表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/75

47話「クアッドコアよりオクタコア」

「儂の名はテオ・ガガーラン。坊主、あの魔法はなんじゃ」


日に焼けてなのか地黒なのかわからない肌に痩せこけた体躯。それこそコウの言ったガンジーや格闘ゲームに出てくる手の伸びる人のような見た目だ。


「アリアス、この爺さんは《ワンド》か?」


「は、はい!『八詩のテオ』の名を持つ《ワンド》の中でも指折りの魔導師さんです!」


「ほほう、っで『八詩』の所以は?」


「オクタキャストです!同時に8つの混合魔法が使えるんですよ!私の倍です!それに魔力も魔素量も高いので大戦で大活躍されました!」


オクタだと!?魔法の同時処理の数が八つとはどんな集中力だよ・・・・

確か俺はシックスキャストだったはずだ。

ハステルとの戦いで同時に行ったのがクアグマイア(泥沼)土・水、エレクト(電気)土・風・水、ウォルター(水)水で計6つの同時処理か・・・・

これ以上は無理だ。集中力が続かん。

それにヴェルダーさん曰く、魔力量が普通らしいからそこまでの威力は出ない。各魔法に注げる魔力量が下がってしまうのだ。

まぁ正確な数値が分かれば、分散させる魔力量も最小限で抑える事ができ、直接ダメージのある魔法に魔力を注げる。

シックスキャストでも、やりようは有るだろう。

早めにリオに俺の最大出力と、基準となる魔法に注がれる魔力量を見てもらおう。


だがこの爺さんの処理能力は中々のものらしい。

それに加えて魔力・魔素ともに高いとなれば活躍も頷けるか。


「それで、この爺さんも呼んだのか?」


「い、いえ・・・・・」


アリアスが頬を掻きながら苦笑すると沈黙していたテオがその場に座り込んだ。


「テオ爺・・・・」


頑として動く気がないのだろう。


まぁあいいか、こいつの話をスルーすればいいだけだ。


「いい、始めてくれ。爺さん、魔法は後で話す。」


「では・・・・・」


そこから全体の流れをおさらいし、一人ひとりの確認した内容と事前に聞いていた内容を聞いていった。

爺さんは無言のままだったので放置しておいた。

ややこしくならなかったのは幸いだ。


聞く話によると、どうやら魔女の伝言通り最初はオークとゴブリンだけだったようだ。

数にして50前後。

それがいつの間にかヒュージオークやゴブリンファイター、オークキングへと変わっていたらしい。


リオの話では最初から大きいのはいたのだそうだがヒュージとまでは行かなかったようだ。


また戦闘時、オークやゴブリンもいたのだそうだが最初の衝突の際に後方の魔法部隊に落とされていたらしい。

ただ、それも2、3体ほどだとか。

アリアスの性格を鑑みて仲間の危機という伝言を残し、敵いもしない敵にぶつけるよう仕向けてコウの力を試そうとしたような事は無いようだ。

子飼いの《ワンド》を減らすのも愚策な訳だし、魔女の差し金ではないと言うのは解った。

まぁ両手を上げて信用するほどではないがな。


「アリアス、魔物が進化・・・いや、巨大化することは今までにあったのか?」


「私の経験では、そういった事は・・・・」


「・・・・・あったと言えばあったような・・・・」


すると山賊・・・・いやハルズマンが呟いた。


「何があったんだ?教えてくれないか?」


ハルズマンは難しい顔をすると「かもしれないということ」と前置きし、話してくれた。


以前、魔人の目撃報告があったためミストラル北部の国境付近である『旧オルム共和国』へハルズマンが出向いた際に起きたことらしい。


ハルズマンは他の《ワンド》を引き連れて『旧オルム共和国』現在のギルステイン領オルムに到着した。

魔人の目撃証言を纏めて、その魔人がハステルと、他数名だと突き止めたところで、街道で狩人が襲われているという騒動が起きたのだそうだ。


ハステルと言うことは、俺達がこの世界にやってくる直前の出来事だと伺える。

俺がここで気になったのは『他数名』だ。

だが話がそれてしまうので、ハステルを溶かした件については話さなかった。


ハルズマン達はハステルではと考え、確認の為に直ぐに現地へ向ったのだが、そこには魔人ではなくスケルトンのようなスケルトンナイトがいたらしい・・・・


なんか聞いていて良く分からなくなり、スケルトンとスケルトンナイトの違いを聞いたのだが、どうやらスケルトンは武器や鎧も身につけていない、言わば只の骸骨のようだ。


話しによると、スケルトンは『アンデット』と呼ばれる魔物だそうで、生前に魔素量が多かった者が事故や事件に巻き込まれて亡くなり、屍が放置され、特定の寄生虫が住み着くことによって発生するらしい。

生前の意思はなく、正に生ける屍だそうだ。


その中でも、生前に戦闘能力に優れた傭兵などがスケルトンナイトとなるらしい。

その為生前からの鎧や防具などを身につけていて、多少の剣技も扱えるとのことだ。


そして一番の特徴となるのが、額から生える『角』だそうだ。


スケルトンナイトが1本、スケルトンウォリアーが2本と格上になる程、角も増えるらしい。


話は戻るがハルズマンが遭遇したのは角の生えていないスケルトンだった。

だが、そのスケルトンは剣を所持しており、繰り出す一振りの威力もスケルトンナイトと同等だったそうだ。

威力は高いものの、その剣には技などなく力任せに振り回していたらしい。


倒した後に調べるとスケルトンの寄生虫が異様に大きかったらしい。

また、微かに角が生えていたそうだ。

今までにそういった中途半端な事例は無かったため、その時は偶々大きい寄生虫の付いたスケルトンで片付けたとの事だった。


「ありがとうハルズマンさん。もう少しそういった事例が聞きたいんだが何かあるか?」


「他の奴や他の支部に聞けば何かあるかもしれんな。」


「まぁここで話しても進まないか・・・・」


情報が足りなさ過ぎるな。


だが巨大化する魔物・・・・習性として集まることの無い場所に群れていた事、ハステルの目撃情報の後の中途半端なスケルトンナイト・・・・・


そしてハステルと共に行動していたとされる『他数名』。


嫌な予感しかしないな・・・・

先ずはここまで来たのだ、公久と明日菜の件もある。《時の魔女》に会わないとな。


「ともかく・・・・・・」


「グーーー・・・・・」


アリアスが真っ赤になってお腹を押さえていた。


「ご飯にしようか。」

来週は休む可能性があります。ご了承ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

いつもご愛読ありがとうございます。皆様の評価やブックマークが原動力です!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ