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56話「コンパクトこそ新しい物を産むための卵だと思う」

すいません!何時もより遅くなりました!

「旦那〜この形状じゃあこの量の魔法陣を刻むとなると持ち運べなくなるぜー。それにこんなでかいもん、そもそも振り回せなくね・・・・・」


ルーイは項垂(うなだ)れると、机の上の俺の書いたロッド()の先に装置をつけた魔道具のラフをコンコンと叩いていた。

ルーイ曰くロッド()ではなく、ハンマー(大槌)になってしまうそうだ。


アイディアだけハルズマンに売ろう。


「うーん・・・・そうだな・・・・だが小型化は必須だ。常に持ち歩かなければならない。ルーイが今まで見てきた中で手に持てるサイズの複雑な魔道具とかはないのか?」


俺の構想では膨大な魔法陣が必要であり、さらに魔法陣の追加が可能なものである。

その魔法陣を制御統括する魔法陣も必要となり・・・・兎に角、武器に刻むとなれば表面積上、巨大化はさけれない。


「失礼いたします!シェーバス様が参りました!お部屋に通しても宜しいでしょうか?」


「あるにはあるけど、そうなるとアーティファクト(古代遺物)級だぜ?一度修復の依頼があったから興味本位でバラそうとしたんだけど、ロイのおっさんに作業が終わるまで吊るされてたわ」


「構造は見たか!?」


「それが、おっさんが邪魔で重要なとこは・・・・」


「そうか・・・・」


問題は魔法陣の量だ。相当な数を組み込まなければならないとなると武器としては強度の問題も出てくる。

俺も魔法陣の運用に関しては昨日の時点で少し読んではいたが、構造の構築に関しては基礎知識すらわからなかった。そのため部屋に戻る前に書庫から関連書物や参考書をルーイに選んでもらい借りて読んでいた。


取ってつけた知識でどうにかプロフェッショナルのルーイと実現に向けた検討を行っていたのだが、小型化・軽量化・運用の課題に悩まされていた。

かなりの量の魔法陣を刻め、尚且つ後から追加が容易な構造、そして修復や手入れのしやすさ・・・・・・・


あー・・・・・ハードディスクとかが使えれば・・・・・

あー、そうなると魔法陣として機能しないか・・・・


「アキラ様、お取り込み中失礼いたします。」


「ニャ!」


急に俺とルーイの間にシェーバスが現れたと思うと、深く頭を垂れた。


「申し訳ありません。カミラが声をお掛けしたのですが、お耳に届かない様でしたので失礼ながら入らせて頂きました。」


ドアの横に立っていたカミラに目を向けると、どうにもばつが悪そうである。

まさかシェーバスが苦手とかなのか?


「すまないカミラ、気付かなかった。それでシェーバスが来たと言うことは揃ったのか?」


「はい、こちらでございます。」


シェーバスから紐で留められた紙束を受け取るとパラパラと捲ってみた。

思ったより薄いな・・・・・


「少ないと感じらると思いますが大賢者イグニスの資料はそれで全てです。」


「待て、軽く見ても《風の行末》での活動の資料しかないようだが、それ以前は無かったのか?」


「はい・・・・・いえ、正確には不確かな情報は無数にあります。偽名を幾つか使っていたため足取りが掴みきれません。不確定な情報をお渡しするより確実な情報をお渡しするのが先決かと思いまして、誠に勝手ながら先だってお渡しする事に致しました。もう少しお時間を頂ければ確定情報を関連付ける事ができると思います。」


「そうか。ありがとう。では引き続き頼んでもいいか?」


「はい、エスティナ様からも申し付けられておりますので纏まり次第お持ちさせて頂きます。」


「助かる。」


これで話は終わりかと思ったのだがシェーバスは一礼が終わって尚、踵を返さずに話を続けた。


「それで別件なのですがキミヒサ様とアスナ様とお会いになる日程が決まりましたのでご報告させて頂きます。早くても4日後に出発していただき馬車での移動速度を鑑みて出発から9日後にお会いしていただくご予定です。」


「いつでも良いわけではないのか?」


「はい、お二人はモリアナ王国で要人扱いで保護されています。お会いになるためには必要な手順を踏まなければなりません。こちらの伝達役をエスティナ様との謁見後に早馬でモリアナ王国へと向かわせてあります。遅くても本日から4日後には到着する予定です。それでコウ様とアキラ様には・・・・」


シェーバスは何時も持ち歩いているであろう革のハードカバーの革紐で纏められた分厚い本の巻頭を一度見るとパラパラと目的のページで手を止めた。


目次付きとは中々手が混んでいるな。

ノートに目次なんか付けたことがない。几帳面さが伺えるな・・・・というか恐らくかなり神経質か?


「失礼しました。コウ様とアキラ様には国境を越えていただかなければなりません。その際に身分証の提示を求められます。そこで・・・・」


ん?待てよ・・・・・・


ノート・・・・・目次・・・・紐・・・・


「《ワンド》に在席していただく事になります。」


「それだ!!!!」


「ニャ!!旦那、急に何だ!」


ありがとうシェーバス!これなら起動や追加の問題も解決だ!


「そ、そんなに喜んで頂けるとは思いませんでした・・・・では急ぎ手続きを進めさせて頂きます。では国政機関との面接の日程は明後日を予定しております。カミラ、アキラ様の服装と礼節指導を頼みます。」


「畏まりました。」


「では失礼致します。」


「ん?話の途中だったろ?シェーバスはどこに行った?」


「「ええぇぇ!!?」」


何故かルーイとカミラが顎が外れそうな勢いで叫んでいた。

いつも間にシェーバスは消えたんだろう・・・・


「旦那、受け答えしてなかったか?」


知らん!

まぁ話は後からでも、聞けるか。

先ずは俺の武器を完成させる!

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