す事ができるものがいるとするならば・・・・・・


その者は語り継がれ、歴史に名を刻むであろうことは想像に難くない。


そしているのだ・・・そのようなものが・・・・・・


それも三人もである。



二人は学界に彗星のごとく表れた少女たちであり、一人は赤い髪を後部で三つ編みにした少女。もう一人はその部下であろう金髪をツインテールにした少女だ。


二十歳(はたち)にも満たぬ歳で多くの学者を行き詰まらせたこの理論を、『統一原理(とういつげんり)』という言葉に代えて発表した。

だが発表の際は何故か二人とも不機嫌だったという。



この二人はメディアで世界中に取り上げられたが、出身や学歴等の明確な情報は誰も知り得ない謎の人物として、様々な憶測が世間では飛び交っていた。




そしてもう一人・・・


しかしこの者はこれほどの学があろうと、テレビやネットなどのメディアの発達したはずのこの平成の現代においてすら、名前が知られることはない。


・・・・・・何故ならその少女は、世間に知られることの無い土地の出身であり、住人だからである。





紅魔館 二階 中央廊下


「うおーー!!!めちゃくちゃ広いなやっぱり!!!!」



魔理沙は倒れたままの咲夜に見送られ先に『お嬢様』のところに向かったであろう霊夢とチルノを追う様に、二階に駆け上がっていた。

二階は廊下となっていて、様々な部屋に入れるであろう扉が左右の壁についていた。しかし、あまりにも広い間取りに感動の声を上げていたのだ。



玄関からしておかしいぐらい広かったけど・・・やっぱり咲夜の能力だよな・・・・・・こんな力を常に維持しているなんて、お前のほうがよっぽど化け物だぜ咲夜。



霊夢と魔理沙はある程度看破していたが、咲夜は『時間を操る程度の能力』を持つ。

この能力は時間を加速、減速、停止させることもそうだが、相対性理論により、空間も操る事ができる。魔理沙はその能力を使い、この紅魔館の内部の広さを操っていると解釈していた。そしてその読みは正解しているのだ。



さーてどうするかね。咲夜の話じゃもうこの二階に魔女さんがいるらしいが・・・それとも別館かな?

・・・くそーもっと詳しく聞いとくんだったぜ!



魔理沙は一瞬、パチュリー・ノーレッジがいる明確な書斎の位置を聞いておくんだったと後悔したが、ファイナルマスタースパークで吹き飛ばし、重症を負わせてしまった咲夜に無理して話してもらうこともないか、と即座に思考を切り替えた。



まあ、何とかなるだろ・・・・・・しかしまあ、当たり前っちゃ当たり前だが、見事なまでに気配を消してるなあ。

常に警戒をおこたらないぜ。隙が出来ると思うなよ!

さーどっからでもかかってこい!!



魔理沙はそう意気込んではいるが、二階の廊下に張り巡らされた妖精メイドたちは粗方霊夢とチルノが片付けてしまっているため、潜んで魔理沙を攻撃してくるような住人は皆無なのだが、そんなことは露知らず、魔理沙はキョロキョロと視線を移しながら、廊下の先へ先へと進んでいく・・・そして・・・・・・



見つけた!



暫く廊下を進んでいると、不意に廊下の左側にある何の変哲もない扉から微弱な魔力を感じ、足を止めた。



気配も魔力も殺しきれてないぜ!でもこの純粋な『力』の波動は初めて感じるな?・・・・・・一体なにものなんだ・・・・・・



魔理沙は緊張した面持ちで扉の前に立ち、深く深呼吸をした後、右足に魔力を宿すと大きく振りかぶるように後ろに上げてた。


「はっ!」


気合いの入った掛け声とともに魔理沙は上げた足を戻すように下げ、サッカーのゴールキックの如く扉を蹴破った。


バンっと扉は内側に大きく開いた。中は一人部屋程の書斎となっており、本棚の横に机と椅子があるだけの簡素な作りとなっている。そして、中には待ち構えるように立っていた人物がいた。


紅く・・・それでいて暗い印象を持つロングヘアに、白いシャツ、黒いベストとロングスカートを纏うヨーロッパ圏風のくっきりとした顔立ちをした美しい少女だった。その少女の頭には小さな、黒い蝙蝠のような羽根が獣の耳の様に生えている。


その少女は手を慎み深くスカートの前で組み、直立していたが、頭を腰からきれいに45度ほどに曲げ、見事な立礼を見せたのだ。



なるほどなあ。悪魔か・・・。さーて。


すこし考え込み、魔理沙は立礼を終えた美しい悪魔の少女に話しかけようと、『んん゛っ』と少しせき込んで言葉を放つ



「 AH~I'm MARISA. My name is Marisa Kirisame. Excuse me but do you know Where Ms. Knowledge is? 」





「・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・あれ?」



「ぶふっ・・・・・くっ・・・ククッ・・・・・・日本語で・・・大丈夫ですよ。ふっ・・・マリサ・キリサメさん」


「な!・・・日本語しゃべれるのかよ!!ええいこうなったらもっかい言ってやる!

私は魔理沙!霧雨魔理沙だ!!・・・・・・悪いが咲夜から聞いて、パチュリー・ノーレッジ様って魔女に会いに来たんだ。知ってるか?」



魔理沙はどう見繕っても日本人ではない顔立ちをした少女を気遣い、一番通じる確率の高い英語でコミュニケーションを取ろうとしたが、お辞儀をした後の少し戸惑ったような表情がどうやらからかわれただけだということを理解し、ちょっと怒りながら日本語で細かく言い直した。


口元を袖で隠しながら堪えるように笑う目の前の悪魔はひとしきりニヤニヤした笑みを消すかのように下を向き真顔になった後、微笑みを魔理沙に浮かべ、言葉を紡ぐ。


「私はしがない召喚悪魔・・・・・・小悪魔です。パチュリー様は私の主人なんですよ・・・・・・今は地下の大図書館にいます。」


「なっっ!地下かあ・・・・・・しゃーない、また戻るかな。」


「いやいや!私が魔法陣で転送しますよ!その為にここにいるんですから!!」





「・・・・・・対価は?」





「・・・いや要りませんよそんなの!なんですかその意味深な間は!!

さっきのはちょっとからかっただけなんですって!ですからそんな疑いの目で見ないでください!!」


「あははっっ嘘だよ冗談!あ、でも腹立ったから謝らないぜ?」


「もう・・・・・・話で聞いた通りの破天荒ですね魔理沙さん」


「・・・・・・ん?なんか言ったか?」


「何にも言ってないです。さあいきますよ」



面白いやつだなーそれに色々間抜けだし・・・・・・



ブレザーのポケットから赤いチョークを取り出し、跪坐きざの姿勢で黙々と素早く部屋の中央部分に魔法陣を書き出す小悪魔を見ながらそう感じていた。



さっきのも聞いてたけど。小悪魔おまえなら気配も魔力も殺すくらい朝飯前だろうに・・・わざわざ妖気じゃなく魔力を垂れ流してるとは。

それにここにいるのは転送する為って・・・・・・お前それ私のこと待ってたって言ってるようなものだぜ・・・・・・。


 

暫くして魔法陣を書き終えた小悪魔がこちらに振り返り声をかけてくる。


「さあ魔理沙さん。魔法陣の中に入ってください。これから転送しますので。」


「ん、了解」


二人が魔法陣の中に立つと、途端に描かれた陣が紅く輝きだした。これは転送開始の合図であり、内包する魔力が魔法陣の円のふちからあふれ出し、紅く染まるように円筒状に二人を包み込んだ。

すると瞬時に二人の見ている景色が変わったのである。



「うわーーー!!!」



先ほどまでいた部屋とは比べものにならないほどの広大な間取りの空間が、そこには広がっていた。

天井までは優に数十メートはあり、その上にかけられたいくつもの、しかし決して明るすぎるわけではない美しいシャンデリアが室内を彩る。

館内はいくつもの本棚が並び、その中にはプロテクトが掛けられているであろう幾つもの魔導書であろう本が敷き詰められている。

学習に使用できるであろう机は中央部に並べられ、何十人と座れるほどに椅子が中に仕舞われていた。


総じて、魔理沙を驚愕させるほどの、見事という他ない大図書館だったのである。


「すごいでしょ・・・ここが大図書館ですよ。」


「ああ・・・・・・ちょっと感動してる」


「気に入ってもらえて何よりだわ。」


「!」


「パチュリー様、連れてきましたよ」



不意に本棚の陰から一人の少女が姿を現す。紫色のロングヘアに同系色のローブを纏うその少女は、魔理沙に更なる衝撃を与えた。



「なんっだよあんた!」


「むっ・・・なによいきなり人の事化け物みたいに言って」


「ちょっ・・・魔理沙さんっ!この方がパチュリー・ノーレッジ様ですよ!!」


「い、いや、なんでもないぜ。いや・・・・・・やっぱりあるぜ。すごいなあんた・・・生粋だ。」


魔理沙はまじまじと紫の髪の少女、パチュリーを見ると、濃密なほどに蓄積された魔力をその身に宿していることが感じられた。その力は尋常ではなく、明らかに人の短き生で得られるような量の魔力ではないのだ。恐らくは捨虫の術と呼ばれる身体の成長を止める魔法を身にかけているのだろう。

それか、生まれながらの種族まじょであるか・・・どちらにせよ見た目通りの年齢でないことは確かである。


「そういうあんたはまるで似非えせ魔術師ね。なんなのかしらその矮小な魔力は」


「私は普通の魔法使い!霧雨魔理沙だぜ!!

なあ、あんたが霧の魔法を出したんだよな・・・・・・なんであんなめんどくさいことしたんだ?」


「言うと思う?悪いけど力づくなんて考えるだけ無駄よ?・・・・・・あなたのような人間ふつうの魔法使いに魔女わたしは倒せないわ・・・・・・」


「あー・・・・・・咲夜にも同じようなこと言われたぜー」


妙に聞き覚えのある似たような台詞に魔理沙は、はぁーと深いため息をついた。


しかし魔理沙は目の前にいるパチュリーが本気でそのようなことを考えているわけではないと思っていた。本当にぞんざいにそう思っているのなら、わざわざ大図書館に転送してくれたことの説明がつかない。常に警戒し、練り上げている体内の魔力も感じるのだ。




『あ!!そうそう、パチュリーさん。

幻想郷に行ったら魔理沙って子に会うといいわ。きっと話も合うはずだから』




能天気な学者の言葉を思い出し、パチュリーも相当に深いため息を付く。


・・・・・・こいつがあの夢美が言っていた『魔法と紅夢からなる存在』?『素敵な魔法使い』・・・?

どこがなのかしら、霧の魔法を看破したのだから、そこそこの学はあるのでしょうけど・・・人間だし、魔力も未熟ね。


しかし魔理沙の考えとは裏腹に、パチュリーは赤い学者から聞いた『霧雨魔理沙』の話と、目の前の人物との差に失望の念を抱いていた。巫女とともに異変解決に同行するパートナーであり、唯一の好敵手ライバルであるというその少女の姿は、未熟な年端もいかぬ魔法使いそのものである。


話が合うかと思って呼んだけど・・・・・・見当違いだったわね。早々に帰ってもらいましょう。



「この世界では決闘で物事を収拾するのでしょう・・・・・・いいわ、かかって来なさい。勝てたら教えてあげる。その代わり負けたらすぐに出て行ってもらうわよ。」



あれ!?なんかホントに呆れてないか?うーん・・・癇に障るようなこと言ったかな?


「転送しといてその言い草はどういうことだよ!さすがにあたしも怒るぞ!!」


「いや結構早い段階で怒ってましたよ魔理沙さん!?」



小悪魔が納得いかなそうに魔理沙に向かってちょっと反論するが、無視してパチュリーが魔理沙に返す。



「呆れてるのよ・・・・・・この紅魔館に乗り込んできた魔法使いがこの程度の実力しかないのに出しゃばってくるような奴で・・・大方今までも博麗の巫女に守られていたのでしょうね」


「そうかな?」


「そうよ・・・・・・!!???」



魔理沙は疑問を投げかけると同時、パチュリーを驚かせようと、魔力を爆発させるようにふいに解き放つ。




しかしパチュリーは目の前の金髪の魔法使いが先ほどとは比べるべくもない魔力を異様な程に増大させたことに、驚愕というより尋常でないほどに強い疑問と関心を抱いていた。



なんなのこいつは・・・人間の魔法使いではないの!?



そう・・・・・・魔理沙は先ほどのパチュリーと比べても遜色ないほどの魔力を周囲にときはなっている。いや、それはいい。問題はそこではない。問題は成人にも満たぬ歳の魔法使いではこの魔力を宿すのは不可能な事象だということであり、生粋の魔法使いである彼女だからこそ感じる疑問なのだ。



『統一原理』という論理がある。

この世界に存在する四つの力を統一し、この世はすべて一つの力に置き換えることができるという論理だ。

しかし、外界の京都府にてこの論理を発表した少女たちは、この説に納得していなかった。

なぜならまだ、この論理には先があるから・・・・・・そして、この新たな学説を理解するほどに、まだ考えは固まっていなかったのだ。



「答えなさい!貴方は何者なの霧雨魔理沙!!」


「私も知りたいぜパチュリー・ノーレッジ。誰が私のことをお前らに伝えたんだ」


「「!!」」


統一原理にすら当てはまらぬ、いわゆる第五の力。━━━魔法。

その力を原理と共に意のままに操る・・・・・・一人の少女が幻想郷にいるのだ。





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