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東方奔走録  作者: むーあ
紅魔郷
11/32

華人と従者



おいおい・・・咲夜だけじゃなく、よりによってもう一人追加かよ!

こいつが『めーりん』か・・・ん!?


魔理沙は後ろを振り返り、妙に見覚えのある紅い髪をたなびかせる緑色の華人服を着た少女を凝視するように見つめる。

するとその少女は人懐っこい笑みを浮かべ、話しかけてきた。


「あ、さっきはどうもー(ホン)美鈴(メイリン)です。」


「久しぶりだなー・・・」


魔理沙はばつが悪そうに口を開く。

扉が崩壊し、今や吹き抜けの玄関から近づいてきた少女の顔は、先ほど正門付近にいた。素通りした門番らしい人物だった。


「魔理沙・・・あんたも知り合いなの」


「いや・・・知り合ったのはさっきだぜ。

てかお前も見ただろ!門の近くで!!」


「《いや・・・》はこっちのセリフよ!

見れるか!いきなりあんなスピード出されて見れるか!!」


「ごめんだぜ」


「謝ってないじゃないそれ!」


「・・・魔理沙」


「どうしたチルノ。・・・チルノ?」


ふと横目で抱えていたチルノに視線を移すと、鋭い眼光を放ちながら、重々しくも凛々しい表情をした、妖精とは思えぬ程の妖気を纏った姿がそこにはあった。


「そろそろホントにはなして、私も闘いたい。」


「チルノ・・・・・・わかった。」



何のためにこの見るからに妖気と紅霧立ち込める館に来たのか。

何のために敗北を喫した霊夢と魔理沙に恥を忍んでついていったのか。


チルノは妖精であるため、決して頭が良くはない。

しかし、咲夜と闘う二人の姿を見て、自らを守りながら闘う魔理沙の姿を見て、何も感じない程の馬鹿でもなかった。


大妖精(しんゆう)を、そして妖精(どうほう)たちを助けるために紅魔館に来た。自分の力で助け出す。その自らの願いを成就させるため。多くの恐怖を感じながらも、チルノは魔理沙に言ったのだ。


その気持ちを感じとった魔理沙はチルノを抱えていた手をゆっくりと緩める。するとチルノはその手からすり抜ける様に前から飛び出し、魔理沙の前に立って、目を見つめた


「ありがと魔理沙。守ってくれたのは感謝してる・・・

でもみんなを助けにいくために来たんだ。だからもういいよ」


「お前・・・・・・すげえな」


妖精らしからぬある種の慈愛と、熱意に満ち満ちた言葉に、魔理沙は感嘆の気持ちを素直に吐露する




・・・ホントにすげえよ

私は出来るから異変解決に来てるだけだ・・・この霧の魔術を作り出したやつに会いたかったから、来ただけなんだ。

自分の欲のため・・・・・・いや、悪いことじゃない。少なくとも私はそう思ってる。

思ってるけど・・・眩しいなあ・・・



いいようのない劣等感にも似た思いをチルノに抱いた魔理沙は、その感情を大切にするように、心の中で噛み締めるように感じながら、よし!と大胆に、そして、囁く様な小声でチルノと霊夢に口にする。


「なあ、二人とも聞いてくれ・・・私が二人の注意を引き付けるから、二人は二階に上がれ。咲夜は階段から降りてきた・・・・・時間停止を使ったフェイクかもしれないけど、妖気も魔力も上から感じるし、上が一番吸血鬼いそうだろ?」


「はあ!?あんたはどうするのよ!!」


「やだ!!今度はめーりんに勝つんだ!」


先ほど魔理沙と通じあったチルノは、以外にも霊夢より先に魔理沙の意図に気付き、反論の声を上げる。


「し~~~!馬鹿!!二人とも声でかいから!

チルノ・・・お前は決闘をしに来たのか?めーりんにリベンジしに来たのか?いや、まあそれもあるんだろーけども・・・一番の目的は、そうじゃない。だろ?」


「うぅ・・・」


「助けろよ?紅魔の館の吸血鬼とやらに吠え面かかせてやれ・・・それと霊夢、空はもう慣れたか?」


「ええ、空を飛ぶのは決闘で大分慣れたわ。もう湖の時みたいに体力ぎれになったりもしない。吸血鬼なんて楽勝よ!」



そう告げる霊夢は気負いも、しかしこの異変の首謀者である(くだん)の吸血鬼に対しての驕りも感じさせることは無かった。


霊夢は「空を飛ぶ程度の能力」であらゆる感情にとらわれず、誰に染まることもない。魔理沙はその様子を見て、霊夢が真に自分の能力に慣れてきたのだと確信する。


「気をつけろよ。後で私も追いかける・・・おーい咲夜」


「なに?」


「いくぜ?」


「行かせると思う?会話丸聞こえよ・・・悪いけど、百歩譲って巫女は通しても、得体のしれないあなたと妖精は通さないわ。」


「ま、そういうことです。後ろには私もいるのであしからず。」


そういうと二人の闘気はさらに増し、いよいよもって常人ですら認識できる程に強く、刺すように大きなものに変わっていく。


しかし魔理沙は一切怯むことなく無邪気な笑みを浮かべる。


「いや、いくぜ。小細工も好きだけど、もっと好きなやり方がある。」


そういうと魔理沙は右手に構えた八卦炉を咲夜に突き出し、堂々とスペルを宣言する


「強硬突破だ!二人ともそのまま走れ!!

出力40パーセント・・・恋符!!『マスタァースパーーーク』!!!」


ゴオオオォオオォォ


再びマスタースパークを唱え、咲夜のいる位置に巨大なレーザーを放つが先刻とは違い、レーザーの放出時間は短く、余韻も少ないものとなっている。霊夢とチルノはマスタースパークを放った跡を全速力で飛び、二階へと上がっていった。


おっしゃー!上手くいった「なぜ先ほど当たらなかった魔法を放ってそんな顔出来るのかしら」


魔理沙が心の中でガッツポーズをしている途中、懐に低い位置から突如入ってきた咲夜が、右手でナイフを逆手にもち、全力で顎をアッパーのように下から切り上げようとしてきた。


ふっ!!っと魔理沙は八卦炉を構えていた逆側の左手で掴んでいた箒に魔力を集中させ、肘を小さく、素早く折り畳み、まるで片手剣を操るかの様に箒の柄でナイフの刃を受け止めた。ぎぎぎっと、受け止めた刃と箒の柄は、まるで金属同士が削り合うような不快な音を立てせめぎ合っている。


「だから・・・殺そうとするな!決闘だろ!!

それよりいいのか!?二人とも行っちゃったぜ!!」


「驚いたわ!!あなた剣術も使えるの!?」


「昔 (さむらい)の知り合いがいてな!てか無視!?」


「こっちも忘れてもらっては困りますよ!」


首を小さく右に回し、横目で後ろ側を見遣ると、侵入してきたそのままの位置で、恐らく拳法なのであろう両手を前に構えた姿勢で、妖術を発動させようとする美鈴の姿があった。


「芳華絢爛!!」


美鈴が叫ぶと美しい弾幕が背後から迫ってきた。

そう・・・弾幕、それも(はな)のように色彩豊かで美しい、決闘法(ルール)に乗っ取ったものだと言われても、なんら違和感のない弾幕である。


「そうそう!こういうのだよ!!」


「っ!?」


咲夜は先ほどまでせめぎ合っていたナイフごと、いきなり弾き出され、後ろにずり下がるようにザザーと退いてしまう。

魔理沙は美しい弾幕に感心しながらも、弾幕を躱すため、鍔迫り合うかのように均衡していた咲夜のナイフを魔力を放出させることで弾き返したのだ。



振り返り良く見ると弾幕の一つひとつが濃縮したような妖気の固まりであり、当たれば無事には済まないであろう力を宿している。しかしこれは修行により、力の判別が出来る魔理沙だから気付けたのであり、常人には弾幕の力の大きさは分からないだろう。


魔理沙は一瞬『喰らい弾幕(ボム)』宣言をして相殺しようとしたが、ルールに乗っ取ってない弾幕に適用されるよう紫が制約を作っているかどうか疑問だったためその選択を捨て、強硬突破を選択した。


「今度は・・・」


地面から箒に素早く跨がった魔理沙は両手で強く握ると、魔力を箒全体に行き渡らせる様に流し込んでいく。そして十分に行き渡った魔力を今度は穂先に集中させていく。すると穂先から青白い光が溢れ出すように輝き、箒全体が熱を帯びてきた。しかしこの術式の発動は決して遅いものでは無く、数秒にも満たぬスピードであり、常に咲夜を警戒しながら行っているのは言うまでもない。

両手に相手を倒すであろう確かな感触を感じ、魔理沙は言葉を続ける


「素通りしないぜ・・・彗星『ブレイジングスター』!」


ドゴオォッッ!!!と爆発にも似た推進力で魔理沙の乗った箒は先ほど術を放ったばかりの美鈴に向かって加速していく。


「甘い!『天龍脚』!!」


しかし突進の魔法を正門付近で一度目にしている美鈴は即座に見切り、魔理沙と同じように両足に気を集中させ、迎え打つように必殺の飛び蹴りを放つ。


「がはあっっ!!」


ブレイジングスターは突進の魔法であり、相手に衝突することを前提とした魔法だ。それ故に魔法のプロテクトをかけているのだが、そのプロテクトを易々と突き破り、箒ごと魔理沙を後方へ吹き飛ばしたのである。受け身を取り損なった魔理沙はズザーっと横に寝る様な態勢で倒れてしまった。


「冗談だろ・・・何の妖怪だよ・・・っ!まずい!!」


吹き飛ばされた魔理沙は強烈に嫌な予感を感じ、すぐさま移動しようと箒を手に取ろうとする。しかし・・・


ない!?箒が・・・くそっ


メイド秘技『殺人ドール』


「っあああ!!!」

どこからともかく声が聞こえ、突如として上から迫ってくる豪雨のようなナイフに、魔理沙は半狂乱になりながら何とか足に魔力を宿し、脚力を上げることで回避していた

っ!??・・・しかし避けようとした位置の上方に突如として《そこにあるはずのない》ナイフが現れ、魔理沙にふりそそいだのだ。時間を停止させ、弾幕の途中で更なるナイフを放つ咲夜の秘技である


「あ゛あ゛ああアぁぁァァ」

ズガガガガッッッッっと数本のナイフは魔理沙に衝突した。しかしナイフに殺傷能力はなく、痛みを感じることはあっても死ぬことはない・・・これは咲夜が魔理沙たちの話を聞き、ナイフの刃に気を纏わせることで、命名決闘法(スペルカードルール)の内容を予測し、則っている。咲夜なりの礼儀なのだが・・・魔理沙は気づかなかった。


「探しものはこれかしら」


見ると飛んでいた咲夜の右手には魔理沙の箒が握られていた。


「・・・・・・返しなさい」


普段とはちがう女性的な、しかしどこかいつもよりも強い口調で咲夜に告げるその姿は、荒れた前髪で目が隠れていて表情こそつかめないものの、僅かに憤りを感じているように見える。


「?・・・奪った武器を返すとでも?」


「二度は言わない・・・魔砲(まほう)ー」


え・・・


なっ!?なんですか!


ゾッ・・・と、咲夜と少し離れた位置にいる美鈴に、背筋が凍りつく様な悪寒が走り抜けた。魔理沙から感じるのは魔力ではない。闘気でも増して妖気でもない。



ー殺意。

あまりにも純粋な、そして今までとはかけ離れた、絶対にあの魔法使いが持たぬと思っていたものを周囲に撒き散らすように放っていたことで、触れてはいけぬ逆鱗に触れてしまったのだと察するに余りある出来事だった。そして恐れを抱いている途中、それは起こる。



『ファイナルマスタースパーク』



やばい・・・強くそう感じた咲夜と美鈴は全神経を集中させ、弾幕を予測しようとした。



刹那、『ブンッッ』という巨大な刃物を振り回すような音とも、あるいは何かの電子機器の起動音ともとれる音が響き、これまでの何十倍とも思える魔力が魔理沙の構えていた八卦炉に封じられ、直後バババババババババババッッと幾千、幾万もの星が創り出されるかのように展開され、魔理沙の周りをドームのように埋め尽くしたのだ。


あれを放つの・・・?何かおかしい・・・

見たところ普通の弾幕、いや、数は確かに今までの弾幕とは桁が違うのだろう、しかし咲夜はそれだけではこの嫌な予感の説明はつかない。

そして暫くし、魔理沙の周りに展開されていた星が周りに向かい弾幕のように展開される。美しいアーチ状の弾幕・・・その弾幕が重なるように形成されることで、星の幻想的な幾何学模様を産み出していた。

厳しい・・・でも避けられないことはないわ!!

「咲夜さんこっちに来て!!狙われてる!」

「!??」

『気を操る程度の能力』を持つ美鈴は、弾幕を放出しながらも、咲夜に射るような、しかし静かな闘気を燃やしていることがわかっていた。それと同時、先ほどの殺意が消えていることも・・・


「ごめん!!さっきは私も取り乱した!

謝罪の代わりに・・・この弾幕を捧ぐぜ!!」


いらない!!!咲夜と美鈴が切に思い、心の中で突っ込んでいると、弾幕の隙間が空いたところから八卦炉を構えた魔理沙の姿が覗き見えた。


「出力30パーセントってとこか!

ファイナル・・・マスター・・・スパアァァーーーク!!!」


ゴアアアアアアアァアァアアァァアアァァ

撒き散らされる星はそのままに、更なる巨大なレーザーが咲夜に一瞬で降り注ぐ。時間停止(のうりょく)を使い避ける方法もあったはずだが、星の弾幕とレーザーで逃げ場を失ってしまった咲夜は思考停止してしまい、まともに能力を使えなかったのだ。


「咲夜さん!!」


「大丈夫!普通に生きてるよ!

さあ・・・・・・次はお前だぜ美鈴!!」


魔理沙がそういうと咲夜を撃つために上に向けていた、レーザーが放たれているままの八卦炉をまるで途轍もなく重いものを引っ張ってくるような態勢で、全身を使い全力で体重移動をしてこちらに向けてきたのだ。


「えっ・・・ちょっ、まっ・・・きゃあああアァァ!!!!!」


美鈴の悲鳴はゴオーという轟音に途中書き消され、弾幕とレーザーの余韻が消えると、二人は離れた位置に眠る様に倒れていたのが見えた。


気絶した二人を並べて、しばらく魔法での手当てを行っていると、ふと今は聞こえぬであろう二人に話しかける。


「異変終わったら宴会でもしようぜ。

スペルカードルールも覚えて貰うからな・・・よし!」


ー魔理沙は箒を手にして立ち上がり、階段の先を見据える




あの二人を追いかけなきゃな!!







私の中で咲夜と美鈴はめちゃくちゃ強いキャラなんです。

ただこの物語の魔理沙がおかしいだけで・・・うーん上手く文章で伝えられないなあ(´-ω-`)

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